出産・育児

仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

学生のときは男も女も対等だったのに、どうして社会人になると男社会になってしまうの? 仕事と家庭を両立する方も、一旦退職した方もその後のライフスタイルをどうしたいかを一緒に考えてみませんか

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創刊日:2005-10-20  
最終発行日:2017-08-17  
発行周期:月2回  
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仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

2017/08/17

仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える 第174号 2017年8月17日
育児休業取得率 女性は81.8%、男性3.16%
 ファイナンシャルプランナーの永田です。待機児童問題について書き連ねて
いる間に重要統計が相次いで発表されたので、先月に続いて今月もその話題に
ついて触れたいと思います。今月号は育児休業取得率について書きます。
 厚生労働省から5月30日付けで「平成28年度雇用均等基本調査(速報版)」
を公表します というタイトルのニュースリリース(同省のHPからはトップ
ページの報道・広報バナーから報道関係資料をクリックすると年月区分ごと
の区分が出てきます。厚生労働省関連で大きくニュースに取り上げられる話題
が出たら、大抵はこちらから確認可能。トップページの新着情報から直接
アクセスしても構いませんが、こちらは全分野を掲載しているため、目的の
ものを見つけるのに時間がかかる場合があります)が発表され、最新版の
男女別の育児休業取得率の速報値(確報版は7月末頃発表予定)が発表され
ました。
 結論から述べるならば、男女別の育児休業取得率は平成28年度は女性が
対前年比0.3ポイント上昇の81.8%で、男性は対前年比0.51ポイント
上昇の3.16%。 

 過去からの推移を見ると、
 女性は、平成8年度に49.1%→平成11年度に56.4%→平成14年度に64.0%
→平成16年度に70.6%→平成17年度に72.3%→平成19年度に89.7%→
平成20年度にピークとなる90.6%をつけてからは、平成21年度に85.6%→
平成22年度に83.7%→平成23年度に87.8%→平成24年度に83.6%→
平成25年度に83.0%→平成26年度に86.6%→平成27年度に81.5%→
平成28年度に81.8%とやや伸び悩み感はあるものの、8割の水準をキープ。
 男性は、平成8年度に0.12%→平成11年度に0.42%→平成14年度に0.33%
→平成16年度に0.56%→平成17年度に0.50%→平成19年度に1.56%と
3倍の水準に伸びておっと思わせられる時がありましたが、平成20年度に
1.23%→平成21年度に1.72%→平成22年度に1.38%と3年ほどやや伸び悩み
気味で、平成23年度は2.63%も平成24年度は1.89%→平成25年度は2.03%
と続き、ここ3年は微増ではありますが伸び続けて、平成26年度は2.30%→
平成27年度は2.65%→平成28年度は3.16%に。
(但し平成23年度の比率は岩手県、宮城県、福島県を除いた数値を全国の
結果として算定しています)

 育児休業中の生活資金を補てんする育児休業給付の根拠となる法制度
としては、現行法の前身となる育児休業法が1975年に成立(ただ、
勤労婦人福祉法 =現在の男女雇用機会均等法 の中に育児休業制度は
考案されていたそうで、歴史としては1972年に遡るそうです)。
 1975年の時点では、女性教師、看護婦、保母といった一部職種に限定されて
いましたが1992年の改正では男性も女性も育児休業制度の取得ができると
法律に明記。
 1995年には現在の育児介護休業法になり、介護休業も法律でカバーする
ようになり現在は雇用継続給付のメニューとして「高年齢雇用継続給付」、
「育児休業給付」、「介護休業給付」を支給。
 育児休業給付金の給付率も、当初は休業中に受け取る給付金と職場復帰後に
受け取る給付金の2本立てで給付率も合わせて25%だったものが40%に引き
上げられ(暫定措置として50%)、現行制度の開始6か月目までは月給の67%、
それ以降は50%までの水準に引き上げられました。

 雇用保険の基本手当(世間では失業給付と呼ばれているもの)同様、
育児休業給付金も課税されません(*1)ので、給付率が実質5割になった
頃から、税金や社会保険料を控除した実質手取りと給付率とを比較して
あまり手取りは減らないから男性も取得を検討する方は増えてはいたものの、
まだまだ職場で男性が育児休業を取得することに対しては、特に同じ男性側
からの理解が少なく、平成21年度の育児休業法の改正でパパ・ママ育休プラス
という男性の育児休業取得を促す制度が導入され、また大企業を中心に2週間
程度の男性の育児休業制度を独自に設けて、その間は有給扱いとするといった
制度を設け始め、ようやく周知も進み始めて、多少のタイムラグの後、実際に
取得するファーストペンギンな方が少しずつ出始めたといったというのが
実際の所ではないかと思います。
*1 国税庁タックスアンサーのページにつながります。コンピューター
ウイルス対策は自己責任でお願いします。
http://www.nta.go.jp/m/taxanswer/1191_qa.htm



 では、男性の育児休業取得率が初めて3%台に乗せたことで、世間一般に男性
の育児休業取得は地方の企業や中小企業も含めて浸透したと言えるので
しょうか?

 女性労働者の場合は、当然ながら育児休業の取得の前段階として産前産後
休業を取得して(その間に出産をして)その延長線上で育児休業を取得する
ことになるので、同じ職場で働き続けようと思えば、育児休業を取得して
通常は年度末など子供を保育園に預けやすいタイミングを見計らって
職場復帰するケースが多く(*2)8割を超えた現在は、もうこれ以上の
上昇は中々期待しにくい(*3)と思います。
*2 職場の人手不足が深刻過ぎる場合に、また逆に今のポストを奪われない
ために、産前産後休業だけで復帰するパワフルな方も中にはいらっしゃいます
が、体調の回復も考慮すると、余程周囲の配慮がある職場(いわゆる看護師
などのお互いが思いやれる職場とか…)か、自分の仕事を自分のペースで
進められる程の地位の方でないと、無理をして体調回復が遅れる方が逆に
リスクだと個人的には考えます。
*3 ピークの9割からは多少下げているとはいえ、法律を無視して働き手の
育児休業の権利を放棄させるような企業で働き続けることが当の働き手に
とって本当に幸せなのかを考えれば、一応国としての目標は概ね達成したと
受け止めて差し支えないでしょう。

 その一方で男性労働者の場合は、パートナーである配偶者のために自らが
意思表示しなければならないという大きな違いと心理的ハードルがあります。
 そこで次に、職種別や企業規模別でのデータも公開されているので、
そちらも確認したいと思います。

 職種別で見ると、女性は金融・保険業が98.7%、情報・通信業が97.7%
電気・ガス・熱供給・水道業が96.0%とこの3業種ではほぼ上限に張り付いた
形となり、学術研究・専門・技術サービス業が92.2%、運輸業・郵便業も91.8%
と9割超え、医療・福祉も89.3%と9割の大台超えまであと少しの水準まで
来ているのに対して、低い方では製造業が62.0%、宿泊業・飲食サービス業が
68.1%。製造業が宿泊・飲食サービスよりも取得率が低いというのは、正直
かなり意外だったのですが、女性就業者数そのものの少なさが影響したのか、
未だに女性の就業継続が難しい保守的な業界なのか…。電気・ガス・熱供給・
水道業との取得率の違いがあまりにも対照的で吃驚させられます。
 金融・保険業が高いのは新卒採用を確保するためのイメージアップ目的で
積極的に取得させている。情報通信業は女性社員に辞められると業務が回らず、
せっかく育てた即戦力が無駄になるからこちらも積極的に取得させている
といったところもあるのではないかと思います。
 一方男性は、こちらも金融・保険業が12.33%とダントツに高く、次いで
情報通信業が6.01%、学術研究・専門・技術サービス業が5.65%、
医療・福祉が5.62%と続き、生活関連サービス業・娯楽業が4.45%で
運輸業・郵便業は3.56%、建設業も3.18%。
 金融・保険業は新卒採用を確保するためのイメージアップ目的で積極的に
取得させていること(最近は新卒採用で男性でも育児休業の取得実績について
質問する方が増えていると聞きます。優秀な新卒の採用が不可欠な金融・
保険業としては実績面で突っ込まれないためにも、かなり積極的に推進して
いるのではないかと思います)。情報通信業や学術研究・専門・技術サービス
業で高めなのは職場結婚が多いことや仕事量に繁閑があり比較的調整
しやすいこと。医療・福祉や生活関連サービス業・娯楽業は夫と妻の年収差が
少ない(あるいは妻の方が高い)ことから、主に収入面から共働きを続ける
ために妻側に促される側面もあるのでしょうか。
 一方、低い所では、女性では上位に入っている電気・ガス・熱供給・水道業
が何故か男性は0.89%と、0.48%の複合サービス業や、0.67%の他に分類
されないサービス業と共に1%割れ。女性で低さが目立った製造業は2.48%と
全体平均よりは低いものの、鉱業・採石業・砂利採取業の1.14%の2倍程あり、
製造業に関しては女性の取得率が何故か低く、男性の取得率が平均は下回る
ものの、そこそこの数値となっているこの傾向が、今年たまたまなのか、何か
別の根本的な原因があるのか、特に女性の取得率の低さについては原因を
追跡調査する必要があるように思います。

 事業所規模別では、
 女性は、500人以上規模で95.0%、100〜499人規模で92.7%、30〜99人
規模で87.2%も、5人〜29人規模では68.2%と、予想通り企業規模が
小さくなるほど取得率が下げる傾向に。現実問題として代替要員の確保が
難しい問題もあるのだろうとは思いますが、女性従業員に退職されて
しまっては、それまでの教育投資が無駄になってしまいますし、働き手も
男性社員と同様に、将来のキャリア形成を意識するように粘り強くトップ
自らが訴え続けていくしかないのかと。
 男性は、500人規模で2.98%、100〜499人規模で3.95%、30人〜99人規模
で3.22%、5〜29人規模で2.75%で有意義な差は見られませんでした。

(本来規程がないということ自体あってはならないことですが)育児休業
制度の規定の有無別では、育児休業の規程がある企業では、女性の86.9%・
男性の3.3%が取得しているのに対して、規程なしの企業では女性の33%、
男性も1.85%の取得に留まり、周知することがいかに重要かを証明する形に
なりました。



 そろそろまとめに入りたいと思います。育児休業取得率は、女性については
どれだけその企業が本気で女性を戦力に育てあげようと考えているかの裏返し、
男性の取得率は職種でそう違いはないだろう…と思いこんでいたのですが、
特に男性の育児休業取得率は業種で大きく異なるという吃驚させられる結果に。
 イクメン企業アワード2016で紹介された興味深い事例(*4)でも、
1)リコーリースが子どもの生まれた男性社員が最低5営業日以上の育児休業
を取得する「育メン・チャレンジ休暇制度」を導入。配偶者からのコメント
つきの実施内容の報告書の提出を求めることで、男性の育児休業取得率が
2013年度20%から2015年度76.5%に2年間で56.5%上昇。
2)丸井グループが子どもが1歳になるまでの間、最大7日間有給休暇を
取得できる「短期育児休職制度」を導入したことで、男性の育児休業取得率が
2013年度の14%から2015年度は66%と2年で52%も上昇。
3)大成建設が子どもが2歳になるまでに取得可能な育児休業のうち「5日間を
有給化」して男性の育児休業取得者数が2006〜2015年度年平均2.7人から
2016年度上半期だけで26人と桁が1つ増える急増ぶり。
4)大和証券が全社員に19時前退社を敢行すると共に、2020年度までに男性の
育児休業取得率を100%にすることを目標に掲げることで、男性の育児休業
取得者数が、2013年度2%から2015年度の73%に実に71%も上昇。

 などが掲げられていて、皆様のお勤めの企業で男性取得者数や取得率を
これだけ大きく引き上げることができるかどうかは別にして、制度としては
リコーリースの『配偶者からのコメントつきの実施内容の報告書の提出を
求める』を除けば、これといって社内の感情的反発を招くような内容でもなく、
個々の企業がその気になり、その職場で働く従業員も意識改革に積極的に
なれば、すぐにでも導入できそうなものばかり。
*4 日経ビジネスオンラインで紹介された記事です。コンピューター
ウイルス対策は自己責任でお願いします。
http://special.nikkeibp.co.jp/atclh/NBO/16/mhlw1118/

 そのちょっとした差別化が新卒採用の社員の質の差につながりひいては
競争力の差にも繋がっていくかも……というとさすがに脅しに聞こえるかも
しれませんが、新卒・若手社員が働きやすい会社は中堅や更にその上の管理職
などにとっても働きやすい会社でしょうし、お給料など簡単に引き上げる
ことが難しい対価と異なり、こちらはどれだけ本気で取り組む気があるかで
差別化が十分可能。今後は大企業だけでなく中堅以下の企業でもこのような
取組事例を工夫することで同業他社と差別化していく企業が増えることを
期待しながら今号を締めくくりたいと思います。



2.あとがき
 お盆休みのシーズンは、気にはなっていたもののまとまった時間が取れず、
読み切れなかったネット記事をまとめ読みして過ごしていたりします。
 そんな記事の1つに日経DUALで教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん
(ライターや編集は別の方)が執筆されている『公立校で伸びる子は親が違う』
という記事があり、いろいろ考えさせられるものがありました。
 地方に住んでいると、どうも首都圏の私立中学お受験熱というものもピンと
こないものがあるのですが、氏は私立中学受験のために小学校時代の貴重な
3年間を塾に奪われてしまい、遊びも読書も体験も失ってしまい、国語力
もつかない問題を指摘。
 その一方で、東京の公立中学校は「私立進学者」が抜けた後の集団なので、
ほぼ100%が公立中に進学する地方の「上位30%」とは違うことを十分理解
した上で、公立中に入ったら上位30%をキープすることが社会で生き延びる
ための最初の関門だとも指摘しています。
 地方だと、高校進学の時点で目指す公立(県立)高を決めて、高校に
入学後は学力がほぼ同水準の方同士で競い合うことになりますが、首都圏では
その決断を早く余儀なくされ、学費や進学塾の費用もバカにならない。(*5)
*5 文部科学省が調査した「子供の学習費調査」によると、公立に通う中学生
1人あたりに要する教育費は年間約48万円なのに対し、私立に通う中学生は
約134万円と約2.8倍。公立に通う高校生1人あたりの教育費は年間約41万円、
私立に通う高校生の教育費は年間約100万円と言われています。
生命保険文化センター ライフイベントから見る生活設計 につながります。
コンピューターウイルス対策は自己責任でお願いします。
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifeevent/index.html

 一方、『中学受験 基本のキ![新版]』を書かれた越南小町さんが
執筆する新連載『偏差値around50”の中学受験』は勿論私立中学受験寄りの
記事ですが、こちらもお子さんを主体に考えてという主張は共通しています。
 連載記事は今日17日時点でどちらも4本。
 子供の進学先に迷っている方は読み比べてみるのも悪くないかもしれません。
 FPを名乗る1人としては、私立の中高一貫校に通わせるのならば、子供を
6年間通わせるための資金の手当てや、他の兄弟との公平性の方をどうしても
意識してしまうのですが、親として子供にどれだけのことをしてあげられる
のか。
 根拠のない噂に悪戯に振り回されるのではなく、情報をきちんと取捨選択
した上でお子さんにとって一番ふさわしい選択肢を取ってあげて欲しいと
思います。

最新のコメント

  • でめきん2008-03-07 19:07:06

    >『ちゃんずけ』くらいで、お給料を減らされなければならないのだと憤慨している

    男性も多いのではないでしょうか)



    裏にはちゃんとした訳があるようです。

    大学における権力者=教授を訴えるということは学生にとっては容易なことではありません。現実に訴えることも無く教授のパワハラで自殺なんていう話はめずらしくもありません。

    例えとして適切ではないと思いコメントさせていただきました。



    http://www.zakzak.co.jp/top/2007_12/t2007120518_all.html