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投資の視点

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投資の視点(12/07)

2015/12/07

もくじ
<相場見通し>

     ・1万9000円台後半での揉み合い

<今週の参考銘柄>

       大成温調
                   
<経済の動き>     
     ・OPEC、現状の生産枠容認
     ・法人実効税率、16年度に30%切る
     ・日銀審議委員、物価上昇率2%は実力以上と発言
                                
<株式投資のセオリー>
     
    第508回 米利上げ後の為替動向について
                                                      

★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★
<相場見通し>

◆1万9000円台後半での揉み合い

先週末の相場は、ECBの追加緩和が市場の期待に届かなかったことを受けて大きく下落
した。2万円の壁が厚く、このところ上値が重い展開になっていたことも下げに拍車を
かけた。

前回触れたように、日経平均が9月末の瞬間的な1万7000円割れから、2万円近辺まで
3000円ほど上昇した背景には、短期投機型などのヘッジファンド勢が大量買いがあった
からだ。

ただこの動きにも次第に一巡感が出ている。従って2万円の節目を越えには新たなエネルギー
が必要となっているが、どうも海外勢(特に年金など長期投資勢)は慎重姿勢を強めている
ようだ。その理由としては以下のような点が上げられる。

1、日銀の追加緩和に打ち止め感が強くなっている
2、企業の株主還元努力に停滞感が強まっている(RОE等主要指標の改善が鈍い)
3、日経平均2万円乗せの水準は、日本株の割安感が薄れる

日銀の追加緩和に対しては、10月30日や11月18日の政策決定会議後、黒田総裁は
物価見通しに関して強気の発言、また、今後の経済活性化は政府主導といった発言を繰り
返しており、これらの発言は「日銀の追加緩和は最終段階を迎えた」という印象を外国人
投資家に強く与えているようだ。

しかも、追加緩和しようとしても手段が限られており、これまでのような市場のサプライズ
は期待にくい。さらには、日銀が追加緩和を終えた後の出口戦略が見えない(不可能?)のも
マイナスとなっているようだ。

これらの懸念を払しょくするものとして海外投資家が期待している材料としては、以下の
ようなものが上げられている。

1、法人税を25%程度まで下げる工程表が明示されること
2、来年の春闘で3.0%アップが実現(or実現性が高まることでもОK)
3、株式の相続税見直し(時価の70%)

何れもハードルは高く実現はかなり難しそうなものばかりだ。そうなると日本株への見送り
気分は今後も続くとみられるが、それが即日本株投資の減少につながるわけではなさそうだ。
相場環境が比較的安定した日本株には依然一定の評価があることが伺われる。その理由を
上げると以下のようになる。

1、円安・原油安環境下で企業業績が比較的安定している
2、年金や郵貯、日銀の株式買いが2016年も10兆円程度(GPIF5兆円、郵政2社
1.5兆円、日銀3兆円以上)期待できる
3、政府が相続税、法人税などの税制改革で、企業収益の拡大や個人投資の拡大を促している
4、日本本土は無差別テロの対象とはなりにくい

以上のような見方を総合すると、日本市場は海外投資家にとっては好・悪材料が入り混じった
状況にあることが伺える。従って、しばらく日本株は1万9000円台で往来相場が続くと
見た方がよさそうだ。

先週末は、雇用統計が市場予想を上回る内容だったことから、FRBによる金利引き上げは
ほぼ確実な見通しとなった。しかし、株式市場は景気が堅調に推移していることを好感して
上昇した。

ただ、米金利引き上げは、一方で米ドルの上昇や新興国市場に深刻な影響を及ぼす可能性も
あるので、楽観視ばかりはできない。米市場がこのまま上昇軌道をたどるとは考えにくい。

今週は米市場の上昇を好感してとりあえず日本市場も高く始まりそうだが、その後は伸び悩み、
1万9000円台後半での揉み合いと見る。

        *     *     *

<今週の参考銘柄> 
      
     1904 大成温調 560円


<経済の動き>

◆OPEC、現状の生産枠容認

『石油輸出国機構(OPEC)は4日、ウィーンの本部で半年に1度の総会を開き、現状の
高水準の原油生産を容認することを確認した。日量3000万バレルとしてきた生産目標に
ついては、一旦棚上げし、今後の市場動向を注視する考えを示した。OPECは10月時点で、
日量3138万バレルの原油を生産している』

(解説)
原油価格が安値低迷しているため、減産に転じるのか注目されたが、結局合意できなかった
ようだ。

シェールガスの増加や、メキシコ湾原油の増産(本格復旧)、イラン原油の輸出拡大(制裁
解除)などで少々の減産では需給改善は期待できないので、自国の生産枠を優先したいという
国が多かったようだ。

今回の減産見送りにより原油価格のさらなる下落を予想する向きも増えている。一部では
1バレル20ドル台への下落まで唱えてるところも出てきているようだ。


◆法人実効税率、16年度に30%切る

『企業の利益にかかる法人実効税率が2016年度に29.74%に下がる見通しとなった。
与党は現在32.11%の実効税率を16年度に29.97%に下げる方針を固めていた』

(解説)
政府は法人税引き下げの見返りとして、企業に投資の拡大や賃金アップを求めているが、
他国の例を見てもこれらは法人税引き下げとは直結しないもの。おそらく空振りに終わる
だろう。

また、法人税引き下げは企業の国際競争力の強化につながるといっているが、これも関係ない。
先進国で一番税率の低いのはアイルランドだが、そこで国際競争力の強い企業が続々と誕生
しているかというと、そんなことは全くないからだ。

ただ、法人税引き下げは純益の拡大につながることから、個別の株価にとってはプラスに働く
ことは間違いない。


◆日銀審議委員、物価上昇率2%は実力以上と発言

『日銀の木内登英審議委員は3日、都内で講演し、消費者物価指数(CPI)上昇率を安定的
に2%にするとの目標について「現状の日本経済の実力に比べて高く、金融政策だけでは達成
は難しい」と話した。現状では1%程度の物価上昇が適切だとし、高すぎる目標にこだわれば
金融緩和が行きすぎ、将来の金利上昇などのリスクにつながるとの見方を示した』

(解説)
今回の木内審議委員の話は黒田総裁も当然容認しているはず。ということは日銀は、2%の
目標達成が難しいと考え始めているということだ。

これは黒田総裁の打ち出した異次元緩和の敗北を意味する。ただ、ここで敗北を認めることは、
市場に大混乱をもたらすため、口が裂けても絶対言えない。そのため周辺から少しずつ布石を
置いていこうということなのだろう。

しかし、海外の論調は厳しさを増しており、日銀に対する風当たりは日増しに強くなっている。
日銀に残されている時間はそう多くはない。

    *     *     *

<株式投資のセオリー>

第508回 米利上げ後の為替動向について

先週末発表された米雇用統計が市場予想を上回る内容だったことから、12月のFRBによる
利上げはほぼ確実な情勢となってきた。その後も米景気が順調に推移すれば、米国の利上げは
断続的行われると見込まれている。

そこで気になるのは為替の動向だ。米国の金利上昇は対米ドルで円安要因と働くからだ。現在
123円台にある円ドルは、今後もさらに円安が進むのだろうか。円安の進展は株価に大きな
影響を及ぼすので大いに気になるところ。

今回は、今後の為替の動向について、為替アナリストとして評価の高い田中泰輔ドイツ証券
チーフ為替ストラジストの見方を紹介したい。今後の大局的な動きを見る上で参考になると
見られる。

ポイントをまとめると以下のようになる。

・大局的に見ると、日本のインフレ率の下げ止まりから、約50年間続いてきた円高の流れは
終止符を打ち、徐々に円安トレンドに向かい始めている。

・過去50年のドルの動きは、9〜10年下降して6〜7年上昇するというサイクルとなって
いる。今回もこのサイクルは崩れず、12年から始まったドル高は17年頃まで続きそうだ。

・その中で、円ドルレートは16年中に120円台後半で頭打ち感が強くなり、その後は
ボックス圏の動きとなろう。

・ドル高の動きは、新興国経済にとってはさらに厳しい状況をもたらすことになるだろう。

以上の点についてもう少し説明を付け加えると、米国経済は16年は2.5%程度の成長が
予想されている。潜在成長率が1.75%と見られているので底堅い景気といえよう。
このような景気の動きを背景に、利上げは継続して行われ、16年は3月と6月に、さらに
17年にも数回見込まれる。

金利上昇を受け17年までドル高の動きが続くと見られるが、円はアベノミクスによる異次元
緩和実施により既に大きく円安に振れており、今後の円安進展の幅は限られる。円安が進んだ
としても130円が限度だろう。

円相場は今後は120円〜130円の間で往来相場の色彩が強くなり、為替売買では120円
近辺で買って120円後半で利食う戦術が有効となりそうだ。

ユーロはまだ下げ余地があるので、円よりは下落幅が大きくなろう。新興国通貨も、ドルの
資金流出が進むことにより、さらに下落し、現在苦境に陥っているブラジル以外にも経済が
厳しくなる国がいくつか出てきそうだ。

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創刊日:2005-04-12  
最終発行日:  
発行周期:週間  
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