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三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ

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三島由紀夫研究会メルマガ

2018/06/05

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『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
    平成30年(2018)6月5日(火曜日)
         通巻第1254号   
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 書評 しょひょう BOOKREVIEW 書評 BOOKREVIEW 
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 赤尾敏氏の国家主義運動・建国会が最も戦闘的であり、行動的であった
   現代日本では完全な死語と化した「義人」と呼ぶに相応しい人物だった

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赤尾由美『愛の右翼 赤尾敏』(マキノ出版)
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        片瀬 裕(国家主義研究家)

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 故赤尾敏氏の姪にあたる赤尾由美氏が書かれた著書だけに知られざる赤尾敏氏の一面が描かれて居り興味深く読了しました。

  想い起せば、昭和37年頃、新橋駅の西口広場に会った街頭ステージで演説中の赤尾敏氏を見掛けて以来、通学路の渋谷ハチ公前広場を始め、新宿,池袋駅前等で赤尾氏の姿を見掛ける度、あの憂国師子吼に耳を傾けたものです。

 初めて赤尾氏の謦咳に接したのは、昭和47年、全日本学生国防会議の集会に赤尾氏を講師としてお迎えする為、大塚坂下町にあった大日本愛国党本部を訪れ、出講を乞うた時です。
赤尾氏は一面識もない学生に快く応接され、小生の依頼を快諾されました。

 その後、やまと新聞の記者として赤尾氏とは取材の為しばしば面談致しました。亦、やまと新聞の前身、帝都日々新聞の社長、野依秀市氏が愛国党の有力な支援者だった事、同党の機関紙「愛国新聞」がやまと新聞の印刷所内で編集、印刷されていた事もあって、赤尾氏も度々やまと新聞に足を運ばれたものです。
そうした折には社の近くにあった芝公園内の喫茶店に氏をお誘いし,珈琲を飲みながら建国会当時の回顧談を拝聴したものです。

  赤尾氏を回想するにつけ想起されるのが、孤高の維新者と評された「国の子・桃太郎」こと渥美勝の事です。渥美大人は京都帝国大学在学中、神政維新の行者たらんことを決意し、徒歩で上京、上野公園や神田須田町の広瀬中佐銅像前で道往く人々に神ながらの世直しを訴えた一個の哲人です。この人は猶存社の有力な同人であり、北一輝とも親交がありました。互いに霊的直観に恵まれ、北は渥美を「神様」と称し、渥美は北を「法華」よ呼んでいました。

 大正10年の宮中某重大事件に際して北は渥美に精神的な指南を仰いだようで、その折、北が渥美に宛てた書簡の複写が小生の手元にありますが、北はその踊るが如き筆跡で渥美の霊的な直観の冴えを賞賛して居ります。
渥美は生涯娶らず、一家を構えず、放浪の生活を続けました。晩年は火の用心の拍子木打ちとして谷中三崎町の火の番小屋に住んでいましたが、昭和5年、同志で易断家の長岡理泉という人の家で、指先を火鉢の灰に埋めたまま眠るように息を引き取りました。その葬儀は愛国者葬として神宮外苑の日本青年館に於て盛大に挙行され、頭山満翁が弔辞を読んだと伝えられています。

陋巷に身を置き、赤貧に甘んじながら、理論と云うよりむしろ傑出した直観の力で記紀の神典を読み抜き国体の清明を十字街頭に説き続けた渥美は、当時の愛国青年に多大な精神的感化を及ぼしたようです。神兵隊事件の首謀者、天野辰夫が渥美を「神兵隊の父」と称えた事にもそれが読み取れます。

  赤尾氏は大正の末年、この渥美氏に師事し深い精神的影響を受けています。左翼無産主義からの転向も渥美勝の思想が及ぼした力は大きいようです。
渥美勝も赤尾氏を熱誠をこめて支援し、建国会の創設に際しては明治神宮に参籠しその成功を断食をもって祈願したと聞きます。
赤尾氏の数寄屋橋に於ける不屈の街頭演説も、渥美勝が貫き通した辻説法に学ぶところ大なるものがあったと思います。

  赤尾氏は亦、憲法学者の上杉慎吉、国家社会主義者の高畠素之の教導と支援を受けています。それ故、赤尾氏の思想と人格形成には、渥美勝の神典に依拠する国体観、上杉慎吉の熱烈な国家主義、高畠素之の近代的まつ日本的国家社会主義思想などが渾然一体となってその血肉を成していると思われます。
ただ、類まれなあの闘魂だけは赤尾氏のもって生れた不退転の気性によるものでしょう。

  赤尾氏を語る上で見逃され勝ちな事は、戦前の国家主義運動に於いて赤尾氏の率いた建国会が最も戦闘的であり、行動的であったという事実です。

 これは例の「特高月報」を通読すれば一目瞭然です。
 毎号、右翼の項目で筆頭に記されるのは建国会の動向と、その精力的な実践運動の状況です。ご承知の通り、民間有志の起した昭和維新運動と云えば血盟団事件と未発に終った神兵隊事件ですが、血盟団の井上日召が右翼運動に参加したのは建国会入会を契機とするものであり、神兵隊司令の前田虎雄、同行動隊長の鈴木善一も建国会を通じて国家主義運動に参入した闘士でした。

  ともあれ、赤尾氏の師子吼は通俗にして平易、誰にでも分かり易い内容の中にキラリと光る警句を宿していました。
これも前期した人々の思想と誠を昇華し、何よりも不断の実践運動によって培われたものと思惟します。赤尾氏は国家社会主義の立場から天皇を奉じた革命,即ち「世直し」を大衆に提唱したわけです。こうした氏の言行に対し、「所謂・国体論」を弄して清談に終始し、国難を前に腰一つだに上げない人々から、とかくの批判や嘲笑を耳にしました。

 その度に小生は「あなた方にこの愛国の義人を批判する資格があるのか!」という反感を抱いたものです。思えば赤尾敏という人物は政治運動家、右翼行動家と評するよりも、むしろ現代日本では完全な死語と化した「義人」と呼ぶに相応しい人であったと思えてなりません。

 今般拝読した赤尾先生の評伝を読みつつ、青年時代に親しく接した氏の面影が鮮やかに甦り、懐旧の念しきりです。
以上本書を読んで感じた所懐の一端を述べてみました。 
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 事務局からおしらせ
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会員勉強会、六月は荒岩宏奨氏
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6月は下記の通り展転社の若き編集長・荒岩宏奨氏を講師にお迎えして、「影山正治と維新文学」のテーマで語って頂きます。これまで蓮田善明、保田與重郎,伊東静雄について論じて頂いた日本浪曼派シリーズ第四弾です。
影山正治氏(1910〜1979)は戦前より維新運動家として大東塾・不二歌道会を主宰するとともに、保田與重郎、浅野晃、林房雄など日本浪曼派の巨人達と親しく交際し、三島由紀夫先生を昭和の神風連と高く評価して憂国忌の発起人となり、昭和54年元号法案の成立を熱禱して自裁されました。
           記
◇日時 6月29日(金)午後6時半開演(午後6時開場)
◇会場 アルカディア市ヶ谷(私学会館)
     (JR・地下鉄「市ヶ谷」駅2分)
◇講師 荒岩宏奨氏(あらいわひろまさ、展転社編集長)
◇演題 「影山正治と維新文学」
◇講師略歴 昭和56年山口県生まれ。広島大学教育 学部卒、プログラマー、雑誌編集者を経て現在展転社編集長。著書『国風のみやびー国体の明徴と天業の恢弘』(展転社)
◇会場分担金 会員・学生千円(一般2千円)



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七月、憂国の空の将軍として知られる織田邦男元空将を迎えて国防講座を開催します。

日時  平成30年7月26日(木)18時半開演(18時開場)
場所  アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師  織田邦男(おりた くにお)空将(退役)、元航空支援集団司令官
演題 アジアの軍事情勢と日本の国防(仮題)
参加費 2000円(会員千円)
 (織田氏の略歴 昭和27年生れ。愛媛県出身。昭和49年防大卒(18期)同年航空自衛隊入隊。F4戦闘機パイロットを経て第6航空団司令、航空開発実験集団司令、航空支援集団司令官などを歴任。平成21年空自退官。現在は東洋学園大非常勤講師、一般社団法人日本戦略研究フォーラム政策提言委員をつとめる)



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8月の公開講座は澤村修治氏
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日時   8月24日(金)18時半開演(18時開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   澤村修治先生(作家・文芸評論家)
演題  「西郷隆盛、日本浪曼派そして三島由紀夫」(仮題)
<講師略歴>昭和35年生れ。東京都出身。千葉大学人文学部人文学科卒。大手出版社勤務、新書や選書の編集長をつとめる傍ら、主に評論と評伝の執筆を行う。『表現者』にも寄稿。主な著作『悲傷の追想「コギト」編集発行人、肥下恒夫の生涯』(ライトハウス開港社)『敗戦日本と浪曼派の態度』(ライトハウス開港社)『唐木順三―あめつちとともに』(ミネルヴァ書房〈日本評伝選〉)『西郷隆盛 滅びの美学』(幻冬舎新書)その他多数
会場分担金 会員・学生1千円(一般2千円)
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  三島由紀夫研究会 http://mishima.xii.jp/contents/index.html
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創刊日:2006-01-12  
最終発行日:  
発行周期:半月刊  
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