【アフリカ発! 理数科授業改善の試み〜教師中心から生徒中心の授業法へ〜】ケニアそしてアフリカ大陸の理数科教育改善を目指し、ASEI&PDSIアプローチに基づいた教員研修事業を繰り広げている日本のODA活動:SMASSEプロジェクトの現状をお伝えします。
[SMASSEメールマガジン] 080214 第26号
発行日:2/14
◎ ◎ ◎ ◎ ◎ 目 次 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎
[速報]
☆ 仏語圏3ヶ国にて、新たなJICA理数科プロジェクト開始
☆ ケニアで中等教育無償化政策の実行開始
[緊急速報]
☆ SMASSEプロジェクトの今後や如何に?
1. これまでの歩み
2. 中等教育無償化政策
3. 教員研修事業のインパクト
4. 選挙後騒乱の影響
5. 今後の活動の見込みとSMASSEに課された大きな挑戦
[SMASSEの活動紹介]
☆ SMASE-WECSA運営委員会の開催
☆ ケニアの理数科教育が目指す学力は?
☆ ガーナASEI-PDSIワークショップ参加
☆ マラウイSMASSE技術支援
[最近の出来事]
9月
☆ 終了時評価調査団の受け入れ (2007.9.2-9.15)
☆ 校長研修の実施 (2007.9.10-9.14, 10.1-10.5, 10.8-10.12)
☆ 視学官研修の実施 (2007.9.17-9.21)
☆ 第4回SPIAS(中等理数科学習達成度調査)の実施(2007.9.16-10.6)
☆ NHK教育テレビの取材 (2007.9.18-9.23)
☆ ケニア教育省のザンビア教育省訪問 (2007.9.16-9.22)
☆ アフリカ教員向け第三国研修(No.6&7)の実施(2007.9.24-10.19, 10.29-11.23)
10月
☆ ザンビアSMASTE事前評価調査団への参団 (2007.10.2-10.10)
☆ 外務省ODA評価「成長のための基礎教育イニシアティブに関する評価」受入れ (2007.10.8)
☆ ガーナASEI/PDSIワークショップへの支援(2007.10.13-10.28, 2名)
☆ ADEA総会2008に向けたThematic WS@ガーナ参加(2007.10.12-10.17)
☆ ADEA運営委員会への参加 (2007.10.16-10.20)
☆ ナイジェリアへ第三国専門家派遣 (INSET運営管理)(2007.10.14-11.17)
☆ タンザニア教育行政官受け入れ (2007.10.15-10.20, 2名)
☆ レソト・スワジランド教育行政官受け入れ (2007.10.20-11.03, 10名)
11月
☆ TICADプロセス評価調査団の来訪 (2007.11.2)
☆ SMASE-WECSA運営委員会 (2007.11.13-11.14, 6名)
☆ 理数科案件事前評価調査団2・ブルキナファソ訪問 (2007.11.17-11.29, 1名)
☆ エチオピア教育省行政官の来訪 (2007.11.20-11.22)
☆ マラウイSMASSE能力強化支援 (2007.11.25-2008.1.19, 1名)
12月
☆ ウガンダ中央研修実施準備支援 (2007.12.2-12.5, 4名)
☆ ウガンダ中央研修実施・評価支援 (2007.12.9-12.22, 4名)
☆ レソト教員研修準備支援 (2007.12.10-12.15, 1名)
☆ 世界銀行教育スペシャリストの来訪 (2007.12.19)
1月
☆ ニジェール中央研修実施支援 (2008.1.4-2.6)
☆ マレーシアRECSAMへの研修参加 (2008.1.7-2.1, 7国から20名)
☆ アフリカ教育行政官向け研修「地方教育強化」@札幌 (2008.1.15-2.16, 2名)
☆ ケニア地方研修講師向け研修@フィリピンNISMED(2008.1.21-2.15, 40名)
☆ アンゴラ教師教育戦略会議への参加 (2008.1.27-2.1, 1名)
2月
☆ ケニア地方研修行政官向け研修「INSET運営管理」@広島 (2008.2.4-3.10, 12名)
☆ ウガンダ終了時評価調査への参団 (2008.2.10-2.16)
☆ タンザニア教員研修実施準備支援 (2008.2.10-2.22)
[SMASSEの今後の予定]
2月
☆ ナイジェリアSMASE中央研修3準備支援 (2008.2.17-3.15, 2名)
3月
☆ スーダン初等理数科案件調査 (2008.3.12-3.17, 4名)
☆ アンゴラ教育省とのMOU締結 (2008.3月中旬予定)
☆ SPIAS「教員研修のインパクト」セミナー (2008.3月中旬予定)
☆ ウガンダSESEMAT授業コンペの視察 (2008.3月下旬予定)
☆ セネガルPREMST技術支援
☆ ブルキナファソ理数科案件技術支援
☆ ルワンダ理数科案件技術支援
☆ レソト・スワジランド合同教員研修支援
4月
☆ 地方教育事務所長研修の実施
☆ 校長研修の実施
☆ 地方視学官研修の実施
5月以降
☆ ADEA総会への参加 (2008.5.5.-5.9、モザンビーク)
☆ 第8回SMASE-WECSA会議@ナイロビ開催 (2008.5.26-5.30予定)
☆ SMASSE第2フェーズの終了 (2008.6.30)
その他
☆ 「参加型授業の有効性事例研究」の完成
☆ 参考資料「いま、アフリカに求められる理数科教育」の完成
☆ マレーシアRECSAMでのアフリカ向け第三国研修開催か? (2008.6月か8月の予定)
[お知らせ]
☆ 第8回 第三国研修の中止
[ケニアの生活情報]
☆ 気候、為替レート、ガソリン価格、祝日、学校カレンダー、他
[編集後記]
☆ 火事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ 速報 ☆ 仏語圏3ヶ国にて、新たなJICA理数科プロジェクト開始
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨年12月から今年1月にかけて、セネガル、ブルキナファソ、ルワンダ
で相次いでJICA理数科プロジェクトが誕生しました。
過去のメルマガでもお伝えしているように、これらの案件形成の事前評
価調査団には、ケニア人スタッフも参団してます。本プロジェクトでの
活動から得た知見をベースに、JICA事業の特徴と、相手国リソースの特
徴を踏まえた、その国のニーズや現状に適合した案件デザインが出来る
ようお手伝いする。と同時に、本プロジェクトは、それらの姉妹プロ
ジェクトに対する技術支援(研修受入れや専門家派遣)提供機関としても
期待されていることから、先方の教育事情を良く知り、相手国関係者と
良好な人間関係を形成しておくことも大切。
すでにセネガルには日本人専門家1名が派遣され、ブルキナファソやルワ
ンダにも間もなく日本人1名ずつが赴任する予定です。いずれの国から
もケニアでの第三国研修に相当数の関係者が参加しているため、ASEI&
PDSIに関する知識もある程度浸透しており、ゼロからの出発ではあり
ません。が、日本人一人専門家として現地に派遣され、生活環境を整え、
業務を軌道に乗せるだけでも大変なこと。彼らから応援を要請された時
にはすぐに対応できるよう、頻繁に連絡を取りながら、進めていきたい
と思います。
なお、これでアフリカにて実施中のSMASSE関連プロジェクトは
下記の10ヶ国に広がりました。
ケニア、マラウイ、ウガンダ、ザンビア、ナイジェリア、ニジェール、
モザンビーク、セネガル、ブルキナファソ、ルワンダ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ 速報 ☆ ケニアで中等教育無償化政策の実行開始
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月11日の午後、ナイロビ市内の中等学校にて、キバキ大統領、オン
ゲリ教育大臣、ムタヒ教育事務次官らが出席し、中等教育無償化開始の
式典が行われました。
キバキ大統領のスピーチによれば、2003年に開始した初等教育無償化
政策は、この5年間で小学校児童の数を590万人(2002年)から820万人
(2007年)に増やし、それに伴い中等学校の生徒数も80万人(2002年)
から120万人(2007年)へと増加しました。
「すでに中等教育には、政府からの予算増、理科実験室の建設や実験器
具の贈与、理数科教員への現職研修、学校管理職への研修などが実行さ
れ・・・」とSMASSEの活動にも触れつつ、これまでの中等教育強化の
成果・実績をアピールした上で、しかし、ケニアを国際社会の中で競争
力を持った国へと成長させるためには、さらなるケニアの若者への教育
投資が必要であり、小学校を卒業した子供の最低70%が中学校へ通える
ような政策を実行していく、その政策プログラムの目玉が「中等教育の
学費無償化※」である、これにより貧しい家庭の子供であっても、質の
良い中等教育を受けられるようになり、彼らがケニアにとって生産的な
人材となることを期待しているのだ、と訴えました。
中等教育への進学率70%をクリアするためには、学費の低廉化だけでは
足りません。小学校卒業者数が増加するに従い、受け入れるべき生徒数
も増えます(目標は140万人)。学校数、教室数、教員数、教育行政能力
も同じように増強される必要があります。政府による当面の対応策とし
て、人口稠密地域に(通学制の)中等学校を増やし、都市部の中等学校に
は2部制(Double Shift)を取り入れ、遠隔地には通信教育(E-learning)を
検討しているとし、地方においても、地方交付金(Constitution
Development Fund)を活用した学校建設や教材の購入、(臨時)教員の雇
用などを進めるよう訴えました。
※中等教育無償化政策に関する情報、次の記事の2.にて補足しています。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ 緊急速報 ☆ SMASSEプロジェクトの今後や如何に?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1. これまでの歩み
2003年7月から、中等学校の理数科教師を対象とした現職教員研修事
業の全国実施を進めてきた本プロジェクト(フェーズ2)は、今年6月末ま
での活動期間を間もなく終えます。すでに昨年9月に終了時評価調査団
を受け入れ、教員研修事業のシステム構築を成し遂げたこと、他のアフ
リカ諸国への知識・経験普及を促進したことなどを高く評価いただきま
した。
「システム構築」と一口に言ってしまえば簡単ですが、全く教員研修
制度の無かったところから、60名もの中央研修講師を育成し、ナイロビ
近郊に92名の宿泊定員を擁する中央研修センターCEMASTEAを設立し、
ケニア教育省や中等学校が研修実施のランニングコストを賄うルールを
固め、実際に8割以上の教員が年に1回2週間の合宿研修に参加したとい
う実績を作り上げるまでには、日本人・ケニア人スタッフが一体となって
現場での活動に取り組み、JICAやケニア教育省の後押しをいただいた、
関係者全員の努力がありました。
今後の課題としては、全国100ヶ所以上に展開した地方研修の質のコン
トロール、地方教育行政官との連携強化、他のアフリカ諸国への技術支援
の強化、 中央研修センター CEMASTEA の組織運営管理体制の強化、
活動対象を中等教育から初等教育へ拡大する可能性を探る、などがあげ
られており、その宿題を片付けるべく色々と作戦を練っていたのでした。
2. 中等教育無償化政策
昨年5月頃から、大統領選挙キャンペーンの公約の一つとして、初等
学校を卒業して中等学校へ進学する子供達の割合を出来る限り引き上げ
たい、そのために中等学校の高い学費構造を見直すべきだとの政策を打
ち上げたところ、それが社会的な支持を得て、教育省ハイレベルにて議
論されるようになりました。その結果、この1月9日にケニア教育省は
中等教育の学費に関するガイドラインを発行、 全国の地方教育行政官や
中等学校長へ向けて配布しました。 通学制中等学校の年間学費が生徒一
人当たり10,265シルと定められ、その全額が政府負担と定められたこ
とは、新聞報道等でも大きく取り上げられました。( 寮制学校の学費は
28,892シル、そのうち10,265シルが政府負担、18,627シルが家計
負担 )
本プロジェクトとの関連では、政府が負担する10,625シルの一項目
であるTution Fee(3600シル)の使途例として「INSET seminars for
student, and teachers such as SMASSE」と明記されたことが画期
的でした。このことはSMASSEの教員研修事業が、ケニア教育省の事
業として認知されていることを示し、SMASSEの地方研修事業を継続
的に実施するための経済的基盤が確保されたことを意味します。今ま
では生徒から集めた学費の一部を地方教育事務所がSMASSE基金とし
て徴収し、研修実施費用に充てていたのですが、これからは生徒から
徴収せずとも中央から降りてくる予算の中からやり繰りすれば良いわ
けで、お金の流れがより円滑になると期待出来ます。
というわけで、ケニアの中等教育は量的に拡大基調にあり、学校数
も、教室数も、生徒数も、教員の新規雇用も増加する傾向にあります。
当然、その質を落とさないための対策も必要になる。ケニア教育省が
理数科の教員研修を継続実施するのだという意思を表明したことを、
SMASSEとしては重く受け止めました。
3. 教員研修事業のインパクト
教員研修のシステムが完成し、教員が研修に参加するようになって、
さてその結果として子供達の学力は向上しましたか?と皆さんが素
朴な疑問を抱くのは自然なことでしょう。今まで、学校視察等の機
会を利用しては、校長先生や生徒達の声を聞き、表情を確かめ、教
育行政官にインタビューするなどして、SMASSEの研修が何らかの
お役に立っていること、少なくとも行政官も教員も生徒達も好意的な
印象を抱いていることだけは確信していました。ところが、そうい
う印象をハッキリした数字として、グラフとして、お見せすることが
出来ず、素朴な質問をいただく度に歯がゆい思いをしていました。
そこでプロジェクトの活動として、校長や教員へのアンケート、
生徒達への学力調査とアンケートを実施し、教員研修の実施が、
生徒の学力向上につながるメカニズムを確かめるという大仕事
「中等理数科学力達成度調査(SPIAS)」を開始したのが2004年9月
のこと。以後、毎年9月に全国150の中等学校を訪ねて6000名の生
徒(中等学校2年生)に学力達成度調査を行い、4年分のデータが蓄積
されました。
現在、このデータを詳細に解析するため「教育の質向上インパクト
の効果測定研究会」を発足させ、東京工業大学副学長の牟田博光教授、
財団法人国際開発センター佐々木亮主任研究員の技術支援をいただき
構造方程式モデリングを用いた共分散分析を実施しています。これに
より、教員研修を実施すると、研修を受けた教員の勤務態度が変わり、
授業の様子が変わり、生徒の授業態度が変わる・・・といった学力向
上の道筋・因果関係を図解でご説明出来るようになります。もちろん
生徒の学力を向上させるためにはそれなりに長い期間の社会的努力が
必要ですし、教員の力量だけでなく、校長のマネジメント能力、親の
教育に対する関心、社会的背景、教育カリキュラムの変遷など、様々
な要素が生徒の学力に影響を与えるのですから、それほど刺激的な分
析結果は得られないでしょう。それでも学力向上までの常識的な解釈・
仮説を、定量的に裏付けることは出来そうです。(最終報告書は2月末
に完成予定です)
さらに、この分析作業を経て、SPIASのツールをより精緻なものと
し、他のアフリカ諸国にも適用出来るよう開発を進めれば、JICAが
ケニアを始めとしてアフリカ各国で開始している教員研修事業の質
向上のために活用できますし、教員研修の成果を中長期的なトレンド
として確認するための統一的な物差しとして使えるのではないかと、
今後の活躍に大きく期待しています。
4. 選挙後騒乱の影響
さて、そんな状況の中、昨年末・年始の国政選挙の時期はスタッフ
一同休暇を取り(毎年1月から11月までカレンの研修所と我がスタッフ
達は休み無しにフル稼働しているのです)、新たなチャレンジに向け
て鋭気を養っていました。 とりあえず選挙の結果が出て、新政権の
人事が固まるまでは、教育省内も落ち着かないだろうことは想定内
です。教育省内ハイレベルの人事が固まれば、彼らとの対話を通じ
て、プロジェクトの活動の今後の見通しもつくだろうと思っていま
した。
ところが、後は皆さまご存知の通り、ケニアに住む全ての人が大変
な思いをする事態になってしまいました。教育現場も大混乱です。
何しろ公立学校の1学期の開始を1週間先延ばしにしても、先生も生
徒も学校へ通うのを怖がってしまい、特にケニア西部地方では、2月
になっても学校がまともに機能していない様子が報道されています。
これでは幾ら中等教育無償化の政策を打ち出しても意味がありません。
さらに身近な同僚達の動向に注目すれば、やはり西部地方出身者が
ナイロビ周辺で暮らすのは大変そうです。西の出身だからというだけ
で、アパートの大家に退去を命じられた人、家に火をつけられて家財
を失った人、自宅が襲われることを恐れて毎晩ろくに眠れない人、バ
スに乗って通勤するだけでも恐怖を感じる人、これでは仕事に集中
出来ないでしょう。
中央の教育省も、地方の教育現場も、我がスタッフ達も、まともに
機能していない状況ではプロジェクト活動はほとんど動きません。
本来なら、これまで何らかの理由で研修を欠席してしまった地方研
修講師を対象とした「補講研修」を実施する予定だったのですが、
何となく様子を見ながら延期になっています。初等教員養成カレッジ
の講師を対象とした第2回研修も同様に準備が進みません。国政選挙
キャンペーンのために地方行政区分が細分化され、地方教育事務所
長のポストも大幅に増えたはずなのですが、SMASSEのブリーフィ
ングを実施しようにも教育省人事が追いついておらず見通しが立ち
ません。アフリカ諸国12カ国から80余名の教師教育関係者を集めて
実施するつもりだった第三国研修も、残念ながら中止となりました。
5. 今後の活動の見込みとSMASSEに課された大きな挑戦
上述したように、ケニア国内向けの各種研修事業は実質的に停ま
っています。辛うじてアフリカ諸国向けの技術支援事業は、ウガンダ、
タンザニア、スーダン、レソト、アンゴラ、ザンビア、ルワンダなど
様々な国を技術支援する活動が計画されているのですが、これらとて
ケニア国内向け事業で蓄積した知見や人的資源がベースになっていま
すから、いつまで継続実施出来るのか不透明です。
こんな風に、援助対象の国の政情が不安定になってしまえば、隣人
同士が傷つけ合い、互いに信用出来ない社会情勢になってしまえば、
JICAが実施している技術協力事業の成果やその蓄積は一気に水泡と化
す危険があります。この業界で仕事をしていれば頻繁に耳にする言葉で
はありますが、相手国のグッドガバナンス(良き統治)に貢献する仕事を
しなければ、私達の仕事の成果はあっという間に根底からひっくり
返ってしまうのです。
「国造りは人づくり」という技術協力の原点を思い起こせば、発展
途上国のひしめくアフリカ大陸において理数科教育の強化を促進し、
その大衆に合理的・科学的思考を普及していくことが、この大陸に
グッドガバナンスをもたらす基礎となり、富の分配がより公平になれ
ば国内紛争も減り、あらゆる分野の技術協力事業を効率良く、効果的
に実施していくための良き土壌となるはず。SMASSEプロジェクトの
一員として、私達に課された大きな挑戦の意味を噛みしめれば、少々
のことで活動を停滞させている場合ではないのですが・・・。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ SMASSEの活動紹介 ☆ SMASE-WECSA運営委員会の開催
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
チーフアドバイザー 杉山隆彦
SMASSEフェーズ2は最終年に入り、アフリカ域内活動の今後の戦略を
策定する時期にある。特に、今年5−6月に予定している第8回SMASE-
WECSA会議の開催をどうするか決める必要に迫られており、事務局三
役が一堂に会し、今後の中長期戦略を策定する目的で運営委員会を実施した。
以下の議題に沿って会議は進められた。
1)第8回SMASE-WECSA会議の開催地、時期、内容に関する協議
2)SMASSEプロジェクト・フェーズ2以降の活動計画の策定
3)第3国研修の今後
4)域内活動(第3国専門家、技術交換、その他)
5)国際機関(ADEA、NEPADおよびAU等)との連携活動
6)JICAを中心とするドナーとの連携
7)会費の使途
8)言語圏ごとの支部活動の可能性検討
9)提言のまとめ
その結果、合意に至ったポイントは以下の通りであった。
1) SMASSEフェーズ2の終了に際し、本広域活動の持続性に対する展
望を議論し、関係者にJICAのみならず広範な支援が長期的に必要にな
るということの認識を確認することができ、次回の総会での議論の
テーマを共有した。
2) 第3国研修に関しては、研修目標が、ASEI/PDSIアプローチの普及
ということから、同時通訳を使っての研修には内容的に限界があり、
長期的には言語圏別研修拠点の分散が不可欠であり、その可能性を策定
することとし、研修効率の改善の必要性を共有できたこと。
3) CEMASTEAスタッフに依頼して実施した、カリキュラムの教育目標
と国家試験の問題の重点分野を比較した結果を紹介し、今後、各国の理
数科教育の目標とINSETとの整合性を評価するという研究を広域活動の
一環として取り入れ、年次総会の場を単なる情報の交換の場から一歩進
めてよりINSETの質的向上の場となるようより技術的情報交換の場とす
る方向性を確認・共有できたこと。
4) AU等国際機関との連携を、積極的に進めることを合意したこと。
5) 本活動に対し、JICAからの更なる支援継続が不可欠で、SMASSEの
次フェーズにおいても、本活動の支援を望む。
なお、最終的な結論には至らなかったが、会議時点から現在に至るまで
第8回SMASE-WECSA会議のホストを名乗り出る国が無く、会議開催
にかかる準備作業・コストを最小化するため、次回会議はナイロビで
実施したい旨、事務局より要望し、了承された。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ SMASSEの活動紹介 ☆ ケニアの理数科教育が目指す学力は?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内山葉月 理科教育
日本では近年「考える力」が話題になっていますが、ケニアの教育現
場でも、この変化する社会に適応し、問題解決していく力の育成が求め
られています。そして、理数科教育で目指す学力は、教育目標や指導内
容として、ケニアの公的教育研究機関KIE(Kenya Institute of Education)
が編纂するシラバス(日本でいう学習指導要領)に集約されています。
ここには、教科別の目標として、知識・理解面のみならず、数学的・科
学的思考、関心・意欲・態度、操作・技能などあらゆる側面からの学力
の育成について謳われています。しかしながら、シラバスにあるカリ
キュラムと実際の教室での教え方の間には大きなギャップがあるのが
現実です。
KIEが設定した教育目標の達成度は、ケニアの国家試験機関KNEC
(Kenya National Examination Council)が作成する最終国家試験によ
って評価されています。採点結果はAからEまでのグレードで評価され、
結果は2月下旬頃に各生徒に通知されます。この時期、試験結果は生徒
や保護者、教育関係者の関心の的です。それは、この試験が上位学校へ
の選抜試験の意味合いを持ち、グレードによって進学先の幅が決まって
くるため、生徒はより高いグレードの獲得を目指しているからです。
理科3教科では、筆記試験の他に実験する力を評価する実技試験もあり
ます。
今回SMASSEプロジェクトでは、目指す学力と測られている学力の
関係について各教科で調べることにしました。具体的には、シラバスに
ある教科の単元目標と試験問題を、ブルームのタキソノミー(教育目標
を認知、操作技能、情意面から分類し、さらに6つのレベルに階層化し
たもの)を参照して分類し、それぞれの割合を過去4年間(2004年〜
2007年)で比較するというものです。結果は化学の筆記試験を例に要
約しますと、6つの認知レベル(知識、理解、応用、分析、統合、評価)
で、指導目標と試験内容にほぼ同じような割合が見られました。また双
方ともに、初めの3つのレベルの内容が多く、特に「理解」レベルが
最も大きい割合(新シラバスの単元指導目標で約50%、試験内容で
約40%)となり、「理解」が強調されていることがわかりました。
これは、内容をただ覚えるのでなく、「わかる」ことを重視していると
言えます。
SMASSEでは研修を通して理数科教師の資質向上を目指しています
が、それは、生徒が教育目標を実現することができるような授業を教師
が行えるようになるための支援です。この調査をきっかけに、ケニアの
関係教育機関とも対話を進め、充実した研修の提供ができるように研修
内容の質の向上に努めていきたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ SMASSEの活動紹介 ☆ ガーナASEI-PDSIワークショップ参加
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内山葉月 理科教育
10月14日〜27日まで2週間、ガーナINSETプロジェクトがパイロット
県の教育関係者を対象に開催したASEI-PDSIワークショップに、ケニア
からSMASSEカウンターパート2名と参加しました。ワークショップの
テーマは「ASEI-PDSIアプローチによる初等理数科教育の強化」です。
ケニア側はSMASSEプロジェクトの紹介に始まり、ガーナとケニアの
シラバスの比較、算数と理科のASEI授業などの7つのセッションを担当
しました。
INSETプロジェクトでは、教員研修による小学校レベルの理科と算数
の授業改善を目指しています。各県には指導主事などの教育事務所職員、
初等養成大学講師、中等学校教師などで構成される教師サポートチーム
があり、県内の各地域で教員研修を行っています。会場となったガーナ
の教育関係者のための研修所は、歩いて数分の距離に2つの小学校があ
り、教員研修には最適の環境でした。それらの小学校の協力を得て、3年
生から6年生の教室で、教師サポートチームのメンバーや小学校教師が
授業を実施し、授業研究を行いました。
ケニアSMASSE担当のセッションでは、SMASSEケニア人スタッフ
が算数と理科のASEI-PDSIアプローチを採り入れた模擬授業を行いまし
た。そこでは児童一人一人が学習に参加できるようなペア学習やジグソー
クラスルーム、自分の考えを書く機会を確保することなど、具体的な方
法例を紹介しました。
ワークショップは一週間のものが2回あったのですが、2回とも成功裏
に終了しました。今後は、今回のワークショップ参加によって得た経験
を、これからのCEMASTEAでの初等理数科教育の研修計画や実施に生
かしていきたいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ SMASSEの活動紹介 ☆ マラウイSMASSE技術支援
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
内山葉月 理科教育
2007年11月末から2008年1月中旬にかけて、ドマシ教員養成大学に
あるマラウイSMASSEの事務局において技術支援を行いました。マラ
ウイSMASSEは2007年8月の第3回研修を成功させ、2007年9月末で
3年間のJICAとのプロジェクト期間を終えましたが、教育省はパイロット
地区であったSEED(South East Education Division南東教育行政地区)
の経験を、他の5つの地区に広げ、全国展開をしたいと考えていました。
そのため、10月にケニアで実施された第3国研修には、各地区の指導法
アドバイザー(日本の指導主事にあたる)が、ASEI-PDSIアプローチや研
修運営の方法を学ぶため参加しました。
一方、ドマシにあるSMASSEマラウイ事務局は、今後もSEEDでの研修
運営を継続していくための、実務面で中核的な役割を担っており、この
時期、2008年の第4回研修の準備、新しく採用されたコアトレーナーの
研修を計画していました。また、第3回研修の評価でコアトレーナーの
ファシリテーション能力向上の必要性も指摘されていました。コアト
レーナーへの指導助言は教科アドミニストレーターの役割ですが、2007年
4月に配置となってから経験が浅く、彼ら自身の資質向上も必要とされて
いました。そこで今回の支援活動では、研修やワークショップの準備、
実施、評価等の日常業務を一緒に行い、4名の教科アドミニストレーター
の、研修カリキュラムと教材作成能力、ファリシテーション技能、モニタ
リング評価技能の向上に関する技術支援を行いました。
活動を通じて特に力を入れたことは、ASEI-PDSIアプローチの2つのS
の理解です。ASEIのStudentでは個々の生徒が主体的に学習し目標を達
成していくこと、PDSIのSeeでは生徒の学びの様子をよく観察し、子供
のニーズを把握することです。この技術支援の結果、彼らのASEI-PDSI
アプローチをより深く理解し、研修計画を立てたり、資料や報告書を作
成したりする能力が以前にも増して強化されたと思います。今回の技術
支援を生かして、今後の研修やワークショップの運営の質の向上に努め
て欲しいと思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ 最近の出来事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
9月
☆ 終了時評価調査団の受け入れ (2007.9.2-9.15)
評価の定型(DACの評価5項目)に従った評価結果は、ケニア国内事業:
妥当性、効率性、有効性は「高い」、インパクトと自立発展性は「やや
高い」となりました。理数科教育強化という事業の妥当性や、活動の効
率性が評価された反面、ケニアの地方研修の質が目標値を超えず、今後
の持続的な研修実施体制に不安が見られたため後ろの二つには「やや」
がつきました。
アフリカ域内WECSA事業では、妥当性、有効性、効率性、インパクト
で「高い」、自立発展性は「低い」という評価でした。域内事業の有効
性やインパクトは大きいものの、JICA事業の枠組みを超えていない点
が指摘されました。
☆ 校長研修の実施 (2007.9.10-9.14, 10.1-10.5, 10.8-10.12)
☆ 視学官研修の実施 (2007.9.17-9.21)
☆ 第4回SPIAS(中等理数科学習達成度調査)の実施(2007.9.16-10.6)
プロジェクトの成果や達成度を測るために2004年から実施してきた
中等理数科学習達成度調査(SPIAS: SMASSE Project Impact Assessment Survey)
の第4回目を実施しました。9月中旬から3週間かけて、全国約4500校
の中等学校からサンプルされた141校を訪ね、校長107名、教員447名、
Form2の生徒5303名からデータを集めることが出来ました。
☆ NHK教育テレビの取材 (2007.9.18-9.23)
昨年11月3日に放映されたテレビ番組、ご覧頂きましたでしょうか?
見逃した方はこちらからどうぞ。
http://jp.youtube.com/watch?v=3Jmo9qyfeO4
☆ ケニア教育省のザンビア教育省訪問 (2007.9.16-9.22)
教員研修制度の質確保のために、中央・地方視学官の果たすべき役割
について意見交換するため、ケニア教育省の視学官局長が、ザンビアを
訪ね、SMASTEプロジェクトの活動を視察しました。
☆ アフリカ教員向け第三国研修(No.6&7)の実施(2007.9.24-10.19, 10.29-11.23)
第6グループ:マラウイ、モザンビーク、ナイジェリア、
シエラレオネ、タンザニア、ウガンダより76名が研修参加
第7グループ:ベナン、ブルキナファソ、ブルンディ、カメルーン、
ニジェール、ルワンダ、セネガルより74名が参加。(うち2名はJOCV)
10月
☆ ザンビアSMASTEフェーズ2事前評価調査団への参団 (2007.10.2-10.10)
中央州でのプロジェクト活動を通じて培った知見と人材を、フェーズ2
でどのように深め、広めていくのか(地域、学年、科目)、JICAとザン
ビア教育省の協議をお手伝いするため、ケニア人スタッフ1名が参団し
ました。
☆ 外務省ODA評価「成長のための基礎教育イニシアティブに関する評価」受入れ (2007.10.8)
平成14年に日本政府が発表した「成長のための基礎教育イニシアティブ」
(通称BEGIN)について、その後の活動状況や、受益者である発展途上国
での受け止め方を確認する調査団がケニアを訪れ、SMASSEの活動を視
察し、スタッフとの意見交換をしました。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/af_edu/
☆ ガーナASEI/PDSIワークショップへの支援(2007.10.13-10.28, 2名)
ガーナで実施中の現職教員研修政策実施支援プロジェクトが「ASEI&
PDSIワークショップ」を開催しました。その講師役として、スタッフ
3名(日本1,ケニア2)がアクラに派遣され、ガーナ人講師とともにASEI&
PDSIの普及に努めました。
☆ ADEA総会2008に向けたThematic WS@ガーナ参加(2007.10.12-10.17)
☆ ADEA運営委員会への参加 (2007.10.16-10.20)
☆ ナイジェリアへ第三国専門家派遣 (INSET運営管理)(2007.10.14-11.17)
ナイジェリアSMASEプロジェクトより、下記について技術支援の要請があり、
・州INSET運営管理WSの実施支援
・プロジェクト啓発WS準備・実施支援
・中央INSETサイクル3内容開発支援
ケニア人スタッフ2名を第三国専門家として派遣しました。
☆ タンザニア教育行政官受け入れ (2007.10.15-10.20, 2名)
☆ レソト・スワジランド教育行政官受け入れ (2007.10.20-11.03, 10名)
タンザニア、レソト、スワジランドのいずれもJICAの教育プロジェクト
は入っていないものの、自ら財源を確保し、ケニアの第三国研修に参加
した人材を活用して、教員研修を実施しようという計画が進行中です。
その研修カリキュラムや教材準備について打ち合わせるため、三ヶ国の
行政官がカレンに滞在し、スタッフとの共同作業に没頭しました。
11月
☆ TICADプロセス評価調査団の来訪 (2007.11.2)
今年5月下旬に横浜で開催されるTICAD4を前に、過去3回実施された
TICADのインパクトや実績を評価・確認する調査団がケニアに派遣され、
SMASSEを視察・訪問しました。相手国の持つ資源(人・モノ・金)を
活用しつつ、その行政能力向上を図るとともに、その経験をもとにした
南南協力(アフリカ内協力、アジア・アフリカ協力)を積極的に実施して
いる本プロジェクトの事業運営方針は、TICADのコンセプトをしっかり
と踏まえていると思うのですが、如何でしたでしょうか?
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/index.html
☆ SMASE-WECSA運営委員会 (2007.11.13-11.14, 6名)
SMASE-WECSA活動の持続的発展性のための諸要因を検討・協議する
ため、事務局三役をナイロビに招聘しました。
☆ 理数科案件事前評価調査団2・ブルキナファソ訪問 (2007.11.17-11.29, 1名)
ケニア人スタッフ1名を派遣し、JICAとブルキナ政府との議論が有益な
ものとなり、円滑に進むよう、お手伝いさせていただきました。
☆ エチオピア教育省行政官の来訪 (2007.11.20-11.22)
WECSA会議の年会費を支払い正式メンバーとなったエチオピア。ケニア
SMASSEの中央研修所、地方研修センターを視察し、教育省や地方教育
事務所との意見交換を行いました。これを始めの一歩として、今年1月の
第三国研修参加、そのフォロー活動・・と発展させたかったのですが、
第三国研修が中止となってしまい残念です。
☆ マラウイSMASSE能力強化支援 (2007.11.25-2008.1.19, 1名)
この9月にフェーズ1が終了したものの、さらに全国展開を目指して自力で
活動を続けているSMASSEマラウイ。次の教員研修を自らの力で企画・
運営する能力を強化するため、内山専門家が派遣され、マラウイ人の中心
的スタッフとともに種々の活動にあたりました。
12月
☆ ウガンダ中央研修実施準備支援 (2007.12.2-12.5, 4名)
☆ ウガンダ中央研修実施・評価支援 (2007.12.9-12.22, 4名)
例年通り、ウガンダSESEMATの実施する中央研修を技術支援し、準備・
運営・管理・評価のお手伝いをさせていただきました。
☆ レソト教員研修準備支援 (2007.12.10-12.15, 1名)
10〜11月にナイロビでみっちりと話し合った結果をもとに、今度は
ケニア人スタッフがレソトを訪れ、教員研修準備作業を支援しました。
☆ 世界銀行教育スペシャリストの来訪 (2007.12.19)
教育におけるアジア・アフリカ間の経験共有を促進する世銀事業の案件
形成を念頭に、アフリカの教育事情・大学事情を視察するためケニア訪
問中の世銀教育スペシャリストがSMASSEを訪れ、意見交換しました。
1月
☆ ニジェール中央研修実施支援 (2008.1.4-2.6, 3名)
ニジェールSMASSEで実施する中央研修の実施を支援するため、数学、
物理、生物から3人のスタッフを派遣しました。ベナンからも参加者が
ありました。現地の井手専門家の評価によれば、一年前に実施した研修
内容に比べ、ニジェール人講師自らのアイディアも出てくるようになり、
格段の進歩が見られたとのことです。
☆ マレーシアRECSAMへの研修参加 (2008.1.7-2.1, 7国から20名)
WECSAメンバー7ヶ国(レソト、マラウイ、ナイジェリア、ルワンダ、
スワジランド、タンザニア、ザンビア)の教育行政官を中心に20名を、
マレーシアRECSAMの研修コースに招待しました。帰路、全員にナイ
ロビに寄って滞在してもらい、第三国研修三者やケニア人スタッフへの
経験共有をお願いしたかったのですが、これも中止となり残念でした。
☆ アフリカ教育行政官向け研修「地方教育強化」@札幌 (2008.1.15-2.16, 2名)
今年からSMASE-WECSAメンバー国向けの研修コースへと衣替えし、
本プロジェクトと連携しながら実施することとなった札幌研修。第一回
目の今年は、ケニアよりCEMASTEAレレイ所長と中等学校校長会の幹
部が参加し、研修員の中でもリーダー的存在として活躍してくれること
を期待しています。
☆ ケニア地方研修講師向け研修@フィリピンNISMED(2008.1.21-2.15, 40名)
この5年間、毎年1月に多数の地方研修講師(20+20+40+40+40=160名)
を受け入れていただきました。お世話になりました。今後も、JICA理数
科教育協力の源流として、ケニア、アフリカの教育の質向上のため、ます
ます活躍していただけると期待しています。
☆ アンゴラ教師教育戦略会議への参加 (2008.1.27-2.1, 1名)
昨年3月に教育副大臣がSMASSEを訪れ、6月には窓口職員がルサカでの
WECSA会議に出席し、ケニアSMASSEとの連携活動を模索している
アンゴラ教育省。豊富な石油資源を擁し、経済的には急激な成長を遂げ
つつも、教育の質を向上させる具体的な活動のノウハウを欲しています。
この1月に開催された教師教育戦略会議に、ケニア人スタッフ1名が招聘
され、SMASSEの活動報告を行いました。
2月
☆ ケニア地方研修行政官向け研修「INSET運営管理」@広島 (2008.2.4-3.10, 12名)
この5年間、毎年2〜3月に、地方教育事務所長、地方視学官、中等学校
長といった地方研修マネージャー12名がお世話になりました。広島で実
践されている現職教員研修の様子を学んだ彼らは、ケニア全国のディス
トリクトに散って、より良い教員研修を持続していくために努力を続け
ています。
☆ ウガンダ終了時評価調査への参団 (2008.2.10-2.16)
今年8月に最初の3年間の協力期間を終えるウガンダSESEMATプロ
ジェクト。これまでの実績を評価・総括し、今後の展望について先方
政府と協議する調査団に参団します。
☆ タンザニア教員研修実施準備支援 (2008.2.10-2.22)
タンザニア教育省では、GTZ事業の残した教員研修制度を復活させる
べく、自前の財源を確保し、ケニアの第三国研修で要請した人材を活用
した、理数科教員研修事業を計画しています。その教員研修の中核メン
バーが一同に集まり、今年4月の教員研修(さらに6月にもう一段の研修
を予定)の準備をする教材開発ワークショップが予定されており、そこに
ケニア人スタッフ3名がお手伝いに伺うことになっています。また、今後
のタンザニア・ケニアの連携活動について、杉山CAが旧知の中である
教育省次官との意見交換に臨みます。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ SMASSEの今後の予定
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2月
☆ ナイジェリアSMASE中央研修3準備支援 (2008.2.17-3.15, 2名)
第3サイクルを迎えるナイジェリアSMASEの中央研修を支援するため、
ケニア人2名を第三国専門家として派遣します。研修カリキュラムの準備、
教材作成支援、モニタリング評価ツールの改定、といった様々な分野で
の支援が期待されています。
3月
☆ スーダン初等理数科案件調査 (2008.3.12-3.17, 4名)
SMASSEでは、これまで対スーダン協力事業として、南北スーダン教員
向けの研修コース(ASEI&PDSIに基づく理数科授業の紹介、2週間)を設
置し、過去3回で67名(第1回-南10名北9名、第2回-南4名北14名、
第3回-南12名北18名)を受け入れてきました。そうした実績が呼び水に
なったのか、スーダン政府は日本政府に対して初等理数科教育分野に
おける協力を要請しており、JICAは現地の状況・要請背景などを確認
するための調査をすることになりました。そこでケニアSMASSEから
も参団させていただき、ローカルな視点から、実施可能な事業デザイン
の検討に貢献したいと思います。
☆ SPIAS「教員研修のインパクト」セミナー (2008.3月中旬予定)
SMASSEの実施している教員研修事業が、教員の職務態度、生徒の授業
態度、彼らの学力にどのようなインパクトを与えているのか、SPIASの
詳細分析作業が間もなく終わりますが、その分析結果をケニアの教育省
関係者に報告し、今後のケニア教育政策やCEMASTEAの活動指針を議
論するきっかけとなるような場を計画しています。
☆ アンゴラ教育省とのMOU締結 (2008.3月中旬予定)
先のアンゴラ訪問をフォローして、先方教育省との連携協議、ASEI授業
のデモンストレーションを実施するための再訪問を検討しています。
☆ ウガンダSESEMAT授業コンペの視察 (2008.3月下旬予定)
ウガンダで計画されている中等理数科教員の授業コンペを視察させてい
ただこうと考えています。現場の教師に対して地方研修の枠を越えた
モチベーションを与え、中央研修講師に刺激を与える意味でも、
面白い試みだと思います。
☆ セネガルPREMST技術支援
☆ ブルキナファソ理数科案件技術支援
☆ ルワンダ理数科案件技術支援
☆ レソト・スワジランド合同教員研修支援
この12月から1月にかけて開始された仏語圏3ヶ国への立ち上げ時期支援、
および、レソト・スワジで計画している合同教員研修、現地サイドの
意向・準備状況や予算との兼ね合いもあって現在検討中です。
4月
☆ 地方教育事務所長研修の実施
☆ 校長研修の実施
☆ 地方視学官研修の実施
5月以降
☆ ADEA総会への参加 (2008.5.5.-5.9、モザンビーク)
モザンビークの首都マプトで開催される、2年に一度のADEA総会の
テーマは"Going Beyond Primary Education"
http://www.adeanet.org/Biennale%202008/en_index.htm
小学校へ通える子供達の数は劇的に増えましたが、その後をどうするの
か?アフリカ教育ポリシーメーカー約500名が知恵を持ち寄ります。
☆ 第8回SMASE-WECSA会議@ナイロビ開催 (2008.5.26-5.30予定)
☆ SMASSE第2フェーズの終了 (2008.6.30)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ お知らせ ☆ 第8回 第三国研修の中止
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
新年早々1月14日から実施を予定していた第三国研修。すでに英語圏ア
フリカ12ヶ国から推薦された研修員86名への招待状と航空券の送付を
終え、研修スタッフも宿泊スタッフも受け入れ準備も整えていたのです
が、大統領選挙後の騒乱が長引いたため、研修開始を3週間ほど延期し
て、事態の沈静化を期待することにしました。
そして、中止を決断する日の直前日、1月28日まで「研修は実施出来る」
と見込んでいました。その理由は下記の通りです。
・ナイロビ発着のフライトに特段の乱れがなかった
・空港からカレンの研修所までの移動経路やカレン研修所周辺の治安に特段の問題なかった
・研修受け入れの準備状況(スタッフ、研修資機材、宿泊、食事)に問題なかった
・水や電気や通信の社会インフラにも問題なかった
週末に計画していた近郊への自然観察研修旅行や、ナイロビ近郊の学校
で実施する授業研究を手配・準備する際に、安全対策に関し十分な注意
を払えば大丈夫と判断していたのです。
ところが翌29日の未明に、野党政治家が何者かに銃で暗殺されるという
ショッキングな事件が起こりました。暴力の連鎖反応が、政治家をター
ゲットにしてしまったことを重く見て、ナイロビにおける急激な治安悪
化を懸念するに至り、研修を開始する直前の週ではありましたが、
「研修中止」とさせていただいた次第です。
2004年1月に第1回目のグループ42名を受け入れて以来、毎年様々な
工夫・改善を加えつつ、第7グループまで実施して26ヶ国から500人を
超える研修員を受け入れて来たのですが、本プロジェクトフェーズ2最後
のグループが、こんな中途半端な形で終わってしまったこと大変残念です。
本プロジェクトが中心になって実施してきたSMASE-WECSA活動の最
大の目玉商品である第三国研修。今後も研修レベルの細分化、多様化、
国別カスタマイズなど、より研修員(と送り出す教育省)のお役に立つ研
修カリキュラムの開発や研修講師の能力向上に取り組んでいく必要があ
ると承知しておりますが、引き続きご支援いただければ幸いです。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ ケニアの生活情報
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ 気候
暖かな乾期の真っ最中、雨はほとんど降らず、日中晴れると上着を脱ぎ
たくなります。風通しが余り良くない私達のオフィス、昼過ぎには室内
温が30度を超えることもあります。堪らず窓を開け放つのですが、今度
は周辺の森に住んでいる猿がやってきます。うっかりそのまま留守にす
ると、その間に室内の食べ物や飲み物を荒らされることもあり、困った
ものです。彼らも暑くてノドが渇いているのでしょう、窓のすぐ外側に
植えてある薔薇の葉や実、ニラ、トマトを口にしているのを見かけます。
2月8日の最高気温23度 / 最低気温13度
日の出06:42 / 日の入り18:52
http://www.wunderground.com/global/stations/63741.html
◎ 通貨・為替 ケニアシリング ($1 = Ksh 64-75, Ksh1 = 1.6円)
11月末には$1=Ksh60を伺うほどのシル高ドル安基調だったが、大統領
選挙後の騒動で一気に戻して、$1 = Ksh 72程度の中値に落ち着いたが、
売買の値幅が大きい。円に対しても安くなった。
◎ ガソリン Ksh 90 / L ディーゼル Ksh 80 / L
世界の原油価格の高騰が収まっても、ケニアシルがドルに対して安く
なっても高くなっても、ガソリンの価格はじわじわと上昇中。大統領選
挙後、一時期ナイロビ近辺でもガソリン供給が停まったが、今は平常に
戻った。むしろウガンダ、ルワンダ等の、輸入品の輸送をモンバサ港か
らの陸路に依存している内陸国への供給不安定が心配。
◎ 2008年の祝日
1月1日 New Year's Day
3月21日 Good Friday (イースター連休)
3月24日 Easter Monday (イースター連休)
5月1日 May Day
6月1日 Madaraka Day (建国記念日)
10月2日 Idd-ul-Fitr Day (2008年のラマダンは9/2-10/1頃の見込み)
10月10日 Moi Day
10月20日 Kenyatta Day
12月12日 Jamhuri Day (独立記念日)
12月25日 Christmas Day
12月26日 Boxing Day
◎ 2008年のケニアの学校カレンダー
1学期 1月7日 〜 4月4日 13週間
2学期 5月5日 〜 8月8日 14週間
3学期 9月1日 〜 11月21日 12週間
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┛┛┛ 編集後記 ☆ 火事
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昨年末に行われたケニア国政選挙後の大騒動は、連日のようにマス
コミ(BBC, CNN, アルジャジーラ)を通じて全世界に報道され、読者
の皆様にもご心配をおかけしたことと思います。
5年前の大統領選挙の際に、開票速報が公表され始めて間もなく、
劣勢を伝えられた候補者があっさりと負けを認め、非常に平和的な
新政権誕生の瞬間を経験したこともあって、今回も比較的平和裏に
選挙が行われるだろうとの見方があったのですが、あっけなく裏切
られた感じです。英国から独立して40年余、積もりに積もった民族
同士の権力闘争やそれに絡んだ土地問題が下地にあって、選挙開票
プロセスの不正疑惑がそこに油を注ぎ、さらに火を付けてしまった
ような、突然の大火事でした。
そんな時、その場に置かれた人間が、瞬間的にどんな判断を下して、
どんな行動を取るのか、その人の興味関心、本音、本性が素直に現
れるものです。こんな状況でも、決して理性を失わず、平穏な生活
を願って日々暮らしている人々が大多数なのは確かですが、この騒
動に乗じてこれ幸いと、何の罪もないインド系商人の電器店を襲い、
窓を割って、電気製品を持ち出す「火事場泥棒」も大勢いましたし、
被害にあった店主が「盗っ人に呪いをかけてやるぞ」とマスコミを
通じてアピールしたところ、大慌てで返品する輩が相次いだ、など
という笑い話もありました。
メルマガ記事にも書いた通り、プロジェクト活動にも多々支障が出
たのですが、下記の活動計画に関しては、私達の心配をよそに100%
の参加率で事が進みました。全国各地から地方教育行政官や教員が
集まる札幌、広島、フィリピンへの研修参加、3コース合計して54名
もいれば、皆さん色々と事情はあったでしょうに、見事、全員が
トラブルなく参加出来たのはお見事です。
☆ ニジェール中央研修実施支援 (2008.1.4-2.6, 3名)
☆ アフリカ教育行政官向け研修@札幌 (2008.1.15-2.16, 2名)
☆ ケニア地方研修講師向け研修@フィリピン(2008.1.21-2.15, 40名)
☆ ケニア地方研修行政官向け研修@広島 (2008.2.4-3.10, 12名)
ニジェールに出張するケニア人スタッフ3名は、1月4日の出発を前に
して、皆、ナイロビを離れて地方に帰省していました。そこに年末・
年始の「火事」です。その最中にナイロビに戻って来て、国際空港へ
向かうなど、通常だったら避けたいところですし、そもそもナイロビ
行きのバスも減るでしょう。それでもスタッフ3名、予定通りに
ニジェールへ出発しました。その内の一人に至っては、わざわざ飛行
機に乗ってナイロビにやってきたのですから大したものです。
いやはや、何が何でも参加するぞ!このチャンスを逃してなるものか!!
とその気になれば、いつもはポレポレとノンビリペースのケニア人でも、
「火事場の何とやら」を発揮するのですね。
━━━━━━━━━━...............・・・・・・...............━━━━━━━
発行:独立行政法人国際協力機構(JICA)ケニア中等理数科教育強化計画フェーズ2
Strengthening of Mathematics and Science in Secondary Education Project
編集長: チーフアドバイザー 杉山 隆彦
編集 : 業務調整員 長沼 啓一
Email: news@smasse.org ご意見、ご感想のメールはこちらへどうぞ。
━━━━━━━━━━...............・・・・・・...............━━━━━━━
<<前の記事 | 次の記事>> | 最新の記事
最新の記事
このメルマガもおすすめ
-
『あふりかくじらの自由時間』
- 最終発行日:
- 2012/05/04
- 読者数:
- 63人
物書きアフリカ研究者。南部アフリカのジンバブエ共和国に棲むくじら。アフリカのこと、日々のこと、いま考えることを手紙のように綴っていきます。南アフリカ生まれの作家ベッシー・ヘッドのこともときおり書いていきます。
-
グローバル・エイズ・アップデート
- 最終発行日:
- 2012/05/20
- 読者数:
- 1267人
地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。
-
時事通信「内外教育」メールマガジン
- 最終発行日:
- 2012/05/17
- 読者数:
- 5017人
時事通信社が発行する教育界の“定番”情報誌「内外教育」やコラム、教育ニュースなどを紹介。1行の見出しで、最新の教育界の動きがわかり、教育関係者や教職受験の学生さんにも役立ちます。
-
クイズ形式で一般常識、時事問題を学ぼう!
- 最終発行日:
- 2012/05/22
- 読者数:
- 444人
新聞、ニュースから気になる記事をピックアップし、その記事に関連のあるクイズを出題。就職試験、日経TEST等の一般常識、時事問題の勉強や雑談のネタにご活用下さい。■日本を100人で例えたら、65歳以上の方は、何人?■砂かけ婆の好物は?■戎さまが左脇に持っているものは?→ファイナルアンサー?
-
いろんな『数』はアイデアの素
- 最終発行日:
- 2011/08/03
- 読者数:
- 279人
毎日、日経三紙に掲載される記事の中から気になる数字を選んで、主にBtoBマーケティングの参考になるコラムをお届けします。



