小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


全て表示する >

[ibunko]アカシア少女探偵団 No.102

2005/08/04

■アカシア探偵団ブログ■http://blog.melma.com/00134063/
■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
┏━━━━━━━━━━━━
┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
┗━━━━━━━━━━━━

十六

 三時をまわったばかりだった。
 玉玲はまっすぐに屋台へむかったが、小路からのぞきこんでみると、まだ店は開いていなかった。
「やっぱり早すぎたみたいね」
 少女たちは、残念そうにため息をついた。
「奥で待ってみたら?」
 八重があきらめきれない、という顔でいった。
「そうねえ……」
 思案する玉玲の肩が、とんと叩かれた。
「ひ!」
「あたしをさがしてるのかい」
 玉玲はとびあがって、ふりむいた。
 いつのまにか月華が、玉玲の後ろに立っていたのだ。
「月華さん! いつのまに!」
 月華はにやりと、得意そうに笑った。
「おねえさんをなめちゃいけないよ」
「かっこいい……」
 美智子と八重が、うっとりと月華を見つめた。
「この人が、女探偵さん?」
 玉玲はうなずいた。月華は日本語はわからないから、そういうことにしておこう。
「なんだい、この小便くさい子どもたちは」
 月華はうさんくさそうに、少女たちをながめた。
「ああ、あんたはこの前あたしが助けてやった子だね」
「助けた」というのを強調しながら、月華は千勢を見た。玉玲はうなずきながら、
「この人たちはこの子の友だち。あっちの彼女が、ロシア人のところへいった学生さんをさがしているひと」
 秀子は、自分のことをいわれたと悟り、月華に頭をさげると、その手をとった。
 びっくりしている月華の目を、まっすぐにのぞきこんで、秀子は、
「おねがいします。わたしの友人が、行方不明なんです。ぜひさがしてください」
 と日本語でいった。
「あれ、この子、日本人なのかい?」
 月華はじろじろと秀子を見まわして、
「もしかして……大津の娘?」
 といった。
 その瞬間、千勢がはっとした。
「しまった! 秀子さんは、まだ狙われてたんだっけ」
 千勢は青ざめた。

---------- 
※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
---------- 
■解除・登録⇒ http://ibunko.com/text/mbook/acacia.html
□問い合わせ⇒ acacia@ibunko.com
■制作・発行⇒ アイ文庫(有) http://ibunko.com

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。