映画

『メルマガFPS』

映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

メルマガ情報

創刊日:2005-05-10  
最終発行日:2017-08-31  
発行周期:月刊  
Score!: - 点   

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

このメルマガは最新記事のみ公開されています。

映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.142

2017/08/31

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§1.第12回映画の復元と保存に関するワークショップに参加して
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
12回目を迎えた「映画の復元と保存に関するワークショップ」。今年は2
017年8月25〜27日の日程で行い、1日目は各地で実習、2、3日目
は東京・調布市の電気通信大学でレクチャーを開いた。
1日目の実習、2日目のレクチャーの様子を簡単にお伝えする。

・実習(8月25日)
7つある実習の内、鎌倉市川喜多映画記念館の「施設見学+「鎌倉映画地図」
探訪」に参加した。
東宝東和の川喜多長政・かしこ夫妻が住んだ鎌倉の邸宅跡地を改修した鎌倉
市川喜多映画記念館は、鎌倉の繁華街、小町通りを横に入った静かな住宅街
にある。

ドアを抜けると右手に51席の映像資料室、左側に展示スペース。ちょうど
音楽映画の特集上映中で、名作の曲をBGMに同館の概要について説明を受
け、映画上映が終わったタイミングで映像資料室を見学。

映像資料室の壁に付いているランプが素敵だなぁと眺めていると、実は川喜
多邸で使われていた物だそう。また、普段は限定公開の旧和辻邸(哲学者の
故和辻哲郎氏の居宅)も見せていただく。江戸後期の数寄屋造りの民家で、
川喜多夫妻が海外からのゲストをもてなす時に使ったそう。「もしかしたら
ジャン・コクトーがこの畳に座ったかもしれない!」とミーハーな思いで興
奮。

その後、鎌倉の街に出て、鎌倉の映画ロケ地を網羅した「鎌倉映画地図」を
手にロケ地を散策。
鎌倉といえば原節子だが、義兄の熊谷久虎監督『白魚』に出てくる鶴岡八幡
宮の太鼓橋や、鈴木清純監督『ツィゴイネルワイゼン』で豆まきのシーンに
使われる妙本寺など、それらの映画を観たことがある人なら「あぁ!」と思
わずうなずくロケ地ばかり。
普段観光気分でしか歩いていない鎌倉の街が一気にスクリーンの中の世界に
引き込まれたようで、最後に黒澤明『天国と地獄』に出てきた犯人のアジト
(映画の中で誘拐された子供の絵を元に刑事が推定する)近くの腰越漁港に
立った時、気分はすっかり映画の中。

映画と人、町の関係はまさに映画地理学とも言える。その探検家&学者のよ
うな豊富な知識で暑い中案内してくださった同館の増谷文良さん、馬場祐輔
さん、スタッフの皆様に感謝!鎌倉名物、井上蒲鉾店の梅花はんぺんを購入
してその日は帰宅。

・レクチャー(8月26日)
東京・調布も鎌倉に負けず劣らず、映画の街だ。日活調布撮影所、角川大映
スタジオのほか、東京現像所や東映ラボ・テックといったラボも集まり「東
洋のハリウッド」とも言われた。その調布にある電気通信大学で、2日間の
レクチャーが行われた。

初日のスタートは常石史子氏(フィルムアルヒーフ・オーストリア)の基調
講演から。豊富な現場経験を元に、映画アーカイブにおけるミッションから
昨今急増するデジタル化をめぐる諸問題について多くの提言があった。
4年かけて行った7万本のプライベート・フィルム収集のお話、そこから見
つかったドイツによるオーストリア合邦時の1935年のフィルムに写った
ヒトラーと、それを歓迎するオーストリアの人々のエピソードが印象的で、
映像は歴史の証人だという事を改めて実感した。

引き続き基礎講義「映画保存のテクニカルソリューション」。フィルム缶、
現像ラボ、フィルムメーカー、保存倉庫、資料器材といった各社の事例から
現在の保存事情を知り、やはり保存にはきめ細かい技術力が必要だと感じる。
こうした日本の高い技術がもっと知られて、海外からもビジネスの引き合い
があればよいのだが…。

次は「地域映画〜8ミリフィルムの新たな可能性〜」。地産地消として地域
住民も巻き込んだ映画作りと上映、また、認知症予防・抑制療法の回想法や
脳機能研究、情報とコミュニケーションのデザイニングといった一見映画と
は関係ないと思われる分野の専門家が地域映画を読み解くという画期的なセ
ッション。

いつも疑問に思っていた「8ミリ映像はなぜ心地よく、懐かしく感じるのか」
という謎がようやく解ける。脳科学的に分析すると、8ミリ映画くらいの情
報量が人間の脳にとってはちょうど良いボリュームなのだそうだ。そうか!
とひざを打つ気持ち。人間にとって優しいフィルムの映像、古いと言って切
り捨ててしまうのはまだ早い。

また、プロではなく一般人が撮影した写真=ヴァナキュラー写真を見直す動
きや、ホームムービーと日本民族の移動の関わり、8ミリ映画を上映する時
に観る側が何を求めているのか、過去を見直すことがどのような新しいライ
ブ感を作り出すのかといった多岐に渡る話に、会場の皆さんも熱心に聞き入
っていた。

休憩を挟んだ後はノンフィルムを対象とした「映画資料カンファレンスin
東京」。ポスターやスチル写真といったフィルム以外の物品保存については
まだ議論すべき点が多くあり、制度化、整備化が待たれる。
岡田秀則氏(東京国立近代美術館フィルムセンター)は冒頭で資料散逸の危
機、著作権、ネットワーク化、資料の目録化、社会的認知の獲得といった諸
問題を挙げ、その後に紹介があった中村秀之氏(立教大学)によるカリフォ
ルニア大学ロサンゼルス校での紙資料特別調査事例は、ノンフィルム保存で
の日米の差を容易に想像させるものだった。

その後、松竹大谷図書館、世田谷文学館、調布市立図書館、市川市文学ミュ
ージアム、江東区古石場文化センター、市川崑記念室といった実際にノンフ
ィルム資料保存を行う現場担当者が各事例を紹介し、地域アーカイブとして
の役割も視野に入れた検討が必要だと感じた。

「映画の保存と復元」という名前が掲げられているので、映画フィルムの話
しかしないと思われがちなワークショップだが、実際にはこうした社会的な
話題も多く出てくる。
映像は社会の様々な側面と繋がっているし、ましてや記録ツールもプロのカ
メラ以外に素人のスマホ動画も加わる時代だ。これだけ多種多様なメディア
が存在する今、こうしたワークショップの「目に見える集合知」はますます
重要になっていくのではないか。教育、観光、マーケティングなど映像を使
うシーンはますます増えていく。学ぶべきこと、実行すべきことは本当に多
いと強く実感した2日間だった。(天野)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§2.【HMD通信 第34号】福岡で14年ぶりのHMD開催
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2017年は地元でHMDを初開催する世話人さんの数がなんと5名を超え
ています。その中の一つ、糸島会場が9月に予定されていますので、ぜひお
出かけください。福岡での開催は14年振り、2度目になります。

「ホームムービーの日 in 糸島」
世話人:高倉雅昭
主催:「ホームムービーの日 in 糸島」実行委員会
日時:2017年9月16日(土)16:00/17:30(2回上映)
会場:古材の森(福岡県糸島市 前原中央3丁目18−15)

問い合わせ先:090−1912−4228
email masaaki.takakura★gmail.com(★を@に変換して下さい)

今後イベントページをフェイスブックに立ち上げ予定だそうです。

「ホームムービーの日」最新情報
http://homemovieday.jp/
twitter @hmd_japan
FB https://www.facebook.com/hmdjapan/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§3.【災害対策部】経過報告 Vol.57
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2017年の3月に、東日本大震災により持ち主がわからなくなった写真や
物品の返却活動を行う団体「陸前高田市思い出の品」のVHSテープ2本を、
ワークショップを開催して洗浄しました。

団体は今年の11月でいったん終了を予定しており、預かっている品物の返
却を行っています。8月には東京でも返却会が行われ、ニュースにも取り上
げられていたようです。活動は団体のフェイスブックに紹介されていますの
で、以下をご参照ください。

■陸前高田市思い出の品
https://www.facebook.com/takata.omoide/

■今後の返却会の予定
http://www.city.rikuzentakata.iwate.jp/shisei/kakuka-oshirase/kikaku/omoidenosina/omoidenosina.html

7月には記録映画保存センター様で行われたフィルム所蔵調査の報告書の発
送で、災害対策部のチラシを同封していただきました。この場を借りて改め
てお礼申し上げます。

■調査報告のチラシ
http://kirokueiga-hozon.jp/activity-event/film-shozo-choosa

■作業の様子はこちらのブログに紹介されています。
http://ameblo.jp/kirokueiga-hozon/entry-12290488378.html

同じく7月には福岡・大分を中心に九州で大雨の大きな被害がありました。
被害にあわれた方々には心からのお見舞いを申し上げます。
災害対策部では、この豪雨災害で被災した映像資料(8ミリフィルム・ビデ
オテープ)の洗浄についてご相談を受け付けています。

映画保存協会災害対策部 http://filmpres.org/project/sos/
E-mail:sos@filmpres.org

各地で集中豪雨のニュースが続いています。水に濡れてしばらく時間が経っ
てからでも再生が可能な場合もありますので、どうぞご相談をお寄せいただ
ければと思います。(N)

■災害対策部チラシ
https://flic.kr/p/dE2EFE(表面)
https://flic.kr/p/dDWi7z(裏面)

●災害対策部ではボランティアを募集中!PCを使った作業です。
詳しくは以下をご覧ください。
http://filmpres.org/whatsnew/6017/

●災害対策部ではminiDVデッキ等の寄贈を受け付けております。現在受け付
けている物品は以下の通りです。ご協力をよろしくお願い申し上げます。
http://filmpres.org/project/sos/sos08/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§4.【連載レポート】映画保存関連のイベントに参加して(3)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
フィルム調査
2017年8月7日(月)、8日(火) 神戸映画資料館にて
--------------------------------------------------------------------
8月7日と8日に神戸映画資料館の映画フィルム調査に実習生として参加し
ました。
1日目は民間の現像所OBの須佐見成氏から35ミリと16ミリフィルムに
ついて、2日目は現役のフィルム技術者の方から8ミリフィルムなどの小型
映画の調査方法についてご教示いただきました。

実際にフィルム調査を体験して、フィルムが持つ情報量の多さに改めて気づ
かされました。その1つがエッジコードです。長年フィルムに触れている方
には当たり前なことかもしれませんが、私にはエッジコードからフィルムの
製作年を割り出せることは新鮮に思え、感心しました。エッジコードには似
たような記号の羅列が多く、混乱することもありました。

また、フィルムの缶や紙資料からも貴重な情報が出てくることが多々ありま
した。例えば、フィルムの冒頭にタイトルがない場合はそこから推測しまし
た。このような場合には調査表にある特記事項に細かく記入しました。他に
も特記事項にはフィルムの缶に記載れている日付なども記入します。

劣化状況の調査は褪色・カーリングなどの劣化をチェックして、AからDの
間で判断します。劣化の調査は非常に難しく、どう判断するか苦戦しました。
傷を総合的に見て、BかCのどちらにするかで迷うこと多かったです。今回
は1次調査だけでしたが、館長の安井喜雄氏や研究者の方が気になった作品
は2次調査に進みます。実習の休憩中には、須佐見氏から現像所のお仕事に
ついてもたくさん伺うことができました。

フィルム技術者の方からは、小型映画のコダカラーや9・5ミリなども見せ
ていただきました。どちらも実物を見るのは今回が初めてでした。コダカラ
ーは白黒フィルムですが、3色のレンズを通して映写するとカラーになる仕
組みには驚きました。小型映画の缶には凝った文字がデザインされた物もあ
り、持ち主の個性が見えるようで面白かったです。

フィルムの保存庫を見学することもできました。膨大な数のフィルム、ポス
ター、映写機などコレクションには圧倒されました。この中から幻のフィル
ムがたくさん発見されたお話は保存庫の見学を通じて納得できました。
保存庫の奥には薄いべニア板に描いた絵看板も数十枚保存されていました。
発泡スチロールで文字を立体的に表現していた「羅生門」の看板は何とも言
えぬ迫力がありました。

今回のフィルム調査を終え、もう少しフィルムの構造や基礎知識を増やすこ
とが必要だと実感しました。初日に須佐見氏からフィルムに関する資料をた
くさん頂いたので、現在は資料を参考に基礎から勉強を進めています。実習
で得たフィルムの知識以外にも、神戸映画資料館さんの素敵な魅力も知るこ
とができました。

須佐見氏をはじめ、館長の安井さん、支配人の田中範子氏、スタッフの皆様
にも大変お世話になりました。お忙しい中、貴重な体験をありがとうござい
ました。

(名古屋学芸大学 映像メディア4年 萩山祐毅)

≪神戸映画資料館≫ http://kobe-eiga.net

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§5.『映画よ音楽と共にあれ』無声映画伴奏者、世界を行く(その30)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
前回のメルマガでは2017年6月から7月にかけて、ダブリンとロンドン
で参加したイベントの模様を紹介しました。その後はイタリアのボローニャ
へ…復元映画の祭典に参加です!
--------------------------------------------------------------------
翌日は、このところ毎年参加しているボローニャ復元映画祭に向かいました。
到着した夜はマジョーレ広場でアベル・ガンス監督(『ナポレオン』の三面
映写で有名)の『鉄路の白薔薇』冒頭部分と、セルゲイ・エイゼンシュテイ
ン監督の『戦艦ポチョムキン』の当時のオリジナルスコアをオーケストラで
伴奏するという、これぞ復元!な上映。
往年の映像と音楽に今、立ち合っているという幸せ、復元の醍醐味を味わい
ました。

他にも1910年代の風景を映したキネマカラー作品やダグラス・サーク監
督作品のテクニカラー復元上映、フィルムアルヒーフ・オーストリアのニコ
ラウス・ヴォストリー館長の手回し映写機上映会など、年々選択肢が多くな
る映画祭に復元への関心がますます高まっているのを感じました。

映画祭がまもなく終了する7月1日に2プログラムを弾きました。

まずは1911年に撮られたエジプトの風景。想像できるエジプトの風景は
少なく、子どもたちや女学生たちが学校に通う姿、荒れる海など、撮影者の
意図もあるとは思いますがが、意外な映像が新鮮でした。

次はイタリアで見つかった日本映画『殉教血史 日本二十六聖人』(193
1年/日活/無声/65分/DCP、監督:池田富保)の4K復元版。
映画史家の小松弘さんが第二次世界大戦中に日活がムッソリーニに献上した
フィルムがあるとおっしゃっていたので、そんな経緯からイタリアで見つか
ったのかもしれません。

そして1897年に日本で撮られたリュミエール作品。なんと1995年、
私がデビューした時に弾いた映像で、懐かしくもあり、うれしい再会でした。
上映後はスイス・バーゼル大学のハンスマルティン・ジークリスト教授が、
スイスで撮影されたリュミエール作品(橋を通る人々を撮影した作品)を詳
細に分析し、一人一人の名前や職業まで解明され敬服しました。

翌日は再びロンドンに戻りました。1910年当時の建物で今でも営業して
いる唯一の映画館、赤い消火バケツも飾られている!エレクトリック・シネ
マ(電気館)を見学して帰国の途につきました。

(サイレント映画ピアニスト 柳下美恵 Yanahsita Mie)

≪ボローニャ復元映画祭(Il Cinema Ritrovato)≫
https://festival.ilcinemaritrovato.it/

≪エレクトリック・シネマ≫
https://www.electriccinema.co.uk/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§6.【映画保存見聞録 第38回】パリのオーファンズ報告5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
オーファンフィルム・シンポジウム(以下「オーファンズ」)報告も残すと
ころあと僅かとなりました。
.....................

5 フィッシング・ウィズ・ジョンの巻
.....................

前回書きましたように、二日目二つ目のセッションのハイライトは、旧ユー
ゴスラビアのチトー政権時代のニュース映画でした。

発表者は映画監督のミラ・テュライリック氏。
1953年に大統領となったチトーは東南アジアやアフリカの友好国を訪れ、
その模様をニュース映画として上映して宣伝に利用したのですが、テュライ
リック氏は当時撮影に使用された機材やキャメラマンへの直接取材を通して、
共産主義の理想と現実の狭間を丹念に探っていきます。この成果はいつか新
たなドキュメンタリー映画に結実することでしょう。
ちなみに、旧ユーゴのニュース映画は既にデジタル化されていますが、画面
比率が間違っているらしく、作業を全面的にやり直す必要があるそうです。

さて、いよいよ最終日。朝のセッションは「第二次世界大戦のアマチュアフ
ィルムとホームムービー」。英国の王立戦争博物館やサウスカロライナ大学
図書館MIRC所蔵のアマチュアフッテージが上映されました。後者は、米
兵が1944年のイタリア駐留時に制作したメロドラマ。手作り感満載の微
笑ましい内容でした。ニューヨーク大学大学院の学生が調査に乗り出し、制
作に関与した兵士たちの名前まで判別できるようになったそうです。

さらにインディアナ大学図書館の動的映像アーカイブ(IULMIA)(*
)からは、AMIA会議でも上映された巨匠ジョン・フォードの1940年
代のホームムービー。フォードは仲間を誘ってメキシコでドライブしたりカ
ジキを釣ったり。紺碧の海にジョン・ウェインの日焼けした肌、そしていか
にも映画スターらしい真っ白な歯がきらり!このフッテージはご遺族の許可
が必要で、どこでも上映できるというわけではないそうです。

*インディアナ大学図書館
動的映像アーカイブ(IULMIA)
https://libraries.indiana.edu/iulmia

8万点を超えるアイテムを所蔵し、2011年からFIAFにも加盟してい
るIULMIAは人手が足りず、10人以上のスタッフ増を計画中とのこと。
IULMIAディレクターでFIAF実行員としても活躍するレイチェル・
ストルチェ氏の締めの一言には心を打たれました。

「今日はたまたまセレブのホームムービーをお見せしたけど、誤解しないで。
私は無名の誰かから寄贈されたホームムービも等しく重要だと思っているし、
ペットの猫や子どもの誕生日の記録についても、話せというなら何時間でも
話し続けられるわよ」。

最後のセッションはオーファンズ全体のテーマでもある「テスト、トライア
ル、実験」。その前に、デンマーク映画協会/ヨーロッパ・シネマテーク協
会のトーマス・クリステンセン氏より「Project FORWARD」(*)の成果報
告がありました。詳しくは以下をご覧ください。つづく(K)

*Project FORWARD
http://project-forward.eu

オーファンフィルム・シンポジウム
http://filmpres.org/event/1022/

*第11回オーファンフィルム・シンポジウムの関連資料はすべて「映画保
存資料室」に所蔵されています。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§7. 光影流年―中国映画保存報告 第37回 
    台湾初!プライベートコレクションの映画博物館がオープン
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
台湾で初のコレクターによる映画博物館がオープンしました。台湾のニュー
スサイト「中時電子報」と博物館の公式サイトを元にまとめました。(天野)
--------------------------------------------------------------------
2017年7月28日、電影蒐蔵家博物館(FCM, Film Collectors Mus-
eum)が台北市の台北文創大楼にオープンしました。
この博物館は台湾の富邦グループの富邦文教基金会と台湾電影文化資産保存
協会が設立。フィルム、衣装、小道具やポスター等を収集するコレクターが
自分のコレクションを企画、展示するスペースです。
富邦グループといえば台湾最大級の金融・商業コングロマリットで、創業者
の蔡一族は台湾一の富豪とされています。その後ろ盾があるとは何とも羨ま
しい話です。

さて、この博物館は個人のコレクションを展示するのが特徴です。常設展示
として以下の3つが現在ラインアップされています。

台湾の映画史家、黄仁氏の「黄仁館」:黄仁のアーカイブ人生
大基影業の創始者、陳成昕氏の「大基館」:陳成昕の映画レンズ
映画衣装のベテラン、李衍宏氏の「金宏館」:李衍宏の映画衣装の世界
他に特蔵館:映画文物の宝箱があります。

映画史家、黄仁氏は台湾映画史を勉強する方なら知らない人はいないでしょ
う。金馬賞も受賞した台湾映画の評論家、映画史の権威で、90歳を過ぎた
今でも執筆を続けています。
博物館では黄仁氏のこれまでの業績を集めた「黄仁電影資料館」のアーカイ
ブコーナーを設置しました。

大基影業の創始者、陳成昕氏は1960年代に日本の揖斐川電気株式会社
(現イビデン株式会社)から映写用炭素棒の台湾代理権を取得し、映写機、
映画館の会社を経営。営業終了後は会社の跡地に大量の映写機用レンズや撮
影用カメラを集めており、博物館にはこれらのコレクションを展示していま
す。

また、映画衣装に携わって50年以上のキャリアを持つ李衍宏氏は、武侠映
画から台湾ニューシネマまで関わった衣装のプロです。2013年にリタイ
ア後、1万着以上に上る映画衣装が残り、これらの貴重な衣装が見られます。

こうした企画展示以外に、この博物館の特徴的な点は民間のホームムービー
や実験映画、写真のフィルム修復やテレシネを行うコーナーを設けた所です。
台南芸術大学映像芸術メディアセンターが技術協力するとのこと。民間に残
る映像を重要な歴史遺産と考える、この博物館の発起人でもある井迎瑞・同
大教授のお考えが反映されているようです。

博物館は入場無料ですが予約制、事前の申し込みが必要です。

博物館が入る台北文創大楼(ビル)は建築家・伊東豊雄が設計し、台北デザ
インの先端を行く今注目のスポット。台北市と富邦集団による半官半民の出
資で開発された施設で、誠品書店が運営するホテルや映画館も入ります。

台北文創大楼では時々、映画の野外上映も行われ若者を中心に人気を集めて
いるようです。こうした新旧文化のミックスは、そのエリア(または国)全
体の文化に対する意識を底上げしていく試みではないでしょうか。
文学やアートに関心を持つ若い世代が集まるこの空間に、新たに完成したこ
の博物館がどのような影響を台湾の人々に与えていくのか、その行方が気に
なります。(天野)

≪電影蒐蔵家博物館≫
http://www.fcm.tw/index.html ※中国語のみ

開館時間:月〜金の午前10時〜午後5時まで(土日祝は休み)
予約方法:参観希望日の1週間前までに、上記サイト右上の「予約参観」か
ら日時/参加人数/ガイドの要不要を入力してフォームを送信。
問い合わせ電話:(02)6638−5569#9

≪中時電子報の報道≫
人人的電影博物館!電影蒐藏家博物館盛大開幕
http://www.chinatimes.com/realtimenews/20170728005869-260410

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§8. FPSからのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□■第4回レストレーション・アジア、9月に福岡で開催決定!□■

2017年の福岡国際映画祭にあわせ、「Restoration Asia IV(第4回レス
トレーション・アジア)―失われたアジア映画の宝を求めて」が9月に福岡
で開催されます。

福岡市総合図書館でのバックヤードツアー、タイ初の35ミリカラー長編劇
映画『サンティとウィーナー』の上映とシンポジウム、また専門家によるア
ジア映画保存に関するレクチャーや事例紹介など、アジア映画の保存を知る
貴重な2日間です。

(プログラムの一部)
岡島尚志氏(東京国立近代美術館フィルムセンター)の基調講演
常石史子氏(フィルムアルヒーフ・オーストリア)の講義
柳下美恵氏の生演奏によるイタリアで見つかった日本映画『殉教血史 日本
二十六聖人』(1931年/日活/無声/65分/DCP、監督:池田富保)
の4K復元版の上映

プログラム詳細、料金が掲載されたチラシは以下からご覧いただけます。
https://restorationasia.org/wp-content/uploads/2017/08/0823_RA_A4.pdf

チケット購入はレストレーション・アジアのサイトからお申し込みください。
https://restorationasia.org/

日時:2017年9月23日(土)、24日(日)
主催:東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)
国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)
アジアフォーカス・福岡国際映画祭(FIFF)
福岡市総合図書館
国際交流基金アジアセンター

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§9. その他お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□■記録映画アーカイブ・プロジェクト 第9回ミニワークショップ□■

記録映画のアーカイブを活用して、映像を用いた多様な研究・教育の可能性
を再発見する連続ワークショップ(研究上映会)。
第9回目は、戦時期の日本で「文化映画」の話題作を手がけた芸術映画社の
作品を取り上げます。

「戦争を描かなかった『文化映画』――戦時期の芸術映画社の作品から」

日時:2017年9月29日(金)18:00〜20:30
場所:東京大学本郷キャンパス工学部2号館93B教室
http://media-journalism.org/access
定員:80名(当日先着順。定員になり次第、締め切り)

上映:『雪国』(1939年/38分)
   『或る保姆の記録』(1941年/35分)
お話:マーク・ノーネスさん(米ミシガン大学教授)
聞き手:森田典子さん(東京大学学際情報学府博士課程)

主催:記録映画アーカイブ・プロジェクト(東京大学情報学環丹羽美之研究
室)
お問い合わせ:記録映画保存センター(運営窓口)
Tel:03−3222−4249
Email: center_otoiawase★kirokueiga-hozon.jp(★を@に変換して下さい)

□■国立劇場9月特別企画公演「映像と語り芸 幻燈機が生んだ芸能」□■

東京の国立劇場で特別企画公演「映像と語り芸〜幻燈機が生んだ芸能」が開
催されます。
18世紀にオランダから伝わった幻燈機が日本の話芸と結びつき、新たな芸
能が生まれました。錦影絵、幻燈、無声映画と日本独自の芸能を楽しめる機
会です。

日時:2017年9月23日(土)午後2時/5時開演
場所:国立劇場 小劇場(東京都千代田区隼町4−1)

・午後2時開演 映像と語り芸の流れ
錦影絵 春朧花機巧に壁くぐるとは
幻燈 幻燈さまざま−明治から昭和へ−
無声映画 ちびっ子ギャング・ドッグ・デイズ、坂本龍馬
出演=錦影絵池田組(錦影絵)、片岡一郎(幻燈)、澤登翠(無声映画)

料金:一般 3500円(学生 2500円)

・午後5時開演 無声映画の夕べ
お話 無声映画の魅力
無声映画 大学は出たけれど、沓掛時次郎
出演=澤登翠、カラード・モノトーン(演奏)

料金:一般 2500円 (学生 1800円)

お問い合わせ(チケット購入等)
国立劇場チケットセンター(午前10時〜午後6時)
0570−07−9900
03−3230−3000[一部IP電話等]

インターネット購入
パソコンから  http://ticket.ntj.jac.go.jp/
スマートフォンから http://ticket.ntj.jac.go.jp/m

チラシは以下からご覧いただけます。
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_s/2017/920.html

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§10. 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§1.にも書いた「第12回映画の復元と保存に関するワークショップ」が
無事に終了しました。

実習・見学場所として貴重な機会をご提供くださった皆様、刺激的なワクワ
クする発表をしてくださった各スピーカーの皆様、常石史子様、三好大輔様
に御礼申し上げます。
また、いつもお世話になっているビデオ撮影の飯田定信さん、デザインの香
坂弓さん、今年もありがとうございました。

そして、ワークショップにご参加いただいた皆様、本当にありがとうござい
ました!270名近くの皆様が集まった電気通信大学の大教室を眺めながら、
最初は参加者、30名位だったよなぁとシミジミ…。映画保存は一人だけで
はできません。引き続き多くの方に関心を寄せていただけるよう、小会も頑
張りたいと思います。(天野)

最新のコメント