映画

『メルマガFPS』

映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

メルマガ情報

創刊日:2005-05-10  
最終発行日:2018-11-01  
発行周期:月刊  
Score!: - 点   

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

このメルマガは最新記事のみ公開されています。

映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.156

2018/11/01

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§1. FPSからのお知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
小会ではユネスコ世界視聴覚遺産の日を記念して「サンチャイさんに聞く 
タイの映画保存とアート・シネマの現在」を公開しましたが、このインタビ
ューの中でも話題になっているタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監
督が、なんと2018年のFIAF賞を受賞されることになりました。
おめでとうございます!

サンチャイさんに聞く タイの映画保存とアート・シネマの現在
http://filmpres.org/preservation/interview05/

さて今号では、ユネスコ世界視聴覚遺産の日を記念して制作したトートバッ
グを抽選で1名の読者にプレゼントいたします。柔らかいデニム生地に白文
字でスローガンやロゴがプリントされたA4サイズがすっぽり入る大きさの
バッグです。ぜひご応募ください。

《ご応募方法》
件名を「ユネスコ世界視聴覚遺産の日トートバッグ」として、本文に以下を
ご記入の上、info@filmpres.orgまでメールにてご応募ください。
※当選者の発表は発送をもってかえさせていただきます。

(1)お名前
(2)送付先ご住所
(3)ご連絡先メールアドレス
(4)「サンチャイさんに聞く タイの映画保存とアート・シネマの現在」
の感想

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§2.【マラウイの視聴覚資料保存】プロジェクト報告5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
この活動は2019年以降も続く現在進行中のプロジェクトであり、その多
くはまだ口外できないことが多いため、今後は不定期で報告する。

せっかくなので、プロジェクトと関係のないマラウイの話題を1つだけ提供
してお茶を濁したい。マラウイではあまりにもおかしな名前の人がいる。私
は直接会っていないが、例えば「Tooth blush」や「For example」という人
である。

「For example」という人の名前の由来は、母親が夢の中で神様にそう言われ
たからだという。しかし、よく考えてみると、神様は「For example」の次に
何か重要なことを言いたかったのではなないか。母親がそこで起きてしまった
ために、名前が「For example」になってしまったのではないか。

重要なことを伝えられなかった神様のことを思いながら、今日もプロジェク
トを進めている。(鈴木伸和)

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§3.【IASA2018年次会議 in ガーナ】参加報告1
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2018年10月1日から4日、IASA(The International Associati-
on of Sound and Audiovisual Archives)の第49回年次会議に参加したの
で報告する。開催場所はガーナの首都アクラにあるガーナ大学。現地の共催
はガーナ大学のアフリカ学研究所である。

年次会議は想像よりも小さな国際会議で、参加者名簿に登録されていた13
5名のうち、約半数は現地ガーナからの参加であった。
次に多いのはアメリカからの参加者18名。アジアからは中国、台湾、タイ、
インドからの参加者がいた。
予想に反してアフリカ大陸からの参加者は少なく、南アフリカ、ジンバブエ、
ケニア、マラウイのみであり、残りは欧州である。

ガーナで開催されたと言ってもアフリカ大陸は広いため、渡航できる予算を
もった近隣諸国のアーキビストは少数であることがうかがえる。南アフリカ
からの参加者はイギリス人であったことを考えると、ジンバブエから2名、
ケニアから1名の計3名しかアフリカ大陸内から参加できていないというの
は興味深い数字である。
マラウイから参加した4名は、筆者と一緒に参加した身内であった。マラウ
イから南アフリカまで2時間半、南アからガーナまで6時間のフライトがあ
り、アフリカ大陸内の移動は簡単ではないことがよく分かるだろう。

IASAと言えば、ウェブ上で閲覧できるビデオや音声資料の保存に関する
出版物が筆者には馴染み深い。フィルム保存ばかりに特化した日本にとって
は、貴重な団体と思える。
ただし、ビデオや音声資料は映画フィルムと異なり、保存をするためには再
生機器への依存が強いため、保存も利活用も結論は「デジタル化」となるこ
とが多い。そのことからも、IASAからは学ぶことが少ないと判断してい
る人もいるかもしれない。

IASAの名称にはSoundとAudiovisualが併記されており(Audiovisualに
Soundは含まれているにもかかわらず)、公式ウェブサイトには「the world’
s sound and moving image heritage」のケア、アクセス、長期保存を目的と
した団体と書かれている。
IASAが対象としているのは「音と視聴覚」なのか「音と動的映像」なの
か明確にされていないが、いずれにしても「音声資料」を重視している団体
だと言える。ガーナで行われた会議でも、半分程度は音声資料に関する講演
であった。

会議初日に行われた現地ガーナからの報告は、1つの歴史的事実から始まっ
た。ガーナ放送協会(GBC)Terrence Darko Danso氏の発表によると、1
935年に設立されたラジオ放送局「Station ZOY」を前身としているGB
Cは、1986年の火災が原因で所蔵していた「ほぼ全て」の資料を失った
という。

発表された火災後の写真には、見るも無残な建物と消失した映画フィルムな
どが記録されていた。ガーナ国内の国営放送局に保管されていた「音声・映
像」資料の多くは、劣化や再生機器などの問題ではなく、火災によって一瞬
で消失したというのは無視できない重要な指摘である。火災を経験して以降、
保存するべきデジタルデータはなるべくクラウドに保存しているという。

一方、ガーナ人のドキュメンタリー映画製作者であるAnita Afonu氏の発表
では、「ガーナ映画史」をテーマとしたドキュメンタリー作品「PERISHED
DIAMONDS」の一部が披露された。ガーナ国内に古い素材は残っておらず、イ
ギリスの現像所が保管していた素材をリサーチして見つけて使用したという。

作品内では、1964年に設立されたGhana Film Industry Corporationが、
1997年に123万米ドルでマレーシアのテレビ局に売却される話などが
描かれており、ガーナ映画の栄枯盛衰が垣間見える発表であった。(鈴木伸
和)

(次号へつづく)

【ご参考】
国際音声・視聴覚アーカイブ協会(IASA)会議
http://filmpres.org/event/1019/
ジャーナル紹介:IASA
http://filmpres.org/preservation/iasa/

ガーナ放送協会(Ghana Broadcasting Corporation)
https://www.gbcghana.com/home

「PERISHED DIAMONDS」(2012)監督:Anita Afonu
http://www.filmskillet.com/films/1274-perished-diamonds

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§4.光影流年−中国映画保存報告 第48回
   台湾の「世界視聴覚遺産の日」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
10月27日のユネスコ「世界視聴覚遺産の日」、日本でも国立映画アーカ
イブでの『2001年宇宙の旅』70ミリ上映で大変盛り上がりました。
一方、台湾の国立映画アーカイブ「国家電影中心」でも記念イベントが行わ
れました。その様子を同中心のホームページからお伝えします。(天野)
--------------------------------------------------------------------
視聴覚資料保存の重要性を世に訴えるため、ユネスコが毎年10月27日に
制定した「世界視聴覚遺産の日」。FIAF正式会員である国家電影中心は
今日(2018年10月25日)、世界視聴覚遺産の日記念デジタル復元の
成果発表、及び『空山霊雨』の上映会を開催した。

同中心の陳斌全執行長は、世界視聴覚遺産の日に関する2つの方面での活動、
すなわち収集と復元を挙げ、今年行った重要な収集として、光啓社(訳注:
台北にあるカトリック系映像メディア会社)が所有していた1960年から
90年代にかけて撮影された文化教育関連の16ミリ記録映画、また国家ク
ラスの手書き映画ポスター絵師、陳子福氏から寄贈された1000枚近い原
画手稿、頼成英監督(同:1931年生まれ。1950年代に大映や東京現
像所で現像を、円谷英二に特殊撮影や東映でアニメを学び帰台)寄贈の映画
撮影に使われた道具200件余り、片岡一郎氏からの『義人呉鳳』(同:日
本統治下の台湾で作られた千葉泰樹監督作品、1932)の16ミリフィル
ムなどの寄贈を紹介した。

また、原版がすでに無くなったとされていた『丁蘭廿四孝』(訳注:連燕石
監督のカラー作品、1960)が良好な保存状態で見つかった。これは完全
な状態で上映された、台湾で現像した台湾語カラー映画としては初となる作
品で、連監督の同意を得てデジタルスキャニングを行い復元。同中心はこれ
ら外部からの寄贈や貸し出しに感謝の意を述べ、同時に映像保存の切迫性を
訴えた。

映画復元については、今年国家電影中心はキン・フー(胡金銓)の『空山霊
雨』(1979)、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の『風が踊る』(1
981)、辛奇監督(同:1924年生まれ、日本大学で映画を学んだ台湾
語映画の著名監督)の『地獄新娘』(同:『地獄の花嫁』、1965)と
『難忘的車站』(同:『忘れがたき駅』、1965)、潘塁監督(1927
年生まれ、「台湾芸術映画の父」と呼ばれる)の『台風』(1962)等を
復元した。

成果発表の記者会見ではデジタル修復チームが『空山霊雨』の復元プロセス
を紹介、これは同中心が独自で復元作業を行った初のドラマ長編映画となる。

『空山霊雨』は同中心が持っていたコピーが120分、一方で、香港である
程度復元が進んでいた原版は90分しかなかった。
そこでこの映画の編集者、鐘玲氏に聞き取り調査を行い、120分版が最も
完成された「ディレクターズカット」であることから、無くなっていた30
分間を探し出し、最終的に同中心と香港、韓国にあった素材を使用した。違
う場所にあったフィルムのため画質はみなバラバラで、それが復元作業に困
難さを加えたが、今日こうして復元成果を展示できたことは非凡な意義を持
つだろう。

これ以外に、同中心は教育普及として台湾映画のゴッドファーザーとも呼ば
れる李行監督(同:1930年生まれ)の文物展を企画したほか、陳子福氏
のポスター手稿を整理後、図版と展示の計画を立てている。
また、同中心が長年力を入れている台湾語映画の研究が現在成果を出してお
り、まもなく中央研究院(同:台湾の国立アカデミー)と共同でネットサイ
ト「台湾映画デジタル博物館」を立ち上げ、広くこれらの知識を共有する。

--------------------------------------------------------------------
※上記は国家電影中心のホームページに掲載されたニュースリリースから一
部抜粋、翻訳したものです。
https://www.tfi.org.tw/News/NewContent?PageId=1212

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§5.【映画保存見聞録 第45回】全国コミュニティシネマ会議2018
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2018年9月下旬に山形を訪れました。小会は2001年以来、山形国際
ドキュメンタリー映画祭を僅かばかりお手伝いしてきたので、山形といえば
2年に一度は必ず訪れる街。しかし今回の目的はあまり馴染みのない「全国
コミュニティシネマ会議」というものでした。

ひとまず駅から老舗ジャズ喫茶オクテットに直行し、ゆったりした時間の流
れに浸ってから会場のホテルへと移動すると、ちょうど無声映画伴奏者の柳
下美恵さんによる地域映画の上映で会議の幕が開くところでした。そういえ
ば小会も過去に〈ホームムービーの日 HMD〉や〈文京映像史料館 BF
A〉の上映会に柳下さんをお招きし、地域映画に演奏を添えていただいたこ
とがありました。
なお、柳下さんによるとこの日の映写機は特別に速度可変に改造されたそう
です。

小会の出番は2日目の朝、分科会「(1)地域の映像アーカイブとその活用
について」。ここではHMD、BFA、災害対策部といった過去のボランテ
ィア活動の一端をご紹介しました。仙台で長年HMDを開催されている坂本
英紀さん(NPO20世紀アーカイブ仙台)はじめ、各地でご活躍の実務者
の皆さんとご一緒させていただき、光栄なことでした。

※地域映像アーカイブ活動については以下の書籍がとても参考になります。
『コミュニティ・アーカイブをつくろう!せんだいメディアテーク「3がつ
11にちをわすれないためにセンター」』奮闘記(晶文社/2018)

日本のHMDは、映画フィルムの長期保存の実現という本来の目的を見失い
つつ各地に広まっていきました。それは映画を作ることや見せることに驚く
べき情熱を注ぐ、いかにも日本らしい現象だったのかもしれません。志高い
上映者の年に一度の大規模な集いの場に混ぜていただき、新鮮な環境で2日
間を楽しく過ごす中で、そのことに気づかされました。

分科会では、とりわけ「(3)若年層の観客を開拓する―大学生・高校生と
映画館」や「(4)劇場の運営効率化を現場レベルで考えよう!」が盛り上
がったようです。小会が第1回から参加してきた「映画の復元と保存に関す
るワークショップ」では、ここまで具体的な議論の盛り上がりは見受けられ
ません。イベント全体の予算規模も比較にならないほど大きく、うらやまし
い限りです。

映画保存の領域の若い世代は、上映者の勢いに追いつけ追い越せ、未来に向
けて頑張ってほしいものです。今回、貴重な機会を与えてくださった全国コ
ミュニティシネマ会議の関係者の皆様に、心より感謝いたします。(K)

参考リンク:一般社団法人コミュニティシネマセンター http://jc3.jp

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§6. その他お知らせ
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
□■柳下美恵さんから各種上映会のお知らせ□■

【その1】
□■サイレント映画『第七天国』特別上映会□■
2018年11月16日(金)、明治大学現代フランス研究のお招きで同大
駿河台キャンパスにて、珠玉のサイレント映画をピアノ伴奏します。
700席の大ホール、スタインウェイ製のグランドピアノでの上映です。
申込不要、入場無料です。

日時:2018年11月16日(金)16:00〜18:30
会場:明治大学駿河台キャンパス アカデミーコモン3階 アカデミーホール
(東京都千代田区神田駿河台1−1)
※当日は、文学部の谷口亜沙子准教授とのトークの時間もあります。

詳しくは以下をご覧ください。
https://www.meiji.ac.jp/cip/info/2018/6t5h7p00000suey0-att/6t5h7p00000sueyk.pdf

【その2】
□■東京国際フォーラムで国立映画アーカイブの貴重な記録映像を上映□■

2018年11月19日(月)に東京国際フォーラム ホールD7(D1か
ら変更になりました)で「月曜シネサロン&トーク 東京150年−人々の
生活と風景−」を行い、ピアノ伴奏します。

『東京の四季』は、秋から夏までの四季と年中行事を上海事変後の時世とと
もに捉えた貴重な映像。『銀座新景』は個人映画作家・荻野茂二の眼から見
た都電、柳植樹祭などの銀座の風景です。

日時:2018年11月19日(月)15:00〜/19:00〜
会場:東京国際フォーラム  ホールD7
(東京都千代田区丸の内3−5−1)
上映作品:『東京の四季』、『銀座新景』
入場料:500円(ご入場の際にお支払い)

※当日は都市形成史家の岡本哲志さんの解説があります。
※各開催日前日までに申込み。空席がある場合は当日券も販売します。
※入場方法、チケットお申込など詳しくは以下をご覧ください。
 http://www.cinesalon.jp/

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
§7. 編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
10月の世界視聴覚遺産の日が広がりを見せています。今年(2018年)
は中国は上海で、香港でも映画の野外上映がありました。

上海では中国無声映画期のスター阮玲玉の人生や、映画から見る流行ファッ
ション、古いレコードを使ったプレゼンテーションがあったようです。上海
の場合、映画アーカイブの上海電影資料館と音楽資料を集める上海音像資料
館のコラボ企画ですから、内容が映像と音の両方に渡り幅広さを見せていま
す。娯楽では東洋一の歴史を持つ都市だと自認する、上海らしいイベントで
す。

https://www.thepaper.cn/newsDetail_forward_2572565

一方、香港は香港電影資料館の前で野外上映イベントがありました。195
8年の映画『正徳皇夜探竜鳳店』の上映です。これは同資料館が復元した広
東語オペラ。これもまた味わいのある映画です。その復元の様子は以下から
動画でご覧いただけます。

https://www.facebook.com/pg/VisitHKMuseums/posts/

香港はあまり映画修復の話題が見当たらず、どうしたものかといつも悩んで
いましたが、香港のテレビ局動画で映画復元の回を見つけました。香港でど
んな形で映画復元が行われているか垣間見ることができます。

http://www.rthk.hk/tv/dtt31/programme/830mag_2/episode/524736

4.のIASA年次報告にもありますように、少しずつ映画保存の動きは地
理的な広がりを見せているように思えます。まだ不十分ではありますが、小
さい動きでも大事にすれば大きな波に。映画をはじめとする視聴覚資料保存
は、まだまだ沢山の発展がありそうです。(天野)

※「シリーズ小型映画研究」は今月号はお休みです。

最新のコメント

  • 名無しさん2009-10-18 22:16:56

    この時期にダム造りの映画を取り上げるセンスがとてもよいと思う。30年前、村を追われた人々やダムに期待をかけた人々のルポに興味を持ちます。行けるといいな。

  • 名無しさん2008-05-31 07:58:15

    とても示唆に富んだ内容で、まちづくり活動の仲間に知らせたい部分が多いのですが、転載禁止などと書いてあると、紹介しづらいです。商業目的ではない場合については、もう少し「みんなに伝えて」的なスタンスだと有難いのですが。