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投資の視点

株式投資は「相場観測力」「銘柄選択力」「売買手法」の3つの能力を、バランスよく身に付けないとうまくいきません。本サイトは、株式投資の基本を勉強しようとする投資家のための支援サイトです。

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投資の視点(1/12)

2016/01/12

もくじ
<相場見通し>

     ・懸念が重なり急落も、下げはそろそろ最終局面

<今週の参考銘柄>

       ムゲンエステート
                   
<経済の動き>     
     ・水爆実験成功、北朝鮮の独り相撲との見方
     ・中国企業受注のインフラ案件、トラブル後を絶たず
     ・ヤフーに追撃され、楽天市場が停滞色
                                
<株式投資のセオリー>
     
    第512回 さえない動きが予想されるサウジとUAEの保有銘柄
                                                         
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<相場見通し>

◆懸念が重なり急落も、下げはそろそろ最終局面

あけましておめでとうございます。

今年は年明け早々から急落する波乱の展開で始まった。年初から5日連続の下落は戦後では
初めての出来事だ。日経平均の下落幅も一時1500円超に達している。

相場が下落している要因としては中国、中東、米国の3極で大きな懸念が生じていることが
上げられる。

一つ目は中国株式市場の急落だ。中国の株式市場は1月8日に中国政府による大株主による
保有株売却禁止措置が期限切れとなることから、市場に不安感が広まり年初から急落した。

売りの主体は既に10%以上の損失を抱えていると見られる中国籍のヘッジファンド
(1000以上あるといわれ、運用額は15兆円以上と見られる)だ。

市場の急落に対し、政府は4日以降サーキットブレーカーを導入したものの、逆に膨大な売り
エネルギーの蓄積を招いたため急きょ停止したことも、政府は市場のコントロールをできない
のではという疑念を与え、更なる不安感を市場に与えている。

このような動きの背景には「中国の景気が予想以上に悪化しているのでは・・」という疑念が
ある。中国の輸出入の動きを見るといずれも前年比マイナスになっており、実態はゼロ成長か
マイナス成長ではという憶測も広がっている。

さらに、今後の経済運営を決める中央経済工作会議の開催が10日も遅れた(例年12月初め
開催が昨年は12月中旬にずれ込む)上に、発表された内容の多くが前年と同じ数字
(2016年GDP成長率、鉱物資源消費量等)となっており、GDP成長率予想はダウン
しているにもかかわらずつじつまがあわないことも疑念を増幅させている。

2つ目は中東におけるサウジとイランの国交断絶の動きだ。イランがサウジによる在イエメン・
イラン大使館空爆(真偽は不明)を激しく非難し、一旦沈静化の兆しが見られていた両国の
関係が再び緊迫化している。

このためサウジはイランとの抗争に備え、軍事資金の調達から原油値引き競争(既にイランは
中国にバレル10ドル以下で輸出拡大しサウジのシェア奪う)に参加するのではないかという
懸念が出ており、サウジの財政悪化、さらには財政破たんの可能性も出ている。
サウジの財政悪化は、同国がSWF(ソブリンウエルスファンド)で保有する株式(現在
約7兆円と見られる)の売却を招くことになる。(詳細は下記「株式投資のセオリー」参照)

3つ目は米国の利上げペースに対する懸念だ。フィッシャーFED副議長の1月7日の「今年
の利上げは2回にとどまらない、年4回はほぼ妥当な線」という発言が問題視されている。

米国は悪化しつつある中国経済やサウジーイランの緊張などを十分に意識しておらず、世界の
経済環境悪化に逆行した急速な利上げを断行するのでは、といった懸念につながっているから
だ。

以上のような3つの懸念が重なったことから、これまで活発な短期売買を繰り返してきた短期
投機型ヘッジファンド勢にもリスクオフの姿勢を強めている。

ただ、3つの懸念材料を個別にみると、株式市場にそれほど重大な影響を与える悪材料とは
思えない。たまたま3つ重なったことによって市場へのショックが大きくなったと見られる。

しかも中東のサウジーイラン問題は短期の終息は難しいとしても、中国株式市場と米国利上げ
の問題は、当局の対応如何によって市場の不安感は収まる可能性が高いと思われる。従って
株式市場の混乱は徐々に改善に向かうものと見られる。

日本の株式市場は、北朝鮮の核実験(水爆は嘘と見られるが)のショックも加わり、世界の
市場になかでもやや下げ幅が大きくなっている。一旦崩れた相場は行くところまでいかないと
下げ止まらないが、1万7000円前半(先週末のシカゴ日経平均先物は1万7200円台で
終了)はいい水準まで来たと見られる。

相場指標にも陰の極を示すものが散見される。1万7000円前半はそろそろ出動してもいい
局面と見る。ただ、一挙に仕込むのではなく、さらなる下げも想定し何回かに分散して出動
したい。

        *     *     *

<今週の参考銘柄> 
      
     3299 ムゲンエステート 2380円


<経済の動き>

◆水爆実験成功、北朝鮮の独り相撲との見方

『北朝鮮の国営メディアは6日、平壌時間の同日午前10時(日本時間同10時半)に初の
水素爆弾実験を行い、成功したと発表した。北朝鮮の核実験は2006年10月、09年5月、
13年2月に次いで4回目』

(解説)
北朝鮮は水爆と言っているが、地震の規模からみて過去の核実験(原爆)と同規模であり、
とても水爆とは思えない(水爆のエネルギーは少なくとも原爆の10倍以上)。米国も水爆説
には否定的だ。

考えられるとすれば、ブースター(爆発エネルギーを増幅させる核融合物質を埋め込む)付き
の原爆ではないかと見られる。これは分類からすると水爆とは言わない。いずれにしても今回
の件は北朝鮮の独り相撲に終わりそうだ。


◆中国企業受注のインフラ案件、トラブル後を絶たず

『中国企業が受注した東南アジアの大型インフラ(社会基盤)案件で、工事の延期やトラブル
が後を絶たない。

 インドネシアの高速鉄道計画は着工が遅れ、「2019年開業」が早くも危ぶまれる状況だ。
事業費が当初予定から大幅にふくらむケースが多く、現地政府が振り回されるケースも少なく
ない』

(解説)
中国は金に物を言わせて強引に受注に走っているが、実態はうまくいかなくて苦労している
ところが多い。日本から奪ったインドネシアの高速鉄道計画は、日本は2019年開業は無理
と主張していたにもかかわらず、中国はできるといって受注したもの。

その他にも、タイ・ラオスの高速鉄道計画(事業費引き上げ、着工遅延)、ベトナム鉄道計画
(事業費引き上げ)、フィリピンのマニラ近郊鉄道計画(融資がらみで中国と比政府が対立、
日本が一部肩代わり)、インドネシア石炭火力発電所計画(着工予定が大幅遅れ)などが上げ
られる。


◆ヤフーに追撃され、楽天市場が停滞色

『楽天の中核事業、インターネット通販の楽天市場がヤフーに追撃されて停滞色を強めつつ
ある。楽天市場の窮状が鮮明になったのが、楽天の2015年第3四半期(7〜9月期)決算
だった。公表された楽天市場の流通総額のデータ集計方法が従来より変更されたからだ 』

(解説)
楽天の流通総額は楽天トラベルの売り上げを追加して何とか伸びているように見せているが、
楽天の通販は伸び悩んでいる。この10年間を見ても売り上げは4000億円〜5000億円
の間を行ったり来た入りしている。

その理由は店舗数が伸びていないため。しかも登録している店舗数は楽天の46千店に対し、
ヤフーは34万店と圧倒的な差をつけられてしまった。これはヤフーが出店料を無料(楽天は
1.9万円/月)していることが響いている。

売り上げ規模ではまだヤフーは3000億円台で、楽天の方が上回っているが、ヤフーは順調
に拡大しているので、このままだと逆転される可能性が高くなっている。

    *     *     *

<株式投資のセオリー>

第512回 さえない動きが予想されるサウジとUAEの保有銘柄

現在世界の株価が大きく下落している要因に中東情勢の混乱がある。原油生産大国である
サウジアラビア(産出量世界2位)とイラン(同7位)が国交断絶し、両国は一髪触発の状況
にある。

通常なら産油国に問題が発生したら、原油価格は上昇するものだが、今回は必ずしもそのような
動きとなってない。今回の場合はもし戦争が始まれば油田地域の爆撃は避けられないと見られて
いるにもかかわらずである。

油田施設の爆撃が現実のものとなればすがに原油価格は急騰すると見られるが、WTI原油価格
が最安値近辺(WTI価格33ドル前後)にとどまっている理由は、両国ともいざ戦争が始まれ
ば戦費調達のために、原油の安売り競争に走るのではないかという懸念があるからだ。

両国とも国家財政に余裕はない。経済制裁で厳しい状況が続いていたイランはともかく、これ
まで金持ち国家といわれてきたサウジアラビアも、原油価格の下落で国の財政は大幅赤字に転落
している。

既にサウジアラビアは、財政赤字の拡大に伴い、国の余裕資金の運用を行っていたSWF
(ソブリンウエルスファンド、SAMA)の資産取り崩しに動いている。

昨年9月末の世界株価の急落(日経平均は1万7000円割れ)は、SAMAが大量に株式売却
に動いたことも一因とされている。

サウジアラビアの財政はWTI原油価格が44ドル程度が赤字に陥る分岐点と見られている。
従って現時点でも大幅赤字状態となっているため、SAMAの資産取り崩しは今後も続きそうだ。
戦争が始まればなおさらである。

現在のSAMAの資産を推定すると、株式は約7兆円程度保有していると試算されている。うち
日本株は18%程度占めているので1兆円強と見られる。この株式の売却が今後断続的に市場に
出てくるもの見られる。

同じように産油国のSWFで、株式売却の動きが予想されているのはUAEだ。UAEの国家
財政の赤字転落水準は原油価格35ドルの水準。現在のような原油価格が続けば株式売却は避け
られない。

UAEの日本株の株式売却規模は約9千億円に上ると見られるので、サウジアラビアと合わせる
と約2兆円規模の売りが出てくる可能性がある。

問題は売却される銘柄だ。当該銘柄はかなりの上値圧迫要因となるからだ。保有銘柄は両国とも
特定のETF(S&P TОPIX 150 Shariah)の構成銘柄となっている。同じ銘柄と
なっているのはサウジが投資運用歴の長いUAEの運用をお手本にしているためだ。

現在上記ETFの構成銘柄は43銘柄(明細は下記)。何れも東証の主力銘柄だ。これらの銘柄
には今後断続的な売りが予想されるため、しばらくはさえない展開が予想される。

ブリジストン、デンソー、いすゞ、シマノ、ファーストリテイリング、ヤクルト、味の素、
日清食品、花王、資生堂、ユニ・チャーム、武田薬品、アステラス製薬、塩野義、中外製薬、
エーザイ、小野薬品、テルモ、第一三共、シスメックス、TОTО、SMC、コマツ、三菱電機、
マキタ、日本電産、ファナック、ヤマト運輸、セコム、日本ペイント、オムロン、キーエンス、
村田製作所、HОYA、キャノン、東京エレクトロン、クラレ、旭化成、信越化学、JSR、
ヤフー、日東電工、NTTドコモ

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創刊日:2005-04-12  
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