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シネマコリア News 2009年11月1日号

2009/11/01

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 01 New Project始動!「真!韓国映画祭2009」
 02 シネマコリア2009 いよいよ今週末開催
 03 韓国映画ショーケース2009
 04 「韓国女性監督特集」大阪にて12月開催決定
 05 特別寄稿:韓国の女性映画人にエールを送る上映会
 06 編集後記 〜10年続けると…

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┃01┃New Project始動!「真!韓国映画祭2009」              ┃
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                   Text by 西村嘉夫(シネマコリア代表)

 このたび、私どもシネマコリアは、韓国の新進気鋭の映画会社キノアイ、名古屋
の老舗ミニシアター、シネマスコーレと共同で四本の韓国映画を配給。「真!韓国
映画祭2009」の名のもとフェスティバル形式で、全国のミニシアターにて公開する
ことになりました。

★真!韓国映画祭2009
 Real! Korean Cinema Festival 2009
 12/26(土)より、シネマスコーレ(名古屋)にてロードショー
 以降、東京・大阪ほか全国のミニシアター・映画祭で順次公開予定
 主催:「真!韓国映画祭2009」配給委員会(キノアイ、シネマスコーレ、
                              シネマコリア)
 http://cinemakorea.org/rkcf/ (準備中)

<上映作品>
『飛べ、ペンギン』
 2009年/監督 イム・スルレ/出演 ムン・ソリ、パク・ウォンサン
『今、このままがいい』
 2008年/監督 プ・ジヨン/出演 シン・ミナ、コン・ヒョジン
『空を歩く少年』
 2008年/監督 ノ・ジンス/出演 ホ・イジェ、カン・サン
『ビバ!ラブ』(原題 慶祝!私たちの愛)
 2008年/監督 オ・ジョムギュン/出演 キム・ヘスク、キム・ヨンミン

 「真!韓国映画祭」の「真(しん)」は、「本物」「リアル」を表し、「新」と
かけています。「real」という英単語には、「本物」のほかに「現実の」「伝統的
な方法で作られた」「手作りの」「本質的な」「誠実な」「偽りのない」といった
意味があります。私たちが紹介するのは、こういった特徴を兼ね備えた、リアルな
韓国の“今”を伝える作品です。

 これまでシネマコリアでは、全国巡回形式のミニ映画祭を主催してまいりました
が、作品の配給権を持っていたわけではないので、上映回数には上限があり、その
展開力にはおのずと限界がありました。今回の「真!韓国映画祭2009」では、配給
を致しますので、全国のミニシアター・映画祭・自主上映会にて上映していただく
ことが可能となり、より多くの観客の皆様に作品を楽しんでいただけるのではない
かと喜んでおります。

 また、今回配給いたします四作品は非常に「小さな」映画です。小さく地味であ
るがゆえに、これまで劇場公開するのが難しかった作品群ですが、そんな作品の中
にこそ、実は日本の観客の皆様に観てもらいたい映画が数多く存在しています。一
例をあげれば、ムン・ソリ主演の『飛べ、ペンギン』。韓国における家族・職場の
諸問題を軽やかに爽やかに、そして温かい視線で描いた“愉快な作品”ですが、従
来の配給方式では、日本で劇場公開されることは決してなかったでしょう。今回、
韓国の映画会社と日本のミニシアターが手を携えることによって、このような小品
が公開されることになったのは、やはり喜ぶべきことと言えます。常に、良心的な
佳作を作り続けるイム・スルレの長編映画が日本で全国公開されるのは、実は今回
が初めてのことです。

 今回、「真!韓国映画祭2009」配給委員会を構成するキノアイ、シネマスコーレ
シネマコリアはいずれも大会社ではありません。小さな組織のささやかなプロジェ
クトですが、観客の皆様に支持していただければ、新たなる配給方式として定着し
これまで見られなかった作品が毎年継続してスクリーンで観ることができるように
なるでしょう。

 今後ともシネマコリアならびに、「真!韓国映画祭2009」配給委員会の活動に
ご期待下さい。

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┃02┃シネマコリア2009 いよいよ今週末開催               ┃
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                   Text by 西村嘉夫(シネマコリア代表)

 韓国の古典アニメを特集する「シネマコリア2009」の開催が、いよいよ今週末に
迫って参りました! スタッフ一同、来日するゲストとの事前打ち合わせ、取材日
程の調整、そして当日の準備にとバタバタな毎日ですが、ここで改めて、ワタクシ
的シネマコリア2009の注目ポイント(隠れた裏テーマ?!)をご紹介したいと思い
ます。

★シネマコリア2009 〜韓国古典アニメ特集〜
 11/7(土)@愛知芸術文化センター
 韓国初の長編劇場アニメ『少年勇者ギルドン』(1967)と、今なお国民的人気を
 誇るロボット・アニメ『ロボット・テコンV』(1976)を上映。監督を招聘し、
 60年代・70年代の韓国アニメ界について語っていただく。
 http://cinemakorea.org/filmfes/


注目ポイントその1 小学生以下入場無料!

 今回はアニメ特集ということもあり、太っ腹(?)なことに、小学生以下のお子
様は無料です! とはいえ、小さいお子さんが「ママー、ホン・ギルドンみたいー
テコンVみたいー」とおねだりする…はずはないので(^^;、韓国映画を見たい
のだけれど、小さいお子さんがいらっしゃるためなかなか外出できない。そんなマ
マさん&パパさんにも、お子様同伴で楽しんでいただこう、という趣旨です。おじ
いちゃん、おばあちゃんとお孫さんでもいいですね。そして、お子さんにはアニメ
を通してコリアン・エンタメに慣れ親しんでいただき、将来、韓国映画を年間100
本見るファンに成長していただければと願っています…。てな話しはともかくとい
たしまして、どうぞご家族で遊びにいらしてください。


注目ポイントその2 来日監督のトークは超!がつくほど貴重

 映画も楽しみなんですが、来日される監督お二人のお話しは更に楽しみです。ワ
タクシ的には、「映画を通じた日韓関係」といったテーマに関心がありまして、色
々調べてみると、1965年の日韓国交正常化直後から、日本アニメの韓国下請け製作
が始まっている。その第一弾は「黄金バット」、第二弾は「妖怪人間ベム」だった
りするんですが、今回上映する韓国初の長編劇場アニメ『少年勇者ギルドン』が公
開されたのは1967年のこと。韓国で初の国産劇場アニメが公開される頃から下請け
が始まっていたというのは、その後の韓国アニメの発展経路に否が応でも影響があ
ったはずで(ちなみに『ロボット・テコンV』のキム・チョンギ監督は「黄金バッ
ト」のアニメーターをしていた)、アニメを通じた日韓映画交流秘史が明らかにな
るのでは?と期待しています。


注目ポイントその3 ユ・ヒョンモク監督の知られざる姿が明らかに?!

 韓国で国産映画ベスト10投票が行われると必ず1位になる作品があります。それ
が1961年にユ・ヒョンモク監督が生み出した『誤発弾』。朝鮮戦争休戦後の貧困社
会をリアリズムたっぷりに描いた不朽の名作です。ユ監督は今年他界されましたが
先日開催された東京国際映画祭では「ディスカバー亜州電影〜フィルム・アーカイ
ヴの宝石」部門で『誤発弾』が上映されましたので、ご覧になった方も多いかも知
れません。で、実はこのユ・ヒョンモク監督は、何本かアニメをプロデュースして
いて、その中の一本が今回上映する『ロボット・テコンV』。その監督キム・チョ
ンギはユ監督が主宰する映画同好会にも参加していて、また、未確認ではあるもの
の、『少年勇者ギルドン』のシン・ドンホン監督もユ・ヒョンモクと一緒にアニメ
の仕事をしていた形跡がある…。今回、来日するシン・ドンホン監督、キム・チョ
ンギ監督は「韓国アニメの父」ともいい得る人物ですが、その二人にプロデューサ
ーとして、仕事を提供したユ・ヒョンモクは「韓国アニメの母」なのかも知れませ
ん。両監督の口からユ・ヒョンモク監督についてどんなお話しが飛び出るのか?
この点にも要注目デス!


 と、ニッチなネタを色々書いてきましたが、60年代・70年代の韓国アニメがきち
んとした形で日本に紹介されるのは、おそらくこれが初めてのこと。そして、当時
をリアルタイムで知る老監督(御年82&68!)の話しを直接伺えるというのは、掛
け値なしにこれが「最初で最後」になってしまうかも知れません。

 もーこれはシネマコリア2009に行くしかない。参加しないと一生後悔!ですよ。

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┃03┃韓国映画ショーケース2009                     ┃
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 年末の恒例行事となりました「韓国映画ショーケース2009」が本年も開催されま
す。

 上映されるのは、今年の釜山国際映画祭オープニング作品『グッドモーニング・
プレジデント』など最新の話題作ばかり10作品。監督などゲストも予定されていま
す。上映作品の詳細、スケジュール、チケット情報、ゲスト情報などについては、
公式サイトをご参照下さい。前売りは11/3(火・祝)からです。

★韓国映画ショーケース2009
 11/21(土)〜11/30(月)@有楽町スバル座
 主催:韓国映画振興委員会(KOFIC)
 http://www.filmex.net/kfs

<上映作品>
『グッドモーニング・プレジデント』
 2009年/監督 チャン・ジン/出演 イ・スンジェ、チャン・ドンゴン
『キム氏漂流記』
 2009年/監督 イ・ヘジュン/出演 チョン・ジェヨン、チョン・リョウォン
『素晴らしい一日』
 2008年/監督 イ・ユンギ/出演 チョン・ドヨン、ハ・ジョンウ
『昼間から呑む』
 2008年/監督 ノ・ヨンソク/出演 ソン・サムドン、タク・ソンジュン
『バンドゥビ』
 2009年/監督 シン・ドンイル/出演 マブブ・アロム、ペク・ジンヒ
『亀、走る』
 2009年/監督 イ・ヨンウ/出演 キム・ユンソク、チョン・ギョンホ
『ヒマラヤ〜風がとどまる所〜』
 2008年/監督 チョン・スイル/出演 チェ・ミンシク
『携帯電話』
 2009年/監督 キム・ハンミン/出演 パク・ヨンウ、オム・テウン
『ヨガ教室』
 2009年/監督 ユン・ジェヨン/出演 ユジン、チャ・スヨン、パク・ハンビョル
『執行者』
 2009年/監督 チェ・ジンホ/出演 ユン・ゲサン、チョ・ジェヒョン

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┃04┃「韓国女性監督特集」大阪にて12月開催決定             ┃
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 12月に、大阪のシネ・ヌーヴォXにて韓国女性監督作品の特集上映が行われます
ので、ご紹介します。前売り券・上映時間表などは劇場までお問い合わせ下さい。

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  日本における韓国映画の公開は増えていますが、一般公開される商業映画
 以外は映画ファンに観てもらうチャンスは少ないのが現状です。とりわけ、
 韓国で盛んに作られているドキュメンタリー、劇映画でも社会的なテーマ性
 を打ち出した作品などは、ヒットしにくいということもあって、特別な上映
 会、映画祭などで上映される機会があるだけです。さらに、こうした《地味》
 な作品には、女性スタッフが中心になって製作・監督したものがたくさんあ
 ります。そうした作品の中から、今、上映可能なものを集め《韓国女性監督
 特集》という企画を立てました。
                         キノ・キネマ 岸野令子
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★「韓国女性監督特集」
 12/19(土)〜12/25(金)@シネ・ヌーヴォX
 企画:キノ・キネマ
 http://www.cinenouveau.com/

<上映作品解説>

『同行−非正規職女性についてのショート・レポート2−』
 2002年/韓国女性労働者協議会・全国女性労働組合/キム・ミレ/32分
 韓国の女性労働者の10人に7人は非正規労働者という。1987年マサン自由貿易
地域の工場を解雇されたキム・ヨンスクは、その後、組合のオルグとなり、15年間
最低賃金の女性労働者たちと苦楽を共にしてきた。

『塩−韓国鉄道女性労働者の物語』
 2003年/労働者映像集団「希望」/パク・ジョンスク/54分
 妊娠した女性のほとんどが流産を経験するほど過酷な労働環境下ある韓国国営鉄
道(当時)の女性労働者たち。機関士、保線係、客室乗務員など、多様な業務の女
たちに、妊娠、子育て、健康についての実情と、願いを聞く。

『私たちは風の中に立つ 韓国・東一(トンイル)紡織労組1972〜2006』
 2007年/女性映像集団WOM/イ・ヘラン/105分
 1972年、東一紡織の女性労働者は史上初の女性支部長を選出。しかし会社・政府
(軍事政権下)・労働組合、一丸となった弾圧を受ける。78年、糞尿を浴びせかけ
られた彼女たちの写真は、世界に衝撃を与えた。不当解雇された124人。2005年、
50代になった彼女たちは、今なお復職闘争を続けていた!

『亀姉妹(タートルシスターズ)』
 2002年/女性映像集団WOM+障害女性「共感」/45分
 「独立したい! 自分だけの生活と空間を持ちたい! そして一人で移動したい
!」 3人の女性障がい者が役割分担し、助け合いながらの共同生活をはじめて
5年。彼女たちは力を合わせて一つ一つ現状を変化させ、人々の意識を変えようと
している。

『女となることはライオンと暮らすことなのか』
 1998年/民友会映像メディア委員会/ユン・ウンジョン/10分
 結婚して働き続けている30代の女性たちの体験を「出勤戦争」「会社のつきあい
」「夫の実家へ」「汚れたおむつ」の4話のオムニバス形式でコミカルに描く。映
像メディア委員会のメンバーで実際のカップルが出演。

『ファンボさんに春が来た』
 2007年/VanEda/チミン/27分
 5年前、識字学校に通うファンボ・チュルさんに出会ったチミン監督が、彼女の
人柄に魅せられカメラを廻したドキュメンタリー。ファンボさんは74歳、字を習い
絵を描き、演劇にも挑戦した。今がいちばん楽しいと語る彼女に、ひとりのハルモ
ニの歴史をみる。

『和気あいあい? 』
 2005年/韓国女性労働者協議会/チャン・ヒソン/108分
 映画を通じて《セクシュアルハラスメントは本当に嫌だ》という感情が理解出来
るように、また勇気を持って語ることを呼びかけた作品。エピソード1「初体験」
はガソリンスタンドでバイトする女子高生、2「ミソンの場合」は非正規雇用の銀
行員、3「何があったのか…」は大企業社員、4「刻舟求剣」は新規採用になった会
社員が、職場で遭遇した問題を描く。

『ショッキング・ファミリー』
 2006年/レッドスノーマン/キョンスン/ 110分
 「家族」をとても大切にする韓国で個人の自由を生きるのは大変なことだ。世代
・境遇も違う4人の女性たちは個の自立を求めてこのドキュメンタリーをつくる。
それぞれの家族関係を追いつつ、戸主制度や海外養子、受験戦争などの問題にも切
り込んでいく。

『もし、あなたなら〜6つの視線』
 2003年/韓国人権委員会/イム・スルレ、チョン・ジェウンほか/110分
 外見による差別、学歴偏重社会の歪み、さまざまな問題を6人の監督が提起する
オムニバス作品。イム監督は『彼女の重さ』でユーモアたっぷりに体重なんて気に
しないでと言い、チョン監督は『その男、事情あり』で排他的な社会の怖さをモダ
ンホラーぽく語る。

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┃05┃特別寄稿:韓国の女性映画人にエールを送る上映会          ┃
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                      Text by キノ・キネマ 岸野令子

 年に何回か韓国へ行って、知り合った映画人とりわけ女性たちとの友情を育てる
中で、もっともっと彼女たちの仕事を大阪の観客に知らせたいという欲望がむくむ
く湧いてきた。思ったら実行に移すのが私のよいところで、《韓国女性監督特集》
という上映会を企画。シネ・ヌーヴォXで12月19日から25日まで開催することが決
まった。

 宣伝も兼ねて韓国女性監督のスケッチをしてみよう。

 チミン監督のドキュメンタリー『ファンボさんに春が来た』は、70歳になって初
めて字を学び、絵を描き、演劇にも挑戦したファンボ・チュルさんの話である。ス
テキなファンボさんの笑顔。ソウルで再会したチミンさんは「ファンボさんに会い
たいですか?」と、私たちをファンボさん本人に会わせてくれた。77歳の今も週何
回かソウルまで1時間半かけて通って来るハルモニ。ちょうど通学の日だった。
「今、何を勉強していますか?」とたどたどしいハングルの問いかけが通じて、フ
ァンボさんが鞄から出したのは小学5年生の教科書。それでも私には難し過ぎる!
ハルモニは「いつか私も日本に行きたい」と。ぜひ呼んであげたい。もうちょっと
待ってね。まるで孫娘のようなチミンさん、ファンボさんとの信頼関係があっての
映画だったと実感する。チミンさんは若者を描いた『開、青春』という新作を作っ
たのでDVDをくれた。英語字幕もまだ入ってないけど、と言われ、宿題と思って貰
ってきた。上映の機会を考えてあげたい。

 実はちょっと前、ベルリン在住の日本人と韓国人の女性グループが何か上映した
いと言って来たので、私は『ファンボさんに春が来た』を推薦し、上映が決まった
というニュースがある。こんなふうにいろんな地域と繋げられたらいいな。

 そのベルリンとの縁は2007年「アジア女性映画祭INベルリン」という催しであっ
た。そこで会ったのがキム・ミレ監督。彼女は一貫して労働者の姿をドキュメント
している作家で、『NOGADA(土方)』や『外泊』の監督。今回取りあげる『同行』
は、労働組合のオルグになった女性を追ったもの。大学卒のキャリアを捨て組合専
従になって苦労する娘を、母が嘆くところなど、男の視点では撮らないだろうな、
と思う。それでも《同行》を選んだヒロイン。

 チャン・ヒソン監督(第8回シネマコリア上映会で『唐辛子を干す』を上映)も
ずっと韓国女性労働者協議会と協同で、女性労働者の問題を撮っている。『和気あ
いあい?』は職場のセクシュアルハラスメントをユーモアも交えて描いた劇映画で
セクハラ上司に有名俳優がノーギャラで出演してくれたという。ヒソンさんはソウ
ルで誕生日を迎えた私のためにケーキにローソクを立てて祝ってくれた。親しみや
すいキャラで、日本では女がタバコを吸っても大丈夫だけど、喫煙場所がないねえ
と言う。韓国では女性の喫煙は嫌われるのでこっそり吸うという映画もあったな。

 キョンスン監督はシングルマザーで映画を作っているバイタリティあふれる女性
で、仲間と共同生活したりしながらの日々を捉えた『ショッキング・ファミリー』
を作った。姓を名乗らないのは男の族譜が続く韓国の家族制度へのアンチである。
今、フィリピン、日本、韓国の女性たちを撮った『レッドマリア』の仕上げの真っ
最中。大阪で泊まるところを探してるという情報が回ってきて、私の友人宅に泊ま
ってもらったこともある。

 キョンスンさんと仲良しのパク・ジョンスク監督には、ソウルの国際女性映画祭
で会った。私たちに《おにぎり》の差し入れをくれたよ。彼女の『塩』という国鉄
労働者のドキュメンタリーも上映する。

 さて大御所のイム・スルレ監督。彼女の『私たちの生涯最高の瞬間』は、日本で
もDVDが出ている。オリンピックで銀メダルを取った実話だが、女性であるがゆえ
のハンディをきちんと描き、さすが。スルレさんいわく「スポーツものは当たらな
い。主役が中年のおばちゃんたち、監督が私!」という3つのマイナスを克服して
400万人動員の大ヒットとなった。それまで良い映画を作るが当たらない監督の筆
頭にあげられていたスルレ監督。もともと民主化運動とともにあった人で『もし、
あなたなら〜6つの視線』という韓国人権委員会製作のオムニバス・シリーズの第
1作から協力し、最新作『飛べ、ペンギン』も監督した。新作は、韓国の英語教育
の弊害や、職場での《和》を強制する問題、などをおりこんだ作品で、自分がベジ
タリアンなのをさりげなく登場人物に反映させたりしている。弁当男子など、韓国
では珍しいタイプも登場。ジェンダーにとらわれない生き方を実践している人でも
ある。

 スルレ・オンニ(姉さん)と共に『もし、あなたなら〜6つの視線』の1編を撮
ったチョン・ジェウン監督。『子猫をお願い』の宣伝をして以来の友人で、先だっ
ては私がソウルの自宅に泊めてもらい、また彼女が友人と大阪に遊びに来た時は淡
路島に一緒に行ったりする仲である。韓国でヒット作に恵まれず落ち込む彼女に、
「あなたの才能は韓国以外の人たちが認めている。気にするな」といつも言ってい
る。どうやら日本の企画で次回作が撮れそうである。

 がんばれ、韓国の女性映画人たち。
 エールを送る上映会。ぜひ注目してください。

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┃06┃編集後記 〜10年続けると…                    ┃
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                   Text by 西村嘉夫(シネマコリア代表)

 今回のメルマガでは、四つの映画祭を紹介しましたが、そのいずれにもシネマコ
リアはかかわっています。自ら主催している企画、配給に参画している企画、作品
を提供&紹介した企画、付帯行事の会議にスタッフが出席する企画など。シネマコ
リアも設立以来11年を経過しようとしていますが、10年続けると規模は小さくとも
色々なところに根をはるようになるものだ、と感慨深いものがあります。

 さて、『まぶしい一日』の杉野希妃さんがプロデュースしているチョン・ジェウ
ン監督の新作ですが、出品されたPusan Promotion Planのサイトに掲載された情報
によるとタイトルは『O.D.V.(Opposite Domestic Violence)』。シノプシスを読む
と、韓国人の妻と日本人の夫の物語のようですが、夫の名字がなんと"Ando"さん。
まさか、『まぶしい一日』に製作スタッフとして参加した安藤大佑さんにアテ書き
しているのか?!とニヤリとしてしまいました。

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創刊日:2005-01-23  
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