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YOGYA滞在記-SENYUM-

インドネシアが好きな方にこの国の本当の雰囲気を感じてもらえるよう、ジョグジャ、ジャカルタ滞在5年の私が1日本人としての視点を交え、ニュースなどでは伝わってこないインドネシアの魅力について綴っています

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SENYUM201話「紙とノート」

2004/01/26

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*YOGYA滞在記 -SENYUM- *        vol.201
                            発行部数 1121部

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*このメールマガジンはインドネシア、ジョグジャカルタ市での3年半の
留学を終え、首都ジャカルタで、もの書きの仕事に就いた”私”が日々
体験し、感じたことをつづったものです。

<筆者からの一言>
 先週22日は中国正月(イムレック)。中国文化がすっかり自由化さ
れたこの国では、各地でバロンサイ(獅子舞)が踊り「恭賀新年(コン
チファチャイ)」、TVではチャイナ服を着たプリブミお姉さんが「コ
ンチファチャイ」、銀行の警備員は「イムレックはどうだった?コンチ
ファチャイ」と述べ、アンパオ(お年玉)をもらおうと手を差し伸べて
くる始末。「あの、僕、日本人で中国正月は関係ないの、第一君たちは
ずーっと華人を毛嫌いしていたんじゃないの?」と突っ込みも入れたく
なるくらい、2001年の解禁以降、年々にぎやかになる中国正月です
が、良く中華系メダン人に間違われる私にとっても華人にとってもイン
ドネシア全体にとっても良いことです。さすが細かいことには気にしな
いインドネシア(裏ではまだまだ気にしてそうだけれど)、そんなとこ
ろが大好きです。

 さて今回のSENYUMは「ピアスの留め金」的なほんの小さな話題
について書いてみました。皆様は私と同じような考えをもったことがあ
るでしょうか?それでは本編をどうぞ。


--------------------「紙とノート」----------------------

 ジョグジャカルタはガジャマダ大学院の貧乏留学生として青春時代を
謳歌していたころ、僕はインドネシア各島を巡る旅に必ずカメラとノー
ト、そして1本のボールペンをリュックサックの中に忍ばせていた。カ
メラは当然、訪れた土地の人々や風景を撮るもの、ノートとボールペン
は、貧乏旅行中の旅の道すがらに感じたこと、体験したことを1日の終
わりに安宿のロスメンや友人宅で書くためのものである(その記録がメ
ルマガ初期のスマトラ、スラウェシ縦断、パプア旅行記となっていま
す)。

 そのときのカメラやノートは今でも僕の部屋に残り、傷がつき、水に
濡れてぼろぼろになった姿をさらけ出している。カメラはキャノンのイ
オスだから今でもその機能を保ったままだけれど、ノートはカビが生え
てしまいそうなくらい今では使い物にならない。先日、何気なくその
ノートをめくってみた。

 紙はぺらぺらでボールペンを書いたページの裏面には文字が透けて見
え、筆跡ででこぼこになってとても書けそうにない。ノートのつくりも
20枚足らずのぺらぺら紙を真ん中のページにホチキスで2カ所だけ止
めたもの。今ではすっかりさびてちょっとでも力を入れればはじけ飛ん
でしまう。ノートの線の引き方もいかにも雑で横線が20ほど入ってい
るだけ。ノートの大きさよりもA4版より2まわりも小さいものが主流
で、おまけに表紙のデザインもサッカー選手だったり、うさぎさんやく
まさんという子供っぽいものばかりなのだ。

 ぺらぺらめくっていくうちに、毎回苦労して日々の記録を書き残して
いたことを思い出してきた。書く場所は机や板がある場所(薄っぺらで
硬いものが下になければ書けない)、ノートの裏面にはなにも書かない
こと(文字が透けるため、両面に文字を書くと透けてでこぼこになって
見づらくなる)、余白が少なくなったら買い足すこと(ページ数が少な
く、1ページ当たり20行しかないのでSENYUM5回分くらいで余
白がなくなる)、そして表紙を見せないこと(日本人に会ったら恥ずか
しい)・・・僕は何度も日本の「キャンパス」ノートを持って来れば良
かったと後悔したものだった。

 当時の本業である大学院の講義には日本から持ってきたコクヨのバイ
ンダーを使っていた。バインダー用の良質の紙ならジョグジャでも入手
できたからである(インドネシア版ノートの10数倍はするけれど)。
けれどバインダーなんて使っている学生は歴史学科をのぞいてみても僕
1人。大学院生たる30、40代のおじちゃんおばちゃんたち(こちら
の大学院生は皆30、40代が普通です)は、うさぎさんくまさんが表
紙の小さなノートを使う。ちょっと裕福そうな親父が使う皮製の立派な
ノートでもいかんせん分厚い紙なため、ノート全体が分厚くなる。日本
の文庫版やキャンパスノートのような良質な紙はこの国にはない。書店
で売られている本も、辞書も大学のテキストも内容量の割には分厚くて
重く、寝ながら読書をするとすぐに腕が痛くなって、「こんなんじゃ資
料読めねーよ」ってぶつくさ言ってました。

 でも、小学校に行っても、市場に行っても皆、このぺらぺらうさぎさ
んノートを使っている。「これがノート」って当たり前に使っていて、
僕みたいにぶつくさ文句は言わない。僕だってジャカルタにきた当初
は、家計費節約を理由にうさぎさんノートを使っていたけれど、すぐ壊
れるし余白がなくなるから、思い切って値段が10倍のキャンパスノー
トを買ったら裏面も使えるし、立ったまま文字を書けるし、壊れにく
い。「やっぱりすごい」って改めて日本製文房具を再評価した次第なの
です。

 日本にいたときにはちっともその良さを認識しなかったノート。ノー
トだけでなく、文房具から洋服から食品まで日本で売られている品々は
本当によく出来ている。でも木材から石油、天然ガス、コーヒーに至る
まで多くの品々がインドネシアから日本に輸出されている現実を見る
と、手放しで喜べない。原産地で飲んだトラジャコーヒーのまずさに首
を傾げたら「最高品質は日本と欧州、B級品は米国、お前やインドネシ
ア人が飲んでいるのはC級品」と言われるし、熱帯雨林が豊富なのにも
かかわらず、原産地の国ではうさぎさんノートを使っているのだから。
キャンパスノート(3万ルピア)とうさぎさんノート(2000ルピ
ア)を見てうーんとうなる、インドネシアに来たらぜひ文房具屋でうさ
ぎさんノートを買って両者の違いを見比べてほしい。

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              発行者 水嶋 真人
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創刊日:2000-07-09  
最終発行日:  
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