小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.100

2005/08/02

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 受けとろうとして、その重みに、玉玲は驚いた。三人は、うれしそうに、玉玲の驚きをながめた。
「じゃあ、いってくるわ」
 玉玲がでようとしたので、千勢はあわててとめた。
「みんなでいって、月華さんにおねがいしようってことになったの」
「ええ? そんなおおげさな」
 玉玲は困った顔になったが、三人の真剣な顔をみて、ふうと息をはいた。
「でも、いって帰ってくるだけじゃないのよ。いますぐいっても、月華さんはまだいないと思うから、まず秀子さんのところへ寄って――」
「えっ、秀子さん? 会いたい!」
 八重がいった。美智子もうんうんと強くうなずいた。
「まあ、いいか」
 玉玲は迷っていたが、やがて、しかたがないときめたようだった。
 四人は、裏口からそっと家をでた。
 人目につかないよう、裏道を選んで住宅街をぬけ、市場の裏手へむかった。細い路地をいくつも抜けると、曹明の家だ。
「明くん」
 表から玉玲が声をかけると、少年がすぐにでてきた。
「こんちは、玉玲さん」
「昨日はありがとうね。秀子さん、いる?」
 玉玲のうしろにひかえた日本人の三人の少女に気づいて、少年は気後れしたように、あとずさった。そこで、千勢が一歩進みでて、
「曹明くん、本当にありがとう」
 美智子と八重もそれにならって、少年にかわるがわる礼をいったので、少年はようやくはにかんだように笑った。
 少年の後ろから、千勢の上着をきた秀子があらわれた。
 わあっ、といって、美智子と八重が秀子を囲んだ。
「よかった、無事で」
「あなたたち、わたしの顔をみるたび、そういってない?」
 秀子が笑った。
「おそろいで、どうしたの」
「これから、椛島さんの捜索を、女探偵さんに頼みにいくのよ」
 美智子がうれしそうにいった。
「女探偵?」
 玉玲が首をかしげたので、千勢は、
「月華さんのことよ」
 とささやいた。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
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