国際情勢

IOM国際移住機関 “Migration”

IOMは世界的な人の移動(移住)の問題に取り組む国際機関です。IOMが世界各地で実施している、人身取引対策や人道復興支援などの活動紹介を現地からのレポートを織り交ぜてお送りします。

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【IOMニュース】国際移住者デー 穴の開いた船ではない、「安全な移住」の権利を

2017/12/18




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 国際移住者デー 穴の開いた船ではない、「安全な移住」の権利を
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↓写真入りのWeb版はこちら↓
http://www.iomjapan.org/pressrelease/details48.html


国際移住者デーに寄せて
国際移住機関(IOM)事務局長
ウィリアム・レイシー・スウィング

「私は移民ですが、穴の開いた船に乗った訳でも、人身取引業者に金銭を払った訳でもなく、生命の危険に逢ったことはありません。安全な移住が、世界の一部のエリートだけのものであってはなりません。」とは、2017年9月に、アントニオ・グテーレス国連事務総長が語った言葉だ。

グテーレス事務総長は、印象的な言葉で、今日世界が直面している優先すべき課題の一つを捉えている。我々は、一部の特権的エリートが世界中を移動することをほとんど生まれながらの権利のように捉えている時代に生きているが、それは希望がないくらい経済状況が悪い、または紛争状況の国に生きる多くの人に与えられているものではない。

しかし、この自明の現実が、悲劇的な結果を伴いながらも、世界政治のきしむ歯車に変化をもたらした。

少し前の内部と外部の行動規範のようなものでは、エリートは世界の貧困にはほとんど関心がなかったし、世界の貧困層は、自国の国境を越えたところにより良い生活を送る機会があることにはほとんど気付いていなかった。しかし、それは過去のことだ。

今日、世界で一番の平等主義者で、世界で20億人以上が手にするスマートフォンが、そうした全てを変化させ続けている。スマートフォンによって、10年も経たないうちに、多くの部外者がこれまでエリートの専売特許だった詳細な知識を得ることとなった。

現在起こっていることは、完全に分岐した現実が同じ地球上で衝突したかのように、2つの現実が共存し、これまでの多くの国での眠気を誘うような政治を、予測不可能で、事実、非常に不安定なものにした。

一方で、移動の自由は、恵まれた驚くべき程多くの世界の市民に実質保障されている。そうした人々にとっては、世界での移動は安全で自由、そして比較的安価になった。これには、グローバル化した世界を活発にしているビジネスマンだけでなく、旅行者や学生、家族の訪問、南の国々からの移住労働者(フィリピン出身200万人以上、スリランカ出身100万人以上など)が含まれる。
人の移動について語る上で我々が忘れがちなのは、これまでになく多くの人々が移動しているという現実。彼らは安全に、秩序ある方法で移動しており、ゲートに行くまでにセキュリティチェックを通過し、道中でフェイスブックやショート・メッセージをチェックする。そして何よりも、パスポート(と査証)を手に合法的に移動する。

だから、なぜ人の移動がこれ程好ましくない課題になって、ニュースの見出しに踊り、政治的なポピュリズムを活気づけることになってしまったのか、疑問に思う人もあるかもしれない。
答えの一部は、移民の社会統合における課題に真剣に取り組まず、人の移動は不合理、あるいはより悪質なものだとみなす、一般的な敵意に対してじっくりと判断することが出来ない態度にあるのかもしれない。政治家は人々が危険を冒して執着している価値に目を向けない。

同じく、もし途切れのないグローバルで大規模な人の移動が、全ての人にとって秩序があり、ごく普通で、有益で、特に問題もないのであれば、我々は様々な事情によって移動ができない大多数の人々にどのように対処すべきか考える必要がある。

拡大を続ける、真にグローバルな労働や才能の市場に参加できない多くの人々は、自分たちが夢見ることしかできない世界を外から垣間見ることしかできないと感じている。彼らは甚大な収入格差と困難に直面し、査証や労働許可を得るチャンスはない。

希望にあふれた数多くの若い移民が、事務総長が述べたような「穴の開いた船」に乗り込もうと思ったとしても不思議ではない。しばしば気候変動の影響でさらに悪化している経済的機会の欠如により、彼らはソーシャルメディアの誘惑に負けてしまう。

そのような状況下で最近、密入国仲介ネットワークや人身取引の加害者、現代の奴隷業者が、全く罰せられずに取引に精を出している。ソーシャルメディア大手が、南の国々に新しい市場を求める中、こうした犯罪手口は取締まられていない。

こうした人の移動が私たちがニュースで見るもので、最悪の場合は、- 最初はIOMによって明らかにされた - アフリカの移民が奴隷や年季契約の使用人として売買されるというショッキングな現実をもたらす。人口増加と経済破綻によって、移民が後先を考えずに故郷を後にすれば、失業とアイデンティティの問題に同様に苦しんでいる受入れ先での、ポピュリズムが必然的な結果となる。
これが、私が2018年9月に採択される予定の移民グローバル・コンパクトに大きな希望を寄せている理由だ。国連の主導のもと加盟国によって議論され、国際的な人の移動に包括的に対処することを目指している。この種で初めての政府間合意となるが、重要な点として、恐らくはこの問題の一触即発の性質を考慮して、国家の主権を脅かしたり、法的に拘束力があったりするものとはならない。

すでにかなりの共通の基盤があり、それは人の移動は解決すべき問題ではなく、対処すべき人間社会の現実だという認識次第である。世界人口の44%と等しい人数を安全に離発着させている、年間800万便のフライトを可能にしている厳しい強制的なルールについて考えてみれば、より多くの人が自由に安全に渡航し、移住し、帰国できるような共通のルールをみつけることは可能である。我々は、絶望的な経済状況に直面している人々に希望を与え、より多くの移民や、働いて故郷に帰ることを希望する循環移住という選択肢のために、合法的な方法を提供する必要がある。なぜなら、我々が解決方法をみつけなければ、密入国仲介業者が代わりに行い、人命が失われ、我々の社会の損失となるからだ。


※今後、ソーシャルメディアで、8人の移民のストーリーをご紹介していきます。
 お楽しみに。




☆‥…・2018年版「世界移住報告書」・・…‥☆
人の移動のダイナミクスの広い視野からの説明と、
人の移動を形成し、問題を生み出している複雑で新しい課題への詳細な分析
https://www.iom.int/wmr/world-migration-report-2018
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☆‥…・『命がけの旅路 第3巻- 行方不明の移民データの向上』・・…‥☆
行方不明の移民に関する既存及び潜在的データソースについての考察、
及び現在入手可能なデータの詳細な地域ごとの分析
http://www.iomjapan.org/publications/fataljourneys3.html
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☆‥…・3/1開催 外国人の受入れと社会統合のための国際ワークショップ・・…‥☆
平成28年度の外国人の受入れと社会統合のための国際ワークショップが、「多文化共生社会に向けて−外国人女性の生活と活躍を中心に」をテーマに開催されました。
ワークショップの報告書はこちら(過去の報告書も見られます)
http://www.iomjapan.org/publications/jointworkshop.html
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☆‥…・IOMの最新の活動はこちらでチェック!・・…‥☆
【IOMによる移民関連ニュースのまとめ The Migration Newsdesk】(英文)
(最新版 2017年12月15号)
 国際移住者デー 他
 http://www.iom.int/newsdesk/20171215
【IOMグローバル・ブログ】
 http://weblog.iom.int/
【オンライン・ブックストア】
↓IOMの出版物が入手可能。ほとんどがダウンロードできます↓
 http://publications.iom.int/
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創刊日:2005-08-26  
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