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スキなコト・キライなコト。又はどうでもいいコト

私のスキなコトやキライなコトを、映画や小説や音楽などの話題を絡めて紹介するメルマガです。基本的に、スキなコトばかりになりそうですが(笑)

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IT'S A WONDERFUL WORLD

2006/01/22



    ☆★スキなコト・キライなコト。又はどうでもいいコト06.1.22発行★☆

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     メルマガのタイトル通り、私のスキなコトやらキライなコトやらを徒
     然なるままに綴っていくものです。どうぞ、ヨロシクお願いします。
               又、配信は不定期です。

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             vol.27『不思議なところ』

 地下鉄はとても不思議なところだ。特に私の地元の駅がそうだと思う。高校に入学したての頃のこと、その高校に地元の中学校から進んだ生徒は私ひとりだった。不安と希望で満ち溢れた新しい学校生活を、私は友達と呼べる友達もいないままにスタートしなければならなかった。後にそういう環境が必ずしも珍しくないと知ったが、それでも私は初対面が極端に苦手なタイプの人間なため、入学してからの数週間をひとり読書をしながら過ごしたものだ。
 そんな暗そうな毎日の中で、カーテンの隙間から洩れる一筋の光みたいに私を慰め助けてくれたのは、毎朝地下鉄の駅で顔を合わせる中学時代の友人だった。本当にその友人には感謝している。ほんの数駅だったけれど、楽しい時間を過ごせた。
 数週間後、私にも友達ができた。すると不思議なことに、その中学時代の友人と朝に会わなくなったのだ。部活の朝練で地下鉄に乗る時間が変わったかららしいのだが、当時の私は知らない。まるで友達のいない私を見兼ねた神様が、中学時代の友人を勝手に操ってくれていたようだと、あとになって思った。まったく夢見がちな少女のような考え方だけれど。

 高校三年生の冬、センター入試の朝にも同じようなことがあった。その朝、私の街には珍しい雪が私の街を白く染めていた。いつの時代もセンター入試に雪は欠かせないらしい、長年連れ添った夫婦のように。
 私は勉強不足で不安だったし、緊張もしていた。地元の駅の階段を降りると、ホームに中学時代の友人がいた。高校一年生の時とは違う友人だけれど、二人とも保育園からの付き合いだ。センター入試で良い成績は残せなかったものの、友人が不安と緊張を取り払ってくれたのは間違いない。

 少しばかり大人になってからはこんなこともあった。恐ろしく哀しい事実を知った夜、重い気持ちを抱えたまま、家に帰ろうと電車を待っていた駅のホームで思いがけず初恋の人と会ってしまった。初恋の人は私の張り裂けそうな胸の内など知るよしもなく、ただ私に微笑みかけてくれた。それだけで心が僅かでも軽くなった気がしたし嬉しかった。厳密にはこの場合、地元の駅での出来事ではないけれど、地元の駅に向かう最中のことなので良いと思う。嵐の合間の一瞬に見える青空のように、すっと心が晴れる時はあるらしい。

 私にとって地下鉄はとても不思議なところだ。たぶん神様が悪戯をする場所なのだと思う。心が痛むような出来事が起こった時、地元の駅に行けば必ず誰かに会えはしないだろうけど、そういう場所を見つけられたことは素敵だと思う。
                                      <完>



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                                 発行人:ミュウ

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創刊日:2005-10-03  
最終発行日:  
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