国際情勢

グローバル・エイズ・アップデート

地球規模の広がりを見せるHIV/AIDS問題。アフリカなど途上国を中心に、現状と国際社会、市民社会の取り組みの最新情報を伝えるメールマガジン。

全て表示する >

(GAU328号)パナマ:グローバルファンドの援助終了でエイズNGOは生き残れるか?

2017/10/22

----------------------
★「第328号」目次

●対策・課題別記事、アフリカ以外の地域別記事
・パナマのエイズNGOはグローバルファンドなしでは生き残れない:報告書で明らかに
・米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)の新戦略、13カ国に資金を集中
・トランスジェンダー女性におけるHIV検査からケアへの継続=リオデジャネイロでの調査
●アフリカの地域別記事
・(マラウィ)2030年までにHIVを終わらせるためにファストトラックアプローチを進める
・(アフリカ)エイズを終わらせることがアフリカの経済成長のカギになる
・(レソト)HIVとの闘いで大きな進歩
・(ジンバブエ)トラックドライバーが主な性感染症の要因
-----------------------------------Vol.18 No.04 ---------------

◆発 行:(特活)アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル3F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:下記ブログをご覧ください。
http://blog.livedoor.jp/ajf/
◆Melma!を通しての購読申し込みは
http://www.melma.com/backnumber_123266/
◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は、事前に発行者にご連絡をお願いします。



<対策・課題別・地域別(アフリカ以外)記事>
--------------------------------------------------
パナマのエイズNGOセクターはグローバルファンドが撤退したら生き残れない:報告書で明らかに
--------------------------------------------------
【2017年10月3日】中米・パナマのエイズに取り組んでいる市民団体 Civil Society Organizations (CSO)は、途上国の三大感染症対策に資金を供給する国際機関であるグローバルファンド(世界エイズ・結核・マラリア対策基金)が同国のプロジェクトへの資金拠出をやめたら財政面で生き残ることができず、国家エイズプログラムへの全面的な協力は難しくなることが資金移行準備状況調査報告書 Transition Readiness Assessment Report (TRA) で明らかになった。しかしながら、報告書ではCSOの強化を求めている。

結核については、パナマが中流行国でかつ上位の中所得国であることから現在受けている資金供与で最後となるが、エイズは現在もGF資金供与国に該当する。ところが、世界銀行はパナマが次期資金供与期間前に高所得国になると予測しているためエイズも資金供与の資格を満たさなくなることから、2017-2019の申請では結核とエイズを一緒にして自国財源への移行のための資金を申請するとしている。

グローバルファンドは、一人当たり国民所得と疾病負荷を基準に資金拠出対象国を決定しており、経済成長により対象国でなくなる国については、エイズ・結核・マラリア対策の資金がグローバルファンドから自国財源に移行する準備ができているかをチェックする資金移行準備状況調査を行ったうえで、移行準備のための資金を提供することとなっている。この資金は、現在グローバルファンドが提供している活動やサービスの現状を維持するためではなく、資金移行において必要な資金として活用することとなっている。パナマでは、GF事務局が資金移行準備状況調査報告書の作成のすべてに関与した。

報告書では、資金移行を進めるにあたっての問題点を指摘しているが、その1つにCSOの存続がある。パナマではエイズ分野で活動するCSOが、重点的なエイズ対策が必要なすべての「カギとなる人口集団」(MSM、セックスワーカー、薬物使用者など)に対する活動を展開しているが、保健省から資金提供を受けているCSOは1つしかなく、他はグローバルファンドの資金で活動している。パナマ政府はCSOをHIV予防サービス提供の拠点的存在と位置付けているが、グローバルファンドの資金の提供を受けているCSOの活動が資金移行により継続できない懸念がある。報告書でもサービス拠点形成は必要であると指摘しているが、その拠点を維持していくためにはとくにCSOの財政的持続性の確保が早急に求められている。しかし、CSOが独力でこれを達成するのは困難であることから、資金面においては米国大統領エイズ救済緊急計画 PEPFAR 等の他の資金提供団体との連携や、同様な活動の成功事例としてモンテネグロの例を参照すること、またGFの別のプログラムである「コミュニティ・権利・ジェンダーに関する特別イニシアティブ」の資金を活用することを提言している。

一方、結核に関しては、エイズとは違いCSOの関与は非常に限られていることから報告書においてもGF撤退も問題がなくサービスが提供されるとしているが、今後、一部のサービスが維持できなくなる可能性も考慮してエイズ関連団体との連携を勧めている。

パナマはエイズ・結核に対する国家予算がある程度保証されている。しかし、GF撤退後に国家予算内で現有プログラムの埋め合わせが可能であっても、2030年までのエイズ流行制圧に求められている遠隔地域の住民等に対するスティグマ・差別対策等、移行資金に含まれない分野における活動の拡大が必要となっている。今後は、報告書に記載された提言を参照に自国予算で活動が可能な計画を作成することが求められる。

中南米諸国では、パナマ以外にもGF撤退に向けた取り組みを実施している国があり、パナマ以外にもTRA報告書が完成した国や、作成中の国が複数存在している。

原題:Transition Readiness Assessment Finds HIV CSOs Are Unlikely to Survive Global Fund Exit from Panama
出典:AIDSPAN
日付:2017/10/3
URL:http://www.aidspan.org/node/4356

-------------------------------------------------------------------
米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)の新戦略、13カ国に資金を集中
-------------------------------------------------------------------
【2017年10月3日発】グローバルファンドとともに、世界のエイズ対策の資金供給や実施の根幹の一つを成している「米国大統領エイズ救済緊急計画」 PEPFAR は、9月19日に米国政府のレックス・ティラーソン国務長官 Rex Tillersonが発表した新戦略のもと、2020年までにHIVの流行を管理下に置くことができる可能性の高い13カ国へ「資金拠出を集中」する予定だ。ただし国務省によると、現在治療を受けている人々は今後も治療を受け続けることができ、PEPFARは50カ国以上でプログラムを継続する見込みだ。13ヵ国というのは、ケニア、ザンビア、タンザニア、ウガンダ、ジンバブウェ、マラウイ、レソト、コートジボワール、ボツワナ、ナミビア、スワジランド、ハイチ、ルワンダである。国務省は、「流行を管理下に置く時点」について、具体的にはこれを「HIV新規感染よりもエイズによる死亡が上回った時点」と定義している。

ロイター通信の記事によると、レソト、スワジランド、マラウイ、ザンビア、ジンバブウェの5つの対象国はすでに「HIV流行を管理下に置く」状況に近づいている。これは、疾病管理予防センター、コロンビア大学、地方自治体および非政府機関からの全国調査に基づいている。

この新戦略は2017年から2020年までである。しかし、米国の2018会計年度(2017年10月1日から2018年9月30日まで)の開始時に始動する見込みだ。また、新戦略はPEPFAR予算の規模が不確実ななか打ち出される。というのも、トランプ政権はPEPFAR予算を、現行の年間約60億ドルから10億ドル削減するよう提案している。しかし最近、上院歳出委員会が、予算を60億ドルのまま維持するよう投票した。 現段階において、12ページの戦略文書では詳細は不明だ。例えば、PEPFARの予算のうち、どれくらい多くのPEPFAR予算を13の優先国に配分するか、また他のPEPFAR諸国への予算をどれだけ削減するかについて説明していない。

米国のエイズ対策に関するアドボカシー・直接行動NGOである「保健への地球規模アクセス・プロジェクト」Health Global Access Project (Health GAP )は、この新戦略に批判的だ。新しいリリースの中で、「新戦略は13ヵ国の流行コントロールに向けた対策を推し進めているが、その一方で『優先国』ではない37ヵ国への対策は失速している。そのため、何百万人ものHIV感染者を取り残すこととなる」と述べている。

同団体のエイシア・ラッセル代表理事 Asia Russellは、「今日発表された新戦略は、政策立案者が片手を背中に縛り付けながら策定したかのようなエイズ対策だ。」と述べ、 「野心的な戦略であれば…モザンビークや南スーダン、コンゴ民主共和国、西アフリカの他地域など、疾病負荷が大きく、最もニーズが高い国々を対象とし、すべての国においてエイズを終わらせるために積極的に綿密な計画を立てるでしょう。」とさらに付け加えた。

グローバルファンドは、PEPFARが資金拠出をしている全ての国にも資金拠出をしている。 PEPFARが援助対象とする全50カ国には、2017-2019年の間のグローバルファンドの配分が通知されており、 PEPFARの定めた13の優先国のうち、ボツワナを除くすべてが既に資金拠出要求を提出している。また、その他の37カ国のうちほとんどが、すでに提案書を送っている。

グローバルファンドのセス・フェゾン・コミュニケーション部長 Seth Faisonは、「PEPFARの新戦略とどのように調整していくか、すでに取り組みをはじめている。」とAidspanに語った。

原題:PEPFAR’s new strategy has implications for the Global Fund
日付:2017年10月3日
出典:Aidspan
URL:http://aidspan.org/gfo_article/pepfar%E2%80%99s-new-strategy-has-implications-global-fund

----------------------------------------------------------------------------
 トランスジェンダー女性におけるHIV検査からケアへの継続=リオデジャネイロでの調査
----------------------------------------------------------------------------
【2017年9月19日】「HIVの影響を強く受けた、対策のカギとなる人口集団」Key Affected Populations (KPs)とされる人々のコミュニティのうち、トランスジェンダー女性が世界中で最もHIV疾病負荷が高いコミュニティであると示唆されている。 しかし、トランスジェンダー女性が、一連のケア(HIV検査を受けた後、治療へ繋がり、ウイルス抑制へと導く)を受けられているのかについてほとんど知られていない。またケアの成果についても、ほとんど知られていない。

そのため、ブラジルのリオデジャネイロにおいて、トランスジェンダー女性を対象とし、HIV検査や診断、治療、治療効果が得られた比率をポピュレーションレベルで推定することを目的とする調査を行った。この調査では、ウイルス抑制に関連する因子を評価することも目的となった。

方法としては、2015年8月から2016年1月まで、ブラジルのリオデジャネイロにおいてトランスジェンダー女性を対象とし、友人から友人へと紹介をすることで対象者を拡大させていく「リスポンデント・ドリブン・サンプリング法」(RDS)を用いた。そして、ケアへのアクセスや連携、抗レトロウイルス治療、HIVウイルス負荷試験の実施状況に関するデータを収集した。人口をベースにサンプルを重みづけし、階層化した指標について推定値を得た。また、治療の成功度をはかる「ウイルス抑制」(ウイルス量≦50コピー/ mL)との相関を評価するためにRDS加重ロジスティック回帰分析を行った。

結果として、345人のトランスジェンダー女性のうち、89.2%(95%CI 55-100%)が以前にHIV検査を受けたことがあった。77.5%(95%CI 48.7-100%)は以前にHIVと診断されたことがあった。 67.2% (95%CI 39.2-95.2)はケアへとつながった。62.2%(95%CI 35.4-88.9)は現在抗レトロウイルス治療を受けており、ウイルス量が検出されなかったのは35.4%(95%CI 9.5-61.4%)であった。

特筆すべきことは、黒人(調整オッズ比[aOR] 0.06,95%CI 0.01-0.53、p <0.01)や、月収160ドル以下(aOR 0.11, 95%CI 0.16-0.87、p = 0.04)、住居が不安定(aOR 0.08,95%CI 0.01-0.43、p <0.01)な人については、ウイルス抑制に関する調節オッズ比が有意に低下を示したことだ。

トランスジェンダー女性は、抗レトロウイルス治療率が低く、治療の成功度を示す「ウイルス抑制率」も低いと考えられる。トランスジェンダー女性のHIV治療格差を縮め、パートナーへの二次感染を減らすためには、ジェンダーに肯定的なケアの提供を含むマルチレベルの努力が急務である。

原題:HIV testing and the care continuum among transgender women: population estimates from Rio de Janeiro, Brazil
日付:2017年9月17日
出典:Journal of the International AIDS Society
URL:http://www.jiasociety.org/index.php/jias/article/view/21873

<地域別記事(アフリカ)>
  -----------------------------------------
アフリカ:マラウイ大統領、国連本部の会合でエイズ対策のファスト・トラック・イニシエティブの進展を強調
-----------------------------------------
【2017年9月22日ニューヨーク(米国)発】9月の国連総会において、エイズ対策の「ファスト・トラック」の実施状況に関するハイレベル会合が行われた。「ファスト・トラック」とは、「(地球規模の主要な保健上の脅威としての)エイズを終わらせる」という「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成を目指すための2020年までの目標である「90-90-90」目標(陽性者の90%が感染を知り、その90%が治療につながり、その90%においてHIV量が(検出可能値以下に)抑制される)を実現するために現在、国連合同エイズ計画(UNAIDS)が提唱している、エイズ対策の急速な実施のための方策である。

同会合において、アフリカ6ヶ国の大統領を含む世界のリーダーたちは、エイズの終息のためのファスト・トラック・アプローチがほとんどの国で保健システムに良い影響を与えていると強調した。

各国はファスト・トラック実施における成功事例等を報告したが、マラウイのアーサー・ピーター・ムタリカ大統領Arthur Peter Mutharicaは治療対策のための90-90-90目標への取り組みの成功を紹介した。ムタリカ大統領によると、マラウイではHIV陽性者の7割がすでに彼らの感染状況を知り、66%のHIV陽性者は治療を受けており、その59%のウイルス量が抑制されている。彼は2020年までにマラウイは「90-90-90目標」を達成できると考えている。ムタリカ大統領は、この進歩は私たちが地球上からエイズを終わらせるという信念を補強するものであると述べた。また、大統領は、私たちがまだ戦いに勝利していないことも強調しており、持続的、予測可能且つ信頼できる資金が更に必要であることも述べている。

国連合同エイズ計画Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS)の事務局長であるミシェル・シディベ氏Michel Sidibeはマラウィ、ザンビア、ボツワナ、ウガンダの4ヶ国はエイズ危機の中心にあったが、今日では感染を管理下においていると述べた。しかしながら、エイズのケアと治療のために保健システムへの投資がまだ必要であると付け加えている。

原題:Africa: Mutharika Touts Malawi Progress On Fast-Track Initiative Ending HIV by 2030
出典:Nyasa Times
日付:2012/09/21
URL: https://www.nyasatimes.com/mutharika-touts-malawi-progress-fast-track-initiative-ending-hiv-2030/

-----------------------------------------
(ルワンダ) 「エイズ・フリー世代」がアフリカの経済成長のカギに:カガメ大統領夫人が表明
-----------------------------------------
【2017年9月21日キガリ(ルワンダ)発】ルワンダのジャネット・カガメ大統領夫人 Jeannette Kagameは、「HIV/AIDSフリー世代」がアフリカ大陸の経済発展に大きな役割を果たすと述べた。カガメ大統領夫人は、第72回国連総会と合同で開催された「エイズと闘うアフリカ・ファーストレディー機関」 Organization of African First Ladies on AIDS (OAFLA) で、若い力が未来を変えると強く信じている、と述べた。「アフリカの人口ボーナスを活用する能力は、若い人々の健康と福祉に強く依存している。我々は『スタート・フリー、ステイ・フリー、AIDSフリー』という目標を実現するために保健システムを総動員しなくてはならない。良質のヘルスケアと教育にアクセスする権利を保証することにより若者に投資すれば、彼らは明るい未来のためにその機会を最大限に利用できる」と若者の力の重要性を強調した。

一方、カガメ夫人は、ルワンダの野心的な90-90-90計画においては、HIVの母子感染予防(PMTCT)サービスはルワンダの公的なヘルスケア施設の96%で利用でき、トータルで343,438人の妊婦が今年HIVの検査を受けている、とカガメ大領領夫人は述べている。これらの女性のうち、0.7%がHIV陽性で前年の0.9%から減少している。90-90-90プログラムは2020年までに、90%のHIVと共に生きる人が自身のステータスを知り、HIV陽性と診断を受けた人の90%が継続した抗レトロウイルス薬治療を受け、抗レトロウイルス薬治療を受けている人の90%にウイルスの抑制がみられる、ということを目標にしている。

PMTCTサービスにおいて、出産前の夫婦でのHIVカウンセリングと検査が啓発され、出産前ケアサービスに参加した84.9%の男性とその妻が2016年7月から2017年6月のPMTCTでHIV検査を受けている。若い力を信じる国として、我々は無気力ではいられない、とカガメ大統領夫人は述べた。

<協力体制の強化>
カガメ大統領夫人は、ヘルスケアに関わる全ての人々の協力体制を続けることが必要であると述べている。HIV/AIDSとの闘いにおいて、現在の状態である87-89-93を90-90-90とするために、訓練されたヘルスケアワーカーのコミュニティネットワーク、モニタリングできる健康情報システムの利用などが重要となると述べた。一方、カガメ大統領夫人は、「国際貿易における女性の力」というテーマのもと開かれた「She Trades」というセッションでの議論にも加わった。このセッションで、カガメ大統領夫人は、 「貿易における女性の役割」は定義されておらず、過小評価されたままであり、新たな取組みを促進させる必要がある。研究が繰り返し証明してきたように、女性は自身のコミュニティだけでなく全体のコミュニティにポジティブなインパクトを与える可能性を持っている」と述べた。

原題:Africa’s Economic Growth Relies on Aids-Free Generation, Says First Lady
出典 : The New Times
日付:2017年9月21日
URL: http://www.newtimes.co.rw/section/read/220315/

-----------------------------------------
(レソト)HIVとの闘いで大きな進歩
-----------------------------------------
【2017年9月22日マセル(レソト)発】南アフリカ共和国の内部に位置する小王国、レソトではHIV陽性者の90.2%が現在抗レトロウイルス薬(ARV)の治療を受けているという大きな進展がみられた。これは、現在、国連が掲げている「90-90-90目標」のうち二つ目の「90」を上回っている。

「90-90-90目標」とは、HIVと共に生きる人々の90%が自身のHIVのステータスを知り、HIVの診断を受けた人の90%が継続したARV治療を受けることであり、ARV治療を受けている人の90%がウイルス抑制がみられる状態になることをめざす、国連合同エイズ計画 UNAIDS の目標であり、2020年が目標年となっている。

レソトは「90-90-90目標」の二つ目の「90」を達成したことを示す調査のインパクトを評価するために、人口に基づいたHIVインパクトの評価LePHIAに着手した。LePHIAはPEPFAR、米国疾病予防管理センター、コロンビア大学の国際エイズケア・治療プログラムセンター International Center for AIDS Care and Treatment Program (ICAP) を通じて米国政府の技術的、資金的支援を受けて保健省が実施した研究である。PHIAプロジェクトはレソトの約15県においてHIVに関する情報を収集した。調査には10,000世帯15,000人が参加した。

LePHIAの速報として、火曜日にモニャネ・モレレキ副首相Monyane MolelekiはHIV流行の管理において有意な進歩があったと発表した。報告書は世界エイズデーである12月1日にリリース予定である。

「まず、レソトの15−59歳の年齢において、HIV陽性者の77.2%が、自分がHIVに感染していることを知った」とレソト副首相は述べ、このうち、「男女別では女性81.5%、男性71%である」と続けた。「次に、自身の感染を理解している人々のうち、90.2%がARTを使用していると自己報告している。さらに、ARTを現在使用している15-59歳の年齢において88.3%はウイルス抑制がみられている」

モレレキ副首相は、レソトはHIV流行を抑えるために革新的な戦略をとり、特にレソトは南部アフリカで初めて、2016年6月に「検査即治療」戦略 Test and Treat Strategy を開始した、と述べた。「レソトのHIV新規感染は年間で人口100人あたり1.5人である(女性1.7人、男性1.2人)。しかしこれは女性が感染に注意深くないことを意味しているのではない。15-59歳のHIV陽性の成人でのウイルス量減少率は、女性が70.6%、男性が63.4%である」
盛れ礫副首相はさらに、「特に予防と検査においてはさらに課題が存在することに注意しないといけない」とレソト副首相は述べた。一方、レソトの米国大使であるマシュー・ハリントンMatthew Harringtonは、LePHIAによって集められた情報は有益でHIVの新規感染を防ぎ、命を救うプログラムに活用されるだろうと述べ、さらに、「米国大統領エイズ救済緊急計画 PEPFARを通じて、米国政府は、レソトがUNAIDSの90-90-90目標を達成するためにさらに協力を継続していくだろう。大きな進歩が見られたのは喜ばしいが、レソトがHIV流行を管理下に置くためにすべきことはまだたくさん残っている」と付け加えた。レソトはAidsフリー世代という最終的なゴールを達成できるだろうと彼は楽観している。

LePHIAに参加するコロンビア大学国際エイズケア・治療プログラム・センター ICAPのコーエン・フレドリックス Koen Fledrix テクニカルディレクターは、この結果は、近年のエルニーニョによる干ばつは医療にネガティブなインパクトを与えていないことを示しているとしている。「全てのデータがまだ解析されていないため、結果は暫定的に世界エイズデーで発表される。しかし予備的な結果から、人々は干ばつのような困難な状況でも治療に対して積極的であることがわかる」とテクニカルディレクターは述べている。

原題:Lesotho Makes Strides in HIV Fight
出典 : Lesotho Times
日付:2017年9月22日
URL: http://www.lestimes.com/lesotho-makes-strides-in-hiv-fight/

-----------------------------------------
(ジンバブウェ)トラックドライバーが主な性感染症の要因
-----------------------------------------
【2017年9月5日ハラレ(ジンバブウェ)発】南部アフリカ諸国経済共同体 SADC の管轄地域である南部アフリカにおいては、国境通過ポイントにおけるトラックドライバーとセックスワーカーの性交渉が主な性感染症の要因となっている。

ジンバブウェとザンビアの国境越えポイントである「ヴィクトリアの滝」周辺では、4つの診療所が、SADCの管轄からジンバブウェ政府の管轄に移されたが、SADCの保健・児童ケア事務局のジェラルド・グウィンジ氏 Gerald Gwinji によると、当該の4つの診療所では、15歳以上の男女10,823人がHIV検査を受け、そのうち2943人は各国出身の長距離トラックドライバー、2354人はセックスワーカーであった。また、検査を受けた人の内4923人は1つ以上の性感染症に感染していた。彼によると、政府の新しい政策により2つの地域の合計207人に抗レトロウイルス治療が開始されている。彼は「私たちは国境沿いの町において、この対策がどれだけの発展をもたらしているか自信を持って言える」と話した。

政府は以前から新たなHIV感染を防ぐための国境越え対策の強化を続けていた。近年の統計では長距離トラックドライバー、セックスワーカー、囚人、青少年における新規のHIV感染はより予防できるようになっている。国境診療所は彼らのようなHIV対策の鍵となる集団でのHIVやその他の感染症の診断と治療に大きな役割を果たしている。元来セックスワーカーや長距離トラック運転手などは感染性疾患にしても非非感染性疾患にしても早期発見や治療、ケアが難しい状況におかれている。

この国境クリニックができた理由は、SADC地域でそうしたHIV対策のカギとなる人口集団 Key Populations でのHIV罹患率が高かったからであり、事実彼らは上記のような治療・ケアなどのサービスを受けられるようになった。実際クリニックができる前の調査ではHIVの罹患率は南部アフリカで53%がセックスワーカー、26%が長距離トラックドライバーであった。一方でSADC地域の一般人口における感染率は15%〜20%である。SADCに加盟している国は、アンゴラ、ボツワナ、コンゴ民主共和国、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブウェである。

SADCのHIV/AIDS対策の代表であるイチャイ・ムヴァンディ氏Ityai Muvandiは、国境越え対策による健康改善がうまくいけば、経済成長も見込まれると述べた。

原題:Zimbabwe: 'Truckers Major STI Drivers'
出典:THE HELARD
日付:2017/09/5 
URL: http://www.herald.co.zw/truckers-major-sti-drivers/


--------
編集後記
--------
衆議院の解散総選挙の投票日で、しかも台風襲来の日曜日に、自宅で編集作業をしています。今号は期せずして、国連総会でのUNAIDSの90-90-90目標に関する南部アフリカ諸国の達成状況のニュースが続きました。対策が進むのは良いことですが、こうした「大本営発表」がどこまで事実なのかはよくわからないところです。(稲場)

---------------------
★メールマガジンご案内
---------------------
★「グローバル・エイズ・アップデート」は、世界のHIV/AIDS問題の最新動向を網羅するメールマガジンです。

★HIV/AIDS問題は、現代世界における保健医療上の最大の課題の一つです。しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。

★このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語に要約し、隔週で発行しています。また、発行後すぐにブログにも更新。過去記事をカテゴリーごとに確認したい方はこちらからどうぞ。
http://blog.livedoor.jp/ajf/

★継続して購読を希望される方は、以下の講読申込票をメールマガジン発行元(特活)アフリカ日本協議会までご送信下さい。また、本メールマガジンを発行している「Melma!」の以下のサイトから登録することもできます。
http://www.melma.com/backnumber_123266/

---------------------------------------
<講読申込票>info@ajf.gr.jpまで
---------------------------------------
★氏名
★所属(あれば)
★メールアドレス
★ご在住の市町村
★コメント
---------------------------------------






規約に同意してこのメルマガに登録/解除する

メルマガ情報

創刊日:2004-09-14  
最終発行日:  
発行周期:隔週  
Score!: 80 点   

コメント一覧コメントを書く

この記事にコメントを書く

上の画像で表示されている文字を半角英数で入力してください。

※コメントの内容はこのページに公開されます。発行者さんだけが閲覧できるものではありません。 コメントの投稿時は投稿者規約への同意が必要です。

  • コメントはありません。