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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM221話「あんぽんたん」

2004/08/09

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- *       vol.221
                      発行部数 1141部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 イスラム教が主流のインドネシアでもミス・コンテストがあるもの
で、先週末、インドネシア1の知性を兼ね備えた美女を決めるミス・イ
ンドネシアコンテストが行われました。インドネシア計31州の予選を
勝ち抜いた約40人の女性が、英語を使った質疑応答や、とろけるよう
な笑みを用いて審査を勝ち抜いていくのですが・・・毎年思うのです
が、いつも日本人男性陣の人気投票と、優勝する女性は別になり・・・
というわけでいつもテレビを見ながらブーイングになります。

 日本人独身男性陣が推していたのは、少し顔が濃すぎるものの、明ら
かに他の候補より美貌が際立っているバンテン州代表。ジルバブ(イス
ラム頭巾)の着用を義務付けられたアチェ州代表も、白いジルバブがい
い味出していて清楚でかわいかったのですが’(アチェ州は隠れた美人
の産地です)、優勝したのはノーマークのバンカブリトゥン州代表。バ
ンテンは2位で、アチェは視聴者最多投票賞を獲得したのがせめてもの
救いでした。

 日本のミスコンテストも往々にして自分たちの予想と異なる場合があ
るだけにいたし方がないのですが、いつも私が応援しているわがジョグ
ジャ代表は、今年もいかにもジョグジャチックな女性であり、予選落ち
・・・「いかにもジョグジャらしい女の子じゃぁ」とため息混じりにつ
ぶやくと、ジャカルタっ子にもほかの州の出身者にも大笑いしてまし
た。毎年、こうなので、ジョグジャにいわゆる美人は少ないというのが
定説になりそうなのですが、ジャワ美人もいっぱいいますよ。

 今週は、最近余り使われなくなった日本語について書いてみました。
それでは本編をどうぞ。


  ----------------「あんぽんたん」----------------------

 あんぽん−たん(安本丹)?愚か者をののしっていう語。あほう。ば
か。?カサゴ(笠子)の俗称(寛政の末江戸に出回ったが、味が良くな
かったのでいう)「広辞苑より抜粋」

 最近あまり使われなくなった言葉が久しぶりに口をついて出てきたの
は、東ジャワに住む友人に、この言葉の由来がインドネシア語のルーツ
たるマレー語にあると聞いてからのことだった。友人いわく、語源は今
のインドネシア語にも使われている「アンプン・トゥアン」(旦那様、
許してください)。僕は、半信半疑ながらもついついこの言葉が気に
なって、気がつけば、アンプン・トゥアン・・・アンプゥンアン・・・
アンポンタンと何度も復唱してマレー語から日本語への移り変わりをた
どろうと模索していた。

 そんな僕が、この質問をぶつけたのは、戦前からインドネシアに住む
数少ない日本人の1人で、僕が昼食のたびにお世話になっている日本食
レストラン蘭を経営する石居日出雄さん。石居さんは、「アンプン・
トゥアン」語源説が、戦前のジャワ島における日本人社会で知られてい
たこと、その話を話の種に石居さんが話したことで、今のインドネシア
在住邦人社会で知られるようになったことを明らかにしたうえで、「ア
ンプン・トゥアン」語源説の由来について説明してくれた。

 時をさかのぼること今から400年の昔。鎖国を敷いた日本では、外
国との交易は、長崎の出島に限って行われていた。当時の出島を頻繁に
訪れていたのは、ジャワ、スマトラに勢力を伸ばし始めていたオラン
ダ。彼らは、スマトラやジャワを経由して、出島を訪れていたわけで、
やってくる船の船員を務めていたのは、今のインドネシア人、つまり当
時のマレー人たちだった。

 今でもそうだけれど、ジャワの伝統社会で、命令を受けるときに目上
のものの顔を見ようとしない。顔を見るのも恐れ多いほどに相手の命令
を下を向いて答える。当時のマレー人もそう。命令を受けるオランダ人
の要求に「アンプン・トゥアン」と蚊の鳴くような声で答えながら、今
もそうであるように、ゆっくりのんびりと仕事をこなし、横柄な白人に
殴られることもしばしばだった。

 これを見ていた当時の日本人。白人の命令にあがらうことなく、殴ら
れても蹴られても「アンプン・トゥアン」とか細く答えるマレー人の言
葉を「アンポンタン」と解し、いつしかそれが日本中に広まっていった
・・・こうした話が戦前にジャワ島に渡った日本人の話の種となり、
今、ジャカルタで暮らす僕の元にも伝えられてきたという次第である。

 石居さんいわく、「長崎ちゃんぽん」のちゃんぽんも同様に、出島に
やってきたマレー人たちが伝えたマレー語の「チャンプル」(混ぜる)
が語源だと言う。

 ちなみに広辞苑では、あんぽんたんの語源は「アホタラの撥音化か」
とかっこ入りで書いてあった。ちゃんぽんの由来だっていくつか諸説が
あるのだろう。しかし、僕は石居さんが伝えてくれた戦前のジャワ島在
住邦人たちの説を信じたい。400年前、ちょんまげ姿の日本人が聞い
たマレー人の言葉が、意味はどうにせよ、今の日本に脈々と息づいてい
る。「さむらい」「心の友」「さよなら」・・・インドネシア人が意味
もわからずにそらんじる日本語は数あれど、日本人がその意味を知らず
に日本語として使用するマレー語・・・そう考えると浪漫があって、ふ
と遠い昔のワンシーンを思い浮かべてみたくなりませんか?

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              発行者 水嶋 真人
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