小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.126

2005/09/13

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「あの学生は、まさにはめられたようだ。ゴドノフは内地にいたことがあって、日本語がわかるんだが、それを隠して街中をうろつきながら、日本人がもらす情報を集めていたらしいんだ。そこへ、内地で知りあった学生に出くわしてしまい、ばらされては困るというので、彼を利用して暴動をおこさせ、どさくさにまぎれて消すつもりだったらしい」
 千勢はぞっとした。
 だから銃をもっていたのだ。
「もう少しでうまくいくところだったのに、北京の至宝に欲をだしたばっかりに、つかまることになったわけだな」
 劉生がふんふんとうなずいている。
「その話だけど」
 直武がいった。
「北京の至宝なんて、でっちあげもいいとこみたいだぞ。あの元官吏の陳だが、廃帝溥儀が部下に命じて書類を作成させ、ある若い婦人に託して大連へ運ばせた、というのを知り合いからきいて、てっきり宝物のことだと思いこんだらしい。自分もかつては、紫禁城から宝物を盗みだしては売り捌いていたもんだから、そのことしか頭になかったらしいんだな」
「どうして、秀子さんがその婦人だということになったの?」
 千勢がきいた。
「英国の若い婦人というのが、見かけから、秀子嬢ととりちがえられたようだな。しかも、最近大連にきたばかりだったしな」
「ひどい話だなあ」
 劉生があきれかえった。
「でも、その書類ってのは、確かにあるんだろう?」
「確認はしていないがね。天津に問い合わせたが、ちかごろ宝物に関する書類も、ほかの重要書類なんてものも、作っちゃいないといっている」
「じゃあ、重要じゃない書類ってことだな、きっと」
 劉生は考えこんだ。
 いい匂いがただよってきた。個室のドアが開いて、メアリ・スーとミスタ・リッジウェイが、手把肉を盛った皿を運んできたのだ。
「さあ、どうぞ」
 わあっ、と歓声をあげて、千勢たちが箸をだした。劉生は、しばらくぽかんと手把肉を見つめていたが、われにかえって、あわてて箸をつきだした。
「うまい!」
「前のもおいしかったけど、味に深みが増したみたいね」
 千歳が顔をほころばせて、ミスタ・リッジウェイにいった。
 ミスタ・リッジウェイは、胸を張った。
「ええ、ええ、そうでしょう。なんせこれは、紫禁城で食べられていたものと、同じ味ですからね」
 劉生が箸をおとした。
「やあね、がっつくからよ」
 玉玲がからかった。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
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