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投資の視点

株式投資は「相場観測力」「銘柄選択力」「売買手法」の3つの能力を、バランスよく身に付けないとうまくいきません。本サイトは、株式投資の基本を勉強しようとする投資家のための支援サイトです。

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投資の視点(9/24)

2015/09/24

もくじ
<相場見通し>

     ・先の安値に突っかける場面も

<今週の参考銘柄>

       お休み
                   
<経済の動き>     
     ・海外投資家の売り、「ブラックマンデー」以来の規模
     ・ギリシャ総選挙、与党勝利
     ・独フォルクスワーゲンの不正問題、世界的規模に拡大

                                
<株式投資のセオリー>
     
    第497回 大手ヘッジファンドCIОが見た「世界株価急落」と「中国危機」
                                                          
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<相場見通し>

◆先の安値に突っかける場面も

先週は最大の焦点となっていた米FОMCで利上げが見送られた。利上げが見送られれば、
米市場はそれを好感して上げるのではないかと見られていたが、中国など世界経済の
不透明感がかえって増したとの見方が優勢となり下落した。

一方で、利上げ見送りにより円高ドル安は進んだため、日本市場にとっては悪材料が重なる
ことになり、先週末大幅に下げた。

日本が大型連休の間も欧米市場は軟調な動きが続いている。それを受けてシカゴ日経平均
先物は大幅下落しており、23日は先週の日本市場終値比425円安の1万7340円で
終了している。本日の東京市場も大幅安で始まりそうだ。

世界の株式市場が下落しているのは、先週触れたように「リスク・パーティー・ファンド」
の資産圧縮による売却の動きがかなり影響していると思われる。ただ、この売りも
タイミング的にはそろそろ終了する頃なので、今後需給面は次第に改善されてきそうだ。

しかし、市場環境は需給要因が改善したからと言って、相場がそう簡単には回復軌道に
乗れる状況にはない。

今週、世界経済後退の大きな要因とされる中国で、新たな悪材料が出てきた。それは23日
発表された9月製造業PMI速報値が47.0(市場予想47.5)と6年半ぶりの低水準
に沈んだことだ。

注目度の高い製造業PMI指数が予想値に届かなかったことで、中国経済が想定より急速に
悪化し、ただでさえ脆弱な世界経済の回復が後退するのでは、との不安心理が市場では
強まりそうだ。

またチャート面でもさらに下離れを暗示するような動きとなってきている。これまで
「日経平均はチャートを見る限り下げトレンド入りした」と再三申し上げてきたが、さらに
最近の動きを見ると、底割れを示唆するようなパターンも現れている。

今週、シカゴ市場を引き継ぎ日本市場が軟調で始まるとすれば、9月8日の安値1万7415円
を更新する可能性もありそうだ。いずれにしても相場環境は良くない。安易な安値拾いは
慎み、静観する場面。

        *     *     *

<今週の参考銘柄> 
      
     お休み


<経済の動き>

◆海外投資家の売り、「ブラックマンデー」以来の規模

『東京証券取引所が17日発表した投資部門別売買動向によると、9月第2週(7〜11日)
の海外投資家の売越額は1兆348億円に膨らみ、株価が暴落した1987年の「ブラック
マンデー」以来の大きさとなった』

(解説)
この週はオプションと先物の特別清算指数(SQ)がらみの持ち高解消売りも含まれるで、
見かけ以上に金額が膨らんでいるとみられるが、それにしても売りの規模が大きい。

問題は短期投機型ヘッジファンドなどに加え、年金や投信など長期投資家も売りに回って
いるかどうかだ。本格的に長期投資家が売り方に回れば、アベノミクス上昇相場の完全なる
終焉を意味することになるからだ。

今のところ長期投資家は基本的には静観しているという見方が大勢だが、売りの規模から
みるかぎり、本格的ではないにしても一部の長期投資家の売りも交じり始めているのでは
ないかとみられる。


◆ギリシャ総選挙、与党勝利

『20日投開票されたギリシャ総選挙(定数300)は、チプラス前首相が率いる」与党・
急進左派連合が145議席(得票率約35%)を獲得し、勝利した。右派「独立ギリシャ人」
と再び連立を組み、両党で過半数を超える155議席を占める。金融支援と引き換えに
欧州連合(EU)と合意した財政緊縮策は維持される見通しとなった』

(解説)
戦前は野党との接戦が予想されていたが、予想外に差をつけの与党勝利となった。背景には、
チプラス政権を積極的に支持するというよりは、選挙への厭戦気分や、あきらめの境地が
かなりあるようだ。従って政権は盤石とは言えないだろう。

ただ、チプラス首相側から見れば、世論を上手く操作することによって、自分の主張を
通した感じだ。


◆独フォルクスワーゲンの不正問題、世界的規模に拡大

『独フォルクスワーゲン(VW)による排ガス試験の不正問題は、米国に次いで欧州など
でも調査の動きが広がり、世界規模の不祥事になった。VWは22日、対象車両が世界で
1100万台に上り、対策費用として7〜9月期に65億ユーロ(約8700億円)を
特別損失に計上すると発表。経営が大きく揺さぶられる事態となった。環境大国を任ずる
ドイツにとっても衝撃は大きい』 

(解説)
独フォルクスワーゲンは、今年は生産台数でトヨタを抜いて初めて世界1になると見られて
いたが、今回の不正問題で大きくつまずいた格好だ。

中国での大規模な設備投資が、中国市場の減速で裏目に出ていることもあり、収益的には
しばらく厳しい状況が続きそうだ。ただ、収益的には経常で2兆円近い収益を上げている
ので、屋台骨が揺らぐようなことはないと見られる。

    *     *     *

<株式投資のセオリー>

第496回 大手ヘッジファンドCIОが見た「世界株価急落」と「中国危機」

今回は、現在の世界の株式市場や中国の状況について、中国通の米大手ヘッジファンドの
CIО(世界のヘッジファンド・グルと呼ばれるマネージャーのひとり)の直近の
インタビュー情報をご紹介したい(インタビュアーは日本の著名アナリスト)。

同CIОのコメントは、たびたびウォール・ストリート・ジャーナルやバロンズなどの
主要紙にも引用される著名なヘッジファンド・マネージャーである。

インタビューでは大手ヘッジファンドが現在の世界の株式市場の混乱についてどう考えて
いるか、また急落の要因の一つとなった中国経済の動向ついてどうとらえているか、示唆
を含む見方が多く含まれているので、やや長くなるが是非ご一読していただきたい。

≪世界の株式市場の動向について≫
・今回の世界同時株安の下落幅は歴史的に見て10年に一度のクラスの大幅下落である。
だが、この間経済ファンダメンタルズに関しては実は何も変わっていないと考えている。

上海株式市場の激しい動きに端を発した大きな下げは、経済ファンダメンタルズの基本的
な転換に反応したのではなく、いわば機械的な条件反射というべきだ。

それに加えて運用規模をパンパンに膨らませていた「リスク・パーティー・ファンド」に
不意の相場急落が襲い(詳細については前回の本欄参照)、急激なポジション縮小の動き
が重なった。

また、その動きに乗じてHFT(高頻度売買投資家)が商いを膨らませたことが、値動き
を増幅させたと考えている(これについても前回の本欄参照)。

一旦市場が大混乱に陥いるとHFTは市場から資金を引き揚げることしか考えない。流動性
が枯渇し混乱した市場を安定化させるには投信や年金などのバリュー系、長期ロング(買い)
オンリー投資家の復帰が不可欠だ。

従って、今回も市場が本当に平静を取り戻すのは、現在値動きの激しさに見送り姿勢を
強めているロングオンリー・バリュー勢が、市場に復帰したことが確認されたときだろう。
・現在の世界の株式市場は、質が悪く老朽化した金融バブル相場に終止符を打って、
新しく質の高い相場に転換しようとするフェーズにあり、その狭間で起きた急落だと考え
ている。

相場の転換時には経済ファンダメンタルズにケチをつけて資金を引き揚げ、相場を暴落
させることが歴史的に繰り返されてきた。

その「売りの口実」のリストは毎回殆ど同じで1過剰債務、2金融政策不信、3デフレ
突入懸念、4業績偽装懸念(東芝問題など)、5不動産暴落懸念、6新興国通貨の続落だ。
しかし、よほどの大きなバブル相場の崩壊でない限り「経済ファンダメンタルズへのケチ」
は見当違いであったことが後に論証され、株式市場は次第に安定化していくものだ。

今回、その見当違いの「ファンダメンタルズへのケチ」が主に“中国経済のスローダウン”
に向けられているが、そのスローダウンがどのようにして起こったかの詳細な吟味や評価
は棚上げされている。

≪中国経済の現況≫

・この2週間、私は当社の香港とシンガポール拠点を駆け足で訪れ、中国の現状に関する
議論を政府高官や有能なエコノミスト、証券会社幹部たちと幾度となく繰り返した。その
結果、以下のような二つの考え方がほぼ同数聞かれた。

一つは、中国は危険なほどに不安定化し、政府のコントローラビリティーも低下し、今後
更に深刻な社会・経済の混乱と景気悪化が中国を襲う、という悲観的な見方

もう一つは、中国は現在構造改革、特に金融システム改革の長い道のりの半ばにあり、
この改革は従来の“勝者”と“敗者”のバランスをひっくり返すほどの大転換と痛みを
伴う。

つまり、現在の中国社会や経済の混乱は政府がコントローラビリティーを失ったのではなく、
近代世界がこれまで経験したことのないスケールの大改革の過程の想定内の混乱と取るべき、
という楽観的な見方。

以上の2つの考え方に対して、私は後者の現状認識や将来展望が、「今何が中国で起こって
いるのか」「次に何が起こるか」を考える物差しとして適切であると考えている。

つまり、中国はベア(弱気)マーケットに転換したのではなく依然ブル(強気)市場の
踊り場にあるが、この踊り場を抜けるには非常に厳しい「悲観の壁」を登らなくてはなら
ない、という表現が最も現状を正しく表していると思う。

・中国は30年間にわたって成長を続けてきたが、当初は「生産と輸出」に向けられていた
政策の目標が、近年は「消費と輸入」にシフトしている。

具体的には「低賃金、自国通貨安、低資本利益率の消費抑制政策」が「高賃金、強い自国
通貨、高コスト、高資本利益率」への大転換だ。

多くの投資家の間では「中国の景気は急速に減速しており、世界の商品市場への需要は
急減している」との懸念が米国でもアジアでもよく聞かれる。

だが、私が今回の“議論の旅”で行き着いた現実は「中国の国内需要(個人消費)は依然
先進国に比べれば堅調。ただ嘗ての様に急拡大していないだけ」ということだ。

問題は、中国企業の経営者が嘗ての需要の伸び率に固執して、あらゆる製品分野で供給
過剰を引き起こしていること。

中国国内では所得格差が広がり消費者の嗜好も過去数年で遥かに多様化している。つまり
全体としての需要は堅調なのだが、企業経営者は多品種少量生産への頭の切り替えができて
いない。

その結果、消費者が必要としない二流品(コモディティー)を大量生産し、在庫の山を
作ってしまっている、というのが現実だ。今後この切り替えを進める必要がある。

・次に中国リスクを喧伝する人々が頻繁に指摘するのが、地方政府の膨大な債務だ。

この懸念に関して、私が感じるのは債務GDP比率が深刻な問題になるのは、その債務に
占める対外比率が高い場合だ。中国の債務の殆どは対内債務だ。そして、その対内債務の
殆どが地方債務。

更には、その地方債務の大半が意外にも質が高くキャッシュフローを生み出すことが可能な
公共性の高い資産によって担保されているので、これらの債務は高付加価値の担保を証券化
することによって、長期ローンに切り替えることが十分可能だ。

この点は、欧州において同じように過剰債務を抱えるスペインやイタリアなどとは大きな
違いだ。

中央政府は、地方政府に指示してこうしたキャッシュフローを生み出す公共性の高い資産
のみをパッケージにして「インフラストラクチャー債」「社債(BBB格付け以上)」
「RIT」として国内の年金、保険会社に販売する計画を発表している。

・今一つ、中国経済成長にとっての深刻な重石となっているのが不動産だ。

中国弱気派の投資家やエコノミストは「中国では早晩不動産バブルの内部爆発は避けられない。
中国全体に空き家の高層マンションが並び、ゴースト・シティーがごろごろしている。

これらは近い将来更に金融機関の不良債権の膨張に繋がり、多数の金融機関の連鎖的破綻を
引き起こす」と中国リスク論を喧伝する。

だが、私が2006年以降見聞して来た実態からは中・小都市(Tier3)の住宅供給は明らか
に過剰だが、大都市(Tier2)や巨大都市(Tier1)の過剰感は限定的とみている。

現在の中国の不動産市場の問題は、Tier3に大量の住宅在庫を抱える不動産業者が投げ売りを
行っていることが不動産市場全体の不安感を醸している原因だ。これは確かに深刻な問題で、
しかも中国政府はこの問題に対して十分な対応をしているとは言い難い。

しかし、最も警戒しなければならないのは、Tier3都市の住宅の投げ売りに対し政府が一挙に
厳しい規制を掛けようとした場合、Tier3で在庫が掃けなくなった不動産業者は、その代わり
にTier1やTier2の大都市で保有している物件を投げ売りして、利益をなんとか確保しようと
することだ。

そうなったら、せっかく立ち直り始めたTier1、Tier2都市の超高級物件にまで下落が伝染
してしまい、大変な事態(不動産市場の崩壊)になってしまう。

これに対して政府は、全面規制(Tier3都市での投げ売りを全て禁ずる)を実際に行うとは
考えていないとみられる。

現実的には何らかの形でTier3での投げ売り抑制措置を取る一方で、中国経済の心臓部である
北京、上海、広州市などの物件を不動産業者の新たなダンピング対象とさせない対策も同時に
打たれるだろう。

そうすれば、Tier1、Tier2都市の住宅市場の暴落は避けられ、株式市場もおのずと平静を
取り戻す機会を得ることになると思う。

・8月以降の中国株の急落は、政府のTier3物件の投機売買規制強化に関する風説の流布が
最大原因であった可能性が高い。

ちなみに6月中旬から始まった大幅下落は、4月以降の信用取引規制の更なる緩和と、中国
株式市場のMSCIエマージング株価指数ユニバースへの組み入れ期待で、国内投資家が
上海A株を信用取引で大幅に買い増して生じた株価急上昇の反動が、最大原因であったと
考えている。

MSCIが上海A株の採用を見送った直後に、信用取引の解約が殺到。株価はマージンコール
を受けて急落した。

中国弱気派の投資家たちは「中国政府は証券市場の規制緩和によって株式バブルを発生させ
ようとしたが失敗した。3兆ドルに迫る時価総額が焼失したことで、中国の個人消費にも
甚大なダメージが広がる」と考えている。

中国株式市場の今回の下落は、その株価急騰⇒急落までの期間の短さに注目すれば1929年
の米国発の世界大恐慌的な暴落の引き金というよりも、1987年のブラックマンデーに
類似している。

暴落前の株価急騰は極めて短期間だったので資産効果は限られており、それゆえ株価の急落
による逆資産効果は限定的だ。むしろ、信用取引の損失による個人投資家の負債膨張が懸念
される。

だが、信用取引の口座数と一般株式口座数を比べれば、昨年10月に誕生したばかりの信用
取引制度による損害規模は、中国の消費行動を左右するほどの経済的影響を与えるとは考え
づらい。

またこの暴落は、「中国政府の意図的な株式投資奨励策により、膨大な借入金を株式信用取引
に向けさせた」という中国政府批判につながっている。

悪評の中国政府の信用取引解禁だが、昨秋この制度がスタートした途端に通貨キャリー・
トレードは減少(国内資金流出要因が減少)、中国投資家は国内で借りた資金を国内で投資
するようになったことも重要な事実だ。

今回の動きは、中国政府の資本市場関係者と緊密に連絡を取ってきた私からすれば、上海株式
市場を短期間で押し上げるといった姑息な企みというより、中国生粋の資本市場を築き上げ
ようという中国政府の長期的な試みの過程の吃逆(しゃっくり)のようなものであると思う。

この中国株急落に対して中国政府が打った対策には確かに一部誤りがあると言わざるを得ない。
株価急落を受けて中国政府は翌日に証券会社の信用貸し規制を大幅に強化したが、逆に株式
市場からの資金引き揚げを加速してしまった。

ただ、今回、中国政府の関係者や中国証券取引業界グルたちとの情報交換で、政府は上海
総合指数が3500を割った状態では買い支えを繰り返す一方、証券会社は4500を越え
たら利益確保を行ってよいというPACT(協定)が政府と証券会社の間で出来上がっていること
が分かった(やや信じがたい情報だが、当事者の情報網を考えればありえないことではない)。

中国の証券市場は時価総額は巨大でも、まだ本格的に機能し始めて間もなく『巨大な幼稚園児』
のような存在だ。証券市場『草創期』の混沌の中で、政府があちこちぶつかって失敗しながら
猛スピードで走り出していると考え、その失敗一つ一つにオーバーリアクトしないように
思慮を働かせることが必要と考えている。

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創刊日:2005-04-12  
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