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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM266話「スマトラ・カレー」

2005/12/09

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- * vol.266                                 
                      発行部数 1130部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャ
カルタ市での3年半の留学を終え、首都ジャカルタ
で、4年間もの書きの仕事をした「私」が日々体験
し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 皆様、ご無沙汰しています。この1ヶ月、メールマ
ガジン、ブログをほったらかしにしてしまったことを
深くお詫びいたします。日本に帰国して3ヶ月、転職
活動で精神的に滅入っていたこともあったのですが、
今は新たに目標を立て、再び活動を再開したいと思い
ます。これまでのように週1とはいかないまでも月1-
2回は送信しますので、今後ともお願いいたします。

 皆様の中で転職活動をした方はいらっしゃるでしょう
か。インドネシアの知識や語学力を生かして日本の企業
に勤めたいという方もいると思います。私も調べてみた
のですが、そうは甘くないことを実感しています。皆様
の中で、インドネシア関連の職をご存知の方がいればご
連絡いただければ幸いです。

 今回は1週間前に食べたインドネシア関連料理につい
て書きました。それでは本編をどうぞ。

--------------「スマトラカレー」--------------

 「スマトラカレーを食べにいきませんか」

 大手出版社のビルに昔ながらの古本屋が軒を連ねる東京・
神保町。僕が、新聞記者の修行をすべくこの町に通い始めて
1ヶ月が経とうとしている。塾での勉強が始まる数時間、古
本屋でアジア書籍を探し、喫茶店で編集者たちの仕事話に耳
を傾けることができる、そんな神保町の雰囲気が少しずつ好
きになり始めていた12月のある日、昔からの僕のメルマガ
の読者で、インドネシア在住経験者の友人に「スマトラカレ
ー」が食べられるという「共栄堂」に誘われた。

 友人と待ち合わせをした地下鉄神保町A5の出口から徒歩
1分、昼飯時とあって地下1階の店舗に続く階段は、順番を
待つ客の長い列ができていた。店内をのぞいても30席ほど
の客室は背広を着た会社員たちで満員。けれど、カレーしか
メニューがなく注文してから運ばれるまでの時間が短い。客
1人あたりの滞在時間も10分ほど。休憩時間が限られてい
る出版社の社員たちの格好の昼食の場となっていることがう
かがい知れた。

 10分ほどで中に通され、50代のおじさんと相席をする。
すぐに注文を取りに来る店員さん。僕は、ポーク、チキン、エ
ビ、ビーフ、タンの各種カレーとハヤシライスの中から一番安
いポークカレー(800円)を選んだ。注文を終え、ふと店内
を見渡すと壁にインドネシアのシンボルである木彫りのガルー
ダ紋章が飾ってあった。インドネシアの学校や官公庁に飾って
ある怪鳥ガルーダの腹に牛や稲穂などが描かれ、足に「ビネカ
トゥンガルイカ(多様性の中の統一)と書いてある横断幕を持
ったインドネシア在住者には懐かしい1品だ。ほかにもインド
ネシア製と思しき、テヌン(織物)が飾ってある。「つぼ」は
押さえているようだ。

 外で見ていたとおりカレーはあっという間に運ばれてきた。
「スマトラカレー」の外見は、日本の一般的カレーよりも黒っぽ
く、どろどろしている。別盛りのごはんにカレーをかけ、口に入
れる。たくさんの香辛料の味が口の中一杯に広がり、すぐに日本
のカレーにはない苦味を感じる。最初は違和感を覚えたけれど、
何度か口にするうちにだんだん病みつきになってきた。次第に体
がぽかぽかしてきて辛さが腹のそこからだんだんと顔を出してく
る。この辛味を感じているうちにぴんときた。

 この辛さは、スマトラ島の名物料理パダン料理を食べたときと
似たような辛さだったのだ。5年前、1ヶ月かけてスマトラ縦断
バス旅行をしたとき、ドライブインでいやというほど食べてきた
あのパダン料理の味覚や料理の皿がテーブル一杯に並ぶあの光景
が浮かんできた。確かに本場パダン料理の激辛さはないけれど、
どことなく色は牛肉料理のルンダンに似ている。きっとパダン料
理と共通性があるから「スマトラカレー」なのだろうと自分勝手
にひらめいたのだ。

 結局、当初は全部食べられないと思っていたスマトラカレーを
あっという間に完食した。席を立って、レジに向かったとき、ど
うしても興味が押さえられなくて、僕がついこの間までインドネ
シアにいたことを伝えた上でコックさんにスマトラカレーの由来
を聞いた。コックさんは「これを見てください」と1枚のパンフ
レットをくれた。

 パンフレットによると、明治末期、冒険家であり商人である長
野県出身の伊藤雄二郎氏から学んだ、スマトラ島のカレーを日本
人の口に合うようアレンジし、京橋にあった「カフェ南国」で純
スマトラカレーとして紹介したのが始まりだとか。その後、大正
13年に創業した共栄堂で受け継がれているという。

 特徴は、ルーは小麦粉を使わず、野菜をたっぷり煮込み、20−
30種類の香辛料を長時間かけてソースに溶かしこみながらさらっ
と仕上げること。確定はできなかったけれど、伊藤雄二郎氏が紹介
したカレーは、パダン料理なのだろう。

 僕は、明治の昔にスマトラ島を訪れた日本人が、パダン料理を
伝え、本の街神保町に今でも脈々と息づいていることがまるで自
分のふるさと自慢のような気がして店を出てからもずっと上機嫌
だった。パンフレットの最後に「スマトラ島に思いをはせながら
一度ご賞味くださいませ」と書いていたとおり、バス旅行で見た
スマトラ島の光景も脳裏に浮かんでいた。

 「またインドネシアが恋しくなったときに共栄堂のスマトラカ
レーを食べに来たい」。僕はまた神保町が少しだけ好きになった。

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              発行者 水嶋 真人
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