投資

投資の視点

株式投資は「相場観測力」「銘柄選択力」「売買手法」の3つの能力を、バランスよく身に付けないとうまくいきません。本サイトは、株式投資の基本を勉強しようとする投資家のための支援サイトです。

全て表示する >

投資の視点(9/14)

2015/09/14

もくじ
<相場見通し>

     ・需給悪化により、低迷状態続く

<今週の参考銘柄>

       お休み
                   
<経済の動き>     
     ・産業機械受注の低迷続く
     ・郵政3社の上場決まる
     ・明らかになった東芝の低収益体質

                                
<株式投資のセオリー>
     
    第496回 今回の急落に大きな影響を与えたヘッジファンド勢の動き
                                                          
★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★★

<相場見通し>

◆需給悪化により、低迷状態続く

相場は日経平均1万8000円を挟んで不安定な動きを続けている。先週9日(火)には
1343円もの急騰をしたが、その後は下げに転じ、本格的な反発の動きにまでは至らな
かった。

買いが続かなかった理由としては、1つには今週16日〜17日に開かれるFOMCの
結果が出るまでは本格的に動きにくいことがある。

FOMCの利上げについては、新興国市場などからのさらなる資金引き上げにつながり、
世界経済の混乱をまねくので、株式市場にとってはマイナスという見方がある一方、利上げ
の引き延ばしは株式市場の気迷い気分を長引かせるだけなのではやくやるべき、と大きく
見方が分かれている。これでは結果を見ないうちは簡単には動けない。

2つ目としてはヘッジファンドの一部が大規模の資産圧縮に動いており(詳細については
下記「株式投資のセオリー」参照)、それが終了しないうちはうかつに買い上がれない
という事情があったためだ。

ヘッジファンドの代表的商品の一つであるリスク・パリティー・ファンドが、8月に入り
損失が拡大しており、解約にそなえるため大手ヘッジファンドなどは資産売却を急いで
いる。

かなり大きな資産(株式で9兆円以上といわれる)が処分される見込みなので市場への
影響は大きい。しかも高速取引を得意とする短期投機型ヘッジファンドがこの動きに便乗
して、鞘取りに動いていることも問題を大きくしている。

この資産圧縮の動きはあと1〜2週間は続くと想定されるので、しばらく買いの手が出し
にくい状態が続く。

従って、FOMC終了後、冷静に世界のファンダメンタルズを見つめ直して動き始める
のは、9月末近くからとみておいたほうがいいだろう。それまでは市場は模様眺めの状況
が続きそうだ。

問題は、相場はその後どちらに動くかだ。このところの相場下落で、チャートは上値・
下値を切り下げる下落トレンド入りを示している。常識的に考えるならば上よりも下に
行くものと見るべきである。例年9月から10月にかけては相場が低迷する時期でもある。

さらに需給面でも大きな問題がある。日本郵政3社の上場が11月4日に決まった。NTT
以来の大型上場で、10月に入れば市場から大量の資金が吸い上げられることになる。
こう見てくると、9月から10月にかけては相場は低迷状態から抜け出せそうもない。

その後も盛り返すことが期待できるようなシナリオは今のところ見出しにくい。世界景気は
下期に向けて減速が予想されなど市場環境はさらに悪化が予想されるからだ。

例年10月〜11月に安値を付けて、年末にかけて相場は反発するパターンが多いが、
今年は不発となる可能性もある。引き続き安易な仕掛けは慎み、できるだけ持ち株整理を
優先させたい。

        *     *     *

<今週の参考銘柄> 
      
     お休み


<経済の動き>

◆産業機械受注の低迷続く

『日本産業機械工業会が10日発表した7月の産業機械受注高は前年同月比57・1%減
の3508億9500万円と4カ月連続で前年を割り込んだ。ロシアの液化天然ガス
(LNG)プラント向けの設備の大型受注が前年にあった反動で、外需が76・5%減の
1312億8300万円と落ち込んだ』 

(解説)
産業機械受注高の大幅減少は、前年度に海外の大型受注があったためと説明されているが、
その要因を除外しても頭打ちが鮮明だ。大きな要因は中国需要が減退し始めているためと
見られる。

中国景気は今後されに減速が予想されているので、産業機械受注高の減少傾向は続き
そうだ。


◆郵政3社の上場決まる

『日本郵政と傘下のゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の東京証券取引所への株式上場が
10日、承認された。いずれも東証1部の見通しで、上場日は11月4日。上場準備の
書類で示した想定価格に基づく株式時価総額は3社あわせて13兆円を超え、1987年
2月に上場したNTT(約25兆円)に次ぐ規模になる。』

(解説)
郵政3社の収益はコンスタントに減少傾向を示しており、通常なら上場は難しいはずだが、
国にはさらに悪化する前に何とか上場させたいという意図があるのだろう。特に郵便事業
の営業損益はマイナスに転落し、悪化の一途で、これをどう立て直すのか見えない。

また、とりあえず一番利益を出している郵便貯金業務も大きな問題を抱えている。集めた
巨額な資金を自前で運用する力がなく、他に丸投げしている状態だからだ。とても一つの
事業として成立しているとは言い難い。

今後10月に入ると上場に向けてかなり盛り上がりを見せるてくるとみられるが、この
ように大きな問題を抱えた上場なので、政府などに踊らされずに、投資家は慎重に対応する
必要がる。


◆明らかになった東芝の低収益体質

『東芝は7日、2015年の決算と09年3月期からの決算訂正を発表した。リーマン・
ショック以降の7年間で最終赤字の合計は2555億円にのぼり、会計不祥事が覆い隠してた
低収益体質が露呈。なかでもパソコンや白物家電事業は直近3年で赤字2300億円と
不振が深刻だ』

(解説)
これまで総合電機の中では収益力はある方だとみられていたが、今回の修正でかなり
低収益体質であることが判明した。収益を上げているのはデバイス部門(フラシュメモリー
等)ぐらいなもので、それ以外はトントンに近いかマイナスだ。

原子力関係はほとんどトントンに近く、一番深刻なのはライフスタイル部門(パソコン、
家電関係)でマイナス状態が続いている。

今回の不祥事で、今後対外的信用回復は急務だが、明らかになった低収益体質をどう
構造改革していくのかも大きな問題だ。


    *     *     *

<株式投資のセオリー>

第496回 今回の急落に大きな影響を与えたヘッジファンド勢の動き

今回の株式急落についての欧米ヘッジファン勢の動きについて、現地で集めた情報が入手
できたのでお知らせしたい。情報収集は日本のある有力なアナリストが、現地で多数の
ヘッジファンドマネジャーにインタビューして集めたもの。

ヘッジファン勢の情報を集約すると、急落の背景にはヘッジファンドの主要ファンドの
一つである「リスク・パリティー・ファンド」の巨額資産売却と、その動きに便乗した
高速取引ヘッジファンド勢のアルゴ取引が浮かび上がってきた。

「リスク・パリティー・ファンド」とはあまり耳慣れないファンド名だが、投資リスクを
均等(パリティー)に分散するべく、株式・債券・為替・商品など様々な資産の中でお互い
の相関係数が最も低い資産を、均等のリスク比率で組み合わせるファンドである。

通常、ロング/ショート(売りと買いをセットで運用する手法)は組まず、全てロング
(買い)することから、「分散投資ファンドとどこが違う?」と聞かれる場合が多いが、
リスク基準にボラティリティー(価格変動の大きさ)を用い、資産にレバレッジ(証拠金
の数倍・数十倍の規模に拡大して取引)を掛けていることなど、多数の相違点がある。

現在世界1位の運用額を誇るヘッジファンドのブリッジウォーター社が1996年に立ち
上げたのが最初とされ、同社では現在の地位を築く礎となったベストセラー・ファンド。

当ファンドは全天候型ファンド(どんなマクロ環境でもプラスのリターンを挙げ続ける)
として評価が高まり、2008年のリーマンショック、2011年のユーロ危機を経験
した世界の年金によって急速に導入が進み、現在では欧米大手年金の4〜7%にこの
ファンドが組み入れられている。

運用額は、ヘッジファンドが運用するファンドだけで21兆円相当(全ヘッジファンド資産
の10%程度)に達し、さらにヘッジファンド以外にも、投信や機関投資家向け資産運用
会社などが年金向けにこのファンドを提供しており、これらの運用分を含めれば、世界の
残高は57兆円を優に超える巨大商品となっている。

この膨大な顧客資産を抱えるリスク・パリティー・ファンドが、今回8月の世界資産同時
下落の被害を被って急激に損失を拡大、その結果、大手を含め相当数のヘッジファンドが
段階的なポートフォリオの解消を余儀なくされている。

その解消額は最低でも5兆円、最高は20兆円を超えるといわれ、この資産売却の動きが
世界の金融・株式・為替・商品市場の急激な調整の大きな要因となったようだ。

確かに、公式・非公式に発表されているリスク・パリティー・ファンドの月次の運用成績
を見ると、8月はロスとなるところが増え(大手では平均すると4〜5%、中小では2桁
のところも)、これによって年初来のリターンもマイナスに転落したファンドも少なくない。

ところで、同じヘッジファンドでも、他の巨大ヘッジファンドは8月に好調な成績を上げる
中、なぜリスク・パリティー・ファンドが、ここまで深い痛手を負うことになったのか?

現地ベテランヘッジファンド運用者の見方では、それは8月の相場がかなりイレギュラー
な動きとなったことが影響したようだ。

具体的には、それまで比較的安定していた各資産間の相関係数が突然8月14日前後から
急速に上昇し、各資産のボラティリティーも、トレンドフォロ−によって算出した予想
ボラティリティーと全く異なる動きに転じ、予想と実際値の間に大きな狂いが生じたと
いう。

この時期に起こった株価やドルの急落の要因は、多分に中国株の急落の世界各国市場への
伝搬、19日のFOMC議事録発表で利上げ延期観測が強まったことだが、世界で1位、
2位の経済情勢がどちらも行き詰まって袋小路に追い込まれたという閉塞感が一種のピーク
に達し、ダムが決壊するように相場の方向が狂って逆噴射した・・・というのが、現地
マネージャーの一致した見方のようだ。

そこで気になるのは、リスク・パリティー・ファンドのポジション圧縮や解約対応の売りが
どの程度の規模に達し、現在、既にどこまで終了しているか?という点。

前述のように2014年末の世界のリスク・パリティー・ファンドの顧客資産残高は
57兆円前後と見られ、その中で解約等の動きを勘案すると12兆円以上(うち株式は
2/3(9兆円)以上)の資産売却が行われる可能性が高いようだ。

そしてこれまで(先週初めの時点)の売却額は約30%弱と推定され、今後2〜3週間
かけて残りの約70%が処分される見込み(これはあくまで推定で、現時点では予想以上
に進捗していることもありうる)。

今回の急落は上記のようにリスク・パリティー・ファンドのポジション圧縮が大きく影響
しているが、さらに相場の動きを増幅させているのがHFT(高速取引をするヘッジ
ファンド勢)だ。

彼らはリスク・パリティー・ファンドの巨額売りの動きに便乗して取引をかなり活発化
させ利ザヤを稼いでいる。具体的な手法は「アイスバーグ注文」、「スティルス注文」、
「見せ板アルゴリズム注文」といった手法だ。

「アイスバーグ注文」は、大きな注文を一度に出すリスクを回避するため注文の規模を
察知されぬよう小口に分割し、時間も僅かにずらしながら一気に注文を出す手法。例えば
日経平均先物でば、1枚単位で断続的におびただしい数の注文が次から次へと出てくる
ことになる(実際にもこのような取引が東証でも確認されている)。

次の「スティルス注文」はHFTが大口の売り注文を出すことを知らずに一般投資家が
買いを入れると、HFTが1/1000秒のタイミングで小口の売りを出し瞬間的に約定する
手法。

以上のようなの取引を目の当たりにすると、投資家には得体のしれない恐怖感を感じる
ことになる。

さらにHFTは最後はある種のだましのテクニックまで使っている。それが3番目の
「見せ板アルゴリズム注文」だ。

「見せ板アルゴリズム注文」は、実際にはその時点で売却の意図がないにもかかわらず
大きな「注文板」だけを出し、他の一般投資家がその板に反応し売り注文が殺到。その
結果株価指数が急落する過程でヘッジファンドは株価指数先物売りを拡大する。

1日だけでダウ指数が1000ドル下げたり、日経平均がいとも簡単に700円も下げる
ことが頻発しているのは、このようなHFTのアルゴトレードの便乗があるからだ。

8月18日以降始まった世界同時株安は、当初は中国と米国のファンダメンタルズ要因の
影響が大きかったものの、その後の激しい乱高下には、リスク・パリティー・ファンドの
資産圧縮の大規模売り、また、これに便乗したHFTのアルゴリズム売買が深刻な影響を
与えていることが今回入手した情報から伺える。

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2005-04-12  
最終発行日:  
発行周期:週間  
Score!: 非表示   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。