小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


全て表示する >

[ibunko]アカシア少女探偵団 No.125

2005/09/12

■アカシア探偵団ブログ■http://blog.melma.com/00134063/
■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
┏━━━━━━━━━━━━
┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
┗━━━━━━━━━━━━

 注文を終えて、ミスタ・リッジウェイが部屋をでていくと、直周が口をひらいた。
「さて、食事の前に、ひとこといわせてもらおう。今回の事件では、ふたりともたいそうな活躍をしてくれたようだ」
 千勢と玉玲は、どきっとして直周を見た。
「それはそれで、誉めてやりたいところだが、そうもいかない。わかってるかね」
 ふたりはしゅんとして、顔を伏せた。
「いいつけを守らず、勝手に外出しました。申し訳ありません」
 千勢がいって、ふたりして頭を下げた。
「うむ。だが、それだけじゃない。友人を守るためとはいえ、今回ははじめから、あまりに勝手な行動が多すぎた。理由が誉むべきものとはいえ、その手段はまったく誉められるものではない。おまえたちは、まだ親の保護下にある少年だ。親を心配させることなど、あってはならん」
「はい……」
「まあまあ、有島さん」
 劉生が割りこんだ。
「ともあれ無事だったんですから。政治の世界じゃ、手段は悪辣、理由すらでっちあげなんてことが、しょっちゅうなんだし」
 直周がぎろりと劉生をにらんだ。
 劉生は、にやにやしながら、肩をすくめた。
「なんといっても、ふたりのおかげでもつれていた事件も解決。明日の朝刊では英雄扱いですよ」
「なんですって。いやだわ、また記者さんたちが押しかけたりするんじゃないでしょうね」
 千歳が心底いやそうにいった。
「ふたりとも、それで図に乗ってはだめよ。わたしは今度のことで、寿命がだいぶ縮んだわ。金輪際、こんなことはやめてよ」
「わたしも、もうごめんだわ」
 千勢がいったので、直周もにっこりした。
「相当こわかったようだね。懲りてくれたんなら、もうなにもいうまい」
 黙っていた直武が口をひらいた。
「ふたりとも、ほんとに危機一髪だったんですよ。ゴドノフが女の子たちを寺児溝へつれていったのは、軍の介入のきっかけにするつもりだったらしいんです」
 千勢はびっくりした。
「えっ、そうだったの!」
「あの学生は、大連にきて日も浅いし、暴動のきっかけにはできるだろうが、軍が本気で動くかどうかは、心配だったらしい。そこへちょうど、おまえたちがあらわれたわけだ」
「はめられたのね」
 玉玲がくやしそうにいった。

---------- 
※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
---------- 
■解除・登録⇒ http://ibunko.com/text/mbook/acacia.html
□問い合わせ⇒ acacia@ibunko.com
■制作・発行⇒ アイ文庫(有) http://ibunko.com

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2005-02-17  
最終発行日:  
発行周期:平日毎日  
Score!: - 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。