小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.124

2005/09/09

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 千歳が台所に顔をだした。
「あら、にぎやかだと思ったら、劉生さんもきてたの。ちょうどいいわ、今夜は海望亭でお夕食にしましょう」
「わ、ほんと!」
 千勢は歓声をあげた。
「おかあさま、玲ちゃんもいっしょにいっていい?」
「え?」
 千歳はとまどったような顔をした。
「今度の事件では、玲ちゃんは私の被害者だもの。そのお詫びをさせてほしいの」
 玉玲が目をぱちくりさせた。
「そんな、なにをいってるの」
 千勢は玉玲を無視して、千歳にとりすがった。
「お願い、お母さま!」
 警察で扱いに差をつけられたことを、千勢はいまだに気に病んでいたのだ。学校で習った五族協和は、夢に描いた王道楽土は? 千勢のなかに、そうしたことへの疑問がめばえはじめてきていた。
 千歳はしばらく千勢の顔をみていたが、やがて微笑みながらうなずいた。
 千勢はおどりあがって、玉玲の両手をつかんでふりまわした。玉玲は、あまりのことに、呆然としたままだ。
「おかあさま、もう手把肉は食べられるかしら」
 千歳はにっこりした。
「だそうよ。さっき個室を予約したわ。お父さまが戻られたら、すぐに出るわよ。まったく、記者さんたちがおしかけて、夕食の支度もできやしない」
 ぶつぶついいながら、千歳はいってしまった。
 千勢がふりかえると、劉生は調理台の上にうつぶせになって、まだ肩をふるわせていた。
「劉生さん、いつまで笑ってるのよ」
 千勢は、どん、と調理台をけとばした。

 半月ぶりの海望亭だ。
 直武も、少し遅れてやってきた。捜査がすすんでいるせいか、にこにこしている。
「手把肉、完成したんだって?」
 劉生がわくわくした顔で、ミスタ・リッジウェイにいった。
「はいはい。今日はぜひ、みなさんに召しあがっていただきますから、お楽しみに」
「待った甲斐がありそうだなあ」

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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