小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.080

2005/07/04

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 千勢は心の中で、両親に深く頭をさげた。ありがとう……お父さま、お母さま。
 入れ違いに、玉玲にともなわれて、劉生がはいってきた。
「叱られてたの?」
 少し涙ぐんでいる千勢をみて、劉生がいった。千勢は少し微笑んでみせ、
「ごめんなさい、お忙しいのにお呼びだてして」
 と挨拶した。
「なんだい、調子が狂うなあ」
 なんだか照れくさそうにいって、劉生は椅子にかけた。
「で、ほんとに話していいの」
 千勢はうなずいた。
 直武がいらだちながら、
「なんのことだ。なにか隠し事でもあるのか」
 といったので、劉生は直武を軽くにらみつけた。
「おまえがそんなだから、こんな七面倒なことになるんだぞ」
「なに?」
「これから、ぜったい怒らないで俺の話をきく、と約束できるなら、北京の至宝の話をなぜつきとめたのか、教えてやる」
 直武は顔を赤くした。
「やっぱり、隠してたな」
「しかたなかったんだ。千勢ちゃんのからむことだからな」
「なんだって?」
「まあ、約束しろ。そしたら話してやるから」
「一方的じゃないか!」
「知りたくなければいいんだ」
 直武と劉生は、しばらくにらみあっていたが、やがて直武が折れた。
「くそ! 約束してやるから、話せ」
 劉生は、日曜の夜、市場で千勢と玉玲がまきこまれた一部始終を語ってきかせた。
「な……!」
 話をきいて、直武の顔は、ますます赤くなった。
「なんでそんな危険なことを! 玉玲、おまえまで!」
 だん、と直武は力いっぱい、こぶしを食卓に叩きつけた。
 玉玲は平気な顔をしていたが、千勢には、とてもそんな勇気はなかった。
「ごめんなさい、わたしがむりについていったからなの。玲ちゃんひとりなら、そんな目にあわなかった」
 そういいながら、怯えて涙が出てきた。
「約束を破ったな」
 劉生がいった。
「え……ちがう、怒ってるわけじゃない」
 あわてて直武が手をふった。
「びっくりしただけだ」
「ふん、そういうことにしといてやる」
 劉生はなおもにらみながら、続けた。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
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