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海外CAD事情

米国で発行されているCADを中心にしたe-ニュースレターの簡易翻訳版です。設計や製造に関連したCAD以外のソフトウェアの動向紹介もあり、海外での状況に関心がある方には興味を持ってもらえるのでは。

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海外CAD事情:UPFRONT.EZINE - ISSUE #408

2004/12/25

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            海外CAD事情:UPFRONT.EZINE - ISSUE #408(簡略版)
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November 23、2004
英語版サイト    www.upfrontezine.com | http://worldcadaccess.typepad.com
日本語版サイト  http://www.rrcorp.co.jp/upFront.html

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今週号の内容:
* 1番手の優位性:Dassault-Microsoft合意
  - Microsoft-SAP合意
  - DS-MS合意に対する期待
  - パリでのQ&Aセッション
  - IBMからのコメント
* 経営報告:Autodeskの2005年第3四半期
  - CEOとのQ&A
* LTの販売量AutoCADを凌駕

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◆◆1番手の優位性: Dassault-Microsoft合意◆◆
Dassault SystemesとMicrosoftはそれぞれ先週プレスコンファレンスを開き、メディ
アの人間には内容が良く掴めない合意を発表した。我々のブログに掲載されたQ&Aサ
マリーを見れば惹き起こされた当惑の度合いが分るだろう。
http://worldcadaccess.typepad.com/blog/2004/11/the_point_being.html

発表があって以降、我々は何時間も掛けてプレス資料をレビューし、この合意が何を
意味するかの結論に達した。以下、それを示そう。

これは5年間の合意で、この合意によりMicrosoftはハイエンド3D CADとPLM市場での
コラボレーションのニーズをもっと良く理解できるようになる。この合意により
Dassaultは、. NetやSharePointのようなMicrosoft提供プラットフォーム上での自社
PLMソフトウェアの機能を生かし易くするための情報をMicrosoftから入手できる。
さらに非公開の資金の流れも絡んでいる。

Dassault SystemesとMicrosoftが享受するメリットは、我々の意見では次の通りであ
る。

* Microsoft: Windowsベースのソフトウェア購入に対するDassault顧客の抵抗感が
減ること。SAP合意と同じように、Microsoftは理解不十分な領域へのアクセスを得る
ことができる。
* Dassault Systemes: Catia、Enovia、及びDelmiaはUNIX上で動作する形で開発さ
れたが、その後 Windows に移植されてきた。この合意によりDassault はより
Windowsフレンドリーなソフトウェア開発の手法を把握できる。Dassault は
Microsoft から1億5,000万ドル程度の現金を受け取ったと我々は見ている。
Microsoft がDassaultの株を購入したということは両社とも否定している。

ARC Advisory GroupのアナリストJohn Mooreは、多数の顧客がWindows関連の開発を
Dassaultに対して望んでいた、と考えている。“私はそれはボーイングだったと思
う。ボーイングは7E7イニシアティブに対してDassaultプラットフォームを使おうと
しているが、おそらく.NET上のWebSphereやSmartTeamにEnoviaを無理やり接着剤でく
っつけるのが嫌だったのだろう。”

Windowsや他のMicrosoftソフトウェアが変更される際には、DassaultのCADソフトウ
ェアが真っ先に恩恵を受けることをこの合意は保障している。ビル・ゲーツが強調し
ているように、今後はDassaultが最優先で他のCADベンダーは後回しである。すなわ
ち、1番手の優位性ということである。

** Microsoft-SAP合意 **
MicrosoftはドイツのSAPとの合意を5月に発表した。http://www.microsoft-sap.com
の情報によれば、Dassaultとの合意と同様な感じであるが、さらに詳細が示されてい
る。

*.NET とSAP NetWeaverとのより密接な統合。
* Microsoft の顧客が.NETとコラボレートしたSAPアプリケーションの便益を享受。
* SAP開発者のVisual Studio .NETへのアクセス改善。
* SAPとOffice間での相互運用性の強化。
* Webサービスに対するサポート。
* Windows 上のSAPに対する顧客選好を促進するための10年間合意。“Microsoftと
SAPソリューションに対する顧客の投資を保護、統合、及び拡大する手助けを両社は
間違いなく行うことを約束する。”

そして我々エディタが読み飛ばすお決まりの飾り文句は、“....ビジネス統合
をより速く、より安く、そしてより簡単に行えること、及び生産性向上に役立つビ
ジネス情報を解き放ち、より優れたビジネス上の意思決定を促進させることを約束す
る。”

**DS-MS合意に対する期待 **
DS-MS合意はDassaultが自社製品を64ビットCPUとMicrosoftの次のオペレーティング
システム(“London”)に移植する助けとなる。MS-SAP合意に基づけば、PLM指向製
品に対して次のことを期待できるだろう。

*フランスに設置されると思われるコラボレーション技術サポートセンターへの両社
からの人員提供
* 協同での販売とマーケティング
* 特許のクロスライセンス
* .NET用のPLM SDK
* Visual Studio .NETに対するPLMサポート
* 高度な Webサービスプロトコルに対するPLMサポー
* Microsoftのスマートクライアント技術に対するPLMサポート
* PLM、Exchange、及びWindows SharePoint Services間の統合

** パリでのQ&Aセッション **
メディアの中にはビル・ゲーツがMicrosoft とEUとの間の関係改善を図るためにフラ
ンスに行ったという憶測もあった。同氏は水曜日にユネスコの最高責任者と、そして
木曜日にはフランス大統領と同じ写真に収まった。 DassaultのCEOであるBernard 
Charlesは、ゲーツ氏との合意にサインするためMicrosoft France事務所に赴いた。
そのときのQ&Aセッションの内容はhttp://www.3ds.com/fileadmin/flash/microsoft/
ms_videos/index.htmで見れる。

Q:すべてのISVが Microsoftと合意を結んでいる。今回は実際に一体何が違うのか?

Dassault: 以前に両社間には提携関係があった。他の多くのソフトウェア会社と同様
、もう何年にも渡って我々はMicrosoft上でのソリューションを提供してきた。今回
の提携では、我々は運用モードを変更しようとしている。我々がここで述べたことに
関して、一緒に未来を構築していく。既に公開済みの情報や市場に提供済みのものを
単に受け取るのではなく、Microsoftは我々が開発プロセスの一翼を担うことを提案
している。これによって、顧客に提供するアプリケーションに関しては、顧客が大き
な価値を生み出せる高いサービスレベルでの一貫した優れた設計のものとなる。

Q:Dassaultだけが唯一のPLM企業ではない。Microsoftは同様な合意を他企業とも締
結する積もりなのか? 

Microsoft: 我々はお互いに相手に賭けている。Dassaultが我々のプラットフォーム
を正しい方向に導く助けとなることを我々は信じている。Dassaultはリーダーシップ
を行使し、その特典を生かすことができるが、その内に先行的な部分は公開機能とな
り、他の会社も同様に使用することができるだろう。
3D標準[3D XML]も同様。我々は妥協なり何なりと行い、寸断されることのないビジ
ョンを達成したいと願っている。我々は他の企業とも相談して、彼らの関心がどこに
あるかを理解する必要がある。この点に関しては私はかなり楽観的である。広い意味
で独占性はないが、両社はお互いに相手に賭けている。すなわち、Microsoftは革新
的な基本開発の部分を早めに手掛け、DassaultはWindows対応を早期に行うことにな
り、そして我々はDassault製品のサポートを行う。

Dassault:我々は独占的権利などは決して何も要求していない。問題はイノベーショ
ンのスピードにある。顧客が選択し、愛し、展開してくれるような我々のソリューシ
ョンを開発することには計りしれない価値がある。リーダーシップ、イノベーション
、そして開発スピードがポイントである。

Q:3D PLM市場でのMicrosoftの開発努力とはどういうものか?Great Plainsを買収し
たように、例えばSolidWorksのような会社を買収する意思はあるのか? 

Microsoft:我々の製品ライン間にオーバーラップはないし、将来においてもあり得
ない。

IBMについて尋ねられたときのDassaultの返答は、“IBMは我々のディストリビュータ
である。この合意はIBMに関しては問題ない。”

** IBMからのコメント **
我々はIBM、Autodesk、及びUGSにコメントを求めていた。IBMからのコメントは次の
ようであった。

Dassault- Microsoftの発表は現存のDassault/IBMテクノロジーパートナーシップと
補完的なものである。最終的には、DassaultのPLMソリューションを動かすプラット
フォームの選択肢は顧客が持つことになる。DassaultのPLMソリューションをIBMのミ
ドルウェア群上で動かすか、それともMicrosoftのミドルウェア群上で動かすか、は
たまた両方を使うのか、それは顧客の選択である。64ビットとLonghornに関する研究
開発のおこぼれに預かるのは明らかにDassaultにとって意味あることだが、それ以外
では単なる普通の取引である。

IBMのミドルウェアを利用しているDassault製品の例を示そう。

* AIX上で64ビットのモードで走るCATIAとENOVIAアプリケーションのサポートが最近
発表された(V5R14)。
* ENOVIA LCAと3D com Navigator FamiliesではWebSphere Applicationサーバーを広
く利用している。
* WebSphere Portalで利用できるPortletsのセットとしてENOVIA機能を提供して
いる。
* IBM Researchの研究成果を製品に取り込んでいる(新しいV5R14 Imagine & Shape
製品の基層を成す分割サーフェス技術はIBMとの研究結果である)。
* CATIAとENOVIA製品ファミリーの中でLotus Sametime Instant Collaborationを利
用し、企業全体を対象とした3Dインスタントコラボレーションを提供している。
* SMARTEAMをWBIやWBI Expressと統合するためのアダプタを提供している。
* ENOVIAとSMARTEAM納入に際してはDB2をOEM提供している。

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◇◇経営報告:Autodeskの2005年度第3四半期◇◇
我々は四半期経営報告で何が語られるかに耳を傾けるのであるが、何が言及されなか
ったかがより興味深いことがある。例えば、先週のAutodeskのコンファレンスコール
の間にADTには何度も賛辞が述べられたが、Revitには何の言及もなかった。

DWFの数を取り上げてみよう。CEOのCarol Bartzは450万コピーの無料DWF Viewerソフ
トウェアがダウンロードされたことを誇らしげに発表した。これはすごい数である。
次にBartz氏はDWF Composerが200ドルで販売されていて、販売目標を達成したことを
報告した。実際の販売数量については述べられなかったが、それは販売量が少ないこ
とを暗示している。それに表示価格は200ドルかもしれないが、AutodeskのWebサイト
では相変わらず99ドルで売られている。

Autodeskは高く売りつけることができる顧客が好きである。ある顧客はAutoCADを使
っていて、Autodeskは400ドル/年の収入を得ていた。Inventorにアップグレード
(1,100ドル/年)し、次にInventor Pro(1,500ドル/年)に、そして最近
ProductStream(1,800ドル/年)を付け加えた。この顧客はAutodeskへの支払い金額
を1シート当たり400ドル/年から3,300ドル/年に増やしたのである。

このような話がAutodeskの素晴らしい四半期を説明する助けとなる。株価は上場以来
の新高値66.45ドルを付けた。このことがAutodesk をして12月20日に株式の2分割を
行わせたが、第4四半期以降の配当払いは停止となる。なぜ?“当社は配当を停止す
ることが株主利益により貢献するものと信じている。”なるほど。株主がMicrosoft
に圧力を掛けて配当支払いを最終的に認めさせたことを考えれば、この動きは驚きで
ある。Autodeskは技術を持ったより多くの企業を買収するための軍資金を積み上げた
いのだろう、というのが我々の推測である。

Autodeskの第3四半期売上は3億ドルで前年同期比28%増であった。利益は7,400万ドル
で228%増。その他の数値は以下の通りである。

* “3D製品は市場での伸びが継続”、すなわちInventor、ADT、及びCivil 3Dのよう
な3D製品は売上の15%を占めている。
* 新シート売上は36%増。増加シート数は報告されなかった。
* 50万以上の顧客がサブスクリプションに加入。しかし年会費の支払いはAutoCADユ
ーザが一番悪い。
* Buzzsawのユーザ数は10万を越えた。ユーザ数は報告されなかった。
* “誰かが”Linux使用企業に対して訴訟を起こすかもしれない、というMicrosoftの
CEO Steve Ballmerの警告にも関わらず、AutodeskはLinuxシステム用のDiscreetソフ
トウェアの提供を今後も続ける。

** CEOとのQ&A **
Q:Dassault SystemesとMicrosoftとの合意に関して、Microsoftが他のCADベンダー
と協力することはどれ程重大と考えるか?

A:3Dの民主化についてDassaultが語るのを私は喜んでいる。それは我々のスローガ
ンである。我々が常に持ち続けてきたようなマーケットにアプローチするためのテク
ノロジーをDassaultは持っていない。私はそれをバーニー関係と呼んでいる。
(ここでCEOは歌い始めた。)“誰もがあなたを愛しているよ、だから私を愛して
よ。” どれだけのビジネスになるか私は知らない。だから我々は自分の道を歩むだ
けである。

Q:DWF対PDF v7については? 

A:Adobe用の歌は持ち合わせていない。DWFは工業図面向けにはより優れている。
PDFは8-1/2 x 11サイズ文書に適している。PDFは重要なフォーマットの1つである
が、DWFも正にそうである。

Q:顧客の何%が3Dを使っているのか?どの位の顧客を競合相手に取られているのか?

A:顧客の10〜15%が3Dに移行している。競合会社には2Dシートをいくらか取られて
いる。

Q:新たに死亡宣告を受ける製品[AutoCAD 2002がアップグレード廃止となる次の
製品である]からどの程度のアップグレードを期待しているのか?

A:それについては3月のアナリスト会議で話をする。

Q:アジア市場での金額ベース売上は第3四半期も伸び悩んでいる。

A:数量は増加していると思う。この時期は売上が普通は落ちる時期なので、実質的
には伸び悩みではなく増加していると考える。インドと中国では営業人員を増員中で
ある。アジア地域について悲観的ではない。

Q:Discreet販売の何か作戦は?

A:これまで通り。

Q:顧客の生産性が上がっているのであれば、価格を上げてもいいのでは?[最近の
生産性調査によると、AutoCAD 2005 ユーザは1週間当たり14時間の効率アップになっ
ているとのこと。]

A:確かにそうだが、ユーザ支払額の上昇[顧客がより高額のソフトウェアを購入]
による売上増大もある。当社のASP[average selling price:平均販売価格]はここ
数年、緩やかではあるが着実に上がっている。

Q:ソフトウェアを違法コピーから守るために中国ではどういう対策を行っているの
か?: 

A:教育と強制の問題である。

Q:新規購入の成長率という点では、どの製品とどの地域が最も高いのか?

A:特にどの製品とか、どの地域とかいうことはない。特に目新しいことはない。

2006年度は、13億3,000万ドル〜13億8,000万ドルの売上を達成することをAutodeskは
期待している。

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◆◆エディタから◆◆
今週号の本文記事が長くなったため、レギュラー項目の殆どを今週は割愛する。

‘Multi-CAD’誌は印刷形式での配布を中止した。同誌はオーストラリアで出版され
ていたCADマガジンの最後となる。広告収入の減少と制作コストの増大という典型的
な原因により、John & Susan Teerds夫妻のチームは同誌の廃刊に追い込まれた。Web
サイトは今後も運営される。http://www.multi-cad.com

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◇◇LTの販売量AutoCADを凌駕(WorldCAD Accessブログに11月19日掲載)◇◇
Autodeskの報告によれば、2004年1月末時点でのAuttoCADベースのソフトウェアに関
する販売数量は次のようになる。

AutoCADベースソフトウェアの全インストール数= 3,423,300

上記数字にはMechanicalのような分野別アプリケーションに組み込まれているAutoCAD
も含まれている。全インストール数をさらに分類すれば次のようになる。

スタンドアローンAutoCAD = 2,368,000
Architectural Desktop = 336,300
AutoCAD Map = 190,100
AutoCAD Mechanical = 139,000
Land Desktop = 109,900

一方、AutoCAD LTのインストールベースの数量は2,430,400である。この数字はスタ
ンドアローンAutoCADよりも多い。

LTが販売されている期間はAutoCADの場合の半分の期間である。販売量の成長がいか
に速かったかを見てみよう。2003年と2004年の間における両製品のインストールベー
ス数量の増加量を次に示す。

AutoCAD = 76,700
AutoCAD LT = 209,200

LTの販売量はAutoCADを2.7倍上回っている。AutodeskがLTの価格を引き上げ続けてい
るのも不思議ではない。LTの人気が高過ぎて、価格が4倍のAutoCADの販売の足を引っ
張っている。

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