小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.077

2005/06/29

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 女学校に戻り、ぶらぶらと迎えの車を待っていると、千歳があらわれた。千勢はびっくりして、千歳にかけよった。
「どうしたの、お母さま」
 千歳は千勢をにらみ返した。
「あなた、今日、とんでもないことしたんですってね」
「えっ」
 もう連絡がいったのだ。千勢は、自分の家に電話がひかれていることを呪った。
「これから先生にお話をうかがいにいきます。あなたは車で待っていなさい!」
 千歳に指をつきつけられて、千勢は肩を落として車に乗りこんだ。冒険の代償は、なかなかに大きいらしい。
 だいぶ待たされて、千歳がもどってきた。ものもいわず、千勢の横に乗りこむ。
「あの……ごめんなさい……」
 おずおずと千勢はいったが、千歳はつんとして顔もむけない。しかたなく、千勢は窓の外を流れる風景を見やった。
 アカシアの並木をながめているうちに、無事な秀子を見つけた、そのうれしさが、また湧きおこってきた。どんなに叱られたっていい。わたしたちは、すごいことをやってのけたんだもの。
「先生のおっしゃるとおり、反省していないようね」
 冷たい声が千勢の背をおそった。
 はっとして顔に手をあてた千勢は、自分の顔がいつしかにやけていたのを知った。
「いえ、その、反省してないわけでは……」
「言い訳無用!」
 千歳は先祖代々の江戸っ子である。先取の気性ばかりか、短気なところも、もちろん持ちあわせていた。
 千勢はしゅんとした。代償は、思ったより大きいかもしれない。
「あ、停めて」
 突然、千歳がいった。車は急停車した。
 千勢が顔をあげると、車の左側に愁い顔の直武がいた。警察へ向かう途中らしい。
「直武さん、今日は何時ごろお帰り?」
「捜査の進展しだいですが……まあ、それほど遅くはならんでしょう」
 つまり、現在のところ、あまり進展する気配はない、ということだろう。
「千勢さんの今後のことについて、家族全員で話したいと思うので、なるべく早く帰ってらしてね」
 千歳がきびきびといった。直武は少し驚いたように、千勢をみた。
「なんかやったんですか」

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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