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企業では日々問題が発生しており、利益を圧迫しています。経営トップをはじめ全社員が「問題解決力」を磨くことが大切です。さまざまな問題解決のノウハウを公開します。

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【問題解決メルマガセミナー】川崎市バスの収束しない経路ミスを斬る!

発行日:2/8

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         ◆◆「問題解決」メルマガセミナー◆◆

    ●この記事の知人、同僚、友人への転送は大いに歓迎です。●

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問題解決の事例やノウハウを公開してまいります。どうか末永くお付き合いをいただく
ようお願いいたします。

             彩愛コンサルピア代表 下山明央

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       <第220回>「川崎市バスの収束しない経路ミスを斬る!」
 
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企業は生き物だ。だから毎日のように問題が発生する。それを迅速に解決して再発防止
に結び付けている企業ばかりではない。
未解決の問題が蓄積し、大きなマグマとなり、やがて爆発する。大きな社会問題にまで
発展し、下手をすると廃業や倒産にまで追い込まれる。
本メルマガでは、問題のジャンルは問わず、多くの問題を採り挙げ、解決のノウハウを
公開することにする。

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■問題の発生原因には、二つある。一つは「直接原因」で二つ目が「動機的原因」であ
 る。この二つの切り分けを行い、「動機的原因」を追求して再発防止対策を講じれば、
 同じ問題・類似の問題の発生に歯止めがかかり、問題の発生頻度も激減する。「動機
 的原因」の追求こそが大事なのだ。■

<今回のメニュー>【異業種にこそ、ヒント山積!】
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【1】なぜ川崎市バスの経路ミスは収束しないのか?
【2】経路ミスを収束させるための方策!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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実は平成22年11月に川崎市バスの運行ミス多発にいて採り挙げたことがあった。川崎市
交通局としても汚名返上とばかりにいろいろ対策を講じてきたと言う。

しかし、対策の効果は現れておらず、テレビや新聞などでも再発の様子が報じられた。
平成22年度は72件の運行ミスが発生したと報告されている。この数字は平成21年度や20
年度に比べてかなり多くなっている。営業所管内で内々に処理していた軽微と思われる
運行ミスも全て報告を義務付けた結果、大幅に増えたと説明されている。

平成23年度も9月時点で22件発生しており、ほとんど横ばい状態なのである。22件中19
件は経路ミスと大半を占めている。前年に間違いが多く発生した指定交差点でのミスは
6件、残り13件は営業所から出庫して直ぐに行き先を間違えるなどの単純な「うっかり
ミス」だと言う。

川崎市交通局では多発する経路ミスを防ぐため、指定交差点の手前で運転手が曲がる方
向のアナウンスをするように義務付けた。さらに、指定交差点の手前の停留所にはアナ
ウンスを指示する標識の取り付けなど指定交差点での再発防止に取り組んだ。

確かに指定交差点でのミスは少し減ったが、対策が採られていないところでのミスが目
立つようになった。このことは何を意味しているのか。つまり「モグラ叩き」を意味し
ているのだ。全ての交差点が「モグラ」。だから全ての交差点を指定交差点にしなけれ
ばならないと言うことか。これでは運転者に対して知的障害者扱いになってしまわない
か。

今回は、川崎市バスの経路ミス等がなぜ収束しないのかの原因に迫り、その対策をどの
ようにすべきか、ヒントを探ることにする。



【1】なぜ川崎市バスの経路ミスは収束しないのか?

川崎市の阿部孝夫市長は、議会などで運行ミス続発を陳謝。その上で「不注意や思い込
みが原因の事故が目立つ。職員の意識の徹底を図る対策強化が必要」と述べている。

「ミスの多い交差点を指定交差点に指定」、「指定交差点手前の停留所にアナウンスを
指示する標識の取り付け」といった対策はいずれも当局が決定して守ることを押し付け
た対策である。確かに指定個所でのミスは少し減ったが、ミスが他の場所に移動した。
つまり「もぐら叩き」になっただけではないか。


【直接原因】

なぜ経路ミスの場所が他に移ってしまったのか、その直接原因を考えてみよう。

(1)ただ、ただ指示待ち人間の増殖

問題が発生すると幹部や上司が対策方法を考えて当事者たちに指示する会社や組織は今
でも多い。問題を発生させた当事者たちは、上から指示されたんだから仕方がない。守
るしかないとなってしまう。指示されたところでのミスは確かに減るが、別のところで
起こる。つまり「もぐら叩き」だ。使命感も責任感も生まれない。

ある運転者は「オレはやる気がないんだ」と市民に暴言を吐いたという報道も一部にあ
った。これを市長や川崎市交通局の幹部、営業所の所長はどう受け止めているのだろう
か。


【動機的原因】

なぜ経路ミスの場所が他に移ってしまったのか、その動機的原因を考えてみよう。

(1)使命感、責任感の欠如(前提条件の欠如)

社員が使命感や責任感を持って仕事に邁進している会社では、うっかりミスはゼロでは
ないが極めて少ない。

運転者の皆さんに使命感や責任感を持ってもらえるような施策・制度がないのではない
か。ミスしたときだけ叱責や減点というのでは、あの福知山線の脱線事故を起こしたJ
R西日本の労務管理と同じになってしまっているのではないか。

(2)運転中の集中力、緊張感欠如(前提条件の欠如)

スポーツの世界でも名手と自他共に認める選手が手痛いミスをして試合に負けることは
よくあることだ。名手がミスをするのは集中力、緊張感が一瞬切れたときだ。

仕事モードにスイッチを入れることができない。だから集中力、緊張感がない。「つい、
うっかり」が起こって当たり前だ。

(3)注意・叱責、処罰に対する反発心が他の運転手にも伝染(前提条件の欠如)

営業所の職員や交通局の幹部が点呼に立ち会って注意を与えたり経路ミスを起こした運
転手を叱責する。運転手たちは反発心を抱く。それが伝染して今日また別の運転手がミ
スをする。現場の反発心からはいいことは何も生まれない。

川崎市交通局ではミスの多い運転者を処罰したという報道がある。処罰した矢先にまた
連鎖反応のようにミスが発生した。罰しても抑止力にはならないのだ。

(4)人間はミスしやすいものと肯定しない(意識不動)

人間は元来ミスをしやすい性格を持っている。ミスの多い人と少ない人は確かにいる。
確率の問題だ。そのことを肯定して一緒に親身になって対策を考えようとしないところ
に根っこの原因が潜んでいるのだ。

(5)自ら問題解決できる方向に誘導しない(意識不動)

音声で注意を喚起する。モニターを設置して注意を喚起する。いい方法だが一方的にあ
てがわれた対策だ。運転手の皆が議論して自分たちで問題解決できるようになぜ誘導し
ないのか。学のある人はコーチングなどと難しい用語を使う。だれも経路ミスをしよう
とは思っていないわけだからコーチングの考え方は正しい。しかし、決定した対策を押
し付けてしまうだけでは「もぐら叩き」につながってしまうのだ。



【2】経路ミスを撲滅するための方策!

特に「動機的原因」に掲げた項目に対して対策を講じることが大切だ。

(1)使命感、責任感の醸成

私の住んでいるさいたま市では東武バス、西武バス、国際興業バスといった私鉄バスが
主な路線を走っているが経路ミスなど聞いたこともない。東京都の都バスの運転者は東
京都の職員だが、都バスでも経路ミスはゼロではないが極めて少ないそうだ。

私鉄の社員、都の職員という身分ではなく、使命感や責任感が発揮されているのだ。働
くことに対する誇り、プライドの持ち方が違うと思う。いいことをしたら褒める、みん
なの前で表彰するといった施策が必要ではないかと思う。ミスのときだけ叱られて、減
点されてというのではテンションが上がらない。

(2)運転中の集中力、緊張感を持続する

人間は誰もが四六時中緊張したり集中力を維持することなんかできない。乗車する直前
には仕事モードにスイッチを入れなければならない。モチベーションは自分で高めるべ
きものだ。

野球解説者の張本勲氏は三千本安打を超えた偉大な打者だ。打席に入るときお尻をブル
ブルっと振るわせて集中力を高めた。これが張本流集中儀式だった。自分流の集中儀式
を持たせるようにアドバイスし、コーチングすべきだ。仕事モードにスイッチが入って
いれば、営業所を出て直ぐ方角違いなど起こるはずもないだろう。

(2)反発心を買わない注意喚起とリリーフ運転手の準備

人は注意されたり叱責されると妙に反発したくなるものだ。ましてや、処罰された同僚
に対しては仲間意識から同情心が沸く。難しいことではあるが反発を買わない注意喚起
の仕方があるのではないか。例えば「体調がよくないときは遠慮なく申し出てください」
と言うように。これなら反発は買わないで済むだろう。

むしろ経路ミスをしたときの状況や心理状態について話し合えば、共通点が見つかるの
ではないか。何か気になること、心配事があったかもしれないし体調不良だったかもし
れないのだ。

点呼のときに、心理状態や体調について遠慮なく自己申告してもらい、リリーフの運転
手に乗り換える対策を採ることだ。「お互い様なのだから遠慮することはない」として
むしろ制度化すべきだ。

(3)人間はミスしやすいものと肯定してミス予防策を考える

「性善説」と「性悪説」という考え方がある。人間はミスしやすいものと肯定すること
は「性善説」の考え方だ。営業所の職員も交通局の幹部も市長もそのことを認識しなけ
ればならない。経路ミスした運転手が悪いという「性悪説」に立脚していては、採った
つもりの対策もうまく機能しない。

「私を始め、人間は誰でもミスしやすいですから」と切り出すことは大事ではないか。
その上で、予防するための対策としてお客にアナウンスする車内放送の中に右左折情報
を盛り込んだりモニターでナビゲーションすることが初めて効果を発揮するようになる
のだ。

「お前たちがダメだからこういう対策をする」と言う姿勢では効果は期待できず、むし
ろ再発してしまう。

(4)自ら問題解決できる方向に誘導する

交通局には4つの営業所があり600人の運転手がいるそうだ。問題解決の手順や考え方
を教え、原因追求と再発防止対策は彼らに考えてもらうことだ。600人が一堂に会する
ことは不可能だから選抜した運転手でグループを編成し、小集団活動(QCサークル活
動)で対策を見出させるように誘導することだ。これがコーチングの考え方である。

人間誰でも自分たちで言い出したことは守る。だから効果が出るのだ。押し付けの対策
は長続きしない。自主的に取り組めばきっとやりがいや満足感が得られて効果を発揮す
る。自分たちで問題解決すればモチベーションだって上がるからだ。



【3】今日のポイント

(1)人は誰でも誇りやプライドを持っている。使命感、責任感を醸成してもらえるよ
   うな施策。制度を考えること。

(2)仕事モードに入るときは、自分流の集中儀式に従って集中力、緊張感を持続して
   もらうこと。モチベーションは自分で高めるべきものであること。

(3)反発心を買わない注意喚起と心の悩みや体調不良のときのためにリリーフ運転手
   の準備をすること。制度化することが好ましいこと。

(4)人間はミスしやすいものと肯定してミス予防策を考えること。「お前たちがダメ
   だからこういう対策をする」というのではあまり効果は期待できないこと。

(5)小集団活動を導入し、自ら問題解決できる方向に誘導すること。そのほうがやり
   がいや満足感に通じるようになること。



【4】編集後記

川崎市バスの経路ミスについては専門家も首をひねっているということだ。だが私には
理解できる。運転手たちは心の中で叫んでいる。「あんたたち、営業所の職員や交通局
の幹部が運転したら絶対に経路ミスをしないのか」と。

ましてや「たるんでいる」とか「プロ意識がない」と言われては反発せずにはいられな
い。



次回は、「サプライチェーン寸断リスクを軽減するための方策!」を解説します。


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