小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.000

2005/03/03

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 ┃
┃ 『アカシア少女探偵団』 ┃
┃                        ┃
┃       大庭花音         ┃
┃  written by Kanon Ohba ┃
┃       -*-*-*-          ┃
┃   http://ibunko.com    ┃
┃   acacia@ibunko.com    ┃
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〈はじめに〉

 若い読者のために、このお話の背景について、少しだけ触れておきましょう。
 舞台となるのは大連《だいれん》、中国東北部・遼寧省にある街です。現在は中国随一のファッション都市であり、モデルを多数輩出する美人の町としても有名ですが、このお話の時代は、ずっとさかのぼった昭和2年、そう、太平洋戦争よりもさらに前のことです。
 このころ、大連は日本の“領土”でした。正確には「租借地」といい、中国から借りていた土地だったのです。先年、英国から中国に返還された香港と同じです。
 日露戦争にかろうじて勝利した日本は、大連を足がかりに大陸へ進出していきます。
 人々は夢を求めて「五族協和」「王道楽土」と謳われた理想の地、大陸へ渡りました。大連は大陸の玄関口として、さまざまな人々が行き交う国際都市へと発展を遂げました。
 当時の大連は、東京よりもずっと近代的な都会でした。日本の戦前よりもむしろ、戦後の都市に近いレベルといってもいいでしょう。社会基盤は整備され、耐火性のビルが建ち並び、店には舶来品があふれ(自由港だった大連では、日本製品より安く手に入ったそうです)、街のムードは自由闊達で、恋人同士が腕を組んで歩く(当時の日本国内なら、不潔だ不謹慎だと非難されたでしょう)モダンな街だったのです。気候的には盛岡ぐらい、海産物が豊富で、初夏にはアカシアの白い花房と甘い香りが街路に満ちました。
 そんなロマンティックで明るい顔をもつ大連ですが、同時に闇の顔ももっていました。
当時の中国は清朝が倒れたあとの混乱期で、共産党や国民党、中国軍閥が並び立ち、争ったり手を結んだりし、国内は大いに乱れていました。さらにその隙を狙い、日本をはじめ力をもった国々が領土の拡大をもくろんで大陸に進出してきました。その結果、中国はさまざまな謀略の舞台となったのです。国際都市・大連は、麻薬と各国スパイが暗躍する街でもありました。
 もっとも、このお話の主人公、15歳の女学生・有島千勢《ありしまちせ》の目に、そうした暗い面は映っていません。やがて訪れるであろう過酷な運命に、今はまだ気づくこともなく、明るさに満ちた日々を送っていたのです。
 ――70年以上も昔、現代の少女たちと同じように、好奇心いっぱいで親に叱られたり、友だちとおしゃべりに夢中になっていた少女たちがいました。
 それでは、彼女たちの小さな冒険譚をお楽しみください。

(大庭花音)

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
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