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『メルマガFPS』

映画フィルムを映像文化財として考える「映画保存協会」のメールマガジンです。当会の活動や催し情報などについてお伝えしていきます。映画は時代を映す貴重な文化財!観る/作る以外の映画の楽しみ方にご興味がある方はぜひ!

メルマガ情報

創刊日:2005-05-10  
最終発行日:2017-10-31  
発行周期:月刊  
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映画保存協会メールマガジン『メルマガFPS』 Vol.144

2017/10/31

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§1.『映画よ音楽と共にあれ』無声映画伴奏者、世界を行く(その31)
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2017年9月23、24日に福岡で第4回レストレーション・アジア〜映
画の保存と修復をテーマとしたシンポジウム〜が行われました。レストレー
ション・アジアは東南アジア太平洋地域視聴覚アーカイブ連合(SEAPA
VAA)会議の分会で、この領域で著名なエイドリアン・ウッドさんが中心
となって運営していて、初の日本開催です。

初日の午前中は、福岡市総合図書館フィルムアーカイヴのバックヤードツア
ー、午後からはアジアフォーカス・福岡国際映画祭のプログラムの一つとし
て、キャナルシティにある映画館、ユナイテッド・シネマでタイ初の35ミ
リカラー長篇映画『サンティとウィナー』(1954)のデジタル復元版の
お披露目がありました。

その後、タイ・フィルムアーカイブのサンチャイ・チョーティロットセラニ
ーさんが1700時間かけて行った復元までの過程を発表、東京国立近代美
術館フィルムセンターの岡島尚志さん、インドネシアのフィルムアーキビス
ト、リサボナ・ラフマンさんも加わり、各国のフィルムアーカイブの取り組
みについてのシンポジウムが行われました。

映画祭の一環として上映されたこともあり、溢れんばかりのお客様。監督や
評論家とは違う復元という視点からの発言を注視してご覧になっていました。
『サンティとウィナー』は偶然見つかり、各国が連携して復元した道のりを
聞くにつけ、神からの啓示に思えます。

翌日は、福岡市総合図書館で岡島さんのユーモアを交えた基調講演の後、各
国のフィルムアーキビストの発表が続きました。その中でも印象的な発表は、
若い人たちに映画の復元と保存に興味を持ってもらうため、テレビCMを作
ったマニラ(フィリピン)のリオ・カアティグバグさん(ABS−CBNア
ーカイブズ)の話でした。
ABS−CBNの映画修復活動の一環でSAGIP PELIKULA(タ
ガログ語で映画保存の意味)キャンペーンを展開、映画スターや文化人にも
らったコメントをリズムよく編集、ポップな音楽にのせて見せる手法は、復
元や保存に興味のない人はもとより、コメントした映画人たちも喚起させる
ような素晴らしいものでした。こんな取り組みが日本でも出来たら…と柔ら
かな発想に感心しました。

その中で私は近年イタリアで見つかり4Kデジタル復元、今年のボローニャ
復元映画祭でお披露目された『殉教血史 日本二十六聖人』(1931)を
エイドリアンさんの解説の後に弾きました。
この作品は敬虔なカトリック信徒・平山政十が多大な資金を提供して制作し
た日活オールスター出演の3時間近くの大作で、フィルムセンターにも日本
語と英語の中間字幕のある2バージョンのフィルムが残されています。

イタリアで見つかった版はイタリア語字幕でフィルムセンター版と編集と上
映時間が違っています。ちょうど先ごろフィルムセンターの特集上映「シネ
マの冒険 闇と音楽」で弾いた衣笠貞之助監督のアヴァンギャルド映画『十
字路』(1928)もイギリスで発見された版。将来、残存するフィルムを
検証し、公開当時により近い映画が出来あがることを望むばかりです。

終了後は福岡の街が一望できる福岡タワーの最上階で交流会に参加し、中身
の濃い二日間を過ごしました。

Restoration Asia IV(第4回レストレーション・アジア)
https://restorationasia.org

ABS-CBN Film Restorationについてはこちらの動画もご参考ください。
「Kapamilya Stars on Film Restoration」
https://www.youtube.com/watch?v=EGMzcOlUugE

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§2.【連載レポート】映画保存関連のイベントに参加して(5)
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2017年9月22日から10月20日の間、毎週金曜日に実施された「デ
ジタルリマスター人材育成事業」に参加しました。今回はその感想をお伝え
します。
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「デジタルリマスター人材育成事業」は京都メディアクロスパーク推進会議
が主催している事業の一つであり、フィルムアーカイブに関係する内容でも
あります。1日目は京都文化博物館さんで講義とフィルム収蔵庫の見学があ
りました。

初めの講義では、IMAGICAウェストの社員の方からフィルムの基礎知
識やLTOについて学びました。また、京都文化博物館の大矢敦子氏から京
都とフィルム・映画の関係性についてのお話もありました。
講義後には京都文化博物館さんのフィルム収蔵庫を見学することができまし
た。フィルムの収蔵庫は地下にあり、その上のロフトにはノンフィルム資料
が保存されていました。

フィルムの収蔵庫に入る前に、収蔵庫は宝くじ収益金からの助成で作られた
という説明がありました。収蔵庫には前室があり、室内の壁面は木材で作ら
れていました。木材は室内の湿気を取る役割があるため採用されていました。
室内は5℃と非常に寒く、フィルム缶は間隔をあけて棚に置いてありました。
フィルム缶を開けると専用のビニール(ショーレックス)に入ったフィルム
の上に乾燥剤が置いてありました。収蔵数は約900作品があり、フィルム
だけではなく、音声が収録されたカセットも収蔵されていました。

ロフトには映画ポスターなどのノンフィルム資料と、伊藤文庫と呼ばれるコ
ーナーがありました。伊藤文庫とは伊藤大輔監督が趣味で収集されていた雑
誌が集められていたコーナーです。
雑誌のジャンルは映画以外にもカメラ、科学、釣り雑誌などもありました。
雑誌は伊藤監督の奥様から寄贈頂いたものでした。
その他、ノンフィルムには映画会社の記念写真も保存されていました。これ
らの資料室は一般の方は立ち入り禁止で、学生や専門家が研究に必要な時だ
け入ることができます。

最後に参加者との交流会もありました。参加者は私を含め10名でしたが、
主催の方々ともお話することができました。参加された皆さんはフィルムや
映画保存に興味がある方々ばかりで、興味深い話をたくさん伺うことができ
ました。京都メディアクロスパークの今後の活動にも注目していきたいです。

名古屋学芸大学メディア造形学部映像メディア学科4年
萩山祐毅

《京都府「デジタルリマスター人材育成事業(京都フィルムリマスターズイ
ンキュベータ)の御案内》
http://www.pref.kyoto.jp/sangyo-sien/news/remaster.html

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§3.【マラウイの視聴覚資料保存】プロジェクト報告3
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報告が2カ月ほど途切れたが、今回はマラウイ国立公文書館(NAM)で保
管している視聴覚資料の現状を報告する。

NAMはマラウイ共和国の観光・野生生物・文化省に属している。主要オフ
ィスと保存庫はゾンバにあり、地域記録センターとしての支所はリロングエ
とムズズにもある。主要業務は公文書等の収集・保存・公開であり、主に紙
資料(本、政府発行の資料、新聞等)を保存している。アクセスは目録カー
ドから探す方法と、ライブラリアンに問い合わせる2つの方法がある。

視聴覚資料(写真・フィルム・ビデオ・音声)も保管しているが、アクセス
に対応できるほどカタロギングがされていないため、基本的には公開されて
いない。

職員数はゾンバに14名おり、収集・保存担当と公開担当に部署は大きく分
かれている。各支所にも数名のアーキビストが勤務しているそうである。
一方、マラウイ国立図書館は1980年に設立されたため、それ以前に国内
で出版された本や文献は未だにNAMに保管されているという歴史的背景が
ある。そのため、NAMの公開担当の職員はライブラリアンと呼ばれている。

NAMに視聴覚資料担当の職員はいないが、ブライトという保存担当が1人
で兼任している状態である。映画フィルムは約1100缶(各缶10分〜3
0分)が保管されており、その多くは1960年代〜70年代のマラウイ政
府が製作した16ミリ・ポジフィルムの記録映画、ニュース映画である。
保管している場所は保存庫ではなく、主要オフィスの入り口とトイレ前の通
路であり、温湿度管理はされていないが窓が多いため酢酸臭は常に換気され
ている(意図的に換気の良いところに置いている)。

通路の温湿度を3日間計測した所、日中で平均摂氏30度、相対湿度40パ
ーセントであった。温度変化は激しく、明け方は20度近くまで下がる(1
1月の雨季の始め)。
同じ建物内でクーラーを設置してある部屋は摂氏24〜25度、相対湿度3
0〜40パーセントで維持されている。
筆者が100缶ほどの映画フィルムを調査した限りでは、約半分ほどのフィ
ルムはビネガーシンドロームによって激しく劣化しており、視聴することが
難しい状態であった。
 
ビデオテープはVHSが約350本あり、MiniDVは本数不明だが数百
本あると思われる。VHSは再生デッキがあるため現在デジタル化を進めて
いる。
このデジタル化作業については、2016年にグアムで開催された東南アジ
ア視聴覚アーカイブ連合(SEAPAVAA)の年次会議にて、国立台南芸
術大学が開催したワークショップにブライトが参加をしてビデオテープ
のクリーニング・補修方法を学んだことがきっかけであった。
たった一日のワークショップでも彼ら(もしくは彼らの国)にとっては貴重
な機会であったことはここで強調しておきたい。

音声資料はLPとEPが100枚ほどあり、1950〜70年代のマラウイ
の伝統音楽やラジオ放送を記録したものだという。その他に多いのが6ミリ
オープンリールであり、正確に数えていないが5000本以上(ダンボール
数百箱)はあると思われる。
これらは1950〜70年代に録音されたマラウイの伝統音楽や政治家の演
説等であり、映画フィルムと並んで早急に保存のためのケアが必要な資料で
あると考えている。ただし、2〜3割は既に再生が困難なほど劣化が進行し
ていた。

この他に印画紙にプリントされた白黒写真が約600枚ある。20世紀初頭
から70年代までに撮影されたもので、既にデジタル化されているため様々
な場所や媒体で同じ写真を目にするが、オリジナルのネガフィルム(もしく
は乾板)がどこにあるのかはまだ把握できていない。

このように、マラウイ共和国の国立公文書館には様々な視聴覚資料があり、
そしてそれらが忘れられたまま劣化し続けている状況が理解できるだろう。
今年、レイ・ファンデーションの協力によって新しい保存庫として使用可能
な部屋にエアコンを設置することができた。そして来月(2017年11月)、
資料を一定の温湿度で管理し、カタロギング作業を行う予定である。
(鈴木伸和)

[ご参考]
Rei Foundation Limited
http://reifoundation.com/project/preservation-and-rehousing-films

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 §4.【映画保存見聞録 第39回】パリのオーファンズ報告6
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オーファンフィルム・シンポジウム(以下「オーファンズ」)報告の最終回
です(メルマガ8月号からの続きです)。
.....................
6 怒涛の最終日の巻
.....................
最後のセッションはオーファンズ全体のテーマでもある「テスト、トライア
ル、実験」。再びポーランド国立フィルムアーカイブより、クシシュトフ・
キェシロフスキ監督の初期短編ドキュメンタリー『Klaps』(1976)の
アウトテイク、そしてNY大学より、セネガル出身の映像作家/歴史家ポラ
ン・ヴィエイラがパリの高等映画学院に留学していた1950年代の16ミ
リ作品が上映されました。YouTubeでも視聴可能です。

C'ETAIT IL Y A QUATRE ANS
https://www.youtube.com/watch?v=dig_1W9HLDM

そして常連のアンソロジー・フィルムアーカイブズからはアーティスト、バ
ーバラ・ルービンの紹介。アンソロジーのルーツでもある「フィルムメーカ
ーズ・シネマテーク」関連資料も披露され、中でもベルベット・アンダーグ
ラウンド初のマルチメディア・ショーのフライヤには鳥肌が立ちました。

スミソニアン協会「国立アフリカ系米国人歴史文化博物館」は、1940年
代から50年代にかけて存在した「American Negro Theatre」の宣伝映画、
再登場のIULMIAは、P・ボグダノヴィッチ監督『おかしなおかしな大
追跡』(1972)や『ペーパー・ムーン』(1973)のNG集、そして
メキシコ国立フィルムアーカイブは1930年代のフッテージを上映。

ホストのシネマテークフランセーズは、1928年のゴーモン社とピーター
セン&ポールセン(後のオルトフォン創設者となる二人)による音の実験フ
ィルムを再現。著名なピアニスト、ヴィクトール・ジルがショパンのノクタ
ーン第1番を演奏するのですが、トラックの見た目は寿司桶に入っているギ
ザギザのバラン形状で驚きました。

大トリは、アンソロジー所蔵フィルムをマイルストンフィルムが復元したシ
ャーリー・クラーク監督『 In Paris Parks』(1954)。
パリで撮影されたこの米国映画の上映をもって、オーファンズは華やかに幕
を閉じました。

大統領選の結果を受けてカナダ移住まで検討されているというマイルストン
フィルムのお二人、どうにかNYにとどまって、これからも米国の文化の多
様性を世界に知らしめてほしいものです。

日本には残っていない類の貴重資料に魅了された一方、日本にも残っている
けれど注目されていないような資料が手厚い保護を受け、復元され、有効活
用されている状況に、映画の文化的な位置づけの違いを再認識させられまし
た。日頃から海外事情に疎く緩みがちな感覚を、オーファンズで少し調律す
ることができたかもしれません。

補足1
後日、マイルストンフィルムのデニス・ドロス氏が動的映像アーキビスト協
会の新しい会長に選出されました。

補足2
次回の第11回オーファンズは米国に会場を戻し、2018年4月11日か
ら14日までミュージアム・オブ・ムービング・イメージにて開催されます。
テーマは「愛」。ロマンス、メロドラマ、ポルノ、結婚式や新婚旅行のホー
ムムービー、我が子への愛情、そして映画への「愛」を皆様もぜひ持ち寄っ
てください。
http://filmpres.org/event/1022/

補足3
本連載の初回(今年3月の138号)でも触れたように、第10回オーファ
ンズはパテ財団の無声映画施設等、複数の会場を使った第5回国際復元映画
祭(世界の全ての記憶)と同時開催され、参加者には映画祭のフリーパスが
配布されました。『飛ぶ魚事件』(1916)と『THE LAST OF THE
INGRAMS』(1917)――コカイン中毒とアルコール中毒映画の二本立!
――など、生演奏付の無声映画上映も企画されていました。その一部が広島
で上映されるそうです。詳細は「その他お知らせ」をご覧ください。

*第10回オーファンフィルム・シンポジウムの関連資料はすべて「映画保
存資料室」に所蔵されています。

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§5. 光影流年―中国映画保存報告 第39回 
       多くのコレクター、問題…映画フィルムは人気のコレクションに
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中国では絵画や骨董のオークションが各地で開かれ、ニュースの話題になる
ほど高値で取引されることも。一方で、中国では古い映画のフィルムも多く
のコレクターが狙う一品です。しかし様々な問題も存在します。今回は中国
の映画フィルムコレクション事情をお伝えします。(天野)
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多くのコレクター、多くの問題 古い映画フィルムは人気のコレクションに
(北京青年報、2017年8月13日 実習生記者:張鵬禹)

2016年10月、中国で最も早くに建てられた映画フィルム専門の現像所、
上海電影技術廠の最後の作業ラインが閉鎖した。120年あまり使われて来
た映画フィルムは中国で今ここに歴史となったのである。同時に、古い映画
フィルムは新たな人気コレクションにもなった。

映画フィルム(コピー)がオークション市場に出るようになったのは、ここ
最近数年のことだ。2013年5月13日、北京のホテル、グランドミレニ
アム北京で行われたオークションで『満州熱河戦争』のフィルムが出品され、
2万元(訳注:1元は約17円=2017年10月現在)から始まった価格
は最終的に3万6800元で落札された。
長年、古い映画コレクションを研究してきた上海音像資料館のキョウ偉強デ
ィレクターよると、彼が見て来た限りでは、これが最初に国内のオークショ
ン市場に出た映画フィルムだという。
2014年11月23日のあるオークションでは「1930年代に撮影され
た張学良(訳注:中華民国時代の軍人で政治家。中国東北部の軍閥、張作霖
の息子)のドキュメンタリーフィルム」(35ミリフィルム1本と、8・5
ミリフィルム2本、原文ママ)が出品され、50万元という高値からオーク
ションがスタートした。

映画フィルムのコレクションが人気となったその特徴として、コレクターの
主体の多様化が挙げられる。官から民間へ、中央から地方の博物館や資料館
へと、色々な組織が古い映画フィルムのコレクターとして加わったからだ。
中国電影資料館は国内で唯一の国立映画資料館だ。同資料館収集整理部の林
思偉主任は「2016年末までに資料館で収蔵している映画フィルムのコピ
ーは3・3万件を超え、26万本近くあります」と紹介した。また、どのよ
うな素材が収蔵されるかについては「資料館にまだ無い資料で、各種のフィ
ルム、各規格のフィルムを主に集めています。正規の映画製作所がリリース
した映画はもちろん、プライベートフィルムでも珍しい内容ならどれでも集
めます」と話した。

キョウ氏によると、国家博物館でも現在のフィルムやビデオに収蔵の門戸を
開いており、その中には楊虎城(訳注:中華民国期の軍人。張学良と共に西
安事件の主導者とされる)の孫が寄贈した、上海明星影片公司が1930年
代に撮影したフィルムもあるという。楊虎城が閲兵している様子、陜西省の
風景、宋子文(訳注:中華民国期の財界人。宋慶齢ら宋家三姉妹の兄弟)と
中国西北地域を視察する3つで構成されたフィルムだ。

図書館や独立系の書店、学術研究機構や民間のコレクターも映画フィルムを
集めている。浙江大学歴史文化院の公衆史学研究中心は文献と映像資料を対
照しての研究で大きな成果を挙げているほか、民間でも洛陽百年留声博物館
を個人が設立するなど、古い映画フィルムのコレクションは充実しつつある。

「マルチメディア時代の到来により、動的映像はますます人々の関心を引く
のです。例えば張学良の抗戦演説など、ネットにある一部の歴史映像資料の
PVはとても多く、これは映画フィルムのネットワーク需要がとても巨大だ
と言うことを説明しています」とキョウ氏は語る。

キョウ氏はまた、1949年以前の中国を取り上げた現存フィルムの数は少
ないと指摘する。不完全な統計ではあるが、1949年以前に中国の組織や
個人、または外国の組織や個人が撮影した中国をテーマにした各種フィルム
の3分の2は既に失われたとされ、文献や目録にしか記録されておらず、現
物の映像が見られたことが無い。
また、国がフィルムそのものを重視しているとは言え、映画フィルムが重点
文物に指定されたことはなく、キョウ氏は「一部の、一つしかないフィルム
は指定されるべき。国は相応の規約制度を決めてフィルムを重点文物に指定
することが必要です。これはフィルム保存にとって大きな助けになるでしょ
う」と話した。

映画フィルムは一種の消耗品だ。その利用寿命には限界があり、適切な湿温
環境下での保存がベストだ。洛陽百年留声博物館の張建洛館長によると、映
画フィルムは500回前後上映すると画質がはっきりしなくなるという。ま
た、早期の可燃性フィルムは自然発火してしまうため、一定の湿温管理がな
された保存環境を作ることは、民間コレクターにとっては高い壁となってい
る。

古い映画フィルムの流通についてキョウ氏は4つの面を挙げた。
一つは写真フィルムに比べて流通量が少ないこと。主な入手先はオークショ
ンか古玩城(訳注:骨董市場)であり、毎回オークションに出品があるわけ
ではない。
二つ目は買う人が少ないこと。技術面の制限から多くのコレクターは映写機
を持っておらず、買う人が少ない。
三つ目は価格が非常に安いこと。基本的に数千から1、2万元の間で取引さ
れる事が多く、1万元を超えるものは少ない。低価格は保存という点から言
えば不利である。あるフィルムは売れないために破棄されたり、映画フィル
ムの乳剤に含まれる銀だけ取って本体を捨ててしまうことも少なくない。
4つ目は現在の取引方法が「打悶包」式(訳注:実物を見ないで取引する方
法)が中心で、購入前は少しの図と簡単な文字紹介しか情報が無く、実際の
映像を見ることができない。しかし、もしサンプル動画を作って売ればお客
の興味を引くことができるだろう。
また、多くの組織が国家予算を使っているため、実際に映像を見ないで物に
手を出すことを控えてしまうなど、これらがフィルムを売りにくい理由の一
部となっている。(了)
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※上記は中国のニュースサイト新華網に掲載された北京青年報の記事から一
部抜粋、翻訳したものです。元記事は以下からご覧いただけます。
http://news.xinhuanet.com/fashion/2017-08/13/c_1121466177.htm

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§6. FPSからのお知らせ
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□■日本映画テレビ技術協会、アーカイブをテーマに記念シンポを開催□■

一般社団法人日本映画テレビ技術協会は創立70周年記念特別企画、MPT
Eアーカイブシンポジウムを開催します。
映画、放送、インターネットの作品や番組をどのように「アーカイブ」保存、
活用するのか、各界からの提言と議論を展開します。

日時:2017年11月13日(月)14時〜18字(受付は13時30分)
場所:富士フイルム株式会社 西麻布本社1階ホール
(東京都港区西麻布2−26−30)
料金:日本映画テレビ技術協会の個人会員は無料。法人会員は2名まで無料。
※学生は無料です。非会員は4000円。
※シンポジウムの後、講師を交えての懇親会(会費4000円)を開催しま
す。

詳細、お申し込みは以下のサイトをご覧ください。
https://mpte.securesite.jp/information/2017/archive-201711.html#form

□■日本映画テレビ技術協会の機関誌をメルマガ読者にプレゼント!□■

日本映画テレビ技術協会の機関誌「映画テレビ技術」最新号を当メルマガの
読者5名の方にプレゼントします!

ご希望の方は、お名前(フルネームでお願い致します)/郵便番号/送付先
ご住所/連絡先メールアドレス/メルマガFPSへの簡単なご感想を明記の
上、こちら(info@filmpres.org)までご応募ください。
なおメールのタイトルは「メルマガFPS11月号、映画テレビ技術希望」
でお願いいたします。
(当選の発表は機関誌の発送をもってかえさせていただきます。)

□■小会メーリングリストをhotmailで登録されている方へ(お願い)□■

小会の一般メーリングリストの投稿が「@hotmail.co.jp」宛のメールアドレ
スに届いていないようです。
お手数ではございますが、hotmail.co.jpでご登録されている方は、別のメ
ールアドレスで再登録していただけますよう、お願い申し上げます。
お手数をおかけいたしますが、何卒よろしくお願いいたします。
≪お問い合わせフォーム≫ http://filmpres.org/mailinglist/

□■(継続)被災したメキシコのフィルムアーカイブへご協力を!□■

当メルマガの先月号でもお伝えしましたが、2017年9月19日、メキシ
コ中部でマグニチュード(M)7・1の地震が発生し、大きな被害が出まし
た。
この地震で被災したメキシコ・テポストゥランのフィルムアーカイブが所蔵
フィルム救済とフィルムアーカイブ再建のため支援を求めています。

下記のサイトで寄付を継続募集中です。貴重な資料を一日も早く守るために
皆さまのご協力をお願いいたします。

Help Permanencia Voluntaria!
https://www.gofundme.com/recadaucion-para-baticine

(ご参考:写真がご覧いただけます)
Mexican Film Archive Struck by Major Earthquake
http://www.movingimagearchivenews.org/mexicos-only-independent-film-archive-struck-by-major-earthquake/

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§7. その他お知らせ
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□■神楽坂映画祭2017 ギンレイ♪ピアノ映画祭 ギンレイホールにピ
アノがやってくる!□■

今年の「神楽坂映画祭」はギンレイホールにピアノを常設することを記念し
「ピアノ映画祭」を開催します。
映画とピアノの関係は古く、サイレント映画の伴奏音楽として映画が誕生し
た時から用いられ、トーキー以後も映画音楽として数多くのピアノの名曲が
映画ファンの心をつかんできました。
ピアノを愛する人たちの、ピアノを愛する人たちへ贈る、ピアノ愛に溢れた
映画をぜひお楽しみください。

◆ピアノ映画の特集
◆特別企画1:矢野顕子さんのレコーディング風景をドキュメントした「S-
UPER FOLKSONG 〜ピアノが愛した女。〜」上映
◆特別企画2:柳下美恵さんのピアノ伴奏によるサイレント映画の名作を連
日日替わりで上映

日時:2017年11月11日(土)〜11月17日(金)
場所:飯田橋ギンレイホール(新宿区神楽坂2-19)
上映作品:『戦場のピアニスト』『シーモアさんと、大人のための人生入門』
『生れてはみたけれど』ほか

上映作品やスケジュール、料金など詳細はHPをご確認ください。
http://www.ginreihall.com/schedule/schedule_171111.html

※チケットは10月20日(金)より販売中。
※映画祭期間中、飯田橋ラムラ1Fエントランスホールにて“映画大ポスタ
ー展”を開催

※お問い合わせ 飯田橋ギンレイホール tel:03-3269-3852

□■シネマテークフランセーズの国際修復映画祭の一部を広島で上映□■

フランスのシネマテークフランセーズが『世界の全ての記憶』と題して開催
している国際修復映画祭の一部作品が広島国際映画祭で上映されます。
この映画祭で、シネマテークフランセーズが修復した希少なフランス映画に
無声映画伴奏者の柳下美恵さんがピアノ演奏します。

11月25日(土)広島市映像文化ライブラリー
http://hiff.jp/archives/3597/ 

また、11月26日(日)には「伴奏ワークショップ〜無声映画伴奏者にチ
ャレンジ!〜」を開催!
小学生を対象に、みんなで考えた音楽を短い無声映画につけるワークショッ
プです。
日時:11月26日(日)10時30分〜16時30分
場所:広島市映像文化ライブラリー1階試写視聴室

申し込み:先着順。電話か同ライブラリー窓口までお申し込みください。
締め切りは11月17日です。
http://www.cf.city.hiroshima.jp/eizou/

【映画館にピアノを!】
「映画館にピアノを!」では、国内外のピアノ常設館を探しています。出逢
ったら柳下美恵さんのメールアドレス( mieyanashita★gmail.com )まで
ご連絡ください(★を@に変換して下さい)。

以下のサイトに国内外のピアノ常設館をまとめています。ぜひご覧ください。
http://filmpres.org/whatsnew/8469/

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§8. 編集後記
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東京国立近代美術館フィルムセンターで2017年のユネスコ「世界視聴覚
遺産の日」記念イベント「特別上映会 甦る70mm上映『デルス・ウザー
ラ』」があると聞き、雨模様の中出かけました。

午後4時の回の整理券を求めて午前11時前に到着したところ、すでに長蛇
の列!黒澤明の名作、しかも70mmフィルムでの上映(フィルムセンター
での70mm上映は初めてだそう)とあり、新聞等にも取り上げられたそう
で老若男女、多くの方が列に並んでいました。
超満員の会場で初めて観た『デルス・ウザーラ』は絵画のような色遣いで、
70mmフィルムの偉大さが目に染み入るような美しさでした。

というのも、上映前にフィルムセンターのとちぎあきら氏からレクチャーが
あり、今回の上映のために大型フォーマットを知るスタッフがフィルムを検
査・確認し、またそれが終われば1巻13キロもある映画をオッチラ上げ下
げして上映チェック…そうした専門家の苦労があってこそ、フィルムに記録
された美しい映像がスクリーンに再現されるのです。
これを将来も何度も再現させるには、物理的にフィルムを残す以外にこれを
再現できる専門家の確保も必要です。映像文化の継承に何一つ欠けてはいけ
ない要素をこの特別上映で体験できたと思います。

また、お隣中国の上海でも、世界視聴覚遺産の日を記念したイベントが行わ
れていたようです。
10月27日、上海音像資料館と上海電影資料館の共催で映画フィルムの収
集・修復の最新成果発表として、一般上映と学術討論会が開かれました。
上映されたのは、1946年に撮影された短編ニュース映画『通向印渓之橋』。
現在の江蘇省太倉市沙渓鎮をアメリカの某団体が撮影したフィルムですが、
これがなんと1949年(中国建国)以前に中国の田舎を撮影した、中国国
内で発見された物としては唯一のカラーフィルムだとか。
また、改革開放が始まった1973年の上海を写した記録映画や、当メルマ
ガ140号でもお伝えした上海電影資料館の復元による中国初のスパイ映画
『405謀殺案』も上映されました。

一方で、大変な苦難の中、フィルムを保存している所もあります。スーダン
のナショナルフィルムアーカイブです。
アルジャジーラが記事と動画を以下のサイトで公開しています。正に今動か
なければ、歴史の証拠が消えるかもしれないと思う動画です。
アフリカでの映画保存はなかなか話題になりませんが、ぜひ§3.のマラウ
イレポートと併せてご覧ください。(天野)

ユネスコ 世界視聴覚遺産の日
http://filmpres.org/project/project01/

Sudan's Forgotten Films
http://www.aljazeera.com/programmes/witness/2017/10/sudan-forgotten-films-171017121738091.html

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