小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.085

2005/07/11

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「コミンテルンがロシア人顧問を大連に派遣し、共産党の組織拡大を画策しているという情報を満鉄調査部がつかんでおりますが、連中もその至宝を入手せんと動いているようなのです」
「ふうむ」
 少将は腕組みをした。
「至宝が単なる噂であればよいのですが、もし真実だとすると、共産党にうばわれ資金源とされる前に、なんとかせねばならないのではないでしょうか」
「なんとか、とは、つまり先手をうって奪う、ということだね」
 自分からいいたくはなかったが、こういわれてはしかたない。直武はこたえた。
「……そうです」
「ではまず、噂が真実かどうかを、確かめねばならん」
 安藤大佐がいった。
「さきほど砥部警部から連絡があったが、英国領事館からは、この一ヶ月ほどの間に、北京から大連にやってきた英国国籍の婦人は、二名という。年齢が少女とはいえないので、よもやと思うが、無関係かどうか証明せねばならん。ただし、紙片についてはまだ伏せているので、英国を通じずに調査する必要がある」
 英国までが至宝捜索に乗りだしてくるとなると、ますます事態は混乱してくるだろう。
「英国婦人の動向と、紙片の入手については、調査部に依頼すべきことだろう。君は警察と協力して、至宝の線で秀子嬢失踪の調査を続けたまえ」
 直武の顔がぱっと輝いた。
「捜査に復帰せよということですか」
「そうだ。砥部警部には連絡しておく」
「ありがとうございます!」
 直武は大喜びで少将の執務室を辞した。
「帝国軍人が、こんな噂にふりまわされねばならんとは、情けない」
 扉がしまるのをながめながら、安藤大佐は、苦々しそうにいった。
「なに、若いうちは、いろんなことをさせたほうがいいんだよ。彼も昨夜は、街中で遅くまで歩きまわったようじゃないか。これからは、満洲の地を肌で知った人間が、大きな力になってくれるはずだ」
 上郷少将が、意味ありげにいった。大佐も渋々それにうなずいた。
「――そうですな、確かに」


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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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