文学

三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ

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三島由紀夫研究会メルマガ

2016/12/26

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『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
    平成28年(2016)12月26日(月曜日)
          通巻第1042号 
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(読者から その1)「武蔵国杉並住人」「墨東の老書生」の両氏から、貴重な御意見をいただきましたので、それに応える意味から、少し私の姿勢などを述べてみたいと思います。
 先に「今後、投稿を自粛したいと思っていた矢先に」と述べましたのは、三島由紀夫研究会という組織の性格には、相当部分は、「三島由紀夫ファンクラブ」的側面があることは間違いないでしょうから、その中で、あまりネガティブなことばかりを述べ立てるのは、少なくともあまり品格がある行為でもないし、志が高いものでもないという自嘲があるからです。
しかし「重要な人物について研究する時には、あえて、そのことごとくを見、かつ観なければならず、少なくとも、その見たことの全てを示し述べるべき」(Sainte-Beuve)だとも思うのです。
 先に三島自身が、「私は法科大学へ試験を受けて入つたのではなかつた。その年に限り内申制度によって、各高等学校の推薦で入つたのである。そこで私は今まで受けた資格試験と云つては、小学校へ入つたときのメンタルテストを別にすれば、高等文官試験だけしか知らないのである。」(「學生の分際で小説を書いたの記」1954)と述べていることを指摘しましたが、

 「毎年シーズンになると、試験地獄の是非の論が戦はされる。ところが私にとつては、一向實感がないし、どこを風が吹くといふ顔をしてすごしてきた。私は今までの半生で、二回しか試験を受けたことがない。幸ひにしてそのどちらも通つたからいいやうなものだが、一つは學習院初等科の入學試験であり、一つは最後の高等文官試験であつた。」(「社會料理三島亭」1960;29-440)などとも述べておられる。
 中学受験、高等学校受験という事実や、就職の際の試験なども、生前の三島は自ら語ろうとはせず、それらの事実が公開されるなどとは予想していなかったのでしょうね。「二回しか試験を受けたことがない」のではなく、「二回しか受験に合格したことがない」というのが正確な表現でしょうね。
 「三島君はスキャンダルを見せない男であった。プライバシーの保持にも強かった。この点は私小説の伝統に生きる写実的文学者の多い日本では、特異の存在であった。彼は強力にそのスキャンダルを隠蔽した作家だとも言える。・・・・彼が私生活を語らず、従って、自分の受けた傷口を語るまいとした細心の行き届いた心遣いが、逆説的な浪漫主義として、一見恰も自己顕示のように人々の目に映ったのである。」(舟橋聖一1971「三島君の精神の裸体」『三島由紀夫の人間像』)

 しかしまた反面では(私は、この石原慎太郎の筆致は品格と礼譲に著しく欠けるとは思いますが)、以下のような指摘も否定はできないでしょうね。
「私がこの今になって思い出してみる挿話はどれも三島氏のプライバシーに触れるものだろうが、しかし氏はそれをことさら誇示することで氏の世界を造り上げたのだから、毒を解くのに毒をもってするようなもので仕方がない。
 思ってみれば氏が死ぬまで熱心に続けたパアフォーマンスは、いわば局部を自分の手で押し広げてみせる特出ストリップのようなもので、私たちはそれを結構楽しみ喝采もしたのだからどちらだけの趣味ともいえまいが・・・」 (石原;47)
 富岡幸一郎は「『私の遍歴時代』を読み返してみましたが、これは非常に面白いが、ある意味で嘘ばっかり」「特に十代のころは巧みに避けている」と述べている。

 また、学歴や受験の話ではないが、「ああいうのは、やはり生前に、三島さんとしてはプライド(自尊心)があるから出せないわけです」などとも語っています。(「十代書簡集をめぐって」『国文学解釈と鑑賞』2000年第11号)
 このときの富岡の対談相手・安藤武は、最後に、「三島研究も佳境に入ってくるし、これからということですね。今までされた方には申し訳ないが、・・・・ひとつは徒労に近いのではないかと・・・・・」などと語っています。死後50年に向かって、意外な書簡なども開示されてくる可能性もあるでしょうね。
     (CAM)
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■事務局からお知らせ■
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(年末年始休刊のお知らせ)小誌も年末年始休暇となりますので、しばらく休刊です。 

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会報「三島由紀夫の総合研究」第39号(12月25日付)が発行されました。会員、賛助会員の皆様には届いたと存じます。あるいは年末の配達遅れで、今週前半にはお手元に届くと思います。
今号には8月以降の公開講座の講演録等が収録されています。主な内容は以下の通りです。
○第46回「憂国忌」を開催
○「林房雄と三島由紀夫」富岡幸一郎
○「国民社会主義者 三島由紀夫?」福井義高
○「士魂 福澤諭吉の真実」渡辺利夫
「三島由紀夫と私」佐藤和夫
○「書評」宮崎正弘。その他活動記録や貴重な文献・資料の紹介などが満載です。
  尚、会員以外の方で上記会報をご希望の方は事務局まで氏名とご住所を添えてメールにてお申込み下さい。
事務局 yukokuki@mishima.xii.jp
 到着後、頒布価格410円を 82円切手五枚、お送り下さい。


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三島由紀夫研究会、二月の「公開講座」は下記の要領です。

日時  平成29年2月23日(木)18時半より(18時開場)
場所  アルカディア市ヶ谷
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/10766/rtmap.html
講師 松本徹先生(文芸評論家、三島由紀夫文学館館長、憂国忌代表発起人)
演題 三島由紀夫の時代(仮題)
(講師プロフィール 昭和8年北海道生まれ。大阪市立大学文学部卒。産経新聞記者を経て文芸評論へ。近畿大教授、武蔵野大教授を歴任。現在三島由紀夫文学館館長。最近著に『三島由紀夫の時代 芸術家11人との交錯』、水声社)
会費  2000円(会員は千円)


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3月の公開講座は西村幸祐氏
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           記
日時:  平成29年3月21日(火)午後6時半〜(午後6時開場)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
http://travel.rakuten.co.jp/HOTEL/10766/rtmap.html
講師: 西村幸祐氏(評論家)
演題: 三島由紀夫と21世紀の日本(仮題)
会費: 一般2千円(会員1千円)
 (プロフィール:昭和27年生まれ。東京都出身。慶應義塾大学文学部哲学科中退。学生時代に『三田文学』の編集に携わる。以降評論、言論の世界で活躍中。
主な著書に『21世紀の「脱亜論」中国・韓国との決別』(祥伝社新書)、『日本人に「憲法」は要らない』(KKベストセラーズ ベスト新書)など多数)


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来年4月の公開講座は井上隆史先生 
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今年2月にはメキシコでも「国際 三島シンポジウム」があり、その本の編集も進んでいるとのことです。
          記
日時   平成29年4月25日(火)午後6時半(午後6時開会)
場所   アルカディア市ヶ谷(私学会館)
講師   井上隆史先生(国文学者、白百合女子大教授)
演題    三島由紀夫 「二つの国際シンポジウムー東京とメキシコ」
(講師プロフィール:昭和38年生まれ。横浜市出身。東京大学文学部国文科卒。国文学者。専門は日本近代文学。白百合女子大教授。憂国忌発起人。著編書に『三島由紀夫幻の遺作を読む〜もう一つの『豊饒の海』』(光文社新書)、『三島由紀夫の愛した美術』(共著、新潮社)、『混沌と抗戦〜三島由紀夫と日本、そして世界』(共編、水声社)など多数。
会費 一般2千円(会員1千円)

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(年末年始休刊のお知らせ)小誌も年末年始休暇となりますので、しばらく休刊です。
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  三島由紀夫研究会   yukokuki@mishima.xii.jp
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(C)三島由紀夫研究会 2016  ◎転送自由
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最終発行日:  
発行周期:半月刊  
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