みるくの今日の一句

浮かんだ詩、一句、短編をお送りします。


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内緒の話

2006/01/31

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右向いて、左向いて、後ろ向いて、ワンワンワン!

さあ、扉を開けてみましょう!
どんな物語が待っているのでしょう?


「もう、嫌になるな!また、テストなんて!」

「もう、毎週なんてふざけてるとしか思えないよね。」

「だれがあいつを臨時教師にしたんだ!!」

 わたしたちがあいつと呼んでるのは、奇野招壱、英語教師。春野ちゃんの代わりに来た臨時教師である。

「春野ちゃんは宿題は出してたけどテストなんてしなかったよ!」

「ゆうちゃん、ごもっとも。」

 春野ちゃんは、いま、にんしん8ヶ月、3月には出産予定。五ヶ月前に、体育教師の前田剣蔵と結婚した。本人たちは、否定してたけど、たぶん出来ちゃった婚。春野ちゃんは結婚の準備をしてたら妊娠がわかったと言ってた。たしかに一年前から押さえてないととれない人気の式場でやった。私たち、三人もクラス代表として出席した。とても、きれいだった。とくに隣に前剣がすわってるから、よけいに美しかった。春野ちゃんが美女なら、前剣は野獣といってよかった。前剣は寸胴で、背も低く、いつも怒ってるような顔をしてた。なんで春野ちゃんが前剣と結婚するのかわからなかった。でも、春野ちゃんは幸せそうだった。

 臨時教師の奇野招壱は最低だった。春野ちゃんの悪口は言うし、宿題は山のように出すし、皆、あいつが嫌いだった。私を除いては。実は私はあいつの過去を知っている。あいつもあたしの過去を知っている。ただ、単に家庭教師をしてもらったことが中学のときにある程度だが、わたしらは勉強などしていなかった。親が階段上ってくる音がする勉強しているフリをしたが、それ以外は二人で洋楽を聴いていた。招壱が、訳もしてくれていたので、英語の勉強といえばそうかもしれない。なぜ、家庭教師時代はほとんど、勉強らしい勉強を教えてくれなかった招壱が、いま、こうして、宿題の山とテストをしているかといえば、PTAのおばさんたちのせいだと招壱から聞いて、わたしはしっているが、ゆうや、のぞみには言えない。

「でも、勉強しないと受験はすぐそこジャン。」とわたし。
「でも、毎週はきついよ!」とのぞみ。
「だれだよ!奇野を臨時にしたの!」とゆう。

 実は招壱と春野ちゃんは幼馴染。春野ちゃん自身が指名したのである。招壱と春野ちゃんから私は聞いていた。でも、だれにも言えないこのつらさ。実は招壱と私は付き合っている。これが最大の秘密。知ってるのは春野ちゃんだけである。前剣は正直者だから、内緒にしてある。わたしたちが教師と生徒でなくなるまでは隠し通さなければいけない。

「奇野さ、最初は楽しい授業だったし、宿題もださなかったのに!」と、のぞみ。

「そうだよね。10月はDVDみるのが英語の授業だったときもあったじゃん。」とゆう。

 それがまずかった。PTAのおばさんがたに睨まれたのだ。臨時教師とはいっても、2年生には受験対策が必要と攻められ、招壱は自分のやりたい授業ができなくなった。で、毎日、宿題の山、毎週テスト、やりたくてやっているのではなく、やらされてるのだ!かわいそうな招壱。でも、招壱はテストの問題は洋楽からも作っていた。かすかな抵抗である。

「でもさ、テストの問題、奇野の最初らへんの授業で聴かされた洋楽からも多いじゃん。」
 
「そうなんだよね。あと、DVDで暗記させられた文だったりとかさ、でも、受験で役立つのかな?」

 役立つよ。招壱が受験生のとき、英語だけで受験に受かったときに役立った構文とかがちりばめられてる洋楽やDVDだったのだから。好きこそ物の上手なとは招壱のための言葉だとわたしは思っている。

あと一年隠しきれるのかな?不安だ!ゆうとのぞみにはいっちゃおうかな?でも、内緒にしないとどっからばれるかわからない。


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創刊日:2005-10-19  
最終発行日:  
発行周期:ほぼ毎日  
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