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『メルマガFPS』

映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

メルマガ情報

創刊日:2005-05-10  
最終発行日:2018-12-27  
発行周期:月刊  
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映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.157

2018/12/27

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§1.【HMD通信 第44号】第16回HMD、無事終了
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第16回〈ホームムービーの日 HMD〉が終わりました。
当日、映画保存協会は柿崎会場にお招きいただき、遅れて11月に弘前会場
を主催しました。柿崎といえばライオン株式会社の創業者、小林富次郎ゆか
りの地です(生誕地ではないけれど)。
昨年、関連の碑があることを画像でご報告しましたが、ついに柿崎でも重要
文化財に登録された映画、『小林富次郎葬儀』が上映されることに!
しかもライオンの資料室の方の解説付きだったようです。

昨年11月に公表した「マスターデータ」によると、HMDは2017年時
点で34カ国325都市、984回開催されていたわけですから、2018
年で1000回を超えたのは間違ありません。日本でも55名の世話人によ
り、19都道府県で186回開催されたことになります。

各開催地の世話人の皆さんは本部への開催報告(英語)の提出をお忘れなく。
映画保存協会でも引き続き開催料を収集、保存、公開しています。詳しくは
以下のリンクをご覧ください。

なお、第17回ホームムービーの日は2019年10月19日(土)です。
ご意見、ご質問等ございましたら、いつでもお気軽にお問い合せください。
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〈ホームムービーの日〉最新情報
http://homemovieday.jp/
twitter @hmd_japan
FB https://www.facebook.com/hmdjapan/

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§2. シリーズ小型映画研究 第7回 機材から見た小型映画の歴史(4)
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これまでに取り上げた1910年代に登場した22ミリや28ミリはおもに
ホームシアターのための機械であり、撮影のためのものとしては定着しませ
んでした。
一方で1920年代はじめまでの35ミリ撮影機の小型化の流れによって、
アマチュアでも映画撮影ができるようになったものの、ホームムービーのよ
うな日常的な目的に使えるものとして小型映画が普及するには、機材を小さ
くするだけでなく、撮影コストを小さくすることも必要でした。

そのような条件を満たし、決定的なフォーマットとして普及したのが9・5
ミリと16ミリ、そして8ミリといえるでしょう。これらは映写機の販売が
中心であった22ミリや28ミリとは異なり、撮影機も広く市販され192
0年代から1950年代までは3つともアマチュア向けフォーマットとして
使われました。今回はこの3つの特徴と違いを比較してみます。

9・5ミリは1922年のクリスマスにパテ社がパテ・ベビー(Pathe-Baby)
という名称でフランスで映写機が発売され、翌年1923年6月にはイース
トマン・コダックが16ミリを使用する最初の製品を発売しました。
続いてコダックが1932年に登場させたのが8ミリで、現在でいうところ
のダブル8です。家庭やアマチュアのためのフォーマットとして、3つのフ
ィルムには共通点かあります。

ひとつは当時の35ミリフィルムは可燃性のナイトレートベースでありまし
たが、それとは異なった安全な不燃性のアセテートベースであったことです。
もうひとつは撮影フィルムが反転現像されるリバーサルフィルムであった点
で、ネガフィルムからポジフィルムへのプリント工程がないという利点があ
りました。

一方で、3つのフォーマットにはそれぞれ利点も欠点もありました。撮影フ
ィルムにおいては、9・5ミリの撮影フィルムが長さ10メートル(実尺8
・5メートル)と短いのに対して、8ミリが50フィート(15メートル)、
16ミリが100フィート(30メートル)という違いがあり、それぞれ定
速の秒16コマで撮影した場合、1分間から4分間の差があります。
3つのサイズは画面サイズにおいても比較され、メーカーや初心者向けの入
門書ではそれぞれ立場から利点や欠点が主張されていました。

吉川速男は写真講座のシリーズのなかの一冊である「アルス最新写真大講座
 第15巻 小型映画の写し方」(アルス、1935年)のなかで、9・5
ミリは家族や知人な集まりといった中程度の映写向きで、16ミリは学校や
団体向けと書いています。
パテ社自身による説明としては、9・5ミリの撮影機モートカメラ(Motoc-
amera)の取扱説明書において、9・5ミリは16ミリに対してフィルムのサ
イズでは41パーセントと小さいながら、撮影サイズや映写できる大きさは
16ミリに匹敵するとしていました。
一方で、フィルム幅が小さいことはより短いフィルムでも長い時間撮影でき、
撮影時間でのフィルムコストは安いことになります。

8ミリは16ミリに対して画面サイズは4分の1でありながら、コストは3
分の1という説明をコダックは当時のカタログでの宣伝文句にしていました。

※次回に続きます。(飯田定信)

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§3.【連載レポート】映画保存関連のイベントに参加して(16)
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2018年11月18日(日)「生誕100年 映画美術監督 木村威夫」の
感想です。
場所:国立映画アーカイブ

現在、国立映画アーカイブの展示室で開催中の「生誕100年 映画美術監
督 木村威夫」にお邪魔してきました。美術監督にスポットを当てた映画の
展覧会は初めての参加です。

まず木村監督の生い立ちが紹介されており、その中でも父親である小松喜代
子(キヨシ)が印象に残りました。展示品には小松が卒業した東京美術学校
(現在の東京藝術大学)の卒業写真や絵画作品、小松が担当した雑誌の表紙
画が展示してありました。父親について多くの作品が残っていることに驚く
と同時に、木村監督が父親から影響を受けていることが伝わってきました。

展示品は図面や写真が中心で、木村監督が描いた絵画や作品のポスターなど
が展示してありました。
図面にはカメラの位置も記されており、映画のセットならではの図面だと思
いました。図面や参加した作品の近くには木村監督のコメントが近くにあり、
当時どのような心境で取り組んでいたかがわかりました。なお、図面のほと
んどは木村監督が後年に再び描いたものです。

木村監督は山村聰監督の『黒い潮』に登場する新聞社のセットを作る際に、
新聞社のイメージが浮かばず毎日新聞社に通い写真を撮り、新聞社に関する
スクラップブックを制作していました。展示されていたスクラップブックの
写真と映画のスチルを比べると、どちらが本物かわからないくらいにセット
が作り込まれていました。

作品の抜粋上映もあり、鈴木清順監督の作品は『花と怒涛』、『肉体の門』、
『刺青一代』、『東京流れ者』の4本が上映されていました。
抜粋上映があると、作品を未見の人でも図面と見比べることできるのでとて
も助かりました。
個人的には『刺青一代』の終盤に登場するセットの平面図と立面図を見るこ
とができて満足しました。

その他にも、伊藤大輔監督の『春琴物語』のスケッチ本の複製も展示されて
いました。この複製の冊子は20数ページあり、手に取って自由に見ること
ができます。
複製の展示品だと目が不自由な方も触って楽しむことができるので、他の展
示作品でももっと増えてほしいです。

展示品にはセットの図面は多くありましたが、模型はありませんでした。模
型があればセットを様々な角度から見ることができて面白いかもしれません。
模型でなくても、3DCGデータにしてパソコンで自由閲覧できるようにす
るのも良いかもしれません。

映画のセットの図面を見る機会は今までまったく無かったので良い機会にな
りました。美術監督以外にも撮影監督やプロデューサーなどの展示会も期待
したいです。この展覧会は2019年1月27日(日)まで開催しています。
(萩山祐毅)

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4. 光影流年−中国映画保存報告 第49回
  「耳のタイムマシーン」台湾歴史博物館「台湾音声100年」
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今回は台湾に残る古いレコードを集めたデジタルアーカイブサイト「台湾音
声100年」をお伝えします。台湾でのレコード発祥は日本統治時代にあり、
日本と関わりが深い所が興味深いです。(天野)
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「耳のタイムマシーン」台湾歴史博物館「台湾音声100年」
(中央通信社台南支局記者、張栄祥)

国立台湾歴史博物館の階段教室左前方には鍵のかかった倉庫があり、中に入
ると床には10余りの箱に入ったLPレコードが置かれている。
貴重なSPレコードは机の上に散らばっており、80年余りの歴史を持つ7
8回転のレコードもある。目の前に広がる雑然としたこれらが「台湾音声1
00年」の起点だとは俄かに信じられないだろう。

2015年に開設した「台湾音声100年」は各種音源を収めたインターネ
ットサイトだ。
「音で歴史の流れをたどることができるんですよ!」同博物館の副研究員、
黄裕元さんは倉庫にある小さいスチール製の箱から大切そうに古いレコード
を取り出した。

カバーには右から書かれた文字で「国父之声」と書かれ、中には2枚のSP
レコードが入っている。レーベルには「国父訓詞」の文字があり、黄さんに
よるとこのレコードは「台湾音声100年」のスタートともなった音声だ。

音楽がデジタル化してからもレコード音楽は苦難の歴史を乗り越えて蘇り、
全世界で公開される映画の中でも目にすることができる。しかし、LPレコ
ードの前に存在したSPレコードが半世紀に渡って実際の市場に出回ってい
たことを多くの人は知らないだろう。
SPレコードの材料は東南アジアやインドにいる虫で、その虫が樹木に残す
分泌物シェラックを使ってレコードが作られていた。

コレクションと研究を行う同博物館にも、自然のシェラックが所蔵されてい
るが、シェラックは価値が高いため簡単に人には見せない珍しい物だと黄さ
んは話す。
博物館が所蔵するシェラック製のSPレコードは800枚あり、その多くは
購入したものだ。また、民間から寄贈されたLPレコードと合わせて、館内
には4000枚が所蔵されている。

これらのレコードが土台となり、人々は「台湾音楽100年」を通じて10
0年以来の庶民の生活を伺い知ることができる。台湾のSPレコードの歴史
は日本統治時代と深い関わりがある。ある台湾の芸能人が1914年に日本
で録音したSPレコードを持ち帰り、それが台湾商業音楽のスタートとも言
われている。

21世紀初め、SPレコードは再び人々の注目を集め、博物館は2014年
にSPレコード音源のデジタル化を決定、失われたとされる音楽を再び聞く
ことができるよう蘇らせたのだ。

黄さんによると、音は紙の本よりも早く伝わるので、より簡単に文化の種を
播くことができる。特に100年前は文字を読めない人が多い時代だったの
で、音は文献よりもその効果が高いとされた。庶民の言葉やなまり、アクセ
ントが録音されたことで100年後でも再現できるのだ。

しかし、SPレコードのデジタル化は簡単ではない。1枚ごとに採録しなけ
ればいけないほか、所蔵されている骨董級のSPレコードは電気で再生され
ていたわけではないので、手回しで採録するなど博物館のスタッフは5年の
時間をかけた。
博物館では所蔵品またはコレクターから借りてきた1000枚のレコードを
採録しているが、すべての作業はまだ終わっていない。

「台湾音声100年」のサイトがオープンしてから、サイトにあるSPレコ
ード音源はまだ300余りで収録は終わっていない。
SPレコード音源のデジタル化の後にLPレコードの音源採録も始まるが、
同博物館に所蔵されているLPレコードはほとんど台湾の音楽で、また33
回転盤は電力でデータを取ることができるため、デジタルアーカイブの作業
は比較的早く進められるだろうとされている。
これらの音楽も「台湾音声100年」に組み込まれる。インターネット音楽
はいつでも完璧に収録できるが、黄さんは笑いながら音声の仕事には終わり
がないと話した。

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※上記は台湾の通信社「中央通信社」に掲載された記事から部分抜粋、翻訳
したものです。以下のページからは1930年の台北の迪化街の様子が音声
付きで見られます。
https://www.cna.com.tw/culture/article/20181206w004

※台湾音声100年のサイトはこちら(中国語)。各種音源を視聴できます。
https://audio.nmth.gov.tw/audio

【ご参考】レコードの適切な取扱いと保存方法
http://filmpres.org/preservation/library01/

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§5. FPSからのお知らせ
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□■トートバッグをプレゼント!□■

毎年10月27日はユネスコ世界視聴覚遺産の日。
映画保存協会では世界視聴覚遺産の日を記念して、最新のスローガン「Your
Story is Moving!(映像、それは感動の物語)」をあしらったトートバッグ
を制作し、ホームムービーの日(HMD)の開催記録を提出してくださった
会場に配布しました。

ユネスコ世界視聴覚遺産の日〈トートバッグ〉
http://filmpres.org/whatsnew/9853/

こちらのトートバッグ(A4サイズ)を1名のメルマガ読者にプレゼントい
たします!
ご希望の方は(1)住所、(2)氏名、(3)連絡先メールアドレス(4)
メルマガの感想をご記入の上、info@filmpres.org までご応募ください。
件名は「ユネスコ世界視聴覚遺産の日プレゼント応募」でお願いいたします。

締め切りは2019年1月12日(土)です。発表は発送にかえさせていた
だきます。たくさんのご応募をお待ちしております。
※こんなデザインです!→ http://filmpres.org/whatsnew/9853/

□■韓国映像資料院の展示企画に協力しました□■

韓国映像資料院(Korean Film Archive)の展示企画「Film Projection: 
In Search of Lost Time(映写:失われた時を求めて)」に協力しました。

http://filmpres.org/event/10164/

2018年に収集した小型映画の映写機を展示し、またデジタル化した映像
を再びスクリーンに投影して映像の歩みを振り返る試みです。

【展示期間】2018年12月21日(金)〜2019年3月23日(土)
【場所】韓国映像資料院 
https://eng.koreafilm.or.kr/museum/exhibition/EI_00041?page=¶mYear=

□■キネマ旬報で『モダン怪談100,000,000円』紹介□■

現在発売中の「キネマ旬報」で映画の里親第1回作品『モダン怪談100,000,
000円』が紹介されました。
浦崎浩寶氏の連載「香華抄 〜映画人を偲んで」(P128〜129)です。
ぜひご覧ください。

掲載号:キネマ旬報 2019年1月上旬特別号 No.1798
(2018年12月20日発売)
http://www.kinejun.com/tabid/62/Default.aspx

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§6. 編集後記
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毎年恒例、米国議会図書館(Library of Congress)が追加登録するアメリカ
国立フィルム登録簿(National Film Registry)の25本が発表されました。
今年は『マイ・フェア・レディ』(1964)や『ブロークバック・マウン
テン』(2005)、ディズニーのアニメ映画『シンデレラ』(1950)
などが選ばれ、もっとも古い映画では、黒人カップルの親密なキスシーンが
印象的なサイレント映画『Something Good-Negro Kiss』(1898)がリス
ト入りしています。

映像はこちらから見られます↓
https://twitter.com/filmpres/status/1073093884350148608

アメリカ国立フィルム登録簿が1988年に制度化されてから、今年で30
年です。アメリカのニュースサイトでは1年に1度報道されるので、映画の
保存や文化の継承を促すには良い取り組みだと(毎年)思います。いつか日
本でも同じような制度ができるといいのですが。

さて、5.のお知らせにある通り、ユネスコ世界視聴覚遺産記念で小会が作
ったトートバッグをプレゼントします。私も持っていますが、デニム地で大
きさもちょうど良く、カッコいいですよ〜!ご応募お待ちしております!

今年最後のメルマガとなりました。お世話になりました、というお礼と同時
に、来年も皆さまがステキな映画とたくさん出会えますよう、そして1本で
も多くのフィルムが残りますよう祈念して。よい年越しをお過ごしください。
(天野)

最新のコメント

  • 名無しさん2009-10-18 22:16:56

    この時期にダム造りの映画を取り上げるセンスがとてもよいと思う。30年前、村を追われた人々やダムに期待をかけた人々のルポに興味を持ちます。行けるといいな。

  • 名無しさん2008-05-31 07:58:15

    とても示唆に富んだ内容で、まちづくり活動の仲間に知らせたい部分が多いのですが、転載禁止などと書いてあると、紹介しづらいです。商業目的ではない場合については、もう少し「みんなに伝えて」的なスタンスだと有難いのですが。