エッセー風イタリア語講座です。イタリア人・サッカー・映画・音楽・F1・文化・社会・政治・経済等イタリアに興味がある方は、イタリア語のレベル問わず、どうぞ楽な気持ちでお読み下さい。英語の語源も学べます。
らくちんイタリア語会話 vol.163
発行日:10/2
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>>> 1 ottobre 2011 <<<
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今日のテーマ: Isteria di massa
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先週の毎日新聞に、以下のようなコラムが載っていたそうです:
大江健三郎 「フクシマを見つめて」
イタリアの原子力計画を再開しないことを九割が求めた国民投票に女性の力が
大きいのをほのめかす用語法で、「集団ヒステリー状態」だと日本の自民党幹事
長が侮辱した時、
―むしろ生産性、経済力尊重のマス・ヒステリアに、この国の男たちは動かさ
れているだろう、と言い返したイタリア女性の映画関係者がいます。この国の男
たち、というのは、どの国においてであれ、女たちは生命というものの上位にど
んな価値もおかないからだ。
毎日新聞, 2011年9月19日
原発再開に反対することを決めたイタリア国民を「集団ヒステリー状態」と自民党
幹事長が批評したことについて、もう忘れている方もいらっしゃるでしょうから、
ここで改めて振り返っておきます。
以下は当時のイタリアの新聞記事です:
Nel frattempo a Tokyo scoppia una polemica che ha per protagonista Nobuteru
Ishihara, segretario generale del partito liberaldemocratico, attualmente
all'opposizione, e figlio del governatore xenofobo di Tokyo, Shintaro
Ishihara, quello che odia i gay ("a loro manca qualcosa") e che ha definito
lo tsunami "un castigo divino", ne' piu` ne meno di "Radio Maria".
Parlando dei referendum in Italia, argomento che sta appassionando i media
giapponesi, Ishihara ne ha attribuito l'esito a una sorta di "isteria di
massa" che avrebbe colpito il popolo italiano. La cosa non e` piaciuta a
un gruppo di italiani, che ieri ha inviato una lettera di protesta ad
Ishihara, pretendendo le scuse.
il manifesto, 19 giugno 2011
その間東京では石原伸晃を中心に論争が巻き起こっている、彼は現在は野党の自民
党幹事長で、ゲイが嫌いで(同性愛者は「どこかやっぱり足りない感じがする」と
発言)、津波を「天罰」と評した(“ラディオ・マリーア”事件と全く同じ発言)
外国人嫌いの東京都知事・石原慎太郎の息子である。
イタリアの国民投票の話で石原は、その結果はイタリア国民が「集団ヒステリー」
になった為にもたらされたものだとして、日本のマスコミを賑わせている。
これに対しイタリア人団体が反発、昨日謝罪を強く求める抗議文書を送った。
文中の“ラディオ・マリア”事件とは、欧州全土に放送されているカトリック信者
向けラジオ番組の中で、権威ある科学者ロベルト・デ・マッテイが東日本大震災を
"una voce della bonta` di Dio"「神の善意の声」
"giusti castighi"「正当な罰」と語ったことに批判が殺到した、という事件です。
1987年の原発停止決定後、イタリアは慢性的な電力不足に悩まされ、電力料金は上
がり、停電も頻発しました。しかしそれでも原発を再開しませんでした。
原発を再開させたかった右翼政権下のイタリアで、9割もの国民が反対した事は少し
意外でした。それ程ベルルスコーニの支持が落ちており、日本の事故の影響も強く、
右翼勢力も日本と同様に今のところは口をつぐんでおこうといったところでしょう。
日本でもイタリアでも、うっかり本音を公式の場で漏らしてしまった人はいましたが。
イタリア国民の判断は、もちろん"isteria di massa"とは程遠いものであり、自らの
家庭でコミューンで国で何を最優先させるかを見誤ることのない冷静な判断でした。
大地震が度々起こり、リスクをフェアに評価すれば莫大なコストが掛かることになり、
想定されるワーストシナリオでは現在と将来の多くの生命が失われるリスクが存在する
イタリア国内での原発を廃し、欧州で最も高いコストを払ってでも、当面は火力7割・
水力1割・スイス・フランス等からの輸入1割に頼りながら、風力・地熱・バイオマス
等の再生可能エネルギーの比率を徐々に高めていく事をイタリアは選択したのでした。
ここで改めて注記しておきますが、ネット上では“イタリアは電力の大部分をフランス
から輸入している”かのような紛らわしい情報が流れていますが、実際のイタリアの電
力輸入量は90年代からほぼ一貫して約1割で、その大半はスイス、次にフランスです。
大部分を輸入に頼っているのは天然ガスや石油等の「エネルギー資源」です。
以下資料をご参照下さい:
Riepilogo storico variazioni percentuali fonti di energia in Italia
http://it.wikipedia.org/wiki/File:Energia_percentuale_storico_ita.png
Dati statistici sull'energia elettrica in Italia in 2010(暫定値)
http://www.terna.it/LinkClick.aspx?fileticket=zuvz3fV0FiQ%3d&tabid=649
Dati statistici sull'energia elettrica in Italia in 2009
http://www.terna.it/LinkClick.aspx?fileticket=VwAE%2bmEq1B4%3d&tabid=418&mid=2501
Statistical Data on Electricity in Italy in 2008
http://www.terna.it/LinkClick.aspx?fileticket=Myt4VXXE%2Fmw%3D&tabid=901&mid=154
イタリアの電力潮流(2004年)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14051401/06.gif
イタリアの電力供給バランス(2004年)
http://www.rist.or.jp/atomica/data/pict/14/14051401/07.gif
原発依存度が8割というフランスに少しでも電力を依存しながら、国内の原発は廃すと
いうこの選択は、まさにイタリア式“l'arte di arrangiarsi(世渡り術)”とも言えま
すが、地震が少なく、最悪シナリオの一つであるテロに対する強大な軍事力を持ち、
世界最高レベルの核技術を持つフランスの原子力発電を少量利用することは、リスク管
理の観点からは極めて合理的で現実重視の判断だったと言えるかもしれません。
日本とイタリアは、地震大国、右翼系の勢力が強い等々、様々な面で似ていますが、
「世論操作に騙されづらい、女性の意見が強い、投票率が高い」イタリアに対し、
「世論操作に騙されやすい、女性の意見が弱い、投票率が低い」日本という点では
大きく異なっていると言えるでしょう。
ここで言う「女性」というのは、社会の第一線で男性の上に立って働くキャリアウー
マンばかりを指すのではなく、むしろ、家庭の中で日々穏やかに時には子供たちと格闘
しながら暮らしている「普通の人々」を指しています。
少し気が弱く、デモに参加することもなく、大声で何かを叫ぶ訳ではありませんが、
一番大事なものが何かをしっかり分かっていて、ブレることなく持っている人々です。
“日本の未来”を自らの体から生み出し育てる事ができる女性たちが、たとえ子供が
いなくてもその大事さを分かっている女性たちが、今後行われるあらゆる選挙の度に
必ず投票し続けたら、日本は必ずいい方向へ進んでいくと、私は信じています。
そんな中、欧州は再び“危機”に瀕しています。
EU、そしてユーロは、創設以来の危機的状況に追い込まれています。
ユーロは今週対円で101円台をつけ、100円も視野に入るユーロ安円高水準にあります。
2ヶ月前の8月1日に、「italiano! イタリアーノ!」で以下の発言を紹介しました:
"La crisi dei debiti pubblici europei e` entrata in una nuova fase".
「欧州債務危機は新たな段階に入った。」
これは、現イタリア中央銀行総裁で11月からはトリシェの後を継いで欧州中央銀行総裁
に就任する、マリオ・ドラーギ(ドラギ)の発言でした。
まさにこのメルマガを配信した8月1日以降、欧州を筆頭に株価が急落、アメリカや中国
の景気後退懸念も巻き込み、世界中の株価が年初来安値圏に大幅に下落したのでした。
今回の“危機”ではとうとうイタリアの財政赤字にも焦点が当たり、イタリアは銀行株
を中心に大暴落、緊縮財政に反対するゼネストも起こり、まさにギリシャと同じ様相を
呈し、先週にはS&Pがイタリア国債を格下げしました。
今までベルルスコーニ右派政権は、国民を甘やかす人気取り政策で政権を取り、財政が
傾いたら退いて左派政権に財政再建を任せ、甘やかしに慣れてしまった国民が左派の緊
縮財政に反発したところで、再び人気取り甘やかし政策で政権を奪取するという事を繰
り返してきましたが、その目論見ももはや崩れました。
7月高値と9月安値を比べると、イタリアFTSEMIBは約36%下落、フランスCACは約33%、
ドイツDAXも約33%、米Dowは約17%、中国上海も約17%、日経も約18%下落しました。
イタリア向け融資が比較的多いフランスの銀行にも懸念が広がり、更にはEUの崩壊も
懸念され、フランス・ドイツの株価も大幅に下落したのでした。
発端のギリシャでは10年債利回りが20%を超え、市場は財政破綻を織り込みました。
しかし、注目されていた29日のドイツ議会ではギリシャ支援増額を可決、今月半ばの
デフォルト期限までにはユーロ圏17カ国の承認が得られることになりそうです。
結局この“危機”は昨年通り、抜本的な解決は成されないまま、定期的に“危機”を
迎えながら、その度に大幅なユーロ安水準だけが残ることになりそうです。
欧州はイタリア式“l'arte di arrangiarsi(切り抜け術)”をよく学んだようです。
私が呼ぶところの、“斜塔倒れる倒れる詐欺”“水の都沈む沈む詐欺”です。
昨年3月のメルマガでお伝えしたギリシャ危機の時も、直後の5月からユーロが急落、
結局ユーロ安で欧州の輸出産業は潤い、円高で日本の輸出産業が打撃を受けました。
そしてやはり今回も、歴史的なユーロ安アジア通貨安ドル安“円高”となり、日本円
がターゲットとなり買われ続け、その円高水準が定着してしまっています。
円と同じく買われていたのがスイスフランですが、スイスがフラン高を断固として阻止
する無制限売り介入政策を実行したことで、日本円は独歩高となっています。
介入だけではなく大胆な金融政策で“結果的に”円高を断固阻止する、強くしたたかな
“l'arte di arrangiarsi”を日銀と政府に要望します。
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>>> ★ italiano! イタリアーノ!★ <<<
(11/08/01号より)
La crisi dei debiti pubblici europei e` entrata in una nuova fase.
[ラ クりーズィ デイ デビティ プッブリチ エウろペーイ エ エントらータ イン
ウナ ヌォーヴァ ファーゼ]
欧州債務危機は新たな段階に入った。
[oushuu saimu kiki-wa aratana dankaini haitta]
★italiano!イタリアーノ!
http://www.mars.dti.ne.jp/matsuken/italiano/
Mario Draghi, il governatore della Banca d' Italia e prossimo presidente
della Bce.
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