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企業では日々問題が発生しており、利益を圧迫しています。経営トップをはじめ全社員が「問題解決力」を磨くことが大切です。さまざまな問題解決のノウハウを公開します。

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【問題解決メルマガセミナー】トヨタ、パワーウインドーのスイッチ不良によるリコールを斬る!

発行日:12/26

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           ◆◆「問題解決」メルマガセミナー◆◆

        ●この記事の知人、同僚、友人への転送は大いに歓迎です。●

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問題解決の事例やノウハウを公開してまいります。どうか末永くお付き合いをいただく
ようお願いいたします。

             彩愛コンサルピア代表 下山明央

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<第243回>「トヨタ、パワーウインドーのスイッチ不良によるリコールを斬る!」

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企業は生き物だ。だから毎日のように問題が発生する。それを迅速に解決して再発防止
に結び付けている企業ばかりではない。
未解決の問題が蓄積し、大きなマグマとなり、やがて爆発する。大きな社会問題にまで
発展し、下手をすると廃業や倒産にまで追い込まれる。
本メルマガでは、問題のジャンルは問わず、多くの問題を採り挙げ、解決のノウハウを
公開することにする。
===================================

■問題の発生原因には、二つある。一つは「直接原因」で二つ目が「動機的原因」であ
 る。この二つの切り分けを行い、「動機的原因」を追求して再発防止対策を講じれば、
 同じ問題・類似の問題の発生に歯止めがかかり、問題の発生頻度も激減する。「動機
的原因」の追求こそが大事なのだ。■

<今回のメニュー>【異業種にこそ、ヒント山積!】
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【1】なぜ部品不良による大型リコールが発生するのか?
【2】部品不良によるリコールを撲滅するための方策!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

=================================



トヨタ自動車は平成24年10月10日、全世界で過去最大の743万台のリコールを実施する
と発表した。スイッチを操作してもパワーウインドーが正常に作動しない不具合だと言
う。読売新聞の報道によればスイッチの潤滑油が均一に塗られておらず、スイッチその
ものが正常に動作しないものが混入しているため、大型リコールに踏み切ったと言う内
容になっている。

これほど大規模なリコールになった背景には「部品の共通化」がある。そのため一つの
部品で不良が発生するとリコール台数が膨らんでしまうと言うわけだ。なぜ共通化を図
るかと言えばもちろん「コスト削減」のためだ。

今回問題のスイッチは、国内6車種、海外12車種に使われていた。だが、トヨタだけで
なく各社は今後益々共通化を進める見通しだ。競争が激化する新興国市場では低価格車
の投入が必要でコスト削減が命題だからだ。


□ ホンダで部品の共通化があだになった事例

2008年から2011年にかけてホンだのエアバッグに使うガス発生材の不良によるリコール
が世界で約125万台に上ってしまったのは、部品を共通化していたためだった。


□ 日産自動車の部品共通化の計画

日産の現在の主要部品の共通化の割合は40%だが、これを80%に引き上げることを経営
計画に織り込んでいる。


□ トヨタの部品共通化の計画

2015年をめどに4,000〜5,000点の主要部品のうち半数を共通化することを経営計画に織
り込んでいる。

共通化を図ることはいいことだ。だが共通化を図れば部品メーカーは同じ部品を益々大
量生産することを迫られる。しかもトヨタの場合、各ベンダーにJIT(Just In Time)
納入を求めるため、トヨタの生産拠点のある近郊で生産して供給しようとする。ここに
落とし穴がある。部品メーカーの生産現場が複数になり、生産現場の数が増えれば増え
るほどモノ作りの作業管理や品質管理にバラツキができてしまい、今回のような問題が
発生しやすくなってしまうのだ。



【1】なぜ部品不良による大型リコールが発生するのか?

トヨタに限らず、部品を採用する段階では入念に評価試験を行い、問題なしということ
で採用している。しかし、その後、部品の生産ロットごと、あるいは定期的評価試験の
一環として信頼性試験や分解確認検査をやっている例は少ない。恐らく、実績のある部
品と言うことでそのような評価試験はやっていないのではないかと推察される。そのこ
とが「実績有り」と称する部品が突然問題を起こす大きな要因なのだ。

時間の経過とともに、生産現場が変わり、生産ラインの構成員も現場の管理職も品質管
理要員も変わってしまっているわけだ。今回はスイッチの作動部分あるいは接点部分に
塗布する潤滑油の塗布作業に問題があった。塗布しすぎれば潤滑油がじわじわと浸透し
て他の不具合の原因になるし、塗布ムラがあれば作動部分に「カジリ現象」が起きて作
動不良を起こす。したがって塗付の作業の管理は重要ポイントなのだが、いい加減に扱
われやすい作業だ。


【直接原因】

なぜパワーウインドーのスイッチが正常に作動しない不良が発生したのか、その直接原
因を考えてみよう。


(1)部品メーカーを信じて検査や試験を手抜きしている

部品メーカーはISO9001を取得している。だから品質管理体制は完璧だ。いや完璧なはず
だ。部品採用段階であれほど厳しい評価試験をして問題をつぶした上で採用に踏み切っ
ている。だからメーカーを信じて今さら検査や試験はやらなくていい。やる必要はない。
結果としてリコールにいたるほどの問題発生だ。何度も繰り返してきたストーリーだ。



【動機的原因】

なぜパワーウインドーのスイッチが正常に作動しない不良が発生したのか、その動機的
原因を考えてみよう。


(1)共通化のリスクを対策しない(前提条件の欠如)

部品の共通化は、自動車メーカーに限らずセットメーカーのコストダウンの常套手段だ。
共通化を図れば価格交渉の切り札になりえるからだ。だが、部品メーカーにとってはい
いこと尽くめではない。増産に対応するため、生産ラインを増やさなければならない。
トヨタに限らずJIT納入を要求する。それに対応するため、部品メーカーの生産現場
はグローバルな規模で増えていく。

そのため全ての管理が追いつかず、製品の出来栄えにバラツキが生じてしまう。つまり
品質不良だ。共通化を図り、JIT納入を要請すれば当然トヨタはリスクを負わなけれ
ばならない。そのリスクを回避する対策を講じる必要があるのに「信頼」と言う抽象論
でサボってしまっている。


(2)日常の品質確保の活動不十分(前提条件の欠如)

リコールの国内対象品は、2006年9月〜2008年7月生産のヴィッツ、ラクティスなど6
車種で、海外分は、2005年7月〜2010年7月生産のカローラ、カムリなど12車種だ。

対象台数が最大5年のスパンであることから考えても日常の品質確保の活動は全く不十
分と言わなければならない。これを私は「品質保証ドーナッツ現象」と呼んでいる。


(3)チャンピョンサンプルを試験しても意味がない(前提認識の欠如)

部品採用前に厳しい信頼性試験を実施していることだろう。しかし、そのときの部品は
「チャンピョンサンプル」であることをどれだけ認識しているかは疑問だ。「チャンピ
ョンサンプル」とは、部品メーカーが手塩にかけて作った最高傑作品のことだ。どんな
試験をされても合格する。つまりバラツキのほとんどない「五つ星」製品だからだ。

実際量産に入れば、一般の作業要員の手に委ねられる。派遣、フリーター、アルバイト
などが多い。当然作業者の質も落ち、出来栄えもかなり悪くなる。ましてや海外の工場
で生産すれば、管理の目は行き届かない。そのような怪しげな部品で車を生産するわけ
だから今回のような不良が発生しないほうがむしろおかしいのである。


(4)現場認定制度などシステムの整備が追いつかない(意識不動)

モノ作りでは「4Mの変更」が日常茶飯事行われている。Man(人)、Machine(設備)、
Material(材料)、Method(方法)の四つだ。中でもMan、つまり人の変更は重要な管
理ポイントだ。だが、急に休まれたり辞められたりするから教育訓練が追いつかずなお
ざりにされる。

トヨタの標準化のおかげで、増産となり、生産場所がグローバルに増える。生産現場の
認定制度などのシステム構築と生産現場の管理された状態の維持が必要だが、追いつか
ない。部品メーカーも不良が出ないことを祈り、一か八かで生産納入している可能性が
高い。「信じている」と言うトヨタの思いとは裏腹だ。



【2】部品不良によるリコールを撲滅するための方策!

特に「動機的原因」に掲げた項目に対して対策を講じることが大切だ。


(1)トヨタとして共通化のリスクを対策する

前述したように部品の共通化は「コストダウン」の常套手段の一つだ。これ自体を否定
するつもりはない。だが、トヨタとして共通化のリスクを対策しなければならない。

「共通化を図る→当該部品の絶対量が増える→部品メーカーの生産拠点が増える→部品
のバラツキが大きくなる→不良が発生する」という構図を理解しなければならない。

部品の表示を見れば「いつ、どこの工場で生産された何個口であるか」が分かるように
なっているはずだ。つまり追跡できることからトレーサビィリティ管理と呼んでいる。
今回は、車の生産年月が5年にまたがっていてトレーサビィリティ管理ができていない。
そのことにより、リコールの対象台数が膨らんだ。これが共通化のリスクと言うわけだ。

これを対策するには、部品の「ロットごとの品質保証体制」を部品メーカーと一緒にな
って構築し、維持・管理しなければならない。かなり大規模なプロジェクトになるが、必
ず実施しなければならない。


(2)品質保証ドーナッツ現象を回避する

品質保証をアドバルーンに掲げても実際何もやっていなければ「品質保証ドーナッツ現
象」となってしまう。

メーカー採用、あるいは部品採用の段階では、よく訓練された品質Gメンが活動して工
場の品質管理体制からモノ作りの体制まで含めてシビアなチェックをし、ダメだしを入
れて改善を迫る。採用されたいメーカーは必死になってダメだしを改善し、採用しても
らう。ところが採用されて量産になると部品メーカー任せになり、品質不良の温床にな
る。

このような「品質保証ドーナッツ現象」を回避するためには、「抜き打ち訪問+抜き打
ち検査」が有効だ。予告なく部品メーカーの工場を訪問し、生産中のロットから抜き取
ったサンプルで信頼性試験や分解検査を実施し、ISO9001のシステムを遵守しているかも
併せてチェックすることだ。そうすれば必ずといっていいほどボロが出る。

部品メーカーはいつ突然こられるかもしれないということで、つまり外圧で「品質保証
ドーナッツ現象」の回避に努める。よって品質不良が起きる確率が相当小さくなるわけ
だ。


(3)チャンピョンサンプルを試験しても意味がないことに気付く

手塩にかけたチャンピョンサンプルを試験してもボロは出にくい。生産ラインで通常に
生産したサンプルを試験することだ。さらには生産ラインをつぶさにチェックし、疑問
点をクリアにしておくことだ。標準化で生産量が飛躍的に増えれば、部品メーカーの生
産拠点はあっちこっちに増えていく。その場合も増えた生産拠点の量産サンプルを検査
して品質が維持管理されているかどうかを確認しなければならない。

人手がないこととあのメーカーは信頼できるからという理由で手抜きが横行しているよ
うではトヨタの品質管理は世界の笑いものになってしまう。


(4)現場認定制度などシステムを整備する

部品そのものの認定制度を構築している自動車メーカーやセットメーカーは多い。だが、
「製造現場の認定制度」を構築しているセットメーカーは少ない。製造現場は部品メー
カーの都合で変更されたり増えていく。その都度、面倒ではあるが該当する現場に出向
いて詳細をチェックし、必要があればダメだしを行って改善させることだ。勝手にモノ
作りの現場が変更されたり、増やされていくのを放置していてはならないのだ。



【3】今日のポイント

(1)部品の共通化は、コストダウンの常套手段であるが、トヨタとして共通化のリス
   クを対策しなければならないこと。

(2)量産の段階になると、「品質保証ドーナッツ現象」に陥りやすい。品質保証ドー
   ナッツ現象を回避するシステムを部品メーカーとコラボして構築すること。

(3)チャンピョンサンプルを試験しても意味がないことに気付くこと。本来の製造ラ
   インで生産されたサンプルで試験をすべきこと。

(4)部品の認定制度だけでなく、「製造現場の認定制度」などもシステムとして整備
   すべきであること。



【4】編集後記

今回のパワーウインドーの問題は直接人命に影響を与える不良ではなかった。しかし、
一台をリコールするのに平均約40分要すると言う。整備工の40分当りの平均工賃を1万
円としても734億円がパーだ。並みの会社なら倒産かもしれない。そのほかに信用失墜
による売上不振もありえるだろう。

削ってよいコストと絶対に削ってはならないコストがあり、削ってはならないコスト
が品質管理コストなのだ。


次回は、「繁盛しない温泉ホテル、その要因を斬る!」を解説します。

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