小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.104

2005/08/08

■アカシア探偵団ブログ■http://blog.melma.com/00134063/
■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「大連は、とてもきれいな街よ。あなたもきっと好きになるわ」
 内地に帰りたいなんて、いわないで……だが、千勢はそれを口にはできなかった。
「おちついたら、あちこち案内してあげるわね」
「そうね」
 秀子は、スカーフの影から、微笑んだ。
「ここは、まるでヨーロッパの街みたい。ロンドンはもっとすすけていたけど、大連は明るくて……アカシアがいっぱいあって、パリみたいだわ」
「パリへいったことがあるの?」
 美智子が目を輝かせた。
「ええ、小さいころだけど」
「今度、ゆっくりお話をきかせて!」
 秀子がうなずいたので、美智子たちは大喜びだった。秀子が戻ってきたら、女学校はもっと楽しくなるにちがいない。
 愛宕町の裏手の道筋をとって、大広場を西から北へまわりこんだ。大通りは安心感があったが、うっかりだれかに出会いでもしたら、ことだ。
 ロシア人街の通りにはいった。
 月華はまっすぐ、一軒の家にむかった。
「この家だよ」
 月華にいわれて、少女たちはほっとして笑いあった。
 秀子が呼び鈴を押した。
 体をゆさゆさゆらして、ロシア人の婦人が出てきた。
「あの、こちらに日本の学生さんがきているはずですが」
 日本語でたずねたが、相手はことばがわからないらしい。そこで玉玲がかわって、
「椛島さんは、おいでじゃないですか」
 と中国語でたずねた。
 婦人は不機嫌そうな顔で、
「いえ、いませんよ」
 とすげなくいった。月華が驚いて、
「いや、たしかにここに日本の学生がいるはずだ。あたしは見たんだ。ついさっきはいたじゃないか」
 といった。
 婦人は困ったような顔をして、
「でも、いないんだからしょうがないわよ」
 といった。
 少女たちは、疑わしげな顔で、月華をみた。
「ほんとうだってば」
 月華はあわてて、小物袋をにぎりしめた。
「じゃあ、中を見せてくれよ」

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
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