小説

【アイ文庫】長編小説「アカシア少女探偵団」

昭和2年、大連。千勢の通う女学校に転校してきた美少女をめぐって、女詐欺師、ロシア人活動家、中国の変な役人、陸軍将校、新聞記者らが入り乱れ大騒動! アイ文庫で配信された長編小説を好評にお応えして再配信。


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[ibunko]アカシア少女探偵団 No.114

2005/08/26

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■■あいぶんこブログ■■http://blog.livedoor.jp/ibunko/
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┃ 【あいぶんこ長編小説】 
┃ 『アカシア少女探偵団』 
┃                        
┃       大庭花音         
┃  written by Kanon Ohba 
┃       -*-*-*-          
┃   http://ibunko.com    
┃   acacia@ibunko.com    
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 千勢はぐっとつまったが、そしらぬふりで、
「もちろんよ」
 といいはなった。少女たちは、自分たちの危険な状況もわすれて、千勢の度胸にあきれかえった。
「さあ、よこすんだ」
 男のひとりが、ずいと前にでた。
 そのとき、別の声がした。
「動くな」
 男たちのうしろに、ゴドノフが立っていた。
「な、なんだ、おめえ……」
 男たちは向かっていこうとしたが、ぴたりと動きをとめた。
 ゴドノフが、銃をかまえて、ゆっくりと近づいてきた。
 せっかくうまくいきそうだったのに……千勢はめまいがした。
「お嬢さん、紙片はわたしに」
 ゴドノフが静かにいった。
「おいっ、あとからわりこんできたくせに!」
 男たちがわめいた。ゴドノフはさっと銃をむけた。男たちはすぐにおとなしくなった。

 そのすきに、玉玲は月華を盾にして、小鳥をかごからつかみだした。
 小鳥は、鳩よりひとまわり小さかった。鳩笛は、重石のようにみえた。
 玉玲は、飛ばすタイミングをはかって、男たちをうかがった。
「いまだ」
 玉玲は、小鳥をつつんでいた手を、そっとひらいた。
 だが、小鳥は飛びたとうとしなかった。玉玲は、すっと手を上にもちあげ、小鳥に飛ぶよううながした。それでも、小鳥は羽をとじたままだ。
「小鳥ちゃん、飛んで!」
 美智子が顔をゆがめて、ささやいた。
 小鳥が羽ばたいて、ちょんと飛びあがった。だが、それだけだった。
 鳩笛が重いのだ。
 玉玲はくらくらした。小鳥がとんでくれないことには、どうにもならない。
「がんばって!」
 声援をうけて、小鳥はふたたび羽ばたいた。さっきよりは高く飛びあがったが、また玉玲の手の上にもどってきた。
「おねがい……」
 美智子の目から、ぽろぽろと涙がこぼれた。


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※この小説はフィクションです。団体名などいずれも架空の設定です。 
※ルビは《》で囲っています(青空文庫形式)。
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創刊日:2005-02-17  
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