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投資の視点

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投資の視点

2017/01/23

もくじ
<相場見通し>

     ・大統領就任演説への失望感から、やや弱含み展開か


<今週の参考銘柄>

      メイコー
                  
<経済の動き>     
     ・習近平主席、ダボス会議で米国に反撃
     ・追い込まれる英国
     ・世界の企業の時価総額で米国勢が圧勝
                                
<株式投資のセオリー>
     
    第561回 為替アナリストが見る円・ドル相場の行方
                                                          
★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★
<相場見通し>

◆大統領就任演説への失望感から、やや弱含み展開か

先週末、トランプ新大統領就任式が無事終わった。懸念された米国内でのデモ等の抗議
活動も、特に大きな混乱は見られなかった。

注目されていた新大統領の就任式の演説は、「米国第一主義」を繰り返し、経済、外交を
米国の利益を最優先にして見直すと宣言し、保護主義的な側面を強く打ち出した。演説の
直後にはホワイトハウスのホームページ上で、公約通りTPPの離脱とNAFTA再交渉
を一方的に発表している。

総じて演説内容は選挙中から繰り返し述べていたことで特に目新しさはなかった。ただ、
減税やインフラ投資など経済政策でもう少し踏み込んだ発言が期待されていたが、抽象的
な表現にとどまりやや失望感をもたらしている。当日期待先行で上げていた米株式市場は
演説後上げ幅を縮小して終えた。

今週の相場は大統領就任演説を受けてどう動くかであるが、これまでの相場は新大統領の
政策期待で上げてきているので、それに応えるような具体的な材料が今回出なかったこと
から、やや失望感が優る展開となりそうだ。

問題は為替である。先週為替は円高に大きく振れ、ドル・円は一時112円半ばまで上昇
した。英国のEU離脱でハードBREXITの懸念が強まったことに加え、トランプ
新大統領のドル高けん制発言が出たからである。

ただその後米国では、次期財務長官に指名されたムニューチン氏が「長期的には『強いドル』
が必要だ」と上院の公聴会で述べたことからドルは反発に転じている。

トランプ新大統領がドル高けん制発言をしたのは、インディアナ、ノースダゴタ、サウス
ダゴタなどの複数のドル高抵抗力の弱い州の商工会議所幹部が、トランプ氏に高すぎる
ドルへの政府の対策を陳情したためのようだ。

トランプ氏の発言と同時期にペンス副大統領(前インディアナ州知事)、ダッドリー
NY連銀総裁、他数人のFRBの有力ОB(理事クラス)が揃って「ドル高警戒」発言を
行った背景には、政府やFRBへのこれらの州の陳情が奏功した可能性が高い。

ただ一方でムニューチン次期財務長官のドル高容認発言もあり、トランプ政権は為替に
対し微妙にバランスを取りながら対応していく姿勢も伺える。従って当面は為替は大きく
振れることはなく、113円〜115円を中心とした揉み合いが続くと見ておいていい
だろう。

トランプ政権の動きで次のポイントとなるのは2月6日の予算教書の提出だ。ここで
トランプ政権の経済政策の具体的内容が明らかになってくるが、これに向けて一波乱
起こる可能性もある。

トランプ氏の選挙公約と与党共和党との政策スタンスの大幅かい離から、トランプ政権は
ある程度妥協した内容で提出してくる可能性があるからだ。少なくとも、選挙公約をその
まま持ち出してくることは無理だろう。

そうなると市場には失望感が漂うことになり、それを見越してヘッジファンド勢の中には
2月6日に向けて売りを仕掛ける向きもあると言われている。

これまで大きく上げてきたトランプ相場は、期待先行で上げてきている分、今後は何か
出る度に、期待水準に達しなかったことが弱気材料と見られ、売られるパターンが繰り
返されそうだ。

      *     *     *

<今週の参考銘柄> 
      
     6787 メイコー 760円


<経済の動き>

◆習近平主席、ダボス会議で米国に反撃

『中国の習近平国家主席は17日、世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)に中国
の国家主席として初めて出席した。トランプ次期米大統領の保護主義的な政策を念頭に
「貿易戦争では共倒れになる」と警告し、自由貿易の重要性を主張した。米の政権移行期
を突いて注目度の高い会議に参加し、中国批判を繰り返すトランプ氏に反撃した』

(解説)
中国から自由貿易のお説教を受けるとはちょっと滑稽感じがするが、それだけトランプ氏
の保護主義的な政策は度が過ぎるということだろう。

ただ、今回の発言から感じることは、米中の対決姿勢がより鮮明になってきているという
ことだ。米国は台湾擁護の態度を強めており、中国はそれは絶対に認められないという
スタンスだ。

米国は沖縄の米軍の一部を台湾に移すという話も流れており、そうなれば中国は一気に
台湾併合の強硬手段に出るとの話も出ている。いずれにしろトランプ氏の登場で米中関係
は今後緊張感を高めていきそうだ。


◆追い込まれる英国

『英国のメイ首相は17日、ロンドン市内で演説し、欧州連合(EU)からの離脱に関
する基本方針を示した。移民制限など英国の権限回復を実現するため「EU単一市場に
残ることはできない」と述べ、域内で人やモノ、サービスの自由な移動や取引を認める
単一市場から完全に撤退すると表明した。3月にも始まるEU離脱交渉の行方は世界経済
にも影響を与える』

(解説)
今回の演説でメイ首相はハードBREXITという新しい方向を示したと言われているが
これは別に驚きではない。英国側にはソフトBREXITへの期待もあったようだが、
EU側は一切それを拒否しているので、メイ首相としてもハードBREXITを唱える
しかなかったということである。

メイ首相の態度が明確となったとはいえ今後の道のりは前途多難だ。EU離脱の最終決定
は議会に委ねられることになりそうだし(最高裁の決定待ち)、さらにはスコットランド
はイギリスから独立しEU残留の方向に動いている。

スコットランドが独立すれば、ウェールズやアイルランドも追随しそうで、イギリスは
結局イングランドだけの小国に落ちぶれてしまう可能性もある。恐らくこれはEU離脱を
支持した国民にとっても予想してなかった事態だろう。


◆世界の企業の時価総額で米国勢が圧勝

『世界の企業を時価総額でみると、米国勢が上位を占めた。首位のアップルから12位
まで、ずらりと米国企業が並ぶ。上位1000社でみても370社と、実に3分の1を
超える。分野別では、IT(情報技術)関連の好調ぶりが鮮明だ』

(解説)
トランプ新大統領は「米国第一主義」を唱え、米国企業の復権を目指しているようだが、
世界の実態を見ると米国企業が圧勝しているのは明白である。トランプ新大統領は勝って
いる企業を見ずに、単に負けた企業の尻拭いをしようとしているといっていいくらいだ。

米国の問題は、トランプ氏の言うような弱い企業の再生ではなく、強い企業に適した人材
の育成(教育)と、勝ち組企業の富の移転・分配(多くは海外に所得を留保している)の
問題である。


    *     *     *

<株式投資のセオリー>

第561回 為替アナリストが見る円・ドル相場の行方

現在の株式相場は為替との連動性が高くなっている。トランプ相場入り以降、円・ドル相場
では円安が進み、一時119円に突っかける場面もあったが、その後やや頭打ち感が強まり、
現状では115円近辺まで下落(円高)してきている。

この後どう動くか非常に関心が集まるところだが、今後の為替の動きについて、ドイツ銀行
チーフ為替アナリストである田中泰輔氏のレポートを入手したので、同氏の今後の見方
(要旨)を紹介したい。同氏は長年日本のトップクラス為替アナリストとして評価を受け
ている(政府のアドバイザーとしても活躍)。

<円・ドルの動きをどう見るか>
円・ドル相場は中期的には米国の景気動向の影響を強く受けて動いている。米景気が良け
れば円安に、米景気が悪化すれば円高となる。

その理由は米景気が良ければ米国の金利が上昇し、日米の金利格差が広るからだ。資金は
金利の高い米国に集まるためドル高が進む。

米国は経常収支赤字国なので、景気が良くなると金利が大きく上昇しやすいことも影響して
いる。反対に日本は経常収支黒字国なので、少々国内景気が良くなっても金利は上がり
にくい。

黒田日銀総裁の異次元緩和以降円安が急速に進んだが、この理由は日本の金利が一段と
低下したこともあるが、米国景気が良くなってきたことが一番大きい。米景気が良くなけ
れば、いくら日銀が緩和しても円安は進みにくいからだ。

その証拠に昨年1月に日銀はマイナス金利を導入したが、円安は進まずかえって円高方向
に動いた。これは当時米国の景気頭打ち感が強くなっていたためだ。米国の16年のGDP
成長率は前年度の2.6%成長から1%台に減速感が強まっていた(結局1.5%まで
落ちた模様)。

昨年1月からの円高の動き(120円近辺→100円割れ)は、それまでの米景気拡大に
よる円安サイクルが止まったことによるもの。17年以降は、米景気の減速からさらに
円高が進むと見られていた。

ところが大統領選でトランプ氏が勝利したことにより潮目が大きく変わった。トランプ氏
の政策は、米景気を再浮揚させるものなので、一旦終わったと見られていた米景気拡大に
よる円安サイクルが復活したからだ。米大統領選後急速に円安が進んだのはこのためだ。

円安の動きは急激で一気に119円近辺まで進んだ。これをどう見るかだが、まだ
トランプ新大統領の政策はまだ何も決まってない。従って、これまでの円高の動きは
トランプ新大統領の政策を具体的に織り込んだとは言い難い。期待だけ動いている。

今後議会で議論され、政策が具体化するに従い相場に織り込まれていくことになろう。
政策が明らかになるにつれさらに円安に進む可能性もあるが、これまでの円安の動きは、
選挙中の公約レベルの政策がかなり実現されるとの期待で動いているフシが見られるので、
失望から円高方向に動く可能性のほうが高い。

ただ、一旦円高に動いたとしても、円安の流れが止まったとは言えない。17年〜18年と、
トランプ政策により景気が拡大していけば、円安の流れは続こう。どこまで円安が進むかは、
米景気の動向次第だ。ただ、一段の円安の進行はトランプ新政権が好ましく思わないので、
120円を大幅に超えるような円安は考えにくい。

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創刊日:2005-04-12  
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