文学

三島由紀夫の総合研究

創立35年の老舗「三島由紀夫研究会」の会報を兼ねた、あらゆる角度からの総合研究メルマガ

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三島由紀夫研究会メルマガ(保田與重郎論補遺)

2010/04/06


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  『三島由紀夫の総合研究』(三島由紀夫研究会 メルマガ会報)
      平成22年(2010)4月7日(水曜日)
          通巻第399号 
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 保田與重郎はかく語りき
  南北朝のころの北畠顕家が、あっというまに五万人の若者を集めた
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「三島由紀夫の総合研究」の合本(13号)に掲載頂いた小論「保田與重郎と三島由紀夫」の最後の部分に引用しました朝日ジャーナル1975年11月14日号の特集『三島由紀夫は甦るか』から、心に触れた保田の発言箇所を以下に追補します。
インタビュアーは井川一久副編集長(当時)で,場所は京都鳴滝の「身余堂」という新古今集の神祇歌「思うこと身に余るまでなる滝のしばし淀むをなに恨むらむ」から名をとった保田邸でした。

・(ドイツロマン主義の「イロニー」とは)日本でいえば「幽玄」とか「もののあわれ」とかいう用法に似ています。そういうロマン主義が日本に再登場するために、三島さんは一つの橋渡しにはなる。少々間違うてもかまわん。一つの部分だけでもとっかかりにして三島という踏み台に跳び乗る人が出てくれば、彼も生きてくる。 雰囲気を持った人やからね、そういう可能性は多分にある。三島さんなら、そういう踏み台になれるかもしれん、いや、なってほしいと思う。

・南北朝のころの北畠顕家が、あっというまに五万人の若者を集めて戦って、二〇才そこそこで戦死した。あの五万人は南朝の名誉のためというだけで顕家についていったわけやない。西南戦争でも、当時としては極右から極左まで、みな別別の思惑で西郷隆盛に従ったんやな。私には戦争末期に軍部の監視がつき、戦後はアメリカの監視がついたんやが、そのアメリカのスパイみたいな男が、西郷は出陣に際していったいどんな演説をしたんかとききよった。まあとにかく指導者が問題ということやな。

・北一輝と大川周明が違うとったように、右翼の人はみな違ってるが、権力主義と財力主義がいかんことははっきりしてるね。三島さんもそんなものは歴史やないと気づいて、インド哲学なんかに興味を持ったりしたような気もするな。

 ▲三島崇拝のヤングは寡黙

・三島さんは(『文化防衛論』などで)大嘗会ということを書いていますね。私はこれは一番大事やと前から思ってきた。日本人は天からくだされる新熟のコメに、道徳から何から何まで圧縮してきた。それは天地循環、天壌無窮の象徴であって、そういう点で天孫降臨ということにつながるんやな。天皇のご即位はその再現であり、大嘗会は天皇と民族が約束を果たしたことの祝祭やった。私は戦争中にそういうことばかり書いて軍部ににらまれたりした。三島さんのコメの霊というのはちょっとわかりにくいが、彼が最後に到達したのは、そういう大嘗会の思想と違いますか。というても、彼は最高に理性的な、本当に学者らしい面のあった人やったから、『英霊の聲』のようなもんは書きはしたけれど、決して邪教にはいかん、おかしな民俗学にはいかん人です。

・三島さんを尊敬する若い人たちはよう来るが、あまりしゃべらんね。いわんでもわかることが尊い。三島さんは、知られれば、知られるほど純化されるんやないかと思う。そうなってきて、今までとは違う本当の影響力が出てくる。歪曲や虚像化の危険はないとはいえんが、結局は美化の方向が勝つ。美化というのは、人間の持っている一番大事な力の一
つやね。戦前ニーチェをたった二行で表現した人がいる、ニーチェの全部を。純粋無雑なものは本来そういうもんやね。三島さんもやがてそうなるかもしれんね。二行で十分表現されるようにやね。
(西法太郎)
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 次回公開講座は古田博司教授をまねき、5月22日に決定!
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とき    5月22日(土曜日) 午後3時ー5時
ところ   高田馬場駅前「ホテル・サンルート」三階会議室
      http://www.sunroutehotel.jp/takadanobaba/access.asp

講師と演題 筑波大学教授 古田博司「文化防衛論と日本文明圏」(仮題)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A4%E7%94%B0%E5%8D%9A%E5%8F%B8

会場分担金 おひとり2000円(会員と学生は1000円)

(ふるたひろし先生は産経新聞「正論大賞」新風賞受賞者。朝鮮文化歴史に造詣が深く、独自の視点からの日本文明論史観に切り込む話題の論客です)

(特記)土曜日の午後なので会場が変わります。いつものアルカディア市ヶ谷ではありません。高田の馬場です。なお、終了後、講師を囲んで懇親会を付近の居酒屋で予定(別途会費お一人3000円)。
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 ★小誌次号は400号記念号となります!
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(編集部から)小誌は「三島由紀夫研究会」(昭和四十六年創設)の会員だけに限定せずに、三島研究の論文、エッセイをつねに募集しております。比較文学論(たとえば「吉本隆明と三島」とか)、作品論(たとえば『仮面の告白』に新解釈)、読後感、政治論、芸術論。まるで分野を問いません。三島さん自身、古典から前衛まで、映画からシャンソンまで万能の人でしたから。
 「憂国忌」への御感想、御希望でも構いません。皆さんからの御投稿を広くお待ちします。原則として実名。簡単な肩書きをつけて下さい。ただし三島文学批判も構いませんが、明らかな誹謗中傷のたぐいの投稿は採用しません。ゲスト寄稿者コーナーも常設しております。一部の原稿は年二回以上発行のメルマガ合本に掲載することがあります。    
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      メール  yukokuki@hotmail.com
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