小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.122

2005/09/07

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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「やっぱり恋人なんでしょ? ね、わたし応援するから、千勢さんも、わたしのこと応援してね」
 といった。
「恋人なんかじゃないってば。お兄さまのお友だちよ。あなたの応援って?」
「有島少尉とのことよ」
 秀子はにっこりと笑った。
「本気なの?」
 千勢はくらくらした。
「もちろん。いつか妹とよばせてね」
 けらけら笑いながら、秀子は手をふって、出口にむかって歩いていった。
 冗談なのだろうか? 千勢は悩んだ。
 秀子を守るなどといったはいいが、あのひとなら、だれにも守られる必要はないのではないか。千勢は秀子の後ろ姿を、感心しながらながめた。

 劉生は、裏口からはいってきた。
「ほかの記者たちをまくのに苦労したよ。田中さんの家にも、きっと何人か押しかけてるだろうな。江上さんは、お父さんが日刊新聞のデスクなんだってね、それで、みんなはなから諦めてるようだが」
 そういえば、さっきから楊夫人が、訪問客を断るのにおおわらわなのだった。
 台所で、千勢と玉玲は劉生を前にしていた。
 問われるままに、昨日の月曜日の冒険譚を、劉生に話してきかせた。
「あの学生さん、どうしてるかしってる?」
 話しおわって、千勢はたずねた。
「共産党との関係をだいぶきびしく追求されたようだけど、ゴドノフとは個人的な知り合いで、共産党員だということも知らなかったということで、放免されるようだ」
 劉生は、取材手帳を繰りながら、こたえた。
「これから、どうなるのかしら」
 うーん、と劉生はうなって、
「今後のことは、わからないなあ。なんで大連にきたんだろう。租借地をこの目で見たかった、なんていってるらしいけど、あまりにあやふやなんで、疑いも完全には晴れないようなんだよな。しばらくは監視がつくんじゃないかねえ」
 といった。
「なんとかして、内地に帰らせてあげられない?」
「千勢ちゃん……椛島と知り合いなの?」
 しつこい千勢に、劉生が不審そうな目をむけた。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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