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仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

学生のときは男も女も対等だったのに、どうして社会人になると男社会になってしまうの? 仕事と家庭を両立する方も、一旦退職した方もその後のライフスタイルをどうしたいかを一緒に考えてみませんか

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創刊日:2005-10-20  
最終発行日:2018-10-17  
発行周期:月2回  
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仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える

2018/10/17

仕事と家庭の両立のために〜両立支援を考える 第188号 2018年10月17日
 副業について思うこと その1
 ファイナンシャルプランナーの永田です。先月号では、働き方改革関連法案が
残業代を支給しない高度プロフェッショナル制度だけでなく、
・10日以上の年休が付与される労働者に対し、毎年5日を時季指定して
与えることを義務化
・月60時間を超える時間外労働の割増賃金率に関する中小企業への猶予措置
を廃止
 などなど、働き手には勿論のこと、資金繰りに影響する企業にとっても非常に
重要な改正であることをお送りしました。
 今号と来月号で副業について書き、今回は受け入れる職場の側から、主に
労働時間の観点から副業をどこまで認めるのか、その運用姿勢について
思うことを書き連ねたいと思います。
*来月号では、副業についての意識調査を基に、周囲の方は実際の所、
どのような副業を行っているのか、どのような副業なら両立できるのか、
働き手の側から書く予定です。今号では、労働時間を把握する企業寄りに
なるのをご了承下さい。

 先日とあるマスコミが『「副業・兼業をしたい人は3割なのに、認めている
企業は1割。しかも75%超が「許可する予定はない」……。こんな国の調査
結果が出ました。効率よく働き、副業の時間まで確保する理想はまだ遠そう
です。』といった旨の記事を書いていました。
 また昨今、労働力不足対策などを理由に政府が副業解禁をアピールする
姿勢が顕著になり、厚生労働省が公表しているモデル就業規則でも、今年の
1月から副業を容認する条項に改めました。
 労働法の改正に対応する専門の人員を割くまで手が回らないので、モデル
就業規則を参考に終業規則も定期的に改正しているけど、『本業も忙しいから
ウチの従業員には副業はあまりして欲しくないよ!』が本音の使用者は、
そのモデル就業規則の部分だけ、「原則禁止する」あるいは「上司の承認を
要する」といった文言を織り込むだけで本当に対応できるのでしょうか?


 思う所を書く前に、まずは複数の調査の結果について、簡単に触れたいと
思います。
 7月末に日経新聞が九州・沖縄の主要企業110社から回答を得たアンケート
調査では、「副業は認めない」が85.5%に達し、その理由としては
「本業がおろそかになる」(72.3%)、「長時間労働につながる」(31.9%)、
「情報漏洩などのリスクがある」(29.8%)、「労働基準が不明確」(26.6%)
などが指摘されました。
 また9月11日に労働政策研究・研修機構が公表した調査でも、今後、5年先を
見据えて副業・兼業の実施に積極的な方が37%を占め、その理由(3つまで
選択)として「収入を増やしたいから」(85.1%)、「自分が活躍できる場を
広げたいから」(53.5%)、「様々な分野における人脈を構築したいから」
(41.7%)、「組織外の知識や技術を積極的に取り込むため」(36.6%)など
となっているのに対して、企業調査では、「副業・兼業の許可する予定は
ない」が75.8%と4分の3を占め、「副業・兼業を許可している」は11.2%、
「副業・兼業の許可を検討している」は8.4%と検討段階も含めて5社に1社に
過ぎず、働き手側や政府の後押しとは裏腹に、当の労働力を受け入れる
企業側は慎重姿勢を崩していません。

 そもそも日本の会社の就業規則の多くに兼業を禁止する規定が設けられた
のは、管理職や幹部クラスが同業他社に転職したり独立して顧客基盤や
部下ごと引き抜いてしまうことを防止したり、情報漏洩防止の観点から
設けられていました。
 また、ダブルワークをすることで疲れが蓄積して本業の方に身が入らなく
なってしまったり、会社の顔となる受付嬢が、夜のお店でこっそりアルバイトを
していて取引先とばったり。辞めて貰うも裁判沙汰になるトラブルが発生
したことも過去にはありました。
 残業代の割増率が大企業でも25%だった時代では、繁盛期はアルバイトを
新たに雇い入れるよりも、今いる従業員に残業させた方が得で、事実上上限なし
の長時間労働を課していた事業所にとっては、「残業を頼めない方が困る」
という身内の事情もあったかもしれません。
 一方で、正社員であっても、古くは結婚式の仲人、現代なら司会を務めたり
お寺さんの家に生まれて住職の補助、実家が農家なら収穫期の手伝いなど
本業とは競合しないことがあきらかな分野で、会社もお休みな休日に短時間
働いている位ならば、いちいち咎めるような大人気ない対応はしてきません
でしたし、内職やクラウドワークなど、明らかに仕事の主と従がわかるものに
対しては、問題が表面化しない限りは、大目に見てきた会社が多いのでは
ないでしょうか。

 では、仮に副業を容認のスタンスで行くとしたら、企業としてはどのような
注意が必要になってくるのでしょうか…。
 この問題は、まず週に5日あるいはそれ以上働く正社員と、パートタイマー
や派遣労働者など非正規労働者とに分けて考えなければならないと思います。
 副業を解禁すると言えば、週に5日以上働いている正社員でほとんど残業の
ない方が、更に何か別の仕事を行うイメージがありますが、正社員に関しては
厚労省のモデル就業規則に、「本業に悪影響を及ぼさない」といった上司の
承認を得るなど、更に自社で決めごとを付け加えるスタンスでいいと思います。
 人にもよりますが、正社員の座を捨ててまで本業をないがしろにして、
深夜遅くまで1日何時間も働いてしまうような方は、厳しい言い方では
ありますが、その会社の将来の幹部候補となることはないでしょうし、
逆に会社に残って欲しい人材に対しては、事前報告を課すことは勿論のこと、
定期的な面接の場でも将来を期待しているなど、会社側の評価をきちんと
フィードバックしつつ、無理していないかチェックするかと思います。

 むしろ気を付けなければならないのは、パートタイマーなど非正規で雇用
している方向けの対策の方だと、個人的には考えていたりします。
 そして、パートタイマーと一言に言っても、最初から夫の扶養に入る前提で
その時間内で就労調整するパートさんもいれば、本当は正社員になりたいけど、
正社員の募集がないため週に5日のフルタイムパートをしている人。他にも
事務所内で事務作業兼電話番が欲しいけど、仕事量的には週3日の勤務でいい
といったケースも考えられます。

 ここで特に問題になりそうなのが、もっと働きたいけど会社としては
週に3日程度の仕事量でよい方(社会保険料の負担をしたくない外注と同じ
扱いの方)への対応です。
 このケースは又聞きなので、初めて聞いた時には、『嘘でしょ???』 と
にわかには信じられなかった(今でも極端な例え話で、本当に発生した事例とは
信じたくないというのが紛れもない本音です)のですが、元々の会社で週に
3日働いていて、お試しで別の会社で更に空いている3日間働いて、何とか
両立できそうだから、兼業を認めて下さいと見切り発車的に言い出す、
『なんて無謀な…』という言動を取られる方が、最近はいらっしゃるそうです。
 そもそも残業がなければ週に2日休んで週40時間労働が当たり前の
世の中で、もし2つの会社で週に3日ずつ1日8時間を週に6日・48時間働く
人がいて、それを黙認していて、万が一にも労働災害や過労で体調を崩すような
ことがあったら、一体責任問題はどうなるのでしょうか。
 他にも、週に40時間以上働けば、残業代を支払う義務が発生しますが、
以前から勤めていた会社と別の働く会社で残業代の割増率の負担を巡り揉める
ことも考えられます(*)し、それ以上に企業は働き手の健康に配慮する義務が
あり、もしこの問題を長期間放置・黙認していて、トラブルが発生するような
ことになったら、最悪職場の責任問題になりかねず、「俺は聞いてないぞ!」
では済まされない(管理監督責任が生じる)のです。
*基本的には、原因を作った側が割り増し賃金を支払う義務があるケースが
多いと思いますが、判断に迷うケースは行政なり専門家に相談することを
お勧めします。

 もっとも、この問題はとかく残業代の負担はどちらが行うべきか といった
金銭の負担の観点からのみ語られがちですが、本当に怖いのは、問題が表面化
して会社の名前が公表されてしまい、会社の社会的信用が失墜することです。
 会社の名前が出る程の問題というと、過労死や過労自殺あるいは重度な
後遺障害が残るような裁判沙汰になるケースを想像しますが、そのような
ケースばかりでなく、職場を辞めたことをきっかけに、元働き手が療養(補償)
給付や休業(補償)給付を請求するようなケース。
 労働基準監督署に請求するも却下され再審査請求を求めるようなケースでは、
元働き手は経済的にも切羽詰まっていて、失うものがない分、中途半端に引き
下がるとも思えず、結果的に双方の会社がお上から呼び出しを受けたり、同じ
職場の従業員にも不要な動揺を与えるなど、どんな形で副作用が現れるか
全く予測がしにくい(*)からこそ、この判断は怖い問題で、大企業程、
解禁には慎重、解禁するにもきちんとルール整備した上で日々運用を試行錯誤
している企業が多いのではないでしょうか。
*不誠実な企業だと、トラブルが表面化しても逃げの一手で、責任を一方的に
負わされるリスクも考えられますね。



 そろそろまとめに入りたいと思います。世の中には色々な事情を抱えた
人がいます。DV等を理由に元パートナーからの慰謝料も請求できず、生活が
困窮している訳ありな方を雇っているケース、これまで専業主婦だったのに
夫が亡くなり、生活のために無理をせざるを得ないケースなど、中には
ダブルワークせざるを得ない切実な事情を抱えている人もいるでしょうし、
異業種との人脈が期待できそうな副業までを否定するつもりは毛頭ありません。
 また定年後の地域への軟着陸のためには、むしろ普段通っている仕事場
以外で、別の社会の接点を見つけるという意味では、副業を行うことも
一つのきっかけになり得るでしょう。
 ただ、出社前の朝の時間を活用した清掃作業とか、コンビニや飲食店の
アルバイトのような、人手扱いの副業だと、単なる時間の切り売りに
なってしまい、慢性的な人手不足業種だと、『頼む。今日だけ出てくれない
か』と最初はお願い口調だったのに、いつの間にか『はあ? こちらもシフト
調整があるから出勤してくれないと困るよ』と、まるで学生のアルバイトが
仕事場を辞めさせてくれない、なし崩し的に長時間労働を余儀なくされる
コースになってしまうリスクもあることは、働く側にも十分注意が必要
なのかな…と。
 自分の意思で働く時間をコントロールできるような副業は別にして、
時間の切り売りののような働き方はたとえ健康を害することがなくても、
本人のためにも好ましくありませんし、職場にとって必要な人材ならば、
むしろ正社員への登用も検討して中長期的に働き続けて貰えるモデルケース
にすることも考えてもよい時期に来ているのではないでしょうか。
 正社員に比べて非正社員は社会人マナーや各種教育研修を受ける機会も
少ないことが多いものですし、非正社員の場合はあまりプライバシーに
立ち入り過ぎるのも好ましくない(単に面倒臭いと考える残念な上司もいます)
と考える人もいるかもしれませんが、人を雇う以上は労働時間の把握が
求められるわけで…。
 また立場が不安定だからこそ、目先の利益に拘り、ダブルワークのような
単なる稼ぐことが目的な体を切り売りするような、単純労働に走ってしまう
人も中にはいるわけで…。
 そんな彼らを育てて戦力にできるか、単なるコマとして使い潰して
しまうのか。正に経営者の胆力が問われているように思います。

最新のコメント

  • でめきん2008-03-07 19:07:06

    >『ちゃんずけ』くらいで、お給料を減らされなければならないのだと憤慨している

    男性も多いのではないでしょうか)



    裏にはちゃんとした訳があるようです。

    大学における権力者=教授を訴えるということは学生にとっては容易なことではありません。現実に訴えることも無く教授のパワハラで自殺なんていう話はめずらしくもありません。

    例えとして適切ではないと思いコメントさせていただきました。



    http://www.zakzak.co.jp/top/2007_12/t2007120518_all.html