海外

YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

全て表示する >

SENYUM214話「小さな日イ交流」

2004/06/01

==========================================
*YOGYA滞在記 -SENYUM- *        vol.214
                      発行部数 1105部

==========================================
*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 私は、趣味と実益を兼ね、紀伊国屋書店で日本のスポーツ雑誌「ナン
バー」を定期購読しています。正直、日本の2倍以上の購読代(1冊1
2万ルピア=約1500円)を払うのはきついのですが、スポーツ
ジャーナリストの文章のほか、1つの楽しみなコーナーがあって定期購
読を続けてました。

 そのコーナーとは、アトランタ五輪の中田英寿の取材で名を上げた金
子達仁さんの「いつかどこかで」。それが4月29日号で最終回となっ
たのです。6年間続いていたこのコラムは、私がメルマガを続けていく
上でずいぶんと参考になったし、「いつかどこかで」に追いつけ追い越
せと私も5年間こつこつとメルマガを積み上げて今号で214号に達す
ることが出来ました。

 まだぜんぜん「いつかどこかで」のレベルには達しておらず、最近は
メルマガにかける時間もジョグジャ時代の半分以下にして日記のように
書いていますが、今後とも少しでも「いつかどこかで」のレベルに達
し、追い抜けるよう頑張っていこうと思っています。

 214号では、小さな日イ交流について書いてみました。それでは本
編をどうぞ。


------------------「小さな日イ交流」--------------------

 僕は仕事柄、タクシーに1日最低2回は乗る。単純に計算すると、週
当たり最低15台、月で60台、年720台のタクシーに乗り、720
人のインドネシア人タクシードライバーと、ひと時の時間を共有する。
というわけで、最近、どうしてもタクシー運転手関連の話題をメールマ
ガジンに採用することが多い傾向にあるのだけれど、720人の運転手
には、720通りのストーリーが存在するわけで、今こうして文章を書
いていても次から次へとあらゆるタクシー運転手の顔が浮かんでくる。
まじめに黙って目的地まで運転する親父、行き先が分からない振りして
遠回りしようとする親父、仕事に疲れて寝ぼけ眼で運転する親父、わき
がをぷんぷんさせて客を窒息させる親父に、客のプライベートについて
の質問を飛ばしまくる親父・・・その中でも今日は、今月一番印象に
残ったエクスプレスタクシー運転手の話について紹介していこうと思
う。

 白くて黄色いランプが目印のエクスプレスタクシーは、僕のお気に入
り。接客態度はブルーバードより1ランク劣るし、わきが臭い運転手が
多いのが難点だけれど、適度な車体のぼろさがインドネシアらしいし、
きさくに客に話し掛けてくる典型的なジャワ人親父が多いのがお気に入
りの理由だ。

 この日、タムリン通りで拾ったエクスプレスタクシー親父もそんな典
型的ジャワ人親父。ちょっぴり頼りなさげなくたびれ具合がいかにも
ジャワ人らしい親父は、案の定、僕が行き先を告げるなり、「あんた、
何人かね」と話を振ってきた。「日本人」と答えると、やっぱり運転手
は、日本製品の素晴らしさを韓国、中国製品と比較して褒め称える。僕
が日本人であるからかもしれないけれど、タクシー運転手や庶民にとっ
て、品質抜群の日本製品を通して、日本はいまだに夢の国に映り、日本
と言う国に対する好感を示してくれる。この親父もそんな1人かと思っ
たら、「俺は10年前に日本人の個人運転手をしていた」と明かす。つ
まり、僕と言う日本人客を通して当時を思い出し、つい懐かしくなって
しまうそんなタクシー運転手は意外に多いのだ。

 だから、僕は数分間にわたって、前雇用主との思い出話を聞かされ
た。退職金代わりにベットと冷蔵庫を買ってもらい、今でも使っている
ことを話してくれた。ここまではいつもと同じ。けれど、この運転手は
「10年経った今でも、日本に帰った●●さんは月に1回、電話して俺
たち家族のことを気に掛けてくれているんだよ」「いつも元気でやって
いるか、仕事はうまくいっているか尋ねてくれるんだ」「●●さんが今
度、インドネシアに来たら絶対、俺の家に泊まらせて、出来る限りの歓
待をするんだ」「だから俺は日本人が好きなんだ」・・・そう笑顔で話
す親父の話を聞いていて、元個人ドライバーで現タクシー運転手と日本
に帰国した元駐在員が10年経っている今でも日イ交流を続けているこ
とに、僕は日本人としてとてもうれしくなった。

 その後も親父は、聞きもしないのに自らの家族構成を語り始めた・・
・国軍兵士となって2年間、アチェで独立武装組織と戦っていた3人息
子の自慢の長男が6月1日で帰ってくるのを楽しみにしていること、1
7で結婚してスラバヤ近くの田舎町から夫婦そろって上京し、運転手稼
業をずっと続けていること、長男の結婚を楽しみにしていること・・・
僕は、団塊の世代の今の日本の親父たちを想像してつい熱いものがこみ
上げてきた。1日に帰る息子のお祝い金として、タクシーのお釣りの3
000ルピア(約35円)を渡すと、運転手は感激して、「ありがと
う」何度も僕の手を握り返した。

 ジャカルタで駐在員として暮らした邦人の皆様は、日本に戻ってから
もぜひ、●●さんのようにたまには元運転手の家に電話して、近況を尋
ねてやって欲しい。運転手に限らず、メードさんやジャガさん(警備
員)にとっては、それだけで良い思い出として長くその人の心に残るも
のだし、その話を聞いた現ジャカルタ在住邦人にとっても必ず良い印象
として残るはずだ。金を貸すよう催促したり、なまけものだったり、い
ろんな運転手がいて信頼関係を築くのも難しい場合もあるけれど、僕の
経験上、良い運転手だってごまんといるし、2,3日見ればその人の特
性だって見抜けるはず。僕が今、雇っているメードさん(まじめで律
儀)も、仮に日本に帰っってからでも連絡を取り続けて日イ交流を深め
ていきたいと思っているし、それが日イ交流の根本をなしていると信じ
ている。

-------------------------------------------------
ご意見、ご感想、ご質問、お待ちしております。宛先は
masato@cbn.net.id
までお願いします。

また購読希望、購読中止、バックナンバー(4月10日に
更新しました)を読みたい方は
http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Ayame/9701/
にアクセスしてください。よろしくお願いいたします。

+配信システムは「melma!(メルマ)」、
「まぐまぐ」を使用しています      
+本書の無断転用を禁止いたします
              発行者 水嶋 真人
------------------------------------------------

規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2000-07-09  
最終発行日:  
発行周期:週1回  
Score!: 100 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。