出産・育児

仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

学生のときは男も女も対等だったのに、どうして社会人になると男社会になってしまうの? 仕事と家庭を両立する方も、一旦退職した方もその後のライフスタイルをどうしたいかを一緒に考えてみませんか

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創刊日:2005-10-20  
最終発行日:2018-08-17  
発行周期:月2回  
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仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

2018/08/17

仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える 第186号 2018年8月17日
最新の合計特殊出生率と出生数〜平成29年 人口動態統計月報年系(概要)
結果を読み解く
 ファイナンシャルプランナーの永田です。待機児童問題や保活関連の話題を
書き連ねている間に、5月30日に育児休業取得率、6月1日に出生数という
重要指標の発表が相ついで行われました。
 今号では最新の合計特殊出生率と出生数について書きたいと思います。
どうぞよろしくお願いします。

 まず出生数ですが、前年の97万6978人よりも3万0918人少ない
94万6060人。こちらは昨年の12月22日に94.1万人まで減るとの衝撃的な
予測が出ていて、さすがにそこまで深刻な結果にはならなかったものの、
昨今の出生数の傾向を見ると(1000人以下は大雑把にまとめています)
22年が107.1万人→23年が105.1万人→24年が103.7万人→25年が103万人
→26年が100.3万人→27年が100.6万人→28年が97.7万人と、時折前年並み
を維持する年があり、それ以外の年は2〜3万人程減るというサイクルを繰り
返していて、今年は大きく減る年のパターンだったのかと。
 母親の年齢別の出生数の推移を見ると、
19歳以下は、平成26年1万3011人→平成27年1万1929人→
平成28年1万1095人→平成29年9898人
20〜24歳以下は、平成26年8万6590人→平成27年8万4461人→
平成28年8万2169人→平成29年7万9265人
25〜29歳以下は、平成26年26万7847人→平成27年26万2256人→
平成28年25万0639人→平成29年24万0933人
30〜34歳以下は、平成26年35万9323人→平成27年36万4870人→
平成28年35万4911人→平成29年34万5417人
35〜39歳以下は、平成26年22万5889人→平成27年22万8293人→
平成28年22万3287人→平成29年21万6937人
40〜44歳以下は、平成26年4万9606人→平成27年5万2558人→
平成28年5万3474人→平成29年5万2099人
45歳以上は、平成26年1272人→平成27年1308人→平成28年1401人→
平成29年1511人

 第1子、第2子、第3子以上別では、
第1子は、平成26年47万4196人→平成27年47万8082人
→平成28年45万9751人→平成29年43万9257人
第2子は、平成26年36万4763人→平成27年36万3225人
→平成28年35万5784人→平成29年34万8832人
第3子以上は、平成26年16万4580人→平成27年16万4370人
→平成28年16万1443人→平成29年15万7971人

 ざっと見て、19歳以下の1万人割れ、20〜24歳層の8万人割れは数値と
してはそれなりのインパクトがありますが、24歳層までは女性側が早期に
家庭に引っ込み子供が一定の年齢になったら職場復帰する片働きスタイルから
共働きスタイルへの移行に伴うもので、職種にもよりますが、あまり早い時期の
出産は女性当人のキャリア形成の観点から必ずしも好ましいものとは言えず
(*1)、減っているのも自然だと思いますが、主力年代3層の一つの25〜29歳
層で下落が止まらず2年連続1万人前後の減少。
 平成26年から27年にはむしろ微増していた30〜34歳層や35〜39歳層でも
2年連続の下落となり40〜44歳層でもとうとう反転。45歳以上は不妊治療
技術の向上や医療技術の進展で救えることができる命を救うことができる
ようになった結果と思われますが、この年代での出産だと夫婦共に子供が
小さい頃は体力的な問題、子供が大きくなって進学を意識する時期になれば
今の仕事や年収水準を維持できるのかの問題もあり、夫婦が望む時期に子供を
授かることが本当にできているのか…という意味でも少し考えさせられる
結果になりました。

*1 保険の営業など、個人事業主的な働き方ならば、お子さんが小さい時は
仕事の割合をセーブしつつ、仕事ができる人ならば、営業成績という名の実力で
挽回することで、他の方を途中で追いつき追い抜いて一定の地位につくことも
可能かと。
 ただ複数の部署を経験して昇進していく、通常の職種の会社員だと、
複数の部署を経験することなく育児休業に突入すると、復帰できる部署
そのものが限られてしまい、与えられる仕事そのものも絞られ、結果本人が
満足できない仕事しか回して貰えず、その状態が長期化するリスクも否定
できず、それ以前に、零細企業だと自主的?な形での退職に追い込まれてしまう
リスクも決して低くないかと思います。

 また、第1子の出生時の母親の年齢は昭和50年に25.7歳だったのが、
昭和60年に26.7歳、平成7年に27.5歳、平成17年に29.1歳となり、平成
26年は30.6歳、平成27年・28年・29年は3年連続で30.7歳に。
 女性の場合は特に最初の出産はご自身の年齢を意識せざるを得ない面もあり、
また日本の非嫡出子の比率の低さを考慮すると、これ以上先送りすることは
不妊で苦しむ不安へのリスクと裏返しで、上昇が止まったからといって安堵
できる材料ではないと受け止めた方が無難です。


 次に合計特殊出生率は前年比0.01ポイント低下の1.43に。
 都道府県別では、1.51以上が27県、1.41〜1.50が10県、1.31〜1.40が
8府県、1.21〜1.3が2都道。
 上昇組は、岩手(1.45→1.47)、茨城(1.47→1.48)、富山(1.50→1.55)、
石川(1.53→1.54)、和歌山(1.50→1.52)、鳥取(1.60→1.66)、
香川(1.64→1.65)、高知(1.47→1.56)、福岡(1.50→1.51)、佐賀(1.63→1.64)、
熊本(1.66→1.67)、宮崎(1.71→1.73)、鹿児島(1.68→1.69)、
 横ばいは、北海道(1.29)、徳島(1.51)、愛媛(1.54)
 低下組は、青森(1.48→1.43)、宮城(1.34→1.31)、秋田(1.39→1.35)
山形(1.47→1.45)、福島(1.59→1.57)、栃木(1.46→1.45)、群馬(1.48→1.47)
埼玉(1.37→1.36)、千葉(1.35→1.34)、東京(1.24→1.21)、
神奈川(1.36→1.34)、新潟(1.43→1.41)、福井(1.65→1.62)、
山梨(1.51→1.50)、長野(1.59→1.56)、岐阜(1.54→1.51)、静岡(1.55→1.52)、
愛知(1.56→1.54)、三重(1.51→1.49)、滋賀(1.56→1.54)、京都(1.34→1.31)、
大阪(1.37→1.35)兵庫(1.49→1.47)、奈良(1.36→1.33)、島根(1.75→1.72)
岡山(1.56→1.54)、広島(1.57→1.56)山口(1.58→1.57)、長崎(1.71→1.70)、
大分(1.65→1.62)、沖縄(1.95→1.94)。
 こちらもざっと見ると、富山、鳥取、高知は上昇率が大きすぎることから
来年に反動が来る可能性が高いと受け止めた方がよさそうな。
 下落は0.02〜0.03ポイント低下の都道府県が多く、これまで出生率対策
を講じ続けていて、対策が一通り出きってしまった所で、反動でダウンした印象。
 九州・沖縄は大分のように下げている県も一部見られるものの、出生率は
相対的には高めで推移している印象を受けます。



 さて、ここで考えたいのは少子化対策努力をして出生率を反転させても
他の国でも見られるように、ある程度回復してからは、努力を続けても、
伸び悩んだり、残念ながら下がってしまう、ある意味ダイエットの反動的な
反応を示すことがありますが、その時期が来た時にどう考えるかです。
 世の中は多様な価値観の方々で構成されていて、子育て支援一つとっても
熱心な方もいれば保守的な方もいて、短期的な結果が出なければすぐに
取組を批判する(すぐに結果を求めたがる)方も残念ながらいらっしゃいます。
 また公費という名の税金を投入する保育政策の場合は、自分自身に
メリットを感じないことには賛同の理解を得にくいこともあるでしょう。
 とはいえ、日本の人口を維持するのに必要な数値は2.08と言われていて、
その意味では一番高い沖縄県でもこの水準を下回っていますし、直ちにこの
数値まで回復させるのは難しいとしても、子育て世代やその子育て世代を
フォローする同僚や上司、そして親世代も含めて社会全体が意識改革
しなければ、中長期的な意味での出世率の維持や回復は中々厳しいのでは
ないでしょうか。
 また合計特殊出生率の定義は「15〜49歳までの女性の年齢別出生率を
合計したもの」なので、生まれる子供の数の減少が続けば、出生実数は減った
にも関わらず合計特殊出生率は上昇することもあるという、統計のマジック的
なことも起こり得ますし、現在の出生数が25年〜40年後の出産数にも大きく
影響を与えることを考慮すれば、打てるだけの手を打つことが将来の
国力も左右することになるのではないかと思います。

 少し時代を遡るならば第一次ベビーブームの昭和24年には269.6万人
生まれた年があり、その後 ひのえうま と 呼ばれる昭和41年に136万人を
記録した後、昭和48年に209.1万人を記録してからは下落基調が続いて
いましたが、平成に入ってからは10年までは120万人台を維持していた
時期もあったわけで、本人が希望する年齢で結婚して、希望する時期に希望
する子供の数を授かることができればこの水準まで戻すことも、そもそも
100万人の大台を割り込んでまだ2年なのですから、少なくとも諦める
ことはない気もしなくもありませんが、だからこそ何の手も打たずに
諦めるのではなく、やはり環境を整えるしかないように思います。

 そしていくら認可保育所を新設するなど行政の側が努力しても、その
子育て世代を支える側のソフト(保育士など人材)が確保できなければ、
やはり現場は回りませんが、その保育士の確保についても、民営化している
都市部の場合は、給料の低さや離職率の高さの問題を抱えこんでいたりして、
単純に潜在保育士を探し出せと行政がアピールする(*2)だけでは、必要な
要員を確保することはできないという別の問題も抱えています。
*2 すぐに職場復帰できるような状況なら、他の職種で働いている可能性が大。
好景気が続いている中、希望する賃金も払えないのに戻ってきて貰うことは
かなり厳しいでしょう。

 都市部を中心に一部の地域では保育士の争奪戦さえ発生していますし、
その保育士が余剰になることはあり得ないことを前提に、地域のニーズに
沿わせつつ、時には引退した地域社会の高齢者にもお手伝いして貰うなど、
着実にソフトとハードの双方を確保していく努力を積み重ね続けることも
また欠かせない(*3)のではないでしょうか。
*3 これも(じゃあ、何で保育園に預けるの? と私などは思ってしまうの
ですが)、一部の方に保育士以外の方が関わることを極端に嫌がる人、
主に女児の親で男性保育士を毛嫌いする問題もあり、子供の人格形成面からも
現有保育士の負担軽減の観点からも社会全体で議論していく必要がある
と思います。

 そろそろまとめに入りたいと思います。
 希望する数の子供を持てない理由の1つに、産んだ後どう育てていくか、
将来の人生設計を考えると、中々あと一歩が踏み切れないケースも見られます。
 都心部で深刻な待機児童問題や一部の地域で目に就き始めた保育の質の
低下? を見て戸惑う方もいるでしょう。
 ただその一方で、最近は、保育所との契約を文字通り労働契約と同じような
ものとでも勘違いしているのか、変に権利意識が強い方(*4)も残念ながら
一部で存在していて、そういう方程、一度入園さえしてしまえばこっちのものよ
的な態度を取ることも少なくありませんが、預け先の保育園に勤務する
保育士(保育士の95%は女性です)も又、仕事が終われば自分の家の家事や
育児が待ち受けていて、ギリギリの所で働き続けているケースも少なくなく、
お互いの利害が対立すれば立場が弱い方が離職を余儀なくされ、その離職に
追い込まれる方はおそらくは保育士の方なわけで、もし保育士が欠ければ
受入れできる人数そのものも減ってしまうかもしれない、いわばお互いが
同じ船に乗る運命共同体にあるということも又、意識していかなければ
ならないと思います。

*4 事前に渡される書類にも記入しているはずなのに、夏休みや年末年始の
家庭保育のお願いに必要以上に噛みついたり、子供同士のケンカなど軽度な
ケガにも園にクレームをつける方とか、保育園側に求めすぎる人って時折
います。
 また今でも時折見られるのですが、保育が税金を投入した福祉施設なことを
無視して、強引に持論を押し付けようと、無駄に権利ばかり振り回す残念な方も
一定数いらっしゃいます。

 今は保育士確保策一つとっても、数合わせ的な対策しか講じられていない
園の方が多いのではないかと思いますが、職種的にも奉仕して当然視される
職業程、心が折れてしまった時に離職という形で離脱しかねないだけに、
将来的には保育士に対するメンタルケアの対策も講じるなど、全ての方が
気持ちよく働き続けていける職場環境を作っていくことも意識せざるを
得ないでしょうか。
 保育士側からすれば、別に親の側に嫌がらせしているわけではなく、主に
預かるお子さんのことを思って○○して下さいと要求してくるケースが多い
のですが、通わせている数年間の間で何度かぶつかる利害の対立で、保育士と
親の間でその折り合いをどこでつけていくのか。
 中々難しい問題ですが、もう少しお互いが気持ちよく役割分担できる
構図というものを一人一人が意識していき、授かった子供を多様な大人で
育てあげていく社会を作りたいものですし、そうした結果、誰もが働き続け
やすい社会になればこそ、出生数の中長期的な下げ止まりや反発にもつながる
のではないか…と期待しながら今号を締めくくりたいと思います。

最新のコメント

  • でめきん2008-03-07 19:07:06

    >『ちゃんずけ』くらいで、お給料を減らされなければならないのだと憤慨している

    男性も多いのではないでしょうか)



    裏にはちゃんとした訳があるようです。

    大学における権力者=教授を訴えるということは学生にとっては容易なことではありません。現実に訴えることも無く教授のパワハラで自殺なんていう話はめずらしくもありません。

    例えとして適切ではないと思いコメントさせていただきました。



    http://www.zakzak.co.jp/top/2007_12/t2007120518_all.html