映画

『メルマガFPS』

映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

メルマガ情報

創刊日:2005-05-10  
最終発行日:2018-10-12  
発行周期:月刊  
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映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.155

2018/10/12

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§1.【HMD通信 第43号】第16回ホームムービーの日、迫る!
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2018年10月20日(土)はホームムービーの日、そして翌週27日
(土)はユネスコ世界視聴覚遺産の日です。
映画保存協会では世界視聴覚遺産の日を記念して、最新のスローガン、
「Your Story is Moving!」(映像、それは感動の物語)をあしらった〈ト
ートバッグ〉を制作し、配布いたします。非売品です。

ユネスコ世界視聴覚遺産の日〈トートバッグ〉
http://filmpres.org/whatsnew/9853/

こちらのトートバッグ(A4サイズ、やわらかいデニム地)は、HMDを1
0月中に開催し、開催記録を提出してくださった会場に先着順でプレゼント
いたします(在庫切れの場合はご容赦ください)。全国の世話人の皆さんは
、開催記録提出の際、お手数ですが封筒または送り状等に赤字で「トートバ
ッグ希望」と明記してください。

開催記録の提出に期限はありませんが、トートバッグをご希望の会場は「2
018年10月末日」までにご提出ください(当日消印有効)。
なお、提出をお願いしている開催記録の内容につきましては、下記のウェブ
サイトをご参考になさってください。

お問い合わせ先:hmd@filmpres.com ←ご意見やご質問も大歓迎です!
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「ホームムービーの日」最新情報
http://homemovieday.jp/
twitter @hmd_japan
FB https://www.facebook.com/hmdjapan/

第16回ホームムービーの日の全国チラシ
おもて面
https://www.flickr.com/photos/fps/44080817132
うら面
https://www.flickr.com/photos/fps/44080817412

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§2.【連載レポート】映画保存関連のイベントに参加して(16)
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「NFAJアーカイブセミナー ボーンデジタル映画の保存にむけて:学生
映画・大学篇」
会場:国立映画アーカイブ小ホール
日時:2018年9月22日(土)15:00〜16:45

今回のセミナーは学生や大学の授業で作られたデジタル映画をどう残してい
くかがテーマでした。

当時の会場は空席が目立ち、半分も埋まってない用に感じました。学生の姿
はほとんど見ませんでした。
同じ時間帯に長瀬記念ホールOZUで「ぴあフィルムフェスティバルアワー
ド2018」グランプリ作品の再上映があったので、そちらにお客さんが流
れたのかもしれません。

ここで言うボーンデジタル映画とは、デジタルで視聴することを前提に最初
から最後までデジタルデータの形式で撮影、録音、編集、上映をされた映画
のことです。
私も学生時代にデジタル映画を制作した経験があり、完成した作品はBlu-ra
yとハードディスクの中に保存してあります。

日本大学、東京藝術大学、日本映画大学の映画作りを専攻する3学科が中心
となり話が進みました。
各大学の保存方法は使える予算の都合もあるので、様々な特徴がありました。
作品だけでなく編集データ、撮影素材、録音素材など残す大学もありました。

また、大学以外での上映のことも考えている大学は決定稿の脚本と詳細なメ
タデータも残していました。海外の映画祭で字幕制作や作品紹介を制作する
時に役に立つようです。メタデータにはタイトルや上映時間以外にも、何十
年後も制作者の意図した方法で上映されるためにアスペクト比やフレームレ
ート、色域、色温度、音声フォーマットなど20項目以上が必要になってき
ます。

再編集の問題は興味深かったです。事例としては少ないと思いますが、優秀
な映画を外部で上映する際に再編集する場合があります。その際に編集ソフ
トがバージョンアップしたり、生産中止になってしまったらデータが読み込
めなくなり再編集することができません。そのために標準化された編集ソフ
トの使用やメディアのバージョン情報を記録として残していくなどの対策が
挙げられました。

デジタルで作られた映画はフィルムに焼いて残すことができれば良いかもし
れませんが、予算的に非常に難しいです。そのため、最低でも光学メディア
と磁気メディアの2つに残すことが望ましいそうです。それに加え1つの場
所に複数のメディアを保存するのではなく、別の建物や離れた場所に残すこ
とでデータ損失のリスクは低くなります。

今回のセミナーに参加して、デジタル映画をデジタルで保存することがどれ
ほど大変なことか再認識することができました。映画を制作する学生たちも
作ることだけではなく、自分たちの映画をどう残していくか真剣に考えるこ
とが必要でしょう。
大学側も映画製作と同等に映画保存の教育に力を入れてほしいです。今回の
セミナーは大切なテーマだったので、年に数回は同じテーマで開催すること
を望みます。(萩山祐毅)

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§3. FPSからのお知らせ
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告知:「サンチャイさんに聞く タイの映画保存とアート・シネマの現在」

ユネスコ世界視聴覚遺産の日を記念して公開予定!

映画研究者の中村紀彦さん(神戸大学大学院)は、2017年11月3日か
ら一ヶ月ほどタイ・バンコク郊外のサラヤにあるフィルムアーカイブに通っ
てタイ映画およびアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の調査研究をされ
ました。その際、あらゆる申請許可や調査の補助をおこなってくれたのが、
副館長のサンチャイ・チョーティロットセラニーさんだったそうです。

そして今回、中村さんがサンチャイさんのインタビュー記事を日本語/英語
で投稿してくださいました。

映画保存協会のウェブサイトにとって実に10年ぶりのインタビュー記事の
掲載になりますので、公開されましたらぜひご一読ください。

サンチャイさんに聞く タイの映画保存とアート・シネマの現在
http://filmpres.org/preservation/interview05/
※2018年10月27日頃公開予定です。

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§4.【映画保存見聞録 第44回】マダム川喜多の「扇子」外交
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国際フィルムアーカイブ連盟(FIAF)創設から21年後の1959年、
シネマテークフランセーズのアンリ・ラングロワは、FIAFを脱会するこ
とになります。

英国にはその年のストックホルム会議の議場を去るラングロワの様子を描い
たイラストが残されています。そのイラストを見ると、まるで「さらばFI
AF!」と捨て台詞を吐くかのように、ラングロワが日本の扇子をひらひら
させているのがわかります。これはおそらく、盟友の川喜多かしこから贈ら
れた扇子でしょう。

2017年3月にシネマテークフランセーズを訪れた際、偶然にも映画博物
館の奥では日本特集と題して、川喜多かしこや弘子ゴヴァース関連の貴重な
資料が展示されていました。そしてそこにもやはり、川喜多の古紫の和服の
隣りにかの扇子が並んでいました。

お土産に気を配るのはいかにも日本の(アジアの?)文化ですけれど、『回
想 小林勇』(1983年、筑摩書房)によると、川喜多が国際映画祭に発
つ前、必ず何本かの扇子にくちなしの花や芙蓉を描いてもらっていたのは、
岩波書店の小林勇だったようです。小林勇、画号は冬青(そよご)。岩波映
画製作所の創始者の一人でもあります。

話題が逸れますが、鎌倉には「冬青」というとても上品な和食のお店があり
ました。鎌倉行の楽しみの一つでしたが、残念ながら閉店。小林の旧宅(冬
青庵)は山梨県の清春芸術村に移築され、「素透撫」というレストランにな
っているそうです。内装を手がけたのは杉本博司。

さて、「きれいな女優さんにやって呉れ」という小林の要望叶って、実際に
川喜多とともに海を渡った扇子はミレーヌ・ドモンジョやカトリーヌ・ドヌ
ーヴといった銀幕のスターに手渡ったようですが、中には巨漢のラングロワ
に贈られた扇子もあったわけです。そんな扇子もまた貴重なノンフィルム資
料のひとつですね。(K)

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§5. 『映画よ音楽と共にあれ』無声映画伴奏者、世界を行く(その35)
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2018年6月23日から7月1日まで、イタリアのボローニャ復元映画祭
に参加しました。

(前回から続く)
6月25日は3プログラム5作品を弾きました。朝9時から“100年前の
映画”特集、アメリカの連続活劇『文化的な狼たち(全15話)』(191
8)です。

会場は、地下を掘っていたら偶然発見されたリノベーション中のモダニシモ
劇場。
実はこの劇場、映画祭の予告(CGで作った劇場完成図)を見て毎年楽しみ
にしてたのですが、なかなか完成せず、とうとう今年は完成途中の劇場で上
映することになりました。

天井が高く、教会のような音響で、連続活劇にはもってこいの劇場。偶然、
映画祭直前に横浜で連続活劇を弾いていたため、連続活劇は冒頭から盛り上
げると楽しいという経験から、オーバーアクション気味の伴奏で観客と一緒
に楽しみました。

お昼はマストロヤンニ劇場で“100年前の映画”特集のロシア映画を3本。
ディレクターが私の初日の演奏で不安になったのか、パーカッションのフラ
ンク・ボキウズとのセッションを提案、急きょ一緒に伴奏をすることになり
ました。
といっても1本目は事前に見ることは出来ず、その場で必死に見ながらの伴
奏でした。

作品はジガ・ヴェルトフ監督の『Kinonedelja no.4』(1918)と、詩人
のウラジーミル・マヤコフスキー監督・主演の『レディとフーリガン』(1
918)。他に『Zakovannaja fil'moj』(1918)。
マヤコフスキーはまるでパンクロックのミュージシャンのようで、すぐにで
も壊れそうな繊細さと暴力性を併せ持っていました。

夜は再びモダニシモ劇場で連続活劇。この日はモダニシモで気分が高揚して
いたからなのか、集中して弾けました。
さらにもう1つのご褒美が。宿泊していたホテルで知る人ぞ知るフランスの
巨匠、アルベール・カペラニ監督の息子さんと仲良くなったことです。
2011年に映画祭で大特集があって『椿姫』(1915/アメリカ)を弾
いた時に挨拶はしていたのですが、今回はその後も食事をご一緒したり、私
の伴奏する映画にいらしてくださったり。

以前に参加したドイツのボン無声映画祭では山岳映画の雄、日独合作映画の
『新しき土』(1937)でも有名なアーノルド・ファンク監督の息子さん
にもお会いしました。雲の上の映画人がぐっと身近になるのが海外の映画祭
の醍醐味かな?(続く)

(サイレント映画ピアニスト 柳下美恵)

・ボローニャ復元映画祭(IL CINEMA RITROVATO)
http://festival.ilcinemaritrovato.it/

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§6. その他お知らせ
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□■1930年代フィリピン在留邦人の生活記録を上映□■

記録映画アーカイブ・プロジェクト、第11回ミニワークショップで「フィ
リピン近現代史のなかの日本人−戦前の在留邦人の記録ー」が上映されます。

日時:2018年10月19日(金)18:00〜20:30
(開場は17:30)
場所:東京大学本郷キャンパス ダイワユビキタス学術研究館3F 石橋記
念ホール
https://sites.google.com/site/utacsorg2015/access

定員:125名(当日先着順・申し込み不要・参加無料)
※満員の場合はご入場できないことがあります。

このフィルムは、最近の記録映画保存センターの調査によって、大阪の民家
の蔵から見つかりました。
所蔵していた松井清衛氏は、戦前のフィリピンで日本商品を手広く販売して
いた大阪貿易株式会社(大阪バザー)創業者一族のひとりで、戦争末期にマ
ニラの市街戦で亡くなったとされています。

80年ぶりに発見された16ミリ白黒フィルム50本は保存状態も良く、現
地での商業活動の様子や在留邦人のスポーツ・娯楽など、当時のフィリピン
での日常生活が記録されていました。

今回は、この映画をフィリピン近現代史の専門家である早瀬晋三氏(早稲田
大学大学院アジア太平洋研究科教授)の解説により上映します。

お問い合わせ:記録映画保存センター(運営窓口)
電話:03−3222−4249
Email: center_otoiawase@kirokueiga-hozon.jp

□■柳下美恵さんから各種上映会のお知らせ□■

【その1】
京都国際映画祭2018−映画もアートもその他もぜんぶ−

日時:2018年10月11日(木)〜14日(日)
会場:大江能楽堂ほか

京都映画祭から続くサイレント映画上映が今年も行われます(サイレント/
クラシック映画)。
今年はお馴染みの喜劇映画に加え、明治150年を象徴する映画、トーキー
時代に作られた無声映画、京都ニュースなどバラエティに富む作品群を弁士、
音楽家が奏でます。

10月12日はロイド眼鏡がトレードマークの喜劇役者、ハロルド・ロイド
が眼鏡なし、チョビひげという出で立ちで演ずる『ロンサム・リュークの爆
裂映画館』と、代表作『要心無用』を喜劇映画研究会代表の新野敏也さんの
解説、柳下美恵のピアノ伴奏でお届けします。

詳しくは以下をご覧下さい。
https://kiff.kyoto.jp/film/

【その2】
国立映画アーカイブ開館記念 映画を残す、映画を活かす−無声映画篇−

日時:2018年10月16日(火)〜21(日)
会場:国立映画アーカイブ 長瀬記念ホール OZU
 
100年前と90年前に作られた世界各国の7本の無声映画に弁士の説明や
生伴奏を付け、公開当時の形態にできるだけ近づけて日替わりで上映します。
10月21日は連続活劇『吸血ギャング団』他でも有名なルイ・フイヤード
監督の大作『ぶどう月』を柳下美恵がピアノ伴奏します。 

詳しくは以下をご覧ください。
http://www.nfaj.go.jp/exhibition/nokosu-201804/ 

【その3】
第4回神楽坂映画祭2018 サイレント映画特集−活弁とピアノ演奏による
三人三夜−

とっておきのコメディやメロドラマを活動写真弁士の第一人者の澤登翠さん、
テレビでもお馴染みの山崎バニラさん、昨年も好評を得た柳下美恵が日替わり
で出演、ライブ上映します。
10月22日は永遠の少女=リリアン・ギッシュ主演の『真紅の文字』を柳下
美恵がピアノ伴奏します。

日時:2018年10月22(月)、23(火)、24日(水)
会場:ギンレイホール(東京・飯田橋)
上映作品:『肉体と悪魔』『キートンの蒸気船』『真紅の文字』他
     
詳しくは以下をご覧ください。
http://ginreihall.com/event/index.html

【その4】
第1回 生演奏(ライブ)付き 松山無声映画上映会−愛媛映画人編

日時:2018年10月27(土)、28(日)
会場:シネマルナティック(愛媛県松山市)
上映作品『狂った一頁』『御誂次郎吉格子』『国士無双』『浪人街』

愛媛出身の映画人、伊藤大輔、伊丹万作、井上正夫、三木稔が関わる映画を、
朝の連続テレビ小説『あまちゃん』のテーマソングでも有名な大友良英さんと
柳下美恵が弾き比べます。

詳しくは以下をご覧ください。
http://movie.geocities.jp/cine_luna/

【無声映画上映カレンダーはこちらから】
http://silentfilm.g.hatena.ne.jp/filmpres/

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§7. 編集後記
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9月号の発行が10月にずれ込みました。大変失礼しました。

中国で最初にベルリン国際映画祭の金熊賞を獲得した映画『紅いコーリャン』
(中国名『紅高粱』)が1987年の公開から30年、また制作した西安電
影製作所(西影)設立60周年をを記念して2K復元版が作られ、10月1
2日から中国で公開されます。

きっかけは、2012年に西影の倉庫で未公開フィルムやNGフィルムが大
量に見つかったことだそうです。
中国映画ブームを世界に巻き起こした名作映画がどのように復元されたのか、
大変興味があります。フィルムの発見は温故知新に繋がりますね。

§1.でお伝えした通り、10月は「ホームムービーの日」があります。家
や学校、職場に眠っているフィルムが新たな発見のきっかけになるかもしれ
ません。
「フィルムが手元にあるけど、上映して見てみたいなぁ…」ご興味がありま
したら、各会場の世話人までぜひご連絡ください!(天野)

お問い合わせ先:hmd@filmpres.com 

※「シリーズ小型映画研究」、「マラウイの視聴覚資料保存」と「光影流年」
今月号はお休みです。

最新のコメント

  • 名無しさん2009-10-18 22:16:56

    この時期にダム造りの映画を取り上げるセンスがとてもよいと思う。30年前、村を追われた人々やダムに期待をかけた人々のルポに興味を持ちます。行けるといいな。

  • 名無しさん2008-05-31 07:58:15

    とても示唆に富んだ内容で、まちづくり活動の仲間に知らせたい部分が多いのですが、転載禁止などと書いてあると、紹介しづらいです。商業目的ではない場合については、もう少し「みんなに伝えて」的なスタンスだと有難いのですが。