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ザ・タックスペイヤー

2005/08/20

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       ザ・タックスペイヤー No.11 2005.8.20

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◆◇ 清冽なり、科学的精神 ◇◆

 私が最も尊敬する人、それはマリー・キュリー。今回は、彼女の伝記『キュ
リー夫人伝』(エーヴ・キュリー著、白水社)について書きつづった書評「心
に残るこの1冊」(季刊誌『Brain Trust』2005年夏号掲載)をお送りしま
す。

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 マリー・キュリー。その名を知らない人はまずいない。ノーベル賞を二度受
賞した高名な女性物理学者。「努力」と「信念」の人。

 一八六七年、ロシア圧政下のポーランドで五人きょうだいの末娘として生ま
れる。学業は極めて優秀。しかし、一家は貧しく、マリーは苦学してフランス
の名門ソルボンヌ大学へ。ここで彼女は、寝食を忘れて学業に打ち込む。

 そして、運命の人、物理学者ピエール・キュリーとの出会い。やがて二人は
結婚、二人三脚の研究生活が始まる。相も変わらずの貧乏暮らしの中、二人は
新しい化学物質ラジウムを発見する。

 生活苦を理由に、ラジウムの特許取得をほのめかす夫に対し、マリーはきっ
ぱりと言った。「それはいけません。それでは、科学的精神に反することにな
るでしょう」結局、二人は研究成果を全世界に公表した。
 社員と企業が特許権を巡って法廷で争う二十一世紀、マリーの崇高な精神に
はっとさせられるのは私だけだろうか。

 ラジウム発見の功績によりノーベル賞(物理学)を受賞したマリーを悲劇が
襲う。夫が不慮の事故で死亡。
 圧巻は、マリーが暖炉で彼の形見を燃やす場面。彼女は、彼が事故当時着て
いた上着をはさみで切り刻んで火にくべる。その中から現れる夫の脳髄の切れ
端。マリーはそれに口づけしようとする。そばにいた姉が、たまりかねてマ
リーの手からとりあげる。マリーは突然、号泣する。
「これから、私はどうして生きていくの?」

 夫への極限の愛情。そして、慟哭とはまさにこういう状況を言うのだろう。
しかし、彼女は立ち直り、本来の使命にもどった。かつての熱心さをもって再
び研究に専念、二度目のノーベル賞(化学)に輝く。そして最期は、長年の放
射能研究が原因で白血病に倒れ、六十六年の生涯を閉じる。
 文字通り、研究に命を捧げた人生だった。

 私が初めてマリー・キュリーの伝記を読んだのは、小学生時代。両親が誕生
日にプレゼントしてくれた本で、子供向けにやさしく書かれた偉人伝シリーズ
の一冊。

 二度目は七年前。当時、私は会社勤めの生活から学術研究の道へと、人生の
一大転機を迎えていた。就職してから十数年、社会経験を重ねる中で「この世
はどうもおかしい」という問題意識がふくれ上がっていく。

 参入規制や価格規制、理不尽な規制が網の目のように張り巡らされ、企業家
が創意工夫を発揮しにくい産業界。画期的なサービスを開発したり、新規事業
に参入したり、なぜ、もっと企業活動がのびのびと展開できないのか。

 そして私が選んだ研究テーマは「規制緩和」。専門的に研究したいと、会社
勤めをやめ大学院進学を志す。そんな時、たまたま本屋で見つけたのがこの伝
記。なつかしさがこみあげ、衝動買いした。

 著者はマリーの次女。生前、マリーが残した手紙や覚え書きが随所に紹介さ
れ、苦しい生活ぶりや家族に対する愛情、研究者としての信念などが、丁寧に
つづられる。

 マリーが初めてノーベル賞を受賞したのが三十六歳。同じ年令で研究に挑む
私にとり、とてつもなく大きな存在。しかし、生活苦にあえぎながらも無私無
欲を貫き、ひたすら科学の発展に尽くした研究者魂は、読む者の心に深く刻み
こまれ、人生の指針となった。

 「キュリー夫人伝」は一九三八年の初版以来、ロングセラーを続けている。
その清冽さに心が洗われるのは、私だけではないだろう。


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創刊日:2005-04-30  
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