小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.089

2005/07/15

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「なに、自称役人に会ったのか!」
 直武は残念そうに叫んだ。
「さがしてるんだよ、そいつを。どんなやつだった?」
 夕食のあと、直武、千勢、玉玲の三人は、食事室の窓際にあるコーヒーテーブルを囲んで、玉玲の今日の市場での話をきいていた。
「背は千勢ちゃんぐらいの小さいやつで、小太りだったわ。酔っ払ってたせいかもしれないけど、顔が赤くて、丸くて、額がはげあがってた。弁髪でひっぱられたせいじゃないかしらね。もちろん弁髪はなかったけど」
 清朝滅亡からすでに十五年以上たち、弁髪姿もほとんど見られなくなっていた。
 直武は、玉玲の話を、さっと手元の紙に書きつけた。
「しかし助かるな。あいつらは目ざといから、警察や軍の人間というのはどうも一目でわかるらしくて、なかなかつかまえられないんだよ」
 直武はあらためて玉玲に感謝し、玉玲は満足そうにうなずいた。
「そのロシア人も気になるな。その場を切り抜ける方便で、日本語を知らないふりをしただけかもしれないが、日本語を解するロシア人なんて、そういるもんじゃない」
 直武は玉玲にうながした。
「そのロシア人の特徴は?」
「こっちは大きかったわね。直武さんより頭ひとつぐらい大きいかな。身体もずいぶんがっしりしていた。鍛えてあるってかんじ。わたしにはとても宣教師にはみえなかったけど、あんな奇特なことをやるのは、宣教師なのかもね」
「そこもひっかかるな。役人とやらをつれていったのも、偶然じゃないかもしれん」
 直武は腕組みをした。
 千勢はめずらしく、おとなしく話をきいていた。
 今朝、玉玲に秀子宛の手紙を出してもらったので、あとは秀子が大連に戻ってくるのを待つだけだ。やるべきことはやったのだと、焦りはない。いま心配なことといえば、ひとつだけだった。秀子が帰ってきても、遊びに出してもらえないのでは、困る。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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