小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.121

2005/09/06

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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 終わりよければ……確かに、今日の夕方、すべてが一気に解決してしまった。どさくさにまぎれて、秀子も家に戻った。お宝についても、直武らが、陳が寺児溝を逃げだそうとしたところをつかまえたといっていたから、いまごろすべてをききだしていることだろう。共産党の動きについても、ゴドノフがつかまったことで、調べが進むだろう。
 自分たちのはたらきが、事件解決に大きな意味をもったのは、確かだ。
 だが、いいつけにそむいて外へ出たこと、危険な場所へ、なりゆきとはいえいってしまったことなど、叱られるべきこともたくさんやってしまったのだった。
「うまいこと生きるっていうのは、むずかしいことなのね」
 千勢はベッドに寝転がりながら、ため息をついた。

 翌日の火曜日は女学校を休み、昼からみんなそろって、警察で話をさせられた。
 部屋からでてくると、記者たちがいっせいにカメラのフラッシュをたいた。
 目がちかちかして、しばらく動けなかった。ようやく目が元にもどったとき、目の前に劉生がたっていた。
「ご活躍だったそうじゃないか」
 劉生はにこにこしていた。
「あとで、じっくり話をきかせてもらいたいんだけど、いいかな?」
「そうね。そのかわり、いろいろわたしにも教えてよ。お兄さまはあんまり話してくださらないから」
「了解。じゃあ、あとでお宅へいくから」
 記者たちは、警察発表をききに、別室へ移っていった。
 秀子が千勢をつついた。
「だあれ、あの方」
「勝原劉生さん。新聞記者よ」
「千勢さんの恋人じゃないの」
「じょ、冗談でしょう!」
 あわてて手をふりながら、千勢は、秀子が「有島さん」ではなく、名前を呼んでくれたことに、気づいていた。
「椛島さんのことも、きいておいて。だれにもなにもきかれないから、きっとわたしのことは話してないんだと思うのだけど。あのひとも、ちょっとは男らしいところがあるわね」
 秀子はふふっと笑った。
「ちゃんと内地へ帰れるように、できるだけのことはしてさしあげたいの」
「わかったわ。あの……劉生さんは、そういったことで力になってくれると思うの。あのひとにだけは、うちあけてもいい?」
 秀子はちょっとの間、考えていた。
「新聞記者なんでしょ。だいじょうぶ?」
「ええ、劉生さんは信じてもいいわ」
 秀子は意味ありげな顔で、千勢を見つめた。

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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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