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投資の視点

株式投資は「相場観測力」「銘柄選択力」「売買手法」の3つの能力を、バランスよく身に付けないとうまくいきません。本サイトは、株式投資の基本を勉強しようとする投資家のための支援サイトです。

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2019/05/13

もくじ
<相場見通し>

     ・とりあえず反発へ


<今週の推奨銘柄>
            
        UTグループ

                       
<経済の動き> 

     ・英欧州議会選、EU離脱の「代理国民投票」の様相
     
                              
<株式投資のセオリー>
     
     第672回 土壇場で中国が合意を拒否した事情
        
                                         
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<相場見通し> とりあえず反発へ

先週の日経平均は、中国からの2000億ドルの輸入品に対して米国が25%の制裁関税
を発動する可能性が日を追う毎に高まるにつれ、大幅下落する動きが続いた。結局、週間
では914円もの大幅な下げとなった。

当初トランプ大統領が対中制裁関税引き上げをツィートした時には、トランプ大統領が
中国側にさらなる譲歩を迫るための脅しではないかという見方が多かったが、
ライトハイザーUSTR代表が同様の声明を発表し、8日には米官報でも正式に通知される
に及んで、避けられない事実として認識され始め、株式市場の下げに拍車がかかった。

しかし、最安値が日経平均で2万1175円に留まったことについては、やや意外感も出て
いる。制裁関税の引き上げは米中貿易戦争のさらなる激化をもたらし、世界景気の下押し
懸念も膨らむことから、「日経平均は2万円の攻防か」と厳しく見る向きも少なくなかった
からだ。

ただ、これは中国が反発して報復関税を発動し、貿易戦争の泥仕合になるとの最悪の場合
を想定してのこと。今のところ、中国側には報復関税を仕掛ける動きは見られない。

今後そのような動きが出てくる可能性はなくはないが、今のところ中国側が報復関税に
動いてないのは、今回の双方で積み上げてきた合意を覆する動きは中国側が一方的に仕掛け
たものだからと見られる(中国側の事情については下記「株式投資のセオリー」を参照)。

中国が交渉のテーブルを蹴るような所まで行ってないところをみると、今回の決裂をもた
らした修正案を撤回しても、交渉継続を望んでいるためと見られる。貿易戦争の激化は
中国側のダメージが遙かに大きいからだ。米側の発言からも、中国の交渉への前向きの
姿勢が窺われる。

従って、今回の騒動により米側の中国に対する不信感は強まってはいるが、米中通商交渉
は打ち切りとはならず、仕切り直しとなりそうである。

中国は何としても合意に持ち込みたいのであれば、今度は以前にも増して大幅譲歩は避け
られないことになる。中国にとって当然条件は悪くなるが、それを受け入れるかどうかが
今後の交渉のポイントとなってきそうだ。

今回の制裁関税の引き上げは10日以降船積みされたものから適用されるので、対象と
なる輸入品は2〜3週間後に米国に到着する(航空便は除く)。従って、それまでの間に
協議が進展し、合意に至る可能性もまったくなくはない。そうなれば、制裁関税の引き
上げはほとんど適用されずに終わる事も考えられる。

従って、現在の株式市場の水準は、米中通商交渉は一旦はこじれたが、近い将来合意する
だろうという期待を前提にしていると見られる。

しばらくは神経質な動きは残るが、米中交渉が再度前向きに動き出していることが確認
できれば、市場には安心感が拡がり本格的な戻り歩調の動きとなろう。

今週は、米中通商問題がとりあえず小康状態となったことを受け、先週大きく下げたもの
の中にはいちはやく反発するものも出てきそうだ。今回の決算発表が良好だった内需関連
が狙い目と見る。

       *     *     *

<今週の推奨銘柄>

   2146 UTグループ 3000円

(推奨理由)
・業績好調な人材派遣会社の一角。
・今回の3月決算で、前期、今期とも増額修正。
・チャート的に下値が固まり、そろそろ跳ねてもおかしくないパターン。
・4000円台回復狙い。

       *     *     *

<経済の動き>

◆英欧州議会選、EU離脱の「代理国民投票」の様相

英政府は23〜26日に実施される欧州議会選に参加する方針を固めた。メイ首相はEU
離脱の延期長期化につながるとして回避を望んでいたが、離脱案の承認見通しが立たない
ためだ。

この選挙は早期離脱を訴える政党とEU残留を主張する政党がぶつかる「代理国民投票」
の様相も帯び始めている。もしEU残留派が早期離脱派を上回れば、再度EU離脱を問う
国民投票が実現性を帯びることになる。

        *     *     *

<株式投資のセオリー>

第672回 土壇場で中国が合意を拒否した事情

注目された米中通商交渉は、結局10日までに合意出来ず、米国は2000億ドル
(約22兆円)分の中国製品に対して10日から25%(現状10%)の制裁関税を発動
した。
4月下旬までは米中双方が合意達成に楽観的な見通し持っていたにもかかわらず、なぜ
突如合意出来ないという事態に至ったのか。

その理由は中国側が3日に、それまで詰めてきた合意文書の内容を「ほとんど白紙に戻す
ような」大幅な修正を加えて米国側に提示してきたからだ。

中国側の突然の翻意については様々な見方が出ている。一般的にマスコミの論調は中国内
の保守勢力の強い反発によるものというものが多いが、中国の政府中枢部に強い情報網を
有する石平拓殖大教授は、やや違った見解を持っており、参考となりそうなのでここで
ご紹介しておきたい(9日に入手したレポートの抜粋)。

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前回の米中貿易協議は4月30日から5月1日まで北京で行われた。この協議の段階で、
中国側が大幅修正を加える前の合意文書案は既に出来ていたはずである。修正された
合意案は3日の夜に米国側に届いたので、中国側が大幅な修正を加えたのは前回の協議が
終わった直後の2日か3日であったと見るべきであろう。

米国側との協議の直後に、中国側が合意文書案に一方的に大幅な修正を行ったとすれば、
それは当然、中国側代表の劉鶴副首相が独断によるものであるとは考えにくい。

最大の可能性は、劉鶴氏が5月1日までの協議で出来た合意文書案を持って習近平国家
主席に報告したところで、習主席によって多くの合意内容が否定されたため、中国側の
担当者たちは急遽、習主席の意向にしたがって合意文章に大幅な修正を加えてアメリカ
に送りつけた・・・というものだ。

ならば、習主席は一体何故、この期に及んで米国側との合意内容を否定することになった
のか?それこそが問題だ。

逐次交渉内容を詳告されていた習主席が土壇場で「合意事項」を反故にした理由は
「政府内部からの猛反対」、或いは「習主席自身がこれまでの中国の譲歩に対する米の
不遜な対応に憤懣が爆発した」のいずれか・・。

よく考え見れば、劉鶴副首相は習主席の側近としてずっと習主席の直接指揮下で米国との
協議に当たっていることから、4月30日までの9回の貿易協議で米中がどのような合意
内容に達しているのか(つまり中国側はどのような譲歩をしたのか)は当然習主席自身に
逐次報告されていたはずである。

というよりもむしろ、今までの協議で中国側の行った譲歩は全部、習主席の意向に基づく
ものであると見るべきであろう。そして4月30日からの協議でも劉鶴らはまさに習主席
の意向に従って交渉していたから、そこで出来た合意内容は習主席にとって意外なもの
であるはずがない。

言ってみれば、それまでの米中協議の達した合意内容は実質的には習主席自身が合意した
内容であり、中国側の行った譲歩はすべて習主席自身の行った譲歩であろう。

それにもかかわらず、前回の協議が終わった直後に、習主席は手のひらを返すように、
米中双方がそれまでに協議を重ねてたどり着いた合意内容の多くを「白紙に戻す」形で
否定した。自分で合意した内容を自分で否定したわけである。それは一体何故なのか。

一つの解釈としては、習主席の対米譲歩は政権内で大きな反発を受けたため、主席は
やむを得ず今まで合意した内容を否定しなければならなくなった、ということである。
しかし、私自身はその可能性は非常に低いと思う。

習主席の個人独裁体制が完全に確立された今、政権内では彼の決断に異を唱える勢力や
人が現れるとは考えにくいし、習主席と対立している党内の改革派たちはむしろ、中国
の国内改革を促すという意味で習主席の対米譲歩を歓迎しているはずである。

もう一つの可能性として考えられるのは、習主席がアメリカのさまざまな要求に応じて
大きく譲歩したのに対し、アメリカ側が習主席からの要求を聞いてくれないから、それに
怒った習主席は今までの対米譲歩を取り下げて一旦合意した内容を反古にした、という
ことである。

私自身はこの可能性はもっとも高いと思うが、それなら、習主席がアメリカに要求して
いるのは一体何か。

よく考え見れば、今までの協議の中で中国側が一貫して米国側に要求してきたことの
一つは、中国側が大幅に譲歩して最終的貿易合意に達した場合、アメリカは今まで中国
に対して発動した制裁関税のすべてを直ちに撤廃することである。譲歩との引き換えの
制裁関税の完全撤廃、それこそが中国側が繰り返してアメリカに要求したものである。

中国はどうして、最終合意に伴う制裁関税の完全かつ迅速な撤廃に拘っているのか。
中国の内政事情を勘案すると、その理由は中国共産党政府部内における習主席のメンツ
を守るためであると考える。

米国との最終合意に達するために、習主席は今まで知的財産権保護や技術移転への強要、
そして非関税的壁の撤去などのさまざまな問題でアメリカの要求を飲んで大きく譲歩した。

そして、それらの譲歩を含めた内容で双方が合意に達した場合、この合意内容自体は
中国のアメリカに対する降伏だと政府部内で解釈される恐れがあり、「習近平政権が
アメリカに降伏した」との見方が中国内で広がる可能性が大きい。

しかしそれでは、「大国中国の強い指導者」を演じてきた習主席の政治的権威は大きく
傷つくこととなる。主席のメンツがこれで丸つぶれとなって権威は地に堕ちるのである。

それを打ち消すためには、主席としては米国に譲歩する代わりに、国民にアピールできる
ような大いなる成果をどうしてもアメリカから勝ち取りたい。それはすなわち、最終合意
に伴って米国が今までの制裁関税を完全に撤廃してもらうことである。

それで習主席は国内的には自分がトランプ政権に迫って制裁関税を完全に撤廃させたと
大々的に宣伝し、譲歩することによって失ったメンツと権威を何とか挽回できるのである。
したがって習主席にとって、合意に伴ってアメリカが今までの制裁関税を完全に撤廃
することは、自分が米国との最終合意にゴーサインを出す時の必須不可欠な条件なので
ある。
しかしアメリカはまさにこの点で渋っていた。トランプ政権としては対中制裁関税を
一気に撤廃してしまうと、中国を制する手段を自ら捨てることとなるから、これでは
合意に達していても中国が合意内容を守っていく保証は何もない。

したがってトランプ政権の方針としては、中国と最終合意に達したとしても直ちに制裁
関税の完全撤廃はしない。少なくとも制裁関税を部分的に維持した上で中国側が合意を
実行していくかどうかを見極める考えなのである。

まさに、習近平とトランプの間にこのような考え方のすれ違いがあったからこそ、米中
貿易問題は今日のような結末を迎えたと思われる。

つまり習主席は「制裁関税の完全撤廃」という自分からの要求に応じないアメリカの
態度に業を煮やして、それまでに米国と合意した内容の一部を自ら反古にすることに
したが、それに激怒したトランプ大統領は逆に、よりいっそう態度を強硬化させて中国
に対する制裁関税の税率引き上げに踏み切ったという構図だ。

習主席が合意内容を反古にした真意は、当然ながら米中貿易協議を決裂させることに
ないと思う。決裂させたくないからこそ、トランプ大統領が5日に関税の引き上げを
表明した後でも、中国側は恥を忍んで劉鶴副首相を協議再開のためにワシントンに派遣
したわけである。

したがって習主席の真意は決裂にあるのではなく、むしろトランプ大統領に圧力を
かけて自分からの「関税完全撤廃」要求を飲ませようとしていたのだろうが、それが
裏目に出てトランプ大統領を怒らせて関税の「撤廃」ではなく、むしろ関税の引き上げ
を引き起こしてしまった。この展開は習主席にとって最大の誤算だったのではないか。

しかし事態がここまでにきた以上、習主席が恥を忍んで劉鶴をワシントンに派遣した
としても、現地時間9日午後から(日本時間の明日未明から)のわずか一日の協議で、
10日午前0時に予定している制裁関税の税率引き上げを食い止めることはもはや無理
であろう。

たとえ中国側が、自分たちが合意文書案に加えた修正をもう一度撤回したとしても、
それは協議の「修復」にはなっても「進展」にはならず、せいぜいのところ、決裂が
避けられて協議が今後も継続するという結果となろう。

そして今後の協議はアメリカの対中国制裁関税がすでに引き上げられたという事実の
前提で進むこととなるのである。そしてもし中国側が米国による関税引き上げに対して
報復措置を取ろうものならば、アメリカによる新たな制裁関税の発動を招く可能性は
十分にある。その結果、米中貿易戦争はむしろ、より一層拡大していくであろう。

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創刊日:2005-04-12  
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