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花岡信昭メールマガジン771号

発行日:2/6


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★★花岡信昭メールマガジン★★771号[2010・2・6]
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<<小沢氏不起訴―幹事長留任の「怪」>>
【日経BPネット連載・時評コラム「我々の国家はどこに向かっているのか」5日更新分】再掲


 これは検察の「完敗」といっていいのかもしれない。民主党の小沢一郎幹事長の政治資金疑惑は、なんともあっけない幕切れとなった。ゼネコン各社に一斉家宅捜索を行うなど、あの大騒ぎは一体何だったのか。世間はそんな思いでこの決着を見詰めたに違いない。

 土地購入をめぐる「陸山会」の4億円疑惑について、東京地検は元会計事務担当の石川知裕衆院議員ら3人を政治資金規正法(虚偽記載)罪で起訴、小沢氏については嫌疑不十分で不起訴とした。

 検察当局は4億円の原資にゼネコンからのヤミ献金が含まれていると立証したかったのだろうが、それは遠く及ばなかった。小沢氏が会計処理を指示したことを立証できれば政治資金規正法の共犯に問うことも可能だったのだが、これも不発に終わった。

 「次期検事総長には民間人を起用」といった話も意図的に流された。これが検察の最終判断にどう影響したのかは定かでない。かくして小沢氏は「幹事長の職責返上は考えていない」と幹事長辞任の意思はないことを明らかにした。

 法改正によって、検察審査会が2度にわたって「起訴相当」を議決すれば、公判に持ち込むことが可能になるが、今後の展開は不透明だ。

 昨年3月、今回も追起訴された公設第1秘書が「西松献金」事件で逮捕され、2カ月後に小沢氏は代表を辞任する事態となった。今回は現職議員を含め3人起訴でも幹事長留任だ。このアンバランスをどう受け止めたらいいのか。

 民主党内には妙な「安堵感」がただよっている。7月参院選を前に小沢氏の「仕切り」が欠かせないという思いがつきまとう。昨年の衆院総選挙圧勝を導いた剛腕への期待感だ。もぅひとつ、見逃せないのが「ここで小沢氏がいなくなれば、党内はバラバラになる」という恐怖感である。

 それにしても、つい数日前までは小沢氏の進退問題が浮上するのは必至と見られていたのだが、これががらりと転換した。東京地検が処分を決めた前日の3日付朝刊で、朝日、毎日が「小沢氏不起訴へ」と報じたことから、空気が変わった。

 あっという間に、小沢氏不起訴がほぼ確定したという観測が支配し、その通りになった。小沢氏の進退問題に言及した前原誠司国土交通相らはハシゴを外された思いなのではないか。

 政治の世界では、ときにこういう大転換が起きる。小沢氏への波及が必至と見られたからこそ、その進退問題が浮上した。議員辞職が必要という声すらあった。小沢氏の不起訴が固まると、これが一変し、側近3人が起訴されたにもかかわらず、幹事長留任を当然のこととして受け入れる。

 ある種の錯覚とでもいっていい現象が一気に広まった、といったら言い過ぎか。

 もっとも小沢氏のことだ。このままではすむまいと心中ひそかに計算しているに違いない。その場合のポイントは、たとえ幹事長を辞任するにしても、後に政治力を残すにはどうしたらいいかということだ。

 昨年の代表辞任も5月連休明けというだれも予想していなかった時期に決断し、これが結果的に成功した。鳩山後継代表のもとで選挙担当の代表代行となり、以前よりも絶大な政治権力を手中にしたことは周知の通りだ。

 だから、まだまだ今後の展開は分からない。小沢氏を先頭にして、本当に参院選を戦えるのかどうか。その剛腕への期待感はあっても、党内には一方で世間の受け止め方を見極めたい思いもある。

 小沢氏が幹事長を辞任し、いわゆる「小沢支配」が崩れたら、どういうことになるか。民主党にとっての最悪のケースを想定すると、タガが外れたオケのごとく、バラバラになるのではないか。展開によっては、自民党なども巻き込んだ「政界ビッグ・バン」とでも形容したくなる状況が浮かんでくる。

 それが、理想的な政界再々編につながるのであれば歓迎だが、混迷に次ぐ混迷ということなら願い下げだ。景気回復もおぼつかなく、将来不安の高まる中で、政治の責務放棄というのではなんともはやである。

小沢氏はきわめて現実的、合理主義的なリアリストである。政治権力とはどういうものか、それを手中にするためにはどう動くべきか、そこを熟知している。

 ぶっきらぼうで説明不足がついてまわる性格だから、なかなか理解しがたい面もあるのだが、政治の世界というのは権力争奪ゲームであって、「(選挙に)勝てば官軍」の実態を知りつくしているのが小沢氏だ。

 そうしたことを前提にして、小沢氏はどう動くかを考えたい。竹下登元首相は「もののふの進退は瞬時に決すべし」と、よく口にしていた。世間があっと驚くタイミングで進退を考えよ、という意味である。

 メディアの中には小沢氏に議員辞職を求める向きもあるが、そこまではいかないだろう。かつて、金丸信氏は議員辞職してから巨額脱税で逮捕された。その展開を踏まえ、おそらくは検察との間で息詰まる神経戦が演じられたに違いない。

 あえて付言すれば、議員が辞職すべきかどうかは有権者の判断がすべて、というのが筋である。これまでも、司直の手にかかったものの、有権者は選挙で選択したというケースは少なくない。代議制の精神からして、有権者の意思が最優先されなくてはならない。

 そこで、小沢氏が幹事長を辞任した場合、その後も隠然たる力を持つことが可能なのかどうか。そこが焦点になる。「小沢支配」が壊れた場合、民主党という政党は意外なまでの「もろさ」を示すのではないか。

 もともとは、自民党から旧社会党まで幅広い勢力の寄せ集め政党であった。小選挙区制時代になって、反自民勢力の多くが結集した「選挙互助会」的な側面が強かった。

 それが小沢氏主導の総選挙で、小選挙区制の特徴である得票数と獲得議席の乖離が見事なまでに現出し、歴史的圧勝を果たした。小選挙区の総得票は民主党3300万、自民党2700万であって、308対119という圧倒的な議席差とは風景が違うのである。

 民主党の議員に聞くと、小沢氏とじっくり話をしたことがないという人があまりに多いことに驚かされる。政権の中枢にいる人や中堅議員などにもそういう向きがある。まして「小沢チルドレン」などといわれる大量の初当選組には、小沢氏に対する畏敬の念はあっても、ふだんは口もきいてもらえないという扱いをされている人が相当にいるのである。

 ここが「小沢流」のひとつの側面でもある。小沢氏にとっては、歴史的圧勝を果たした結果の「数」というかたまりが重要なのであって、個々の議員に対してどこまでの思いがあるか、そこがなんとも不透明だ。

 福田政権当時の大連立構想にしてもそうだ。小沢氏は側近を自任しているような幹部にも極秘のうちに工作を進めた。その結果、党役員会で否定され、大連立が宙に浮いたのも記憶に新しい。

 つまりは、小沢氏は党内の主要幹部にすら「心を許していない」のが実態といっていい。鳩山首相との間で日常的にどこまで意思疎通がはかられているかもあやしいものだ。

 小沢氏がその腕力によって、人事、政策、陳情などのすべてを仕切ってきたのが民主党の実情である。早い話、みんな小沢氏が怖くてものも言えないということだ。

 では小沢氏に続くナンバー2は存在するかというと、なんともこころもたないのである。鳩山首相にしても、予算の年度内成立に失敗し、5月に普天間基地移設の結論が出せなかったら、これはもう退陣に直結する。

 それが予想されるような事態になっているのだから、党内掌握力がどこまで残されているかは分からない。菅直人副総理兼財務相が内閣の序列では鳩山首相に続くわけだが、小沢氏のパワーには及ばない。

 そう考えると、どういうかたちにせよ「小沢支配」崩壊となれば、まとめ役がいないという深刻な状況に直面する。岡田克也外相、前原誠司国土交通相、野田佳彦財務副大臣ら、党内グループを率いて「次」をねらう候補群はいるものの、小沢氏の後継幹事長となると、これだという人は見当たらなくなる。

あえて推測すれば、苦労人イメージの強い仙谷由人行政刷新担当相あたりが、内向きの結束力を保つには適任かということになる。反小沢勢力の後見役的な立場だから、これが逆におさまりがいいことにもなる。

民主党内外ではそうした話まで飛び交っていたのである。鳩山首相にしても、「いのちを守りたい」「宇宙が生成して何億年」などという歯の浮くような施政方針演説をやっていて安閑としていられる状況ではないはずである。




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<<読者から>>

★政党助成金をもらっているからミスは許されない。そしてだからこそ何に使っていい訳ではない。そこが重要ですね。国民自身もそこの意識が薄いのかも知れません。やはり政党助成金とはどういうものなのかという認識を、使う政治家も払う国民もきちっと持つようにしなければ、制度の意味は半減し政治も良くなりませんね。(地研番長さん)

[花岡コメント]
 お返事が遅れましてすみません。ご指摘の通りです。政党政治の機能を高めるために税金から政党助成金が投入されているのですから、政治資金の扱いには格段の慎重さが求められると思います。





<<お知らせ>> 
* ささやかな本を出版しました。
  「保守の劣化はなぜ起きたのか」
  発行:産経新聞出版(1429円+税)
 http://www.sankei-books.co.jp/books/title/9784819110730.html
 産経に連載したコラム「政論探究」をまとめ、政権交代劇をどう見るか、書き下ろしの1章を加えました。

【お知らせ】
★拓殖大学大学院地方政治行政研究科の来年度入試が行われています。「地方の時代」を担う人材育成、スキルアップを目指して発足した独立大学院ですが、22歳から78歳まで、現職の議員、公務員を含め、さまざまな立場の「学生」が集まっています。われこそはと思う方は、拓大のHPをご覧ください。
http://www.takushoku-u.ac.jp/graduate/local_govt/summary_index.html
 最終の3月入試は3月6日(土曜)。願書受付は2月22日から25日までです。

<<日経BP>>
花岡のコラム『我々の国家はどこに向かっているのか』。原則として毎週木曜更新。掲載媒体が「日経BPnet」 <http://www.nikkeibp.co.jp/>
に変更になりました。過去記事はSAFETY JAPANで閲覧できます。 
<<Janet>>
 時事通信サイトJanetの花岡コラム『官邸ウオッチ・風測計』。月末に更新。
<http://janet.jw.jiji.com/apps/do/auth/login.html>

<<そのほか花岡の拙稿など>>
★正論(産経新聞社)3月号「炎上!小沢民主党」
★Voice2月号 前原誠司氏インタビュー
★正論(産経新聞社)1月号「民主党内保守派はどこへ行った」
★激論ムック「民主党の正体」西村幸祐 編集 (オークラ出版) 
★政経往来・新春合併号 「7月参院選を軸に新連立再燃か」
★時事評論670号(北潮社・12月20日号)「鳩山政権 短命説も浮上」
★コメントライナー(時事通信)1月15日号 「民主党に自浄能力はあるか」
★季刊・現代警察(啓正社)125号 「セレクト情報・国内政治・天下分け目の政権選択選挙」
★日本国際フォーラム東アジア共同体評議会 政策掲示板・百家争鳴
http://www.ceac.jp/j/index.html

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  1. 「民主党が内部崩壊し分裂してもらいたい」という気持ちが良く表れている文章です。いやもしかしたらご自身は「そんなつもりは毛頭ない」と仰るのかもしれないが、読んでいる方にはそう伝わります。少なくとも、ご自身の深層心理のなかにそういう強い気持ちがあると言えるでしょう。
    それはさておき、読者からのコメントでもたびたび指摘されているように、いい加減、民主党の批判ばかりを書くのはやめにしてはいかがですか。一部の人を除いてもう読者は飽き飽きしていると思います。氏の信奉してやまなかった自民党を再生するのはどうしたらいいのか、そのビジョンを示していただきたいと思います。

     2010/2/8

  2. 小沢続投で国の行き先が心配です。

     2010/2/6

  3. 何時も大いに啓蒙頂き感謝申しあげます。

     2010/2/6

  4. 検察やマスコミがCIAの影響下にあるのはネットユーザーなら暗黙の了解事項だと思います。汚沢はCIAと何らかの取引をしたのでしょう。不起訴の代わりに郵貯の金を差し出す事で合意したんだと思います。
    もちろん、なんの証拠もありませんが。

    匿名希望

     2010/2/6

  5. 花岡先生には、政敵の内情を心配なさるよりも、自民の再起のために智慧を授ける事にご尽力ください。
    もしも、今の国会論戦が先生の指南に依るところがあるとすれば、あんまり賢明ではないと思います。

     2010/2/6

  6. 民主党の政治主導は「小沢主導」「生活の安心」「生活第一」は鳩山・小沢・民主議員・公労・日教組・自治労役員・民団・部落に付属する小沢グループの人達だけの「安心」だけでしょう。

     2010/2/6

  7. 「よい」につけましたが、オピニオンリーダーである花岡さんには、もう一段小澤追求へギアアップされることを、期待します。

     2010/2/6

  8. 大新聞と検察の完敗、プログ、週刊朝日、日刊ゲンダイの勝利。
    検察と大新聞は大反省すべきです。花岡さんも警鐘乱打を期待します。

     2010/2/6

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拓殖大学大学院教授、ジャーナリスト花岡信昭(元産経新聞論説副委員長、日本の新聞社で戦後生まれの政治部長第1号)が現代政治、メディア、世相などを独自の視点で分析・解読、この国のありようをさぐる。ときに、あちこち飛びはねます。

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