【アフリカ発! 理数科授業改善の試み〜教師中心から生徒中心の授業法へ〜】ケニアそしてアフリカ大陸の理数科教育改善を目指し、ASEI&PDSIアプローチに基づいた教員研修事業を繰り広げている日本のODA活動:SMASSEプロジェクトの現状をお伝えします。
[SMASSEメールマガジン] 040423 第7号
発行日:6/23
◎●◎●◎ SMASSEメールマガジン 第7号 2004.4.23
ケニア中等理数科教育強化(SMASSE、スマッセ)プロジェクトが
お世話になっている皆様にお送りするメールマガジンです。
Web: http://www.smasse.org
Email: news@smasse.org
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□ □ □ □ □ □ 目次 □ □ □ □ □ □
[速報]
● 緒方貞子JICA理事長のSMASSE視察訪問決定
● 青年海外協力隊員(JOCV)に地方研修講師の修了証書を授与
[寄稿]
● SMASSE Malawi誕生へ ---第三国研修参加とその後の動き---
中山 嘉人 専門家 マラウイ国教育省計画局 教育行政アドバイザー
● 教育評価・分析に関する技術移転
広島大学 教育開発国際協力研究センター 浜野 隆 (教育評価・短期専門家)
[お知らせ]
● 第4回SMASSE-WECSA会議、南ア・ムプマランガにて開催(再掲)
[最近の出来事]
● 短期専門家(教育評価)派遣(2004.4.1-4.19)
● 中央INSET[第4サイクル](2004.4.5-4.16)
● 中央INSET[第1サイクル](2004.4.5-4.16)
● 中央INSET[第1サイクル](2004.4.19-4.30)
● 地方INSET[第1サイクル](2004.4月)
● CEMASTEA改修工事の開始(2004.4.6)
● ADEA運営委員会への参加(2004.4.15-4.16)
● モニタリング評価活動(2004.4.18-5.1)
[SMASSEの今後の予定]
● JICA評価セミナー「評価結果の総合分析」(初中等教育/理数科分野)(2004.4.23 )
● 緒方理事長のSMASSE訪問(2004.4.27)
● 校長INSET(2004.5.3-5.7)
● SMASSE WECSA 第4回域内会議(2004.5.31-6.4)
● SEIA学会参加@セネガル(2004.6.6-6.9)
● WCCI学会参加@オーストラリア(2004.6.27-7.9)
● ICET学会参加@香港(2004.7.11-7.18)
● ラジオ番組OnAir(時期未定、月〜金 18:55-19:00)
[ケニアの生活情報]
● 気候、通貨、為替レート
[編集後記]
● 欲求と能力と機会 ---アフリカにおける人間の安全保証のために---
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┛┛┛ 速報 ● 緒方貞子JICA理事長のSMASSE視察訪問決定
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昨年10月、独立行政法人化に伴って新たに誕生した国際協力機構(JICA)の初代理事長
に就任した緒方貞子氏。国連難民高等弁務官(UNHCR)時代(1991.1-2000.12)、カンボ
ジア、ボスニア、ルワンダ、アフガニスタン・・・といった世界中の難民キャンプや
紛争現場に足を運び、自ら陣頭指揮を振るい続けた姿が印象的でした。徹底した現場
主義を掲げ、自らその先頭に立って行動する彼女の名前は世界中に知れ渡り、ここケ
ニアでも最も名の知れた日本人の一人です。(SMASSEプロジェクトのスタッフだけで
なく、秘書や運転手までが知っています)
彼女がUNHCRに就任した直後の91年、湾岸戦争後のイラクを追われ、トルコ方面に
流出しようとしていた大勢のクルド人がトルコ国境を閉ざされ、冬の山岳地帯で立ち
往生しました。「難民とは、何らかの理由で祖国を追われ、国境の外に出てきた人」と
定義している難民条約に従えば、彼らは難民ではなく、UNHCRが手を差し出す場面で
はありません。しかし、クルド人達が寒さと餓えに苦しむ様子が報道される中、緒方氏
は「人の生命を助ける」というUNHCRの大使命を遂行するために従来の原則を見直し、
「国境から出てきていないクルド人(イラク国民)をイラク国内の安全地帯で救済する」
という画期的な決断を下しました。そんなエピソードに象徴されるように、彼女は強い
信念と迅速な意思決定をもって卓抜したリーダーシップを発揮し、難民救済のために
数々の実績を残しました。
つい、過去のやり方や前例を踏襲することに慣れてしまい、日々変化し続ける現場の
状況に対応した行動/決断を忘れてしまいがちな私たち現場スタッフにとって、緒方理
事長を組織のトップに迎えたことは大きな刺激になりました。この仕事を遂行していく
うえで本質的に最も大切なことは何なのか?常に自問自答しながら、基本原則を守るた
めには従来のルールを変えることも辞さない判断力を磨かなければなりません。
その緒方理事長がJICA理事長就任後、初めてアフリカ大陸を訪問します。ここケニア
訪問を皮切りに、エチオピア、セネガル、南アの活動現場を視察し、現地のカウンター
パートらとの意見交換をする予定です。我がSMASSEプロジェクトへの訪問も予定され
ています。
本プロジェクトで御覧に入れたいのは、何と言っても、この6年間でメキメキと事業
実施能力を向上させた我がケニア人カウンターパートの面々です。彼等の存在こそ、こ
のプロジェクトの最大の成果と言えます。加えて、ケニアの教育政策の一角を占めるよう
になった現職教員研修(INSET)制度が全国事業となるまでの道のりを、また、経済的に
持続性のある研修システムを全国各地に作り上げるまでの一歩一歩を、日本人とケニア
人スタッフが共同して達成した成果として説明したいと思います。また、只今実施中の
中央INSETの一場面を御覧いただき、「教える喜び、学ぶ喜び」を動機付けとしてこの
研修に参加しているケニアの理数科教員や生徒達の生の声をお届けしたいと思っています。
なお、今回の緒方JICA理事長のアフリカ訪問は日本のマスコミからの注目度も高く、
NHK「クローズアップ現代」(月〜木, 19:30-19:56)が同行取材し、後日、放映される
とのことです。ぜひ、全世界の関係者の皆様にご覧いただきたいと思います。
http://www.nhk.or.jp/gendai/index.html
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┛┛┛ 速報 ● 青年海外協力隊員(JOCV)に地方研修講師の修了証書を授与
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平成14年7月からケニア・マクエニDistrictのChumu Secondary Schoolに配属になり、
主に化学を教えている林賢一隊員は、この2年間、学期間休みになると必ずケニア人教
師とともに中央INSETへ参加し、自らの授業の技量を磨きあげる努力を重ねてきました。
彼の生徒たちが「林先生に教えてもらえることが嬉しい」と口を揃えるのも、そうした
態度で毎日の仕事に取り組んできた結果なのだろうと思いますし、SMASSEの研修が
そのお手伝いになったことを嬉しく思います。
さて、その彼がこの4月の中央研修に参加して、第1サイクルから第4サイクルまでの
すべての研修を修了しました。彼には後日、SMASSEから地方研修講師の修了証書が
授与されます。次号のメールマガジンでは、林隊員にこの2年間の隊員活動とSMASSE
との関わりを振り返っていただき、この誌面に登場してもらおうと計画しています。
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┛┛┛ 寄稿 ● SMASSE Malawi誕生へ ---第三国研修参加とその後の動き---
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中山 嘉人 専門家 マラウイ国教育省計画局 教育行政アドバイザー
<第三国研修参加とその後の動き>
今年1月中旬から約1ヶ月間ケニアSMASSEで開催された第三国研修に、マラウィから
も2名の研修生を受け入れていただきました。2人とも現役の中学校理数科教員かつ
SMASSE INSET Malawiのコア・メンバーとして積極的に活動し、今後はナショナル・
トレーナーとしての役割を大いに期待されているマラウィのホープ達です。
彼らがケニアでみっちりと研修を受けている間、マラウィの方では彼らとEメールで
連絡を取りながら、その研修成果を今回参加できなかった他のメンバーに更に広げる
べく準備を進めていました。そして、帰国後の3月5日、SMASSE Malawiの拠点となる
ドマシ教員養成大学において、SMASSE Malawiの2002/03年活動レビューと先の研修
成果の共有を目的としたワークショップを開催しました。
参加者は、SMASSE Malawiのコア・メンバーや所属する周辺中等学校の学校長の他、
教育省計画局、中等教育局、教授法助言局、教員養成局など、今後SMASSE Malawi
を進める上でキーとなる関係部局から集まりました。また、ザンビアからも鈴木企画
調査員と2名のカウンターパートにワークショップの視察に来ていただき、議論を盛
り上げていただきました。
研修生の発表は、第三国研修の興奮も冷めやらぬといった感じの熱のこもったもの
で、参加者もそれに大いに感化されました。マラウィにおける授業改革のためには、
ASEI/PDSIアプローチの中でも、特に、レッスンプラン作成の徹底、授業後の自己評
価及び生徒や同僚による評価とそれによる授業改善の重要性を強調して訴えていまし
た。
また、新しい動きとして、先の第三国研修に参加した中学校教員であるNdolo氏から
Eメールをもらいました。そこにはSMASSE Malawiを進める上での提案が書かれて
いました。
彼は、マラウィでSMASSEの裾野を広げるために、中等理数科教員のための協会
(Science & Maths Association)を設立したい、というのです。ザンビア等の近隣国
ではもう既に存在し、活動も国レベルで行っているところもあると聞きますが、ここ
マラウィでは中等理数科教育を支える教員間の組織が存在しないのです。いや、過去
には「存在していた」のですが、外部からの支援がなくなったと同時に活動も停止し
てしまったのです。このアイデア自体は全く珍しいものではありません。私がマラ
ウィに赴任して直ぐにドマシ教員養成大学を訪問した時にも、日本に支援して欲しい
という要望がありました。しかし、その時、私は首を縦に振らなかったのです。本当
に自分達で必要と感じるのであれば、何を目的として行うのか、そのために自分達が
できることと、支援がないとどうにもならない事を、わかるように提示しないと何を
支援していいのかわからないと答えました。
それから約2年が過ぎ、出されてきた提案は、協会設立に関心のある教員が会の方針
や組織作りを決めるために集まりたい、集まるための諸費用(交通費、食事、手当等)
は各自負担する、ただ開催場所の選定に係る交渉をサポートして欲しいというもので
した。自分達のプロフェッショナリズムを向上するために必要なことを、自分達ので
きる範囲から始める、という心を持ち、それを行動に移していく仲間が少数ながらも
少しずつ育っているような気がします。
<これまでのSMASSE Malawi>
マラウィがSMASSEと出会ったのは、4年前の2000年2月、ケニアSMASSEが、域内
協力の可能性に係る調査のためにマラウィを訪問された時です。それ以降これまで、
SMASSEの中核であるASEI/PDSIという理念がマラウィでも受け入れられるのかどうか、
そしてマラウィ側のオーナーシップを見極めるために費やされてきたといえるでしょう。
マラウィからカウンターパートをケニアに技術交換で派遣し、実際にSMASSE INSET
の様子を見たり、SMASSE-WECSA域内会議に参加して周辺諸国の活動を学んだり、
また逆にケニアSMASSEからマラウィに来ていただき、ニーズアセスメント調査や合
同ワークショップを共同開催したりしてきました。また、2回の関係者会議を開き、
広くSMASSEの考え方を伝える場も設けました。更に、SMASSE Malawiのコア・メ
ンバーが中心にINSETの計画から実施運営、評価までを試行的に行い、その実施能力
を検証したりしました。
このようなSMASSE Malawi支援を通し、未だ未だ小さな芽ですが彼ら自身の中に「何
か変えなければいけない!」という思いが育ってきているのを感じます。昨今、よく
語られる「オーナーシップ」というのは、初めから存在したり、与えられたりするも
のではなく、時間をかけ課題の共有認識を図りながら、同じ目標に向かって活動を共
に経験しながら、焦らず、あきらめず、根気よく一緒に仕事をすることによってのみ
育っていくものだと感じています。
<今後のSMASSE Malawi>
SMASSE Malawiは今年度、これまでの「専門家現地業務費対応型」から小規模な
「技術協力プロジェクト」へと発展していきます。今後もケニアSMASSEからの域内
協力をお願いしながら、マラウィの現状に合わせた形の支援を続けていくつもりです。
それが本当に持続性を持つものとなるのか、一過性のもので終わるのかは正直なとこ
ろ未知数です。しかし、少なくとも今後の支援を通して、マラウィの同僚達と「小さ
な成功体験」を共有したい、と願っています。大きな事でなくてもいい、できる範囲
の事を自分たちで考えて行動し、1回1回の授業が少しでも改善された、そして何よ
りも自分達自身を変革できた、という体験を一つ一つ積み上げていきたいと思ってい
ます。
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┛┛┛ 寄稿 ● 教育評価・分析に関する技術移転
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広島大学 教育開発国際協力研究センター 浜野 隆 (教育評価・短期専門家)
平成16年4月1日から平成16年4月19日まで教育評価の短期専門家としてSMASSEに
派遣されました。活動内容はSMASSE内に設けられている評価タスクフォースチーム
に対して、学力テスト(数学、物理、化学、生物)の開発、生徒用質問紙・教師用質
問紙・校長用質問紙の作成、調査設計・実施・分析の手引きの作成、に関する指導・
助言を行うことで、この期間中に学力テストと質問紙、調査の手引きを完成させるこ
とが目標でした。
SMASSEは1998年に始まり、現在はフェーズIIに入っています。フェーズI、IIとも、
現職教員研修を通じて理数科の授業を質的に改善すること、青少年の理数科能力を向
上させることが目標です。このうち、理数科授業の質的改善については、フェーズI
終了時評価においても高く評価されており、生徒の学習への参加においても効果が確
認されています。とすれば、次に問題とすべきは、上位目標である理数科の「能力」
向上に結びついているのかという点です。むろん、上位目標はプロジェクト終了後す
ぐに達成されるべきものではなく、多くの場合、プロジェクト終了後時間をかけて
達成されるものです。しかし、現時点でもし能力向上に結びついていないとすれば、
それの何が問題で、研修のどこを改善すべきかを検討すべきでしょう。もし能力向
上に結びついているとしたら、SMASSEの研修の効果はどの程度なのかを分析して
おく必要があります。
今回、私の派遣期間内に作成された学力テスト、質問紙は、SMASSEで実施された
研修がどの程度生徒の能力にインパクトをもっているかを測るためのものです。言う
までもなく、生徒の能力には、教師の教え方以外にも多くの要因が作用しています。
そこで、この調査においては、生徒の能力に影響を及ぼしていると思われる様々な
要因(家庭環境や学校環境、教師の指導法など)を質問紙により把握し、それらを
統制した上で、SMASSEのASEI/PDSIアプローチが統計的に有意な貢献をしている
のかどうかを明らかにすべく設計されています。学力テストに関しては、単元内容
と認知次元からなる目標細目分類表(Table of Specification)に基づいて学力テス
ト問題が作成されました。細目分類表を教科の専門家がチェックすることにより、
妥当性の高いテストを開発することができます。学力テスト内容の妥当性について
は、理科に関しては武村専門家が、数学に関しては徳田専門家がそれぞれ指導・助
言を行い、私は各科目のミーティングに随時参加し、信頼性向上のための指導・助
言を行いました。
信頼性に関しては、基本的な考え方を説明し、具体的に信頼性を高めるにはどうし
たら良いかについて、問題数、難易度の設定、項目分析等について指導・助言を行
いました。また、質問紙の作成に関しては、質問の形式、内容、レイアウトに関す
る指導・助言を行いました。
最も時間を要したのは、調査設計・実施・分析の手引きの作成でした。もっとも、
手引きを作成するだけならば、それほど時間はかからなかったと思います。しかし、
重要なのは、調査の設計方法や基本的な知識・技能をケニア人に理解してもらうこ
とにあります。それに多くの時間を費やしました。手引きの作成に当たっては、
まず、サンプリングに関する基本的な内容を講義しました。講義内容は、ランダム
サンプリングとはどういうことか、IEA・PISA等の国際学力比較調査においてはど
のようなサンプリング方法がとられているか、サンプル数はどのように決めたら良
いか、ケニアにおける調査ではどのようなやり方が効果的か、等です。今回の調査
では、層化多段抽出が有効であると思われるので、「層化抽出」「多段抽出」につ
いても説明しました。その上で、ケニア人側と議論を行い、サンプリング方法、サ
ンプル数を決定しました。また、データ分析方法に関する講義も実施しました。
内容は、単純集計、クロス集計、平均値の比較、相関係数、回帰分析、統計的検定
等です。
2週目には、全体ミーティングでの議論を経てサンプリング方法が固まってきたの
で、実際のサンプリング作業を指導しました。まず、各層からディストリクトを抽
出する際は、各ディストリクトの生徒数に応じた確率に基づいて抽出すること、抽
出されたディストリクトから学校を抽出するときは、学校をランダムに抽出するこ
と、抽出の際には乱数表を使うこと、などを指導しました。具体的な乱数表の使用
方法についても指導を行いました。
このように、今回の派遣期間中には、調査設計・実施・分析方法の基本についてカ
ウンターパートに幾つかの講義を行いましたが、相手側にテスト開発や調査に関す
る知識がほとんどないことに驚きました。そのため、通常私達が大学の学部レベル
で行っている「社会調査」「教育統計」等について、かなり初歩的な段階から講義
することを余儀なくされました。
プロジェクト内での評価・モニタリング活動は、いずれは現地の人々(ケニア人)
だけで実施していけるようにならなければいけないと思います。そのためにも、プ
ロジェクトのいずれかの段階で基本的な調査・統計分析手法、教育測定・テスト理
論、に関する研修が実施されるべきだと思います。それは、本邦研修の一部に位置
づけても良いし、現地で大学等と連携し集中的に実施しても良いと思います。また、
テスト理論や教育評価、調査設計、統計分析に関する英語の書籍もプロジェクトの
内部に蓄積して、誰もが利用可能な状態にしておくことが望ましいでしょう。
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┛┛┛ お知らせ ● 第4回SMASSE-WECSA会議、南ア・ムプマランガにて開催
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昨年6月の第3回アクラ会議に続いて、今年も5月末から6月初めにかけての1週間、
第4回目のSMASSE-WECSA域内会議を南アフリカ共和国ムプマランガ州で開催するこ
とになりました。アフリカにおけるJICA理数科教育プロジェクトの一角である南ア国・
ムプマランガ州中等理数科教員再訓練計画(略称:MSSI)の協力を得ながら、ケニアの
SMASSE-WECSA事務局も早めに現地へ入って会議を共同運営します。会議の概要は
以下の通り。SMASSE-WECSAメンバー国の教育省には、間もなく招待状が発送され
る見込みです。
日時:2004年5月31日(月)〜同6月4日(金)
場所:Bundu Country Lodge (宿泊・会議場とも、MSSIより車で10分)
(ヨハネスブルグから空路45分のネルスプリット空港から車20分、
あるいはヨハネスブルグから東へ350km、陸路4-5時間)
Website: http://www.bunducountrylodge.co.za
プログラム:基調講演、事務局からの年間報告(第三国研修実施、ADEAでの理数科
教育部会設立への動き)、各国からのプレゼンテーション、近郊の学校視察と授業研究、
NEPADからのプレゼンテーション、WSSDフォローアップ活動の年間報告、ほか
今年の新たな目玉はNEPAD事務局のプレゼンテーションでしょうか。サブサハラア
フリカ大陸各国の自助努力の象徴であるNEPAD事務局が、教育分野でどのような事業
を実施して、教育の量と質を向上させようとしているのかお話を聞きつつ、SMASSE-
WECSAが掲げる「教師が教室で実践する授業の改善運動」をNEPADがサポートする
可能性について探っていきたいと思います。
また2002年8月に南アで開催された「持続可能な開発に関する世界首脳会議」
(WSSD: World Summit on Sustainable Development)の中で、日本政府が国連に
登録した「アフリカにおける理数科教育のための能力開発(Capacity Development
for Science and Mathematics Education in Africa)」の活動進捗状況を、日本側とアフ
リカ側が一同に集って確認・議論するための時間も確保したいと考えております。
是非、多くのJICA関係者に参加して頂けますように。
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┛┛┛ 最近の出来事
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● 浜野専門家(教育評価)赴任(2004.4.1-4.19)
超過密スケジュールの合間を縫って、広島大学教育開発国際協力研究センター(CICE)
の浜野隆助教授が、教育評価の短期専門家として派遣されました。
SMASSEプロジェクトでは、全国での教員研修の効果を正しく把握するため、
モニタリング評価ツールのさらなる改善を検討中であり、全国学力テストを計画して
いますが、その調査計画、テスト内容の準備のためにイースター休日返上でご活躍
頂きました(活動詳細については、本号の寄稿を御覧下さい)。
● 中央INSET[第4サイクル](2004.4.5-4.16)160名
● 中央INSET[第1サイクル](2004.4.5-4.16)160名
● 中央INSET[第1サイクル](2004.4.19-4.30)320名
● 地方INSET[第1サイクル](2004.4月)
新たに設立された地方研修センターにおいて、既に中央INSETを終えた地方研修講
師と地方教育行政官が一体となって運営する地方研修が始まりました。下記の通り、
現在、モニタリング評価(M&E)活動チームがその様子を視察中です。
● CEMASTEA改修工事の開始(2004.4.13)
昨年7月に正式開所したものの本格的には稼働していなかった新研修施設CEMASTEA
の改修工事が始まりました。改修工事の全てが終わるまでには7ヶ月程かかる見込み
ですが、8月頃には部分的に研修施設としての稼働を始めたいと思います。
● ADEA運営委員会への参加(2004.4.15-4.16)
2003年12月のモーリシャス総会への参加に続き、本プロジェクトのMr. Njugunaが
スイスで開かれたADEA運営委員会(アフリカの教育開発を議論する国際組織 : ADEA
の運営方針を決定する委員会)に招待され、SMASSE-WECSAの活動と経緯と実績を
プレゼンテーションしました。
プロジェクトにとっての朗報は、この場において、JICAフランス事務所長がJICAの
ADEA加盟を正式表明したことでした。さらに「加盟が認定された際には、かねてか
ら日本政府が『持続可能な開発に関する世界首脳会議(WSSD: World Summit on
Sustainable Development, 南ア, 2002) 』および『カナナキスサミット(2002)』など
で表明しているとおり、理数科教育に関するワーキンググループの立ち上げを通して、
アフリカ地域における一層の理数科教育の普及と質の向上を目指したい」との発表が
あった模様です。
SMASSEプロジェクトの域内活動であるSMASSE-WECSAが、ADEA内に理数科教
育のワーキンググループを設立するため、また一歩大きく前進しました。
● モニタリング評価(M&E)活動(2004.4.18-5.1)
今年1月から3月にかけて中央INSETに参加したディストリクトの大部分で、この4月
に地方INSETが開催されています。M&Eタスクフォースが11 ディストリクトに視察チ
ームを派遣し、その運営/実施の実態を見届けています。
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┛┛┛ SMASSEの今後の予定
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● JICA評価セミナー「評価結果の総合分析」(初中等教育/理数科分野)(2004.4.23 )
昨年度、これまでJICAが行なってきた初中等理数科教育の技術協力プロジェクトに
関する調査が行われ、昨年11月には調査団がSMASSEプロジェクトを訪れました。
この度、その調査が終了し、広く一般の方々に調査の成果を公開するとのことです。
日時: 4月23日(金)14:00〜17:00(13:30受付開始)
場所: JICA国際協力総合研修所国際会議場(東京JR中央線市ヶ谷駅から徒歩10分)
http://www.jica.go.jp/event/040423.html
● 緒方理事長のSMASSE訪問(2004.4.27)
JICA理事長就任後、初のアフリカ大陸出張。ケニア訪問を皮切りに、エチオピア、
セネガル、南アの現場を視察訪問し、現地のカウンターパートらとの意見交換をする
予定です。SMASSEプロジェクトにも来訪予定とのこと。ただいま開催中の中央IN
SETの一場面を御覧いただくことが出来そうです。
● 校長INSET(2004.5.3-5.7)
地方の現職教員研修を計画・運営・実施・管理するマネージャーとして重要な役割
を果たすのが中等学校の校長先生達。SMASSEに関する彼らの理解なしに、研修の全国
展開は成功しません。3月上旬の校長INSETに引き続き、全国から60名の中等学校校長
(前回とは別の学校から招待)を集め、一週間の研修コースを開催します。
● SMASSE WECSA 第4回域内会議(2004.5.31-6.4)
南アフリカ共和国のムプマランガ州に展開するJICA事業、ムプマランガ州中等理数
科教員再訓練計画(略称: MSSI)の協力を得て、第4回会議が南アフリカで開催されます。
ケニアWECSA事務局からの年間報告(第三国研修、ADEA他)、各国からの発表、近郊
の学校を訪れての授業研究が主な内容です。新たな展開として、NEPAD事務局から教
育分野の専門家が参加・発表を行う予定です。
● SEIA学会参加@セネガル(2004.6.6-6.9)
アフリカの中等教育開発の戦略を策定する会議で、昨年6月に第1回会議がウガンダで
開催されました。今年も引き続き、セネガルの首都ダカールで行われる第2回会議に
SMASSE-WECSA事務局から2名が参加します。
● WCCI学会参加@オーストラリア(2004.6.27-7.9)
昨年3月にアメリカで開催され、武村専門家がSMASSEの実績を紹介したところ、今年
のオーストラリア学会事務局から、ぜひASEI授業を見せて欲しいとご招待を受けました。
ケニア人9名と徳田専門家、服部専門家が参加する予定です。
今回、非常にユニークなのは、学会前の一週間、オーストラリアの中等理数科教員のお
宅にホームステイして交流を深め、学校を訪問してASEIレッスン研究会を行うことです。
● ICET学会参加@香港(2004.7.11-7.18)
本学会にはMr. Njugunaと杉山チーフアドバイザーの2名が参加し、"Mentoring System
Construction for Mathematics and Science Teachers at Secondary
Education in Kenya"
と題するペーパーを発表します。フェーズIにおけるASEI/PDSIを通した授業改造とその
インパクトを紹介します。
● ラジオ番組OnAir(時期未定、月〜金 18:55-19:00)
SMASSEの啓蒙活動がまた新たな試みを始めます。ケニア国内の主要都市をカバーす
るCitizenFMラジオ(英語放送)で5分間のラジオ番組を開始する予定です。どんな内容に
なるのかは聞いてのお楽しみ(ケニア国内だけですが)。教育省内の手続きに少々時間が
かかり、放送開始が遅れていますが、間もなくOnAirできるはずです。
Nairobi 106.7 / Nakuru 100.5 / Kisumu 97.6 / Mombasa 97.3 / Nyeri 104.3
/ Meru 94.3
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┛┛┛ ケニアの生活情報
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◎ 気候
4月上旬のイースター休暇に前後して、全国各地で大雨が続き、家が流されるなど
の被害が連日報道されました。雨期の象徴、クンビクンビと呼ばれる羽アリの乱舞も
見られました。南半球に位置するナイロビはこれから気温が下がります。
◎ 通貨 ケニアシリング ($1 = Ksh77, Ksh1 = 1.5円, 為替レート:ケニアシル安傾向)
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┛┛┛ 編集後記 ● 欲求と能力と機会 ---アフリカにおける人間の安全保証のために---
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「欲求(Desire)と能力(Ability)と機会(Opportunity)の三つが揃った時に、犯罪は発生す
るのです。」
先日の南アフリカ出張でJICA事務所のMr.Riaanから安全対策の説明を受けた際、非
常に印象に残った言葉です。つまり犯罪を起こそうとする人がその気(欲望)になって、
その人が武器(能力)を手にしていて、犯罪の対象となるカモ(機会)が目の前に現れない
限り、犯罪は起こりません。逆に、犯罪多発地帯とされている場所に行って、ズボン
の後ろポケットに財布をちらつかせながら、独りでうろうろ歩いていれば、その危険
性はより高くなるということです。退避勧告の出ている地域に、丸腰の民間人が足を
踏み入れることの危険性も同様です。
そこで私達も考えました。「良い教育が行われるために必要なのは、教育に対する
欲求、教育する能力、教育のための機会である。」教育する能力とは、平たくいえば
教師が生徒に提供する授業の質です。学校に、上手な授業のできる教師がより多くい
るほど好ましいわけです。教育の機会を増加させるためには、椅子や机や黒板を含め
た学校の建物、十分な教員の数、安価な学費が必要になります。教育には質も量も欠
かせません。しかも、さらにその大前提として、政府/社会/教師/生徒/その親達
に教育への欲求がなければ話は始まりません。
建前として「わが国の教育の弱点である理数科教育を克服し、2020年までには工
業化を成し遂げるのだ」などと政策を掲げたとしても、本音の部分で学校の校長や教
師が「理科を教えるのは難しいし、生徒の出来が悪いのは今に始まったことでもない
し、まぁいいや」と思っていたり、子供たちが「数学の勉強は難しいし、つまらない、
みんな成績悪いんだからまぁいいや」と思っていたり、その親達が「うちの娘が物理
なんて勉強してもちっとも役に立たない、そもそも学校なんて行いかずに家の手伝い
をして欲しいわ」などと思っていれば、幾ら政府が教育の質と量のために予算を注ぎ
込んでも無駄です。学校を作り、鉛筆やノートや教科書を支給し、先生の人数や給料
を増やし、学費を安くしても、実際の教育現場の態度が後ろ向きならば、何も起こり
ません。主役である彼らが「その気になる」かどうかが、教育事業が成功するか否か
の一番の根本になるのです。
SMASSEが、中等学校の理数科の現職教員を対象とした研修を通じて成し遂げよう
としていることは、「教育関係者全ての態度の改善」(欲求)と「教室における授業の
質の向上」(能力)、「より訓練された、質の良い教員数の増加」(機会)です。全国事業
となってまだ間もないため、「卒業試験の成績がグッと上がりました」などとはまだ
言いませんが、SMASSEがケニアの理数科教育にもたらしたインパクトは新聞記事に
も時々取り上げられていますし、何より、教育現場は大いにその気になっています。
目に見える成果となって現れるのは、もはや時間の問題だと確信しています。
さて、話は大きく元に戻りますが、ケニア人の理数科能力が向上して、ケニアが工
業国家になって、それでめでたしめでたしなのでしょうか。否、このプロジェクトに
携わる一員として、私達日本人スタッフはそれに満足せず、さらにその先に大きな
「隠れ目標」を抱いています。それは、初・中等教育における理数科教育支援は、市
民の科学的(あるいは合理的)思考能力の向上に貢献するものであり、アフリカに共通
する政府のグッド・ガバナンス(良い統治)の強化に最も必要なものだという信念です。
この国で生活・仕事しながら感じることは、国民の考え方が非常に伝統的で、地縁
・血縁関係を過剰と思えるほど気にすることです。政治家の思考体系もその影響を大
きく受けており、彼らの活動規範は、国家の政治・経済的イデオロギーより自らの出
自に基づく損益に基づく場合が非常に多いのです。そうした思考体系が、この大陸の
近代史に絶えない地域・民族紛争を誘引してきたのでは?と思い当たります。これま
で多くのアフリカ諸国が独立以降掲げてきた国民国家形成の政治スローガンは、ほと
んどの場合スローガン止まりで、実質的に目的達成とは程遠いものでした。その反省
を踏まえ、時間は要しても、現在の若年層に科学的・合理的思考能力を醸成し、科学
的思考体系に基づく批判能力を涵養しなければなりません。(現在も進行するアフリカ
政治の非論理的思考体系は、文化的には意味を持つかもしれませんが、アフリカが世
界の中の責任ある一員となるためには大きな障壁です。)それが、アフリカの地にグッ
ド・ガバナンスを導入し、地域・民族紛争を消し去るための、つまり「人間の安全保
障」を確保するための一番の早道です。しかも「人間の安全保障」を長期間、広範囲
に渡り、根本的に、ジワジワと定着させることにつながります。
加えて、科学的・合理的思考能力が成熟していく中で、これまでJICAが農業、保健
医療、環境といった様々な分野で地道に実践してきた我が国の技術協力の成果が、ア
フリカ各国でさらに大きく花開くことでしょう。JICAの技術協力の根幹にある「国造
りのための人造り」という思想を地道に実践してきた数々の実績が、アフリカの人間
の安全保障に対する大きな成果となって見えてくるはずです。
新生JICAの技術協力活動に携わる私たちは、それぞれの立場で「人間の安全保証」
という言葉の意味するところをあらためて考える時期にありそうです。その実現のた
めに自ら何ができるのか、何をすべきなのか、そのためには過去のルールの制限や前
例踏襲主義に縛られる必要はありません。自己責任でそうと決めたら、迅速に実行あ
るのみ。目標達成に必要なキーワードは「欲求」と「能力」と「機会」です。
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発行:独立行政法人国際協力機構(JICA)ケニア中等理数科教育強化計画フェーズ2
Strengthening of Mathematics and Science in Secondary Education Project
編集長:チーフアドバイザー 杉山 隆彦
編集 :業務調整員 長沼 啓一
c/o Kenya Science Teachers College, P.O.Box 30596-00100, Nairobi,
KENYA
Web: http://www.smasse.org プロジェクトの各種活動の様子はこちらへ。
Email: news@smasse.org ご意見、ご感想のメールはこちらへどうぞ。
掲載内容の「無断 or 一部を取り出して or 改変して」の転載・再配布を禁じます。
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