小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


全て表示する >

[ibunko]アカシア少女探偵団 No.084

2005/07/08

■アカシア探偵団ブログ■http://blog.melma.com/00134063/
■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
┏━━━━━━━━━━━━
┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
┗━━━━━━━━━━━━

「北京の至宝問題は、重大な事態に発展する可能性があります」
 翌朝、直武は関東庁に登庁し、上層部に経過を報告していた。昨夜、劉生とふたりで明け方近くまで繁華街をうろつき、目つきの悪い男とみると、酔ったふりをしてからみ、あれこれききだしてきたのだ。
「現在のところ、確実な情報はなにひとつありません。北京の至宝にかかわるとされる紙片が、ある婦人により大連にもたらされたことを、北京にいた元下級官吏が聞きつけ、追ってきた――その噂が大連の中国人を中心に急激に広まり、大勢の人間がやみくもに紙片を追っているという状況です」
「その紙片を作成した人間は、誰ということになっておるんだね」
 直武の前にすわっている、上郷少将がたずねた。
「廃帝溥儀という者もいれば、李鴻章という者もいますし、西太后の遺書といいだす者まで、さまざまです。現在、くわしい内容を聞きだすため、噂の元という元下級官吏を捜索中です」
「噂ほどたちの悪いものはない」
 少将のかたわらに立っていた安藤大佐が、吐きだすようにいった。
「そんなものにふりまわされて、どうするんだ」
「大津秀子嬢がその紙片の持ち主とみなされたことは、確かです。実際に、秀子嬢とまちがわれて、その紙片をだすよう脅された婦人がおります」
「誰だね、それは」
 直武は覚悟を決めて、いった。
「その婦人の名誉のために、申せません」
「有島少尉! そんな言い草が通用すると思うか!」
 安藤大佐の一喝が、部屋に響いた。直武は頭を垂れて、それを受けた。
「まあ、いいじゃないかね。その婦人が誰かというのは、問題の中心ではないんだから」
 上郷少将がなだめたので、大佐は黙った。
 少将は、直武の祖父と同郷で、東京でも何度か会っている。その縁をたのんで、直武は事前に、千勢のことを耳にいれておいたのだ。
「有島少尉、続けて」
 直武は少将に会釈して、続けた。

---------- 
※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
---------- 
■解除・登録⇒ http://ibunko.com/text/mbook/acacia.html
□問い合わせ⇒ acacia@ibunko.com
■制作・発行⇒ アイ文庫(有) http://ibunko.com

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。