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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM227話「ポイ捨てをする理由」

2004/10/11

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- *       vol.227
                      発行部数 1150部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 インドネシアでは、私が好きなクラブジャズCDのラインナップが皆
無に等しく(ジャワ・ジャズというCDがありましたが)、しばらく音
楽鑑賞から遠ざかっていたのですが、先日、日本の友人に音楽CDを
送ってもらったことをきっかけに再び音楽鑑賞にひたることに。そうす
ると、日本の最新のクラブジャズ事情が気になってインターネット検索
をしてみたのですが、いまさらながら、インターネット(アマゾンコ
ム)で、しかも日本国内なら送料無料でCDを買えることを知ったので
した。

 早速、実家の住所を登録して、CDを買うことに。便利なことに、ア
マゾンコムでは、「このCDを買った人はほかにこんなものも買ってま
す」という紹介があって、似たようなジャンルのCDを教えてくれま
す。これがすっかり私のつぼにはまってしまって、「こんなCDも出て
いたのか」とうれしくなってついつい8枚も買ってしまいました。「は
ずれ」を買ってしまう可能性も減るし、何より、日本の音楽事情にうと
くなった私にとって、好きなアーティストと同じジャンルのアーティス
トやCDを紹介してくれることはものすごくありがたいことです。つか
の間ながら、日本のCDショップで好きなCDを探すときの興奮を味わ
えた気分に浸ることができました(CDショップでぼんやり1時間くら
い過ごすのはいいものですよね)。

 今回はゴミのポイ捨てについて書いてみました。それでは本編をどう
ぞ。


--------------「ポイ捨てをする理由」--------------------

 マクドナルド、ケンタッキー・フライドチキン、そして最近ではス
ターバックス。インドネシアにも大都市には存在するファスト・フード
店に初めて立ち寄った日本人は、必ずといっていいほど戸惑うことにな
る。客たちは平気で紙くずやトレイをそのままにしたまま席を立つ。自
らゴミを片付けようとしても、日本では当たり前となっているセルフ
サービス用のゴミ箱やトレイ置き場存在していない。

 インドネシア国内の町に必ず存在している広場では、月に何回か市民
が参加した集会やコンサート、もしくは学生たちのデモが開かれるが、
集会が終わった後の広場は惨々たる状況と化す。草が生い茂る広場には
そこかしこにミネラルウォーターのプラスティックケースや弁当を包ん
だわら半紙がうち捨てられ、どこからともなく現れた猫が残飯を漁る。
そもそも広場にゴミ箱がないわけで、その場にいた日本人の僕ですら、
どうしようもなくなって、罪悪感を感じながらポイ捨てをしなければな
らない羽目になってしまう。

 インドネシアに来たばかりのころ、僕はこうした光景を見るのがいや
でたまらなかった。日本では小学校のころから、夏休みの宿題でポイ捨
て禁止のポスターを作らせるくらい、ポイ捨て禁止を徹底的に教育す
る。東京の一部では路上でタバコも吸えなくなったし、公衆の面前でゴ
ミでも捨てようものなら、白い目で見られることは誰だって知っている
ことだからだ。

 けれど、インドネシアではそれが通じない。路上でたばこを吸う光景
は当たり前であるし、男たちは平気で足でたばこをもみ消して、そのま
ま路上に放置する。僕が初めてデートをしたインドネシア人の女の子は
ベチャから勢いよく紙くずを捨てた。誰もゴミのポイ捨てに罪悪感を感
じていないことは明白だったし、僕はそれを「インドネシア人のモラル
の現れ」と思うようになっていった。

 ところが、よく観察してみると、客が食いカスをそのままにして去っ
たファストフード店のテーブルには、紙くずやトレイを片付け、洗浄液
を吹きかけて雑巾で拭き始める「清掃専門」の店員がいる。デモや集会
が終わった広場にも、どこからともなく鉄製のリヤカーを引いた清掃局
の作業員がやってきて、オレンジ色のつなぎを着てタオルを肩にかけな
がら、箒片手に掃除を始める。一方では、乞食風の身なりをしたおじい
さんが、先端に磁石がついた棒を持って歩きながら鉄製のボトルのふた
を集め、ストリートチルドレンの子供たちは、ミネラルウォーターのプ
ラスティックボトルばかりを集めて麻袋に入れる。数時間後にはゴミが
散乱していた広場がすっかりきれいになっている。

 つまり、「ポイ捨てをする市民」がいることで、仕事の数が増え、雇
用者の数が増える。職を持たない乞食やストリートチルドレンも廃品回
収が可能な品を得ることができる。人口2億人、実質失業率が30%近
いインドネシアでは、どんなことであろうと、仕事をして、いくばくの
給料を得ることは、とても大切なこと。「ポイ捨てをすることで仕事の
口を増やす」という言い方もできるし、片付ける人がいるのを分かって
いるからポイ捨ても罪悪感なくできるという言い方もできるわけだ。

 だからといって僕はインドネシアのポイ捨て文化を全面的に容認した
わけではない。人口1000万人を越すジャカルタの屋台街は、人口4
0万足らずのジョグジャに比べ、不衛生さがかなり目立つし、すえた匂
いが気になって仕方がない。土色の川にはゴミであふれ返っている。さ
すがにまずいと思ったジャカルタ特別州政府は、燃えるゴミと燃えない
ゴミに分けたオレンジ色と青色のゴミ箱を設置したけれど、ゴミ箱が市
民に持ち去られるケースが後を絶たない。無残に柱だけが残されたゴミ
箱の残骸を見るたびに、平気でゴミを捨てるインドネシア人を見るたび
に、そして磁石が付いた棒を持ってビンのふたを集める老人を見るたび
に、僕は「ポイ捨てとゴミ処理がうまく融合できないだろうか」と、ポ
イ捨て文化の是非に思いを馳せずにはいられなくなる。

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              発行者 水嶋 真人
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創刊日:2000-07-09  
最終発行日:  
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