小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.101

2005/08/03

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■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「教室のみんなから、お金も集めたわ。みなさん、快く出してくれたわ」
 見せられた小物袋を手にとって、秀子も驚きの表情になった。
「こんなに? わたしのために?」
 秀子は、小物袋をささげもって、しばらくじっとしていた。
「秀子さん、椛島さんの特徴を、もうちょっとくわしくきけないかしら。その……女探偵に説明しなきゃいけないから」
 玉玲がいった。
「探偵に頼むなら、わたしもいくわ」
「えっ」
 秀子のことばに、四人はたじろいだ。
「本来、わたしが依頼しなくてはいけないことだわ。お金はわたしがきっと返します」
 秀子は決然とした表情でいった。
「でも、だめよ、だれかに見つかったら……」
 千勢はこばもうとしたが、
「星ヶ浦からだって、だれにも見つからずにこれたのよ。スカーフをすれば、ね、だいじょうぶ」
 秀子がスカーフ一枚で、外国の少女に化けたのをみて、美智子と八重は大いに感心した。
「ほんとだわ、これならわかりっこないわよ」
 そういいながら、ふたりが、探偵に恋人の捜索を依頼する悲劇の女主人公の図を秀子に投影しているのは、あきらかだった。
「千勢ちゃんたちって、みんな小説の読みすぎねえ」
 玉玲があきれたようにささやいた。
「わたしはあれほどじゃないわ」
 千勢もあきれてこたえた。
「ねえ、そうときまれば急ぎましょうよ」
 勝手にきめて、美智子がいいだした。
「でも、まだ早いと思うのよ……やっぱり市場へは、わたしひとりで……」
 夢みる乙女たちをなだめようと、玉玲がいったが、だれもきいてはくれなかった。
「どうなっても、しらないわよ」
 ついに折れて、玉玲は少し腹をたてながら、先頭にたって歩きだした。少女たちがぞろぞろとついていくのを、曹明が、ものめずらしそうに見送った。


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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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