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「問題解決」メルマガセミナー!

企業では日々問題が発生しており、利益を圧迫しています。経営トップをはじめ全社員が「問題解決力」を磨くことが大切です。さまざまな問題解決のノウハウを公開します。

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【問題解決メルマガセミナー】笹子事故レビュー、点検時異常なしは気休めに過ぎない!

2016/03/09


           ◆◆「問題解決」メルマガセミナー◆◆

      ●この記事の知人、同僚、友人への転送は大いに歓迎です。●

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<ご挨拶>

問題解決の事例やノウハウを公開してまいります。どうか末永くお付き合いをいただ
くようお願いいたします。

            彩愛コンサルピア代表 下山明央

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    <第322回>「笹子事故レビュー、点検時異常なしは気休めに過ぎない!」

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企業は生き物だ。だから毎日のように問題が発生する。それを迅速に解決して再発防止に
結び付けている企業ばかりではない。
未解決の問題が蓄積し、大きなマグマとなり、やがて爆発する。大きな社会問題にまで発
展し、下手をすると廃業や倒産にまで追い込まれる。
本メルマガでは、問題のジャンルは問わず、多くの問題を取り上げ、解決のノウハウを公
開する。

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■問題の発生原因には、二つある。一つは「直接原因」で二つ目が「動機的原因」である。
 この二つの切り分けを行い、「動機的原因」を追求して再発防止対策を講じれば、同じ
 問題・類似の問題の発生に歯止めがかかり、問題の発生頻度も激減する。「動機的原因」
 の追求こそが大事なのだ。■

<今回のメニュー>【異業種にこそ、ヒント山積!】
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【1】なぜ点検時異常なしなのに笹子トンネル事故は起きたのか!
【2】点検作業を意義のあるものにするための対策!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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海外生産のため5年ほど東南アジアに行っていた。シンガポールでさえ「車検制度」はなか
った。もちろん永く滞在していたマレーシアにもなかった。厳しい車検制度のある日本と
比べて極端に整備不良による事故が多いかと言えば、それほど顕著な差は感じなかった。
だが、道端に停車している故障車の台数はかなり多かったのを覚えている。

エレベターの事故が時々起こる。すると「つい一ケ月前の点検では異常がなかった」と報
じられる。異常がなかったのではなく、異常を見つけることができなかったと言う表現が
正しいように思う。

点検した担当者の経験と力量に左右されるのではないか。はっきり言って昨日・今日雇用
したスタッフに簡単な研修を実施して現場に送り出す。実施しなくともしたことにして点
検シートにマークを付けているかもしれない。担当スタッフ以外知る由もなことだ。

笹子トンネルの事故も同様だ。点検したときは異常なかったとしているが天井板は一斉に
落ちた。肉眼による目視ぐらいではベテランだって崩落の予兆を見抜くことは不可能に近
い。中日本高速道路と点検を実施した子会社に9億円あまりの損害賠償が命じられたが、
高速道路側が過失を認めたため判決が確定した。

そこで今回は、「笹子事故レビュー、点検時異常なしは気休めに過ぎない!」と言う問題
を採り上げる。



【1】なぜ点検時異常なしなのに笹子トンネル事故は起きたのか!

どんな名医でも健康診断を受けにきた人の顔色と表情を見ただけで病気かどうか、かつ病
状は重いのか軽いのかを言い当てることはできないのではないか。

症状を聞き取る。熱を測る。聴診器を当てて心臓の鼓動を聞く。血圧を測る。最低これぐ
らいのことはやるだろう。それでも分からない場合は精密検査を実施するからこそ正しい
病名にたどり着き、正しい治療ができるわけだ。

笹子事故の場合、打音検査をやらなかった。つまり聴診器も当てなかったのだ。天上板を
外してボルトの腐食具合や緩み具合を見ることも一切しなかった。それでいて「点検時は
異常なかった」などとのたまう。こんなことで点検料を頂けるならこんなありがたいこと
はないわけだ。



【直接原因】

(1)アバウトすぎる点検で茶を濁すのが慣例 

点検はあくまでも「形式」と言う考え方が横行している。異常を検出するのが目的ではな
く、点検をやったと言う記録を残すのが目的になっているのだ。「点検ですか、やりまし
たよ、文句ないでしょ」と言うスタンスなのだ。



【動機的原因】

(1)双眼鏡による目視点検のみ(前提条件の欠如)

健康診断を受けにきた人の顔色を見ただけ。距離が遠いから双眼鏡を使った。双眼鏡で眺
めて異常が発見できるかどうかは二の次だ。

「笹子トンネルの点検に双眼鏡を使いましたよ。異常ありませんでしたよ」。だが天井版
は崩落してしまった。点検は意味がなかったことになる。

<中日本高速道路側は、「双眼鏡でも十分確認でき、社内点検要領も守った」と主張した>

(2)打音検査未実施(前提条件の欠如)

医者はよく患者の胸に手のひらを当て、手の甲を叩いて打音診察をする。何が分かるのだ
ろうかと疑問に思うが、ベテランになるとなんとなく異常が分かるらしい。建築物の検査
などではよく打音検査が用いられるが、笹子トンネルの点検では打音検査はしなかった。

<中日本高速道路側は打音検査でも不具合を完全には見抜けないと居直る。その一方で中
日本高速道路が2000年に実施した打音検査で200ケ所以上のボルトの緩みを発見したとも
語っている。見解に一貫性がない>

(3)有効な点検方法の開発を怠る(意識不動)

笹子トンネルができて30年が経過している。トンネルは確実に劣化していることが推定さ
れる。にもかかわらず、有効な点検方法や事故の予兆をキャッチする適切な点検方法の開
発を怠った。

(4)信頼性管理と言う考えが希薄(前提認識の欠如)

トンネル内の異常な環境を考えもしない。35年と言う歳月の中で多湿の環境にさらされ、
車の排気ガスにもさらされた。車が放つ地振動も継続された。当然劣化は進行するのにそ
のことを考慮せずにありきたりの点検に終始していた。



【2】点検作業を意義のあるものにするための対策!

特に「動機的原因」に掲げた内容に対して再発防止のメスを入れることが大切だ。

(1)高性能小型カメラによる目視検査に切り替える

小型カメラの性能は飛躍的に進化している。天井板の中に搬送車に載せた小型カメラを移
動させれば高画質の拡大画面でリアルに観察できる。緩みや腐食の程度が手に取るように
見えるではないか。

(2)打音検査は必ず実施する

アスファルト上に集音棒を押し当てて水道管の破損個所を確実に言い当てる達人がテレビ
に登場したのを見たことがある。この道30年のベテランだった。

打音検査でボルトの緩み具合を言い当てるほどのベテランは少ないと思われる。だが、そ
のような職人を養成して、一定水準以上に達した職人に打音検査を実施させるべきである。
繊細な日本人なら可能だ。

(3)有効な点検方法を精力的に開発する

(1)項で採り上げた小型高性能カメラを移動させながら観察する方法は直ぐにでも採用
できる。従来の画像と今回の画像を比較してみれば容易にボルトの緩み具合や腐食 の進
行具合を検証することが可能だ。

(4)信頼性管理を導入する

人間が年齢と共に劣化していくのと同じように製品も建物もインフラ構造物も劣化してい
く。問題はその進行具合の確認だ。多湿、排気ガスの影響、車による地振動などの影響は
かなり大きいストレスになる。

このような環境を人為的に高めに設定して加速実験をすればボルトの緩みや腐食は早期に
再現できる。そこから事故は十分予見可能となる。何年後に致命的な劣化に至るかもかな
り正確に予測できるのだ。
<それを怠り、無罪を主張したが裁判には正義が生きていた。>。



【3】今日のポイント

(1)肉眼による目視ではなく、高性能小型カメラによる目視検査に切り替えること。

(2)打音検査は必ず実施すること。

(3)有効な点検方法を精力的に開発すること。例えば高性能小型カメラを導入すること。

(4)インフラ構造物にも信頼性管理を導入すること。



【4】編集後記

平成27年12月22日、横浜地裁はトンネルの管理・保守点検を担う中日本高速道路と点検を
担当した子会社に対して過失を認めた。遺族側は「納得で来る判決」と一応評価した。

しかし亡くなられた9人の命は戻らない。インフラ構造物の維持管理を軽視してきた管理
責任者に警鐘を鳴らしたことになる。

保守・点検と言う仕事は重要だ。だが、多くの場合、手抜きが行われていたり、不具合を
発見するというミッションが正しく認識されていない。「点検したときは異常なかった」
と言う言葉はもう2度と聞きたくもない。



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次回は、「患者取り違え、乳房全摘出の千葉県がんセンターの管理の拙劣さ!」を解説し
ます。


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        彩愛コンサルピア代表 下山明央

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