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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM222話「ジルバブ」

2004/08/23

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- *       vol.222
                      発行部数 1141部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 先週17日はインドネシア独立59回目の誕生日ということで、各地
で棒登りやクルプック食い競争(パン食い競争のインドネシア版)な
ど、おなじみのイベントが開催されました。いつも思うのですが、ビル
や官公庁の壁には電飾で「DIRGAHAYU KE 59」の文字がピカピカを光って
いるわけで。これは、独立記念日に限らず、ワイサックとか断食明けの
大祭とかでも電飾でピカピカやっているのですが、日本では「おめでと
う子供の日」とか「建国記念日万歳」とか電飾で飾り付けしないですよ
ね。交通標語をあちこちに飾るより、「体育の日来る!」とか電飾で
飾った方が、よっぽど愛国心を沸き立たせると思うのですが、いかがで
しょうか?

 今週は、インドネシアになじみが深く、日本にはなじみの薄いものい
ついて書きました。1度着けた感触を確かめたいのですが、そんなこと
をすると怒られそうで、なかなか言い出せません。それでは本編をどう
ぞ。
 
 ■先々週以降、風邪を引き、先週号のメルマガをお休みしてしまった
こと、お詫びいたします。


 -------------------「ジルバブ」-------------------------

 イスラム教徒の女性が頭を覆う「ジルバブ」。日本ではほとんど見ら
れない代物だが、イスラム教徒が主流を占めるインドネシアではそこか
しこにジルバブをつけた女性を見ることができる。むろん、ジルバブを
していないイスラム教徒の女性が割合的に多いのだけれど、最近、仕事
で1年ぶりに待ち合わせをした女性がジルバブをつけて姿をあらわした
とき、僕はジルバブを被っていなかった1年前との印象がぜんぜん違う
ことに愕然とした。「ジルバブをつけるとつけないとではこうも違うの
か」・・・1年前はいわゆる普通の服装をしていたキャリアウーマン風
の彼女が今、ピンク色のジルバブに、ピンク色のイスラム服を着て「ま
じめなイスラム教徒」に変身して僕の前でにこにこしている。僕はどう
しても、「なぜジルバブをつけたのか?」という質問をせずにはいられ
なかった。

 よくよく考えると、1日5回のお祈りのときは別として、子供のとき
から1日中ジルバブを被るインドネシア人女性を見るのは非常にまれだ
(イスラム色が強いアチェ州を除く)。それが高校生辺りからジルバブ
をつける女性が目立ちはじめ、社会人になるころには(地域によってま
ちまちだけれど)かなりの数の女性がジルバブをつけるようになる。そ
んな話を彼女にぶつけると、「年が経つごとに、イスラムの教えに目覚
めてきて、ある日、突然ジルバブをつけなくちゃって義務感に捕らわれ
たの」と話してくれた。つまり、中東のようにイスラムの戒律に厳しく
ないインドネシアでは、あらゆることに鷹揚なインドネシア的に「自ら
の意思」でジルバブを付けているのだろうか。言われてみれば、年に1
回くらい、急にジルバブをつけた女性に出会い、びっくりしているよう
な気がする。

 別の女性は、初めて彼氏ができたことを親に知られたとき、不順異性
交遊を心配した親が強制的に純潔の証としてジルバブをつけるよう命じ
たのだという。「外ではいろいろ言われるから面倒なのだけれど、家の
中では取っちゃうの」・・・そう言って僕の目の前でジルバブを取り始
めた彼女の姿を見たとき、僕は見てはいけないものを見てしまったとい
うか、妙な色っぽさを感じてどきどきしてしまったことを思い出す。
「僕だけのためにジルバブを取ってくれる」・・・バカな男はそう考え
てドキドキするのでした。

 そうかと思えば、大学留学時代の同級生は「ジルバブをつけたほう
が、顔が小さく見えて、もてるから」と言っていた。本音かどうかは別
として、確かに、ジルバブをつけるとつけないとでは、前述の通り、
びっくりするほど印象が違う。ジルバブをつけても、てるてる坊主化し
て、まるっきり似合わない女性もいるけれど(その方が多いかも)、明
らかにジルバブをつけたほうがかわいい「ジルバブ美人」も確かに存在
する。こう言っては失礼なのだけれど、黒や茶、紺などの一般的で地味
なジルバブをつけた女性がいる一方、花柄入りのピンクや水色のジルバ
ブをつけた華やかな女性もいるわけで、ジルバブを付けたなりに男の視
線を意識しているなと感じてしまう。現女性大統領のメガワティ(ちな
みに似合いません)だって、ジルバブをつけたりつけなかったりしてい
るわけですからね。だからジルバブを付けるのにこれといった特定の理
由はなく、イスラム教へのまじめさを主体として、さまざまな理由でジ
ルバブをつける、つけないのボーダーラインがあるような気がします。

 聞けば、スハルト政権時代、インドネシアのイスラム教徒の女性たち
は、スハルト大統領(当時)からジルバブ着用を禁止するよう求められ
ていたと言う。それでも一部の女性たちは着用をしつづけいたのだけれ
ど、スハルト政権が崩壊して民主化を迎えた現在、イスラム女性たち
は、大手を振ってジルバブを着用することができるようになった。やれ
「イスラム着用率上昇=イスラム化=テロ」とか「ジルバブは女性差別
の象徴」とかいう声が聞こえてくるけれど、僕は、ジルバブ着用率上昇
が、あらゆることが少しずつ自由になってきたインドネシアの象徴とし
て見えているような気がする。

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              発行者 水嶋 真人
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創刊日:2000-07-09  
最終発行日:  
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