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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM206話「日本人、華人、インドネシア人」

2004/03/30

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- *        vol.206
                      発行部数 1094部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 206号の配信が2日遅れてしまったことをまずはお詫びいたしま
す。シンガポールからは無事帰ってきたものの、インターネットをつな
げようと電話回線を開こうとしたら、料金を2か月分支払うのを忘れ、
止められていたことが判明。というわけで復旧に手間取り、約1週間
メールも送れぬ状態が続いておりました(すいません)。

 今号では、シンガポール滞在で最も感じ、考えさせられたことについ
て書いてみました。私の場合、インドネシアでは中華系インドネシア人
に間違われるのが精一杯なのですが、日焼けして、インドネシア人に間
違われる日本人がおり・・・そんな日本人がうらやましいです。それで
は本編をどうぞ。


-------------「日本人、華人、インドネシア人」----------------

                    「自分は何人なのか」

 顔の特徴がインドネシア人より比較的似ている華人が多いシンガポー
ル。僕はビザ申請に伴う半年に一回の旅の中で、その土地の人間になれ
ることを楽しみにし、時々自分が日本人だということを忘れてしまうと
きがある。

 それは旅の始まりから始まった。スカルノハッタ空港で出国審査を受
ける列に並んだときのこと。「Orang Asing(外国人用)」と書かれた
ボックスに並んだ僕に、1組の華人系と思われる夫婦が広東語で何かを
話し掛けてきた。ぽかんと口を開ける僕に夫婦はインドネシア語に切り
替えて「君も香港に行くのかい?」・・・僕は3年前に香港に行ったと
きのことを思い浮かべた。香港の一人旅で僕は、何回も香港人に中国語
で話し掛けられた。地下鉄で知り合った若者に日本人だと明かすと、
「香港人だと思ってた」とびっくりされた。一向に焼けない白い肌。二
重であるものの小さな目。インドネシアでは絶対にプリブミ(純粋なイ
ンドネシア人)に間違えられることはない僕は、中華圏にいればその土
地の人になれるのだという小さな喜びをかみしめていた。

 在シンガポール・インドネシア大使館での手続きを終え、地下鉄に乗
ろうとしたときのこと。中国からの観光客と思われる一団が、販売機で
切符を買っている僕に中国語で何かを話し掛けてきた。いつも思うこと
だけれど、頼りなさげな僕の顔立ちには「質問をしてもこたえてくれる
だろう」と他人に思わせる雰囲気をかもし出しているらしく、異国の地
でも日本でも道を尋ねられたり、写真を撮って欲しいと頼まれる。この
場合も「ごめんなさい、中国語ができないんです」と英語で答えたら、
どうやら切符を買いたいことを身振りで説明してきた。僕も身振り手振
りで切符の買い方を教えながらボタンを押す。中国人グループは
「シェーシェー」と言ってくれたけれど、僕は中国人じゃないのに。

 こういうわけですっかりシンガポール人気取りで、マーライオン公園
でいつものように本(沢木耕太郎の冠)を読んでいたら、日本人の団体
客がやってきた。彼らは一様に携帯電話を取り出し、マーライオンに向
かって携帯電話を掲げる。一種の宗教的儀礼かとびびっていたら、「パ
シャッ」という機械音。いやはや僕もすっかり時代遅れとなったものだ
と苦笑いしていたら、その中の1人のおばさんが「君、せっかくきたん
だから写真とってあげようか」・・・こうしてシンガポール人になれた
という僕のプライドはあっという間に崩れたわけだけれど、おばさんの
好意がうれしくて、言われるがまま3枚も写真を撮ってもらう。さすが
に「もう5回も来てるんです」なんて言えなかったけれど、異国の地で
会った同国人のやさしさはやっぱりうれしいもの。「私らもう帰るけれ
ど、写真もっととってあげようか?」と最後まで気を使ってくれたおば
さん、本当にありがとう。皆さんも一人旅をする貧乏日本人旅行者を見
たら声を掛けてくれると、意外に喜んでもらえるかもしれません。

 ここからはもう日本人街道まっしぐら。義安城の吉野屋に出向けば、
日本ではすでに幻と化している牛丼を平らげて満足し、オーチャード
ロードで本を読めば、あやしいおじさんに「ニセモノアルヨ」と声を掛
けられ、邦人女性には「写真を撮ってくれませんか」と頼まれる始末。
やっぱり僕は日本人なのかと思えば、ホーカーズで隣り合ったおばさん
に中国語で話し掛けられるし、お姉さんにクレジットカードの勧誘をさ
れたり・・・あるときは日本人、あるときはシンガポール人、そして中
国人・・・インドネシアでは華人系と思われて「チナ」呼ばわりされる
より、何人と思われようと、少なくともその土地に暮らす人間だと思わ
れるシンガポールにちょっとしたあこがれのようなものを感じ、3日間
の滞在を後にしたわけです。

 と思ったら、スカルノハッタ空港(ジャカルタ)行きは全便出発延
期。聞けば、スカルノハッタ空港が落雷で通信システムがまひし、予備
のシステムも故障したまま放っておいたため離着陸ができないとのこと
(そんな馬鹿な)。これで5回中2回も、シンガポール空港で航空会社
が用意したただ飯を食う羽目になり、事情が飲み込めないシンガポール
帰りのメードさんとおぼしきインドネシア人女性を食堂までご案内する
ことに。

 「やっぱりインドネシアだよなぁ」と、6時間遅れで飛行機に乗った
ら客室乗務員はインドネシア人用の入国カードを僕に渡し、文句を言う
と「君、インドネシア人じゃないの?」と笑いながら答える乗務員のお
姉さん。おまけに入国審査で、おばさん審査官が「あんた、帰りの飛行
機のチケット持ってるの」とむっつり聞いてきて、なにやら不穏な空気
が漂ってきたと思ったら、隣のボックスにいたおじさん審査官が「お
前、またパチャール(恋人)に会いに来たんだな」(204号参照)と
助っ人に登場。すると、おばさん審査員も「結婚できそう?」とにっこ
り笑ってスタンプをポン。タクシーの運転手は聞きもしないのに、国内
政治のだめさを延々と話し始めるし、「やっぱりインドネシアだなぁ」
とつくづく感じながら家路に着きました。何はともあれ、「田舎くささ
が抜けないけれど、人情味のある」そんなインドネシアがいいのかもし
れません。

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              発行者 水嶋 真人
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創刊日:2000-07-09  
最終発行日:  
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