小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.097

2005/07/28

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「秀子さんの危急? いったいなんなの? なにかわかったの?」
「これにあるとおりよ。ごめん、しばらく待っていて。きっといい結果がでるから」
 月華だけが頼りだったが、千勢は、月華がならず者を一瞬のうちに倒した姿を思い浮かべ、きっとやってくれると信じることにした。
 米子は納得がいかない顔ながら、小物入れをまさぐって、小銭をとりだした。
「いざというときの車代なんだけど。ね、ね、協力するから、いっとう最初に、わたしにわけを話してちょうだいよ」
 千勢は迷ったが、結局うなずいた。
 米子は小銭を袋にいれ、紙切れと袋を後ろにまわしてくれた。
 千勢は席にもどった。そこからしばらく、袋が順に渡されていくのをながめていた。
 袋と紙をわたされた女学生は、みな、首をかしげては千勢を見、しばらく考えこんだあと、そっと小銭を袋にいれていた。
 その日の終業の鐘が鳴り、教室を一巡した小物袋が千勢のもとに戻ってきた。袋はずっしりと持ち重りがした。
「どうやってとどけるの?」
 美智子がきいた。
「玲ちゃんにとどけてもらうつもり」
 千勢がいうと、八重が、
「わたし、月華さんに直接あって、秀子さんのこと、お願いしたい」
 といいだした。
「なんですって? だって、外へは……」
 思いつめたような八重の表情に、千勢はなにもいえなくなってしまった。
「……わかった。ふたりとも、うちに遊びにくることにできる? いったんうちへ帰って、玲ちゃんといっしょに、裏からぬけだしましょう」
 美智子と八重は、元気よくうなずいた。
 そろそろ迎えの車が、正門の前に並ぶころだ。三人は、そろって教室をでた。そこへ、米子が追ってきた。
「ちょっと待ってよ」
 三人がふりかえると、米子は、
「やっぱり待っていられないわ。事情を話してよ。みんな、どういうことなのって騒いでるわよ」
 そのことばどおり、米子のあとを追うように、数名の女学生が教室をでてきた。
「有島さん、秀子さんのことなら、わたしたちだって心配しているのよ。このまえから三人で、なにかたくらんでいるでしょう」

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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