国際情勢

IOM国際移住機関 “Migration”

IOMは世界的な人の移動(移住)の問題に取り組む国際機関です。IOMが世界各地で実施している、人身取引対策や人道復興支援などの活動紹介を現地からのレポートを織り交ぜてお送りします。

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【IOMニュース】2018年版「世界移住報告書」、命がけの旅路 - 行方不明の移民データ、地中海移住ルートでの子どもへの虐待

2017/12/15





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【1】2018年版「世界移住報告書」発表
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↓写真入りのWeb版はこちら↓
http://www.iomjapan.org/pressrelease/details46.html


国際移住機関(IOM)はこのほど、『2018年版世界移住報告書(World Migration Report)』を発表した。

IOMの世界移住報告書(WMR)シリーズの9番目で、IOMが国連に加入して初めてのこの報告書は、現在の移住を取り巻く課題を2つのセクションに分けて紹介している。現在の人の移動のダイナミクスの広い視野からの説明と、人の移動を形成し、問題を生み出している複雑で新しい課題への深い分析とを組み合わせた。また、国境を越えたつながり、移民や移住に関するメディアの報道、暴力的な過激主義や社会的排除などのテーマを掘り下げた章もある。

ウィリアム・レイシー・スウィングIOM事務局長は、情報過多で人の移動に関する誤解が広がった現代において、現在の人の移動の現実をバランスよく、正確に分析し、証拠に基づいて説明することの重要性を強調した。2015年に約2億4,400万人に達した国境を越えた移民の数を考えると、人間の移動を理解することは非常に重要。国境を越えた移民は現在、世界人口の3.3%を占め、その数は増加している。

IOM総会において、イタリア政府代表部マウリツィオ・セッラ大使はスウィング事務局長に対し、「移住に関するこの先の課題に取り組むことで、読者の目を将来に向けさせる報告書」と賞賛した。セッラ大使は、新しい未来志向のアプローチの重要性を強調したが、これは政策立案者が、移民の福祉、包摂および開発に貢献するような証拠に基づく効果的な政策を形成できるようにするためのもの。

WMR 2018の共同編集者で、IOM本部移住政策研究課長のマリー・マコーリフェは、次のように語った。

「この報告書は、IOMの65年間の現場経験と移住の専門家としての視点から膨大なデータ、情報、分析をまとめることで、人の移動への理解を高めるものです。移住に関する最新の考え方を捉えるため、テーマ別の章は、この分野の一流の研究者によって執筆され、報告書はマーティン・ラース オックスフォード大学教授と共同編集されました。移住に関する主要な参考資料として質の高いものとするために、報告書の草稿は移住分野の学者や各分野のIOMの専門家が確認しました。」

この報告書は他でよく行われているような政策の記述と評価を繰り返すことを避けた。話題となっていることについて偏りのない説明をし、真偽の確認をすることで、論争の多い人の移動を取り巻く課題について、中立な立場を示す未来志向の報告書となっている。

報告書では他に、世界の人の移動の現実を形作る地理的、人口統計学的、地政学的な変化をよりよく理解し、より考慮する必要性が述べられている。地域の特性と開発を掘り下げ、地域間移動や国内あるいは国際的な避難、労働移住と送金、密入国、人身取引、社会統合と非正規移住などを論じている。

報告書はまた、人の移動に関する分析や政策形成において、相互のつながりをより深く認識する必要を説いている。

「人の移動の複雑な動きを完全に測定、理解、規制することはできませんが、ますます相互につながり、相互依存する世界で、人の移動の基本的な特徴をよりよく理解するのに役立つデータと証拠は絶え間なく増えてきています。」マコーリフェは言った。

↓報告書(英文PDF)はこちらでダウンロードできます↓
https://www.iom.int/wmr/world-migration-report-2018





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【2】移動する人々が直面する危険とそのデータについての報告書 紹介
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『命がけの旅路 第3巻- 行方不明の移民データの向上』
(原題:Fatal Journeys, Volume 3: Improving Data on Missing Migrants)
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IOMのデータによると、2014年以降、世界で22,500人を超える移民が死亡または行方不明になっている。実際にはこの数字よりずっと多いと思われるが、死亡の多くは記録されることがない。その理由は様々である。死亡場所が世界の僻地であったり、或いはそうしたデータ収集が当事国政府の優先事項でない、または収集のためのリソースが不足している、などの単純な理由による場合もある。

この報告書は、行方不明の移民に関するIOMによるグローバルレポートのシリーズ第3巻で、2部構成となっている。第1部では、行方不明の移民に関する既存及び潜在的データソースについて考察する。第2部では、現在入手可能なデータの詳細な地域ごとの分析を提供する。『命がけの旅路』第3巻第1部の第1章では、2014年以降の全世界の移民死者数に関する最新データを提供し、移民女性及び子どもが直面するリスクに注目する。IOMの Missing Migrant Project により集計されたデータは、移民の死者数を全世界的に取りまとめた、現在では唯一のデータベースであり、それを基に世界各地の死亡または行方不明となった移民について記録された数や概要を紹介する。

この報告書では、行方不明の移民に関するデータ収集方法の課題について述べる。データは、沿岸警備隊や監察医などによる公式の記録のほか、報道、非政府組織 (NGO)、移民を対象とした調査やインタビュー等から収集される情報も含まれる。このように様々な情報源から得られるデータは、その質にばらつきがあり、入手可能なデータにおける数多くの矛盾は、地域間あるいは経時的比較を困難にしている。

今回の報告書では、こうした悲劇の発生を防ぐために役立てられ、また残された家族が愛する人の安否についてもっと知ることができるよう、行方不明の移民に関するデータの向上を如何にして図れるか、という点を中心に議論を進める。移民の死亡報告についてはメディアからも政策的にも注目されているものの、関連するデータは依然として極めて限られている。死亡する移民本人についてはほとんどわかっていない。遺体の多くは発見されることがなく、発見されたとしても、その身元は確認されないか、確認作業に何年もかかることがある。死亡した人の年齢や性別の判別すら難しいことも多い。報告書では、これが単にデータたり得る情報欠如の問題ではないことを示唆している。行方不明移民に関するデータを向上させる方法はいろいろあるが、当事国政府によっては、データの収集分析を優先事項とするリソースや関心がない場合もある。

↓詳細、及び報告書(英文PDF)のダウンロードはこちらから↓

『命がけの旅路 第3巻- 行方不明の移民データの向上』
http://www.iomjapan.org/publications/fataljourneys3.html



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報告書『苦しみの旅』
地中海移住ルートを通る子どもと若者のおよそ4分の3が虐待、搾取や不正取引の犠牲に
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欧州を目指す移民や難民の子どもと若者は重大な人権侵害に直面しており、地中海中央ルートを渡航する子どもと若者の77パーセントが虐待、搾取または人身取引につながるようなことを直接経験していると、IOM、及びUNICEFによる報告書で明らかにされた。

この報告書『苦しみの旅』では、移民・難民はみんなが高いリスクに晒されているとはいえ、特に子どもと若者は25歳以上のおとなに比べ搾取や人身取引の被害に遭う可能性がはるかに高く、地中海東ルートを渡る子どもと若者は大人の2倍近く、また地中海中央ルートを渡る子どもと若者は大人よりも13パーセントも、こうした被害に遭いやすいとしている。

ガンビアから子どもだけで旅してきた16歳のアイマモは、イタリアの避難施設でインタビューに応え、リビアに到着した際に人身取引業者によって何カ月にもわたり過酷な肉体労働を強いられたと話している。「もし逃げ出そうとすれば、奴らは撃つ。もし働く手を止めたら、奴らは殴る。僕たちは、奴隷のようだった。そして一日の仕事が終わると、僕たちは鍵をかけた場所に閉じ込められていたんだ。」

この報告書は、IOMが実施した1万1000人の子どもと若者を含む2万2000人余りの移民・難民へのインタビューで得られた証言をもとにまとめられた。

「暴力や情勢不安、貧困から逃れるために国を後にした人々にとって、移住する要因は耐え難いものであるからこそ、自らの尊厳や幸福や命さえ犠牲にしなければならないかも知れないことを承知の上で、彼らは危険な旅に出るのです」、とEugenio Ambrosi IOM EU・ノルウェー・スイス地域代表は語る。

「より安全な正規の移民ルートが開設されなければ、他の対策も効果のないものになってしまいます。私はまた、人々の法的地位に関わらず移民プロセスの中で最も支援を必要としている人を見つけ出して保護するメカニズムを改善し、権利に基づいた移民へのアプローチを再び活性化させなければなりません。」

この報告書はまた、移動中の移民・難民の子どもたちは全員高いリスクに晒されている中で、特にサハラ以南のアフリカ出身の子どもたちは、他の地域から逃れてくる子どもたちよりも搾取や人身取引の被害に遭う可能性がはるかに高いと伝えている。地中海東ルートでのその割合は、その他の地域の子どもの15パーセントに対して65パーセント、地中海中央ルートにおいても56パーセントに対して83パーセントとなっている。この違いの背景には、人種差別が大きな要因としてあると考えられる。

保護者の同伴なく、または非常に長期間にわたって旅をしている子どもや若者、あるいは受けた教育のレベルが低い場合、その旅路の中で人身取引業者や犯罪グループによって搾取される可能性が非常に高くなる。この報告書によると、地中海中央ルートは特に危険で、ほとんどの移民・難民がいまだ犯罪や武力や無法状態で混乱しているリビアを通ってくる。若者は渡航のために平均で1,000米ドルから5,000米ドルを支払うため、多くの場合、借金を抱えたままヨーロッパにたどり着き、それが彼らを更なるリスクに晒している。

この報告書は、移民・難民の母国、経由国や目的国、アフリカ連合やEU、ドナーの支援を受けて活動する国際機関や各国内の機関等すべての関係者に対して、一連の行動を優先的に行うよう求めている。

具体的には以下のような行動が求められる。
-移動する子どもたちのための安全な正規ルートを開設すること。
-母国でも、経由国や目的国でも、移民・難民の子どもたちを保護するサービスを強化すること。
-移動する子どもたちの拘留にかわる代替案を見出すこと。
-人身取引と搾取を防ぐために国境を越えて活動すること。
-外国人排斥や人種差別、すべての移民・難民に対する差別と闘うこと。


↓報告書(英文PDF)はこちらでダウンロードできます↓

『苦しみの旅 ? 人身取引や搾取の危険に直面する地中海を越えて移動する子どもや若者たち』
(原題:Harrowing Journeys: Children and youth on the move across the Mediterranean Sea, at risk of trafficking and exploitation)
https://www.iom.int/sites/default/files/press_release/file/Harrowing_Journeys_Children_and_youth_on_the_move_across_the_Mediterranean.pdf





☆‥…・3/1開催 外国人の受入れと社会統合のための国際ワークショップ・・…‥☆
平成28年度の外国人の受入れと社会統合のための国際ワークショップが、「多文化共生社会に向けて−外国人女性の生活と活躍を中心に」をテーマに開催されました。
ワークショップの報告書はこちら(過去の報告書も見られます)
http://www.iomjapan.org/publications/jointworkshop.html
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☆‥…・IOMの最新の活動はこちらでチェック!・・…‥☆
【IOMによる移民関連ニュースのまとめ The Migration Newsdesk】(英文)
(最新版 2017年12月14号)
 西アフリカ移民の経験、リビアにおける移民の状況 他
 http://www.iom.int/newsdesk/20171214
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